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第7章
50.地上では変事が起きる
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「毒華神様は一度も嘘は仰せではなかったはずよ。御身を花の神と称したことも、真実ではあるの。毒花も花の一種なのだから。ただ、あなたたちが思っている花神ではなかったというだけ。あなたたちは神の言葉と外見に惑わされ、本質を見抜けなかった」
手厳しい言い方だと自分でも思うが、彼らは見習いを終えた時点で一人の神官となっている。年齢が幼いこと、経験年数が浅いことは、多少考慮はされたとしても免罪の理由にはならない。
「自分たちの心がどういう状態か、どのような神に好かれるか、客観的に見極められなかったのが間違いね。冷静に自身の姿を見ていれば、違和感くらいは感じられたかもしれないのに」
かつて、同じようなことを黇死皇秀峰がミリエーナに言っていた。秀峰もまた、フルードやアリステルと同類であり、別次元級の精神力を持っていたようだ。――ああそう言えば、ミリエーナは今頃どうしているだろうか。
そんなことを漠然と考えかけ、すぐに意識を切り替える。
「けれど、毒華神様はお慈悲を下さいました。生き餌の誓約を撤回し、あなたたちを解放して下さるそうです。こんな幸運は滅多にないわ。生き餌とはいえ、一度取り込んだ愛し子を手放して下さるなんて。ご温情に深く感謝しなさい。あなたたちには後ほど処罰を……」
『でもその子たち、まだやらかしちゃってるよ』
締めに入ろうとしていたアマーリエを、のほほんとした声が遮った。話中のイデナウアーだ。
「――え?」
『ボクの神器を使って聖威師を攻撃してたでしょ。その前に、神器をもらったことが嬉しかったみたいで、色々といじってたんだ。さっきも言った通り自己責任で下賜したから、ボクは関知しなかったけど』
「……色々、いじって……?」
嫌な予感がむくむくと湧き上がり、自然と声が低くなる。当事者たちを見ると、エアニーヌと慧音は目を小刻みに揺らして焦燥を露わにしていた。
『そう、好き勝手遊んでた。その時、神器から毒粉がポロポロ出て、窓から神域に舞って、何割かは次元の壁を通過して人世にまで落ちてたよ』
天界は全ての宇宙次元を見下ろす高みの領域にあるが、現在はアマーリエたちが暮らす地上世界と太く繋がっているという。神格持ちが滞留していることに加え、聖威師が帰天しているために臨時ゲートを作って両界を結んでいるからだ。
ゆえに、イデナウアーの神器から溢れた毒粉も、他の星や宇宙には飛ばず、アマーリエたちの生まれ故郷である世界に落ちていったそうだ。
『今は地上の……人間界の空を舞ってるところ。そろそろ影響が出始めるんじゃない? 悪神の神器から生まれた毒の花粉だから、良い効果はもたらさないだろうねぇ』
「「……なっ……」」
聖威師たちがそろって息を呑んだ時。
《一大事だ、主! 帝都と皇都を中心に、地上にある神器が一斉に不安定になっている! まだ狂ってはいないが、いつ暴走してもおかしくないそうだ!》
《皇帝家が管理している至高神の神器は無事ですが、他の物が危険だそうです。ミンディたちが奔走していますが、秘奥の神器を筆頭に高位の物への対処は荷が重いため、緊急援護要請を頼まれました。しかも、それだけではありません。地上を漂う魂が穢れて、一斉に悪霊化しています!》
ラモスとディモスから届いた悲鳴のような念話が、頭の中を突き抜けた。
《何ですって!?》
「た、大変よ皆!」
脳裏が真っ白になるような衝撃を覚えながら、アマーリエは肉声で聖威師たちに語りかけた。聖獣たちが伝えてくれた内容を復唱する。
「地上の神器が一斉に暴走しかかっていて、まだ転生していない魂も悪霊化しかけているそうよ。毒の花粉に当てられたんだわ。ミンディたちが頑張っているけれど対応し切れないって。ラモスとディモスが緊急念話で伝えてくれたわ!」
全員の纏う空気が豹変した。
手厳しい言い方だと自分でも思うが、彼らは見習いを終えた時点で一人の神官となっている。年齢が幼いこと、経験年数が浅いことは、多少考慮はされたとしても免罪の理由にはならない。
「自分たちの心がどういう状態か、どのような神に好かれるか、客観的に見極められなかったのが間違いね。冷静に自身の姿を見ていれば、違和感くらいは感じられたかもしれないのに」
かつて、同じようなことを黇死皇秀峰がミリエーナに言っていた。秀峰もまた、フルードやアリステルと同類であり、別次元級の精神力を持っていたようだ。――ああそう言えば、ミリエーナは今頃どうしているだろうか。
そんなことを漠然と考えかけ、すぐに意識を切り替える。
「けれど、毒華神様はお慈悲を下さいました。生き餌の誓約を撤回し、あなたたちを解放して下さるそうです。こんな幸運は滅多にないわ。生き餌とはいえ、一度取り込んだ愛し子を手放して下さるなんて。ご温情に深く感謝しなさい。あなたたちには後ほど処罰を……」
『でもその子たち、まだやらかしちゃってるよ』
締めに入ろうとしていたアマーリエを、のほほんとした声が遮った。話中のイデナウアーだ。
「――え?」
『ボクの神器を使って聖威師を攻撃してたでしょ。その前に、神器をもらったことが嬉しかったみたいで、色々といじってたんだ。さっきも言った通り自己責任で下賜したから、ボクは関知しなかったけど』
「……色々、いじって……?」
嫌な予感がむくむくと湧き上がり、自然と声が低くなる。当事者たちを見ると、エアニーヌと慧音は目を小刻みに揺らして焦燥を露わにしていた。
『そう、好き勝手遊んでた