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忘れられた物語
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しおりを挟む「それじゃあ行くけど、忘れ物はないわよね、ジグゥ」
私は侍女のジグゥに最後の確認をした。
すると彼女はクローゼットやらチェストやらをバカバカと開けて、
中に何もないのを確認を始めた。
おかげで部屋の中はめちゃくちゃになってしまったが、そんな事を気にする
なんて事はない。だって私はもうここには戻って来るつもりがないのだから。
盛大に散らかしてからジグゥは両手で大きくマルを作って何も残っていない事
を私に分かりやすく簡潔に教えてくれたので、私も同じように両手で大きくマル
を作って了解した旨を伝えた。
「じゃあ行こうロングラビル」
ジグゥは大量の荷物を運ぶ、魔法で。
私の侍女はハイスペックなのでこんな事もたやすくやってのける。
「貴女、結局私がここに来てから一度も奥様って呼ばなかったわね」
私のハイスペック侍女は敬語というものをご存じない。
「黙ってて、気が散る」
ジグゥでもこの大量の荷物を運ぶのは大変な様子。
仕方なく私は彼女後を涼やかに歩く。
*****
荷台に荷物を溢れんばかりに詰め込んで私とジグゥはこの家を去る。
「よし、じゃあ出発~! 」
手綱で馬を促すがまったく動く気配がない。
「何? どうして? 」
訳が分からない私は手綱をバシバシ動かす。
「きっと荷物が重い。 あとロングラビルも重い」
ジグゥが余計な一言を思い出したように付け加える。
「もうどうにかしてよジグゥ。これじゃあ家に帰れないわ」
「仕方ないなあ。軽くするからちょっと待って」
するとジグゥは魔法を使って荷物を軽くした。
「よし、じゃあ出っ発~! 」
ヒヒ~ン!
私がバシバシ手綱を動かせば馬が勢いよく走り出す。
「ちょ、危ない! ロングラビルは馬鹿なの? 」
侍女に馬鹿呼ばわりされるがそんな事よりも今はどうにかしないといけない
問題が目の前にあった。
門がまだ開いていなかったのだ。
このままではぶつかる。
ぶつかれば確実に死ぬ。
そんな終わり方の何処がハッピーエンドなのか?
「本当、ロングラビルは馬鹿なんだから! 」
ジグゥが魔法で門を粉砕してくれた。
「さすがジグゥ! 助かったわ! 」
こうして私達は離縁して実家へ帰ったのだった。
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