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第一章
1人だけの防衛部
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前の会議により第一地区、第三地区、第五地区そして2人に増えたドラゴンスレイヤーを連れて竜族長を討伐することが決まった。
正直に言うと行きたくなかった。わざわざ二十マイルも移動して竜族長のところへたどり着いたとしても、なにかをするわけでもない。やるとしても身代わり程度だろう。
しかしそこで反対なんて馬鹿な俺でもやらない。もし反対すれば、追放や重い処罰、最悪命が危ないかもしれない。まったくひどい世の中だぜ。そう思いながら歩いていくといつの間にか武器庫に着いた。向かっていくと先に第一地区の隊長がいた。
奴は坂本 蒼太郎(サカモト ソウタロウ)第一地区の隊長である。そしてここの防衛部は少し訳ありな部である。坂本は俺に気づき作業中の手を止め、話しかけてきた。
「よお、第五地区の隊長さん。自分の部隊も連れずにここに何のようだ。」
「特に用はねえ。散歩してたらここに着いちまっただけだ。」
「散歩?ははっ、明日の遠征で死ぬかもしれないのにのんきなやつだ。」
坂本は馬鹿にするように笑いながら言った。
「だからだろ」
俺がその言葉を口にした瞬間、坂本は笑うのをやめ俺をにらんだ。
「呑気なこと言ってんじゃねえよ。この世界の死は絶対、誰も逆らえない。死んだって英雄になれるわけでもなく、生きてるやつに力を与えてやれるわけでもない。のんきなこと考えてる暇があったら、生き残る為にどうしたらいいかを考えろ。」
俺にはなぜこいつに、ダメ出しされなきゃいけないのか全く理解できなかった。
「それは死んだ仲間から得たお前の考えか?」
「ッ!!」
坂本の口が止まった…。
「そうだ…、そうだよ。俺の死んだのんきな部下達から学んだ事だよ!」
そう、この防衛部の訳ありの理由それは、隊長以外部隊が一人もいないということだ。
あるドラゴンの襲撃の日。この第一地区の防衛部は、最前線で襲撃を阻止していた。しかしその中で隊長の命令を聞かず、行動してしまう者がいた。そのせいで、多少の犠牲で済むはずだった戦いは大きな犠牲者を出す結果となってしまった。この戦いで第一地区の部隊は8割近くの犠牲者が出た。これにより彼は突然残った自分の部隊を解散させ一人、防衛部を続けているのだ。なぜ残った部隊を解散させたのかは不明である。
少しの間坂本とにらみ合いが続いたが少し落ち着いて、
「あー、すまん。余計なことを言っちまったな」
俺は少し反省した。確かにこいつの言ってることは正しい。トラウマの過去を言っちまった少々まずかったかも…。
「いやいいんだ。お前みたいやつが昔俺の部隊にいたからな。ついカッとなってしまった。悪い癖だ。」
そう言うと坂本は武器庫を出ていった。あいつの出ていく様を見るととても悲しそうに見えた。死んだ部隊や解散させた部隊のことを常に思い苦しんでいるんだろうな。
だけど俺はああいうやつ苦手だな…
正直に言うと行きたくなかった。わざわざ二十マイルも移動して竜族長のところへたどり着いたとしても、なにかをするわけでもない。やるとしても身代わり程度だろう。
しかしそこで反対なんて馬鹿な俺でもやらない。もし反対すれば、追放や重い処罰、最悪命が危ないかもしれない。まったくひどい世の中だぜ。そう思いながら歩いていくといつの間にか武器庫に着いた。向かっていくと先に第一地区の隊長がいた。
奴は坂本 蒼太郎(サカモト ソウタロウ)第一地区の隊長である。そしてここの防衛部は少し訳ありな部である。坂本は俺に気づき作業中の手を止め、話しかけてきた。
「よお、第五地区の隊長さん。自分の部隊も連れずにここに何のようだ。」
「特に用はねえ。散歩してたらここに着いちまっただけだ。」
「散歩?ははっ、明日の遠征で死ぬかもしれないのにのんきなやつだ。」
坂本は馬鹿にするように笑いながら言った。
「だからだろ」
俺がその言葉を口にした瞬間、坂本は笑うのをやめ俺をにらんだ。
「呑気なこと言ってんじゃねえよ。この世界の死は絶対、誰も逆らえない。死んだって英雄になれるわけでもなく、生きてるやつに力を与えてやれるわけでもない。のんきなこと考えてる暇があったら、生き残る為にどうしたらいいかを考えろ。」
俺にはなぜこいつに、ダメ出しされなきゃいけないのか全く理解できなかった。
「それは死んだ仲間から得たお前の考えか?」
「ッ!!」
坂本の口が止まった…。
「そうだ…、そうだよ。俺の死んだのんきな部下達から学んだ事だよ!」
そう、この防衛部の訳ありの理由それは、隊長以外部隊が一人もいないということだ。
あるドラゴンの襲撃の日。この第一地区の防衛部は、最前線で襲撃を阻止していた。しかしその中で隊長の命令を聞かず、行動してしまう者がいた。そのせいで、多少の犠牲で済むはずだった戦いは大きな犠牲者を出す結果となってしまった。この戦いで第一地区の部隊は8割近くの犠牲者が出た。これにより彼は突然残った自分の部隊を解散させ一人、防衛部を続けているのだ。なぜ残った部隊を解散させたのかは不明である。
少しの間坂本とにらみ合いが続いたが少し落ち着いて、
「あー、すまん。余計なことを言っちまったな」
俺は少し反省した。確かにこいつの言ってることは正しい。トラウマの過去を言っちまった少々まずかったかも…。
「いやいいんだ。お前みたいやつが昔俺の部隊にいたからな。ついカッとなってしまった。悪い癖だ。」
そう言うと坂本は武器庫を出ていった。あいつの出ていく様を見るととても悲しそうに見えた。死んだ部隊や解散させた部隊のことを常に思い苦しんでいるんだろうな。
だけど俺はああいうやつ苦手だな…
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