ゲエムタワー

ゆう猫

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魔獣の下層

似合わない名前

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 個室は最初にここにいた場所、あの真っ暗な石造りの部屋らしい。
まさかそのまま真っ暗な状態じゃないだろうか…いや、せめて明かりぐらいはあるだろうと不安を感じながら恐る恐る扉を開けるとそこは広さ十畳ぐらいの部屋になっていた。

内装も充実しておりベット、テーブルと椅子、棚、タンス、机、おまけにカーペットまで敷いてある。
しっかりトイレとバスルームも付いており、ありがたいことに別々に分けられている。
正直ここまで充実してるとは思わなかった。
普通にここで暮らしていける。そう思えるくらいだった。
とりあえず部屋の中を調べているとタンスの中からポーションらしきものが3個ほど出てきた。
 「まあ、何かあると思ったよ」と1人でドヤ顔をして部屋を出ていった。


 部屋を出ると広場には人が少なくほとんどの人が塔のダンジョンへ行ったと思われる。
少し遅れを取っているがこっちは準備バッチリと万全な状態。さて行くか!と思った時、
 
「あの、すみません」と後ろから誰かに呼び止められた。
振り向くと本を読んでばっかだったメガネの男と見知らぬ男一人、女二人が立っていた。
四人か…。なにかするなら十分な人数だ。だが、ここではプレイヤーのキル、アイテムの盗みはルールで守られている。
表側では危険はない。表側ではな…。
とりあえず「なんだ」と返事をかえしてみる。
まあ何となく消去法で考えてこの場面で言ってくるものとすれば…パーティの勧誘。
 「もし良かったら、僕達と組みませんか?」
まあ、分かってた。
また予想が的中し可笑しくってフッと鼻で笑ってしまった。それをなぜ笑ったのか不思議そうに見られていて少し恥ずかしかったかもしれない。
だが、パーティの件に付いては悪くない話だ。複数で行けば戦闘不能率は確実に下がるはず。 それに色々と利用することも出来る…。
 「どうですか?」
メガネの男が俺に答えを急かしてくる。まあ、気にしないが。とりあえず結論は出た。
 「いいだろう。組もう。」
 「本当ですか!ありがとうございます!」
ペコリとメガネの男が頭を下げると、「簡単な自己紹介でもしましょう」と女性の方から声が上がった。

 「そうですね。人数も集まった事ですしお名前と簡単な自己紹介をお願いします。
あ、名前はリアルのものでなくてもニックネームとかでいいと思いますよ、ゲームの世界なんで。」
さっさと自己紹介すればいいものを細かな説明まで…無駄なご苦労な事だよ。だから真面目キャラは苦手なんだ。


 「じゃあまずは僕から。
えっと僕はトーポって呼んでください。」
まず最初に自己紹介したのは平均的な体格の背の高い男が名乗りでた。見た目的にも頼りがいがありそうだが、中身はしっかりしているか少し不安だ…。

 「次わたしね!わたしはヴィオラって呼んでね!みんなで賞金取るぞー!」
次に名乗り出たのはショートヘアのテンションが少し高すぎな女性。スタイルは悪くない。
 
「わ、わたしは…メルコです。よろしく。」
三つ編みを1本肩から下げ、地味めの基本装備である丸いメガネをしているが、あまりにも地味すぎてさっきの女性とは天と地のテンションの差に少々驚いたが、本当はこっちが普通…なんだよな。

メガネの男を最後に残し、次は俺が自己紹介する番らしい。しかしニックネームなんて考えてないし、そのまんまでいいかな。
いや、別にそう思ったのは考えるのがめんどくさいからではない、その方が呼ばれた時わかりやすいからだ。本当にめんどくさいからではない…。
 「俺はショウゴだ。よろしく。」


俺が終わると最後はメガネの男だ。
こいつは一体どんな名前を言ってくるだろうか。シンプルにメガネですとか言いそうだが、もっとインテリな名前を言ってくるかもしれない、などと頭の中でおちょくっていた。
「改めましてよろしくお願いします。皆さんとは塔の攻略まで仲良くやっていきたいと思います。」
こいつ焦らすな~、と1人で楽しんでいるがなかなかこういうのも面白い。
さあ!お前の名は、
 「あ、それで僕のニックネームは…」
ニックネームは…?
 「オーディンって呼んでください!」
…は?
一瞬、時が止まったかのように無の空間を味わった。
 「お、オーディン…ですか?」
聞き間違いではないかともう一度聞いてみる。
 「そうです、オーディンです!」
他のメンバーも反応に困っている。
それもそのはずだ。だってあの見た目でよくオーディンの名を名乗れるよと思った。
 「お、オーディンさんよろしく。」
 「オーディンさん。な、仲良くやって行きましよ」
 「よろしく…です。オーディン、さん。」
とりあえず無理やり合わせて行く雰囲気だ…

 「それじゃあ皆さんの名前も分かったことだしそろそろ冒険に出かけますか!」
なんとなく分かっていたがリーダー枠はオーディンらしい…。
オーディンが進むとそれに続いて他の3人が続いて行ったので俺もそのあとをついて行った。
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