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第一章
戦の前夜
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武器の最終確認が終わり、自室に戻っている途中、声をかけられた。
よっ!と馴れ馴れしく声をかけてきたのは第三地区の防衛部の隊長、柳生 千津瑠(ヤギュウ チズル)だ。こいつは唯一の女性隊長でほかの男性よりも、有能な人物である。さらに言うとこいつとは幼い時からの知り合いである。
「お前か、何してんだ。」
分かりきっていたことだがあえて聞いた。
「おいおい見りゃ分かるだろ。見回りだよ。それともなんだ話すことないからあえて聞いたって感じか?」
完全に見破られていた。俺は返す言葉も黙ってしまった。
「やれやれ、わかりやすくて呆れるよ。そうだ、明日あんた達の部隊も行くんだろ、お互い死なねえといいな。」
なんとなく丸く収められて少しイラッとした。
「おまえみたいな怪力女はドラゴンに襲われても死なねだろ。」
「はあ?なんだと。ドラゴンに殺される前にあたしがお前を殺してやろうか!」
柳生は指を鳴らしながら不気味に微笑ながら言った。
「遠慮…しとく。」
俺は一歩下がりながら言った。
「まあいいや、とりあえず明日頑張ろうな。」
そう言って柳生は去っていった。
それにしてもよく分からない女だ。女性は部隊の入団は禁止されてはいないが、ほとんどの女性は避難地区で生活している。なのにあいつは部隊に参加し、おまけに男どもを差し置いて隊長の座まで上がった。まあ、あいつにはそれだけの才能があるということだろう。
俺は自室に戻った。明日朝早い出発となるだろう。早めに寝とこ…。
俺は横になり眠りにつこうかと思った時、
「ドンドンドン!」
強く扉を叩く音が部屋中に響いた。
「クソッ誰だよこんな時間に、」
俺は起き上がり扉を開けた。しかしそこに居たのは想像もしかなった人物だった。
「よお!防衛部のひと。」
そこに居たのはあのドラゴンスレイヤーだった。
「お、お前、なぜここに…。」
あまりの予想以上の人物に驚きが隠せなかった。
「なぜって?んー、防衛部の人の明日の意気込みを聞きにきた。」
「はあ?意味がわからん。」
「という冗談は置いといて、」
「おい貴様、俺をからかっているのか?」
「メグミのことを話に来たんだよ。」
「メグミ?」
なぜ突然もう1人のドラゴンスレイヤーの名前が出てきたのか俺にはさっぱりだった。
「天野 恵。お前に続いてのもう1人の適合者それ以外に何かあると?」
「うん、あるよ。だけどこの話は誰にもしないで、お偉いさんにも言ってない話だから。」
「は?じゃあなぜおれにはなすんだ?」
「うーん、他とはちょっと違っていて面白そうやつだからかな。」
意味がわからない。完全にあいつの都合上の問題だと思った。
「理由になってねーよ。まあいいや。で、お前は天野 恵について何を知っているんだ?」
「僕とめぐみはね兄妹なんだよ。」
「は?何を言ってんだ。兄妹?お前らは同じ適合者ってだけで兄妹ではない…いや、それともそれが兄妹ということか?」
「違うよ。めぐみとは本当に血が繋がった兄妹なんだよ。」
「何?!だがなぜその事を隠しているのだ?別に知られたところで大きな変化はないと思うのだが…」
「そうだね、普通ならね…。」
「?」
普通なら、その言葉を発する時、なにか重いものを感じた。俺はこいつらのことをよく知らない。ドラゴンスレイヤーとだけあってそれ以外は何も知らない。そう言えばこいつ名前…なんて言うんだ?
