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温泉が好き!
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しおりを挟むその知らせは予想外のものであった。
「王様、勇者パーティーが全滅しました」
「おい! 」
部屋へ急ぎ入って来たその男は情報部の新人だった。
ドタドタと足音を立て、ノックも無しに入って来るような教育は一体誰にされた
というのだろうか? とても元気がある新人のようだ。
「かまわんよ。ほう、意外と早かったの。それでどこら辺だ? 魔王軍は何処まで
来ておる? 」
重要なのは勇者パーティーが全滅したという事ではなく、何処でやられたのかと
いう事の方だ。場所次第で今後の対応が変わってくる。
「場所はその森の前の……」
「森? 人寄らずの森か! ならば次の勇者を選定する時間はありそうだのう。す
ぐに準備を始めてくれ騎士団長! ん、どうかしたかのう?」
私はさっそく指示を出して次の行動へと移ろうとするが、どうもまだ何かを言い
たそうにしている新人に問う事にした。まだ何も分からないのだろうし、緊張も
している事だろう。私は寛大なのだ。
「いえ、それが……森は森でも人寄らずの森ではなく……そのですね、王都を出て
すぐの森でして……どうしたものかと……」
「なんだと! どうしたもこうしたもあるか! それならばすぐに警報を出せ! 」
そんなに近距離での遭遇、明らかに攻めて来ているではないか。それならば選定
なんてしている場合ではなく、すぐに魔法使い達に結界を張らせなければならい。
多少の犠牲ならば構わないがここは守らねばならないのだ。それがなによりも重
要な事で私の仕事だった。
「それはちょっとまって欲しいのです。なにぶん情報が錯綜しておりまして、確か
に勇者パーティーは全滅したという事なのですが……その敵の方も死んだかもし
くは消えたようでして」
なんだそのよく分からない情報は。ちゃんと調べてから報告するべきではないの
か? もっと真面な奴はおらんのか? とさすがの私もイライラしだすぐらいに
は対応が酷いのだが。
「という事は敵が何処かにいるかもしれないという事ではないか! 今すぐ警報を
出せ! 」
さすがに騎士団長が部屋を出てすぐに警報が鳴り響き、城内が騒がしくなってい
く。出来る事はやっておくべきだと私は思っている。何もしなかった事により受
ける被害の方がどう考えても大きい事は明らかなのだし、間に合わなかったとし
ても最小限で済むはずなのだ。
「まだ居ったのか。お前も持ち場へ帰っていいぞ」
いい加減もう顔も見たくはないのだが、そんな言い方をすると後が面倒なのだ。
「王様、まだお伝えしたい事がありまして……」
「なんだ、もう全部言ってくれんかのう? 」
自分の役割をこいつは理解していないのだろうか?
「そのですね……石像が出来ておりまして」
「石像? はて何の話だ。私はそんなものを作れと言った覚えはないがのう」
斜め上の話を始められたら聞くしかない。
「はい、その通りでございます。王様の石像ではなく勇者パーティーの石像がその
場に出来ているのです」
「なんで? 」
「さあ? 」
全滅した勇者パーティーの石像がどうして出来ているのかが意味が分からない。
魔族にそういう風習があるなんて聞いた事はないし、そもそも敵の石像を作る事
にどんな意味があるというのか? それにそんな簡単に石造なんて作れるものな
のだろうか。寧ろ勇者パーティーが石化したという方が納得できる。
「それとですね、」
「まだあるのか」
「はい、その何故か建築物も出来上がっております」
「なんで? 」
「さあ? 」
一体何が起こっているのか? 今回の魔王はどういうつもりなのかがまったく読
めない。それはどういうものなのか? 魔法かそれとも作ったのか? もう、何
もかもが理解出来る範疇を越えていた。
「これが新時代というものなのか……」
「どういう意味ですか? 」
「お前みたいな奴の事を言っておる! 」
「はあ、そうなんですか」
さてどうするのが正解なのか、国王としての選択が試されていた。
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