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菫川ヒイロ

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ワン

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 子供の頃からずっと一緒だった。
 それが特別な事だなんて思った事もなかったし、嫌って訳でもなかったから
 彼女と一緒に居るという事は私には当然の事で、日常で、息をするようなもの
 だったのだ。
 
 
 だから彼女の相談に乗るという事は当然の事として受け入れていたし、真摯に
 彼女には対応して来たつもりである。彼女の事なら何だって分かるとは言える
 ぐらいには過ごして来た時間が私にはあったから、彼女の求めている答えなんて
 簡単に予想は出来た。
 
 
 だから私の所為という面もあるのかもしれない。
 彼女が私にやたらと相談してくるのは結局の所、私の答えを聞いて気分がよく
 なっているからなのだろう。そうでなければこうも相談ばかりをしては来ない
 だろうし、それは私にとっても喜ばしい事ではあった。
 
 
 でもそれにも限度というものがあって、流石にこうもしょっちゅう相談なんて
 されたらいい加減飽きて来るのは仕方がない事だったのだ。恋バナなんて誰が
 興味あるの?
 
 
 ある日、適当に彼女へ返事をした私。
 まあ流石に気付くとは思ったけどそれでもいいと思っていた。
 その時にちゃんと言おうと思ったのだ「アンタの話、面白くないよ」って。
 
 
 そもそも思い返してみれば彼女の話はいつもつまらなかった。
 面白い話なって生まれて来てから一度もした事がないのではないだろうか?
 否、絶対にそうだろうと私は確信する。彼女は生まれてからずっと面白くない
 のだ。
 
 
 だというのに彼女ときたら私の適当な返事でも満足して帰ってしまった。
 正直嘘だと思った、こんな事がある訳がないと思った。
 だって今までずっと必死に考えてきた私のあの時間は何だったのだろうか?
 そんな訳がない、今回はたまたまだと自分に言い聞かせて私はもう一度試した。
 
 
 間違ってなんてなかった。
 私ってこの程度だったんだって思うと何だがすごく寂しい気持ちになった。
 きっと彼女にとって私は都合のいい相手だったのだ。でもだからって彼女ともう
 会わないなんて選択を私はしなかった。やるのであればとことんだ。
 
 
 いつになったら彼女が気が付くのかそのタイミングをずっと待っていた。
 待って待って、それにすら飽きて来た私はとうとう大勝負に出た。
 これで気が付かないのであればもう終わりにしようと決めた。
 いつもと違う相槌を打つ事にしたのだ。
 
 
「わんわんわんわん」


 そんなあり得ない相槌を打った私に流石に彼女も気が付いたのだろう、
 私の顔を見て言ったのだ。
 

「決めたわ! 」







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