恋愛倉庫

必ずしも万能ではない

３

「ねえ、ママ。どういう事なの？　」


　どうやら娘は知ってしまったようだった。


「どうって言われてもそういう事だとしか言えないわよね～　」


「ふざけないで！　こんな事、あり得ないでしょ？　」


　そんな事を言われたって実際にあり得てしまっている現状があるのだからと
　私は思ってしまうのだ。この子って馬鹿なのかしら？　と結構真面目に考えて
　しまう私に娘は言うのだ。
　
　
「戻してよ！　」


　娘がいくら泣き叫ぼうがどうなる訳でもないのにとも思いつつ、戻したらどう
　なるのだろうか？　やって来る未来なんて分かり切っているだろうに、それでも
　戻して欲しいのだろ。まったくもって理解しがたい娘だと私はうんざりした。
　恋なんて諦めが肝心だろうに……
　
　
「無理よね、やっぱり」




　＊＊＊＊＊
　
　
　
　
　『ママには分かるまい』
　
　
　常日頃から私は思っていたのだ。
　私達のような若者と親世代では何もかもが違い過ぎるのだ。
　だからきっとママは私になるなんて事が出来る訳がないと、だって感性が違い
　過ぎるから。
　
　
「どうしてそんな事をするの？　」


　ママはよく私にそう聞いてくるけど、説明しないと分からないのなら説明する
　必要を感じないのだ。だってそうでしょ？　同じように子供だったはずなのに
　そんな事が分からないとかさ、それはもう無理じゃん！
　
　
　初めの内は私だって説明はしたけど、それが何の意味もないと分かってからは
　私は何も言わなくなった。別にそれで何か問題が起こるなんて事が私の生活に
　は無かったからだ。
　
　
　でも今回は駄目だ。
　私の生活に、人生に影響が出ているのだ。
　だというのに悪びれるわけでもなく、寧ろ私がおかしいみたいな態度だった。
　
　
　無理だ。
　私達が分かり合える事はこの先もずっと無いだろう。
　ずっと平行線だった。
　私はこの恋を諦めたりはしない。