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菫川ヒイロ

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そのままの君でいて

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 父に呼び出された。
 俺は自分が何かやらかしていないか考えながら父の部屋へ向かった。
 
 
「入れ! 」


 ノックをすると入室を許可された。
 
 
「失礼します」


 部屋へ入ると父はジッと俺の事を見てから言った。
 
 
「よくやった、これで伯爵家との繋がりが出来たぞ! 」


 父は言う。
 伯爵家から連絡があり、俺が彼女と婚約する事になったと。
 彼女が成人すれば俺は伯爵家へ婿入りする事になると。
 
 
 当然、父はすぐに了承した。
 それはそうだろう、伯爵家との繋がりができればこの家をさらに大きく出来る
 のだから。
 
 
 父は自分の利益になる事の為にしか行動しない。
 
 
 それに比べ彼女はどうだろうか?
 何処までも素直で真っ直ぐな彼女。
 きっと父と反りが合わないだろう事は予想できる。
 
 
「分かっているな? お前が何をするべきか」


「はい」


 俺はきっと父の言う事に逆らう事は出来ないだろう。
 でも、彼女はこのままで居て欲しいと願ってしまうのだ。
 だって人とは自分の利益の為だけに動くものだと思っていたから。
 
 
 彼女は違った。
 彼女はきっと俺の所為で苦しんでしまう事になる。
 そんな彼女を見たくないと俺は思っているのだ。
 
 
 だから俺は彼女を守る為に婚約破棄をするだろう。
 
 
 
 
 




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