「おい!お前、名前なんて言うんだ?」
俺が名前を聞くとそいつは驚いた顔をしたがすぐに笑顔になった。
「名前なんて久しぶりに聞かれたよ!ぼくはエルド。フェルマール・エルド。」
「天野じゃないのか?」
「そのこと隠してるのにその名前は使わないよ。だからこれは仮の名前。」
「ふーん。何だかな…。そこまで隠してるとその理由を聞きたいのだが、」
エルドは首を振った。
「ごめん、それは言えない。でも、僕がめぐみと兄妹ってことは隊長さんを信頼して話したんだからね。」
「ふん、どうだかな。その理由が言えないんじゃ、まだ全然なんだろ。」
「うーん、そうかもね。でも他の人よりは信頼してると思う。」
エルドはニコッと笑顔を見せた。
「はぁ…、分かったよ。明日朝早いんだ。もう話すことがないなら、俺は寝るぞ。」
俺はわざとあくびをして眠いアピールをした。
「そんな眠いアピールしなくてももう帰るよ。じゃね。」
そう言ってエルドは帰っていった。
…。
エルドと恵が兄妹…。
普通なら別にどうでもいい話なのだが、なぜ隠す必要があるのだろうか?家庭に何か問題があるのだろうか。
考えれば考えるほど謎が浮かび上がってきて、そのうち俺は眠りについていた。
よっ!と馴れ馴れしく声をかけてきたのは第三地区の防衛部の隊長、柳生 千津瑠(ヤギュウ チズル)だ。こいつは唯一の女性隊長でほかの男性よりも、有能な人物である。さらに言うとこいつとは幼い時からの知り合いである。
「お前か、何してんだ。」
分かりきっていたことだがあえて聞いた。
「おいおい見りゃ分かるだろ。見回りだよ。それともなんだ話すことないからあえて聞いたって感じか?」
完全に見破られていた。俺は返す言葉も黙ってしまった。
「やれやれ、わかりやすくて呆れるよ。そうだ、明日あんた達の部隊も行くんだろ、お互い死なねえといいな。」
なんとなく丸く収められて少しイラッとした。
「おまえみたいな怪力女はドラゴンに襲われても死なねだろ。」
「はあ?なんだと。ドラゴンに殺される前にあたしがお前を殺してやろうか!」
柳生は指を鳴らしながら不気味に微笑ながら言った。
「遠慮…しとく。」
俺は一歩下がりながら言った。
「まあいいや、とりあえず明日頑張ろうな。」
そう言って柳生は去っていった。
それにしてもよく分からない女だ。女性は部隊の入団は禁止されてはいないが、ほとんどの女性は避難地区で生活している。なのにあいつは部隊に参加し、おまけに男どもを差し置いて隊長の座まで上がった。まあ、あいつにはそれだけの才能があるということだろう。
俺は自室に戻った。明日朝早い出発となるだろう。早めに寝とこ…。
俺は横になり眠りにつこうかと思った時、
「ドンドンドン!」
強く扉を叩く音が部屋中に響いた。
「クソッ誰だよこんな時間に、」
俺は起き上がり扉を開けた。しかしそこに居たのは想像もしかなった人物だった。
「よお!防衛部のひと。」
そこに居たのはあのドラゴンスレイヤーだった。
「お、お前、なぜここに…。」
あまりの予想以上の人物に驚きが隠せなかった。
「なぜって?んー、防衛部の人の明日の意気込みを聞きにきた。」
「はあ?意味がわからん。」
「という冗談は置いといて、」
「おい貴様、俺をからかっているのか?」
「メグミのことを話に来たんだよ。」
「メグミ?」
なぜ突然もう1人のドラゴンスレイヤーの名前が出てきたのか俺にはさっぱりだった。
「天野 恵。お前に続いてのもう1人の適合者それ以外に何かあると?」
「うん、あるよ。だけどこの話は誰にもしないで、お偉いさんにも言ってない話だから。」
「は?じゃあなぜおれにはなすんだ?」
「うーん、他とはちょっと違っていて面白そうやつだからかな。」
意味がわからない。完全にあいつの都合上の問題だと思った。
「理由になってねーよ。まあいいや。で、お前は天野 恵について何を知っているんだ?」
「僕とめぐみはね兄妹なんだよ。」
「は?何を言ってんだ。兄妹?お前らは同じ適合者ってだけで兄妹ではない…いや、それともそれが兄妹ということか?」
「違うよ。めぐみとは本当に血が繋がった兄妹なんだよ。」
「何?!だがなぜその事を隠しているのだ?別に知られたところで大きな変化はないと思うのだが…」
「そうだね、普通ならね…。」
「?」
普通なら、その言葉を発する時、なにか重いものを感じた。俺はこいつらのことをよく知らない。ドラゴンスレイヤーとだけあってそれ以外は何も知らない。そう言えばこいつ名前…なんて言うんだ?
「おい!お前、名前なんて言うんだ?」
俺が名前を聞くとそいつは驚いた顔をしたがすぐに笑顔になった。
「名前なんて久しぶりに聞かれたよ!ぼくはエルド。フェルマール・エルド。」
「天野じゃないのか?」
「そのこと隠してるのにその名前は使わないよ。だからこれは仮の名前。」
「ふーん。何だかな…。そこまで隠してるとその理由を聞きたいのだが、」
エルドは首を振った。
「ごめん、それは言えない。でも、僕がめぐみと兄妹ってことは隊長さんを信頼して話したんだからね。」
「ふん、どうだかな。その理由が言えないんじゃ、まだ全然なんだろ。」
「うーん、そうかもね。でも他の人よりは信頼してると思う。」
エルドはニコッと笑顔を見せた。
「はぁ…、分かったよ。明日朝早いんだ。もう話すことがないなら、俺は寝るぞ。」
俺はわざとあくびをして眠いアピールをした。
「そんな眠いアピールしなくてももう帰るよ。じゃね。」
そう言ってエルドは帰っていった。
…。
エルドと恵が兄妹…。
普通なら別にどうでもいい話なのだが、なぜ隠す必要があるのだろうか?家庭に何か問題があるのだろうか。
考えれば考えるほど謎が浮かび上がってきて、そのうち俺は眠りについていた。
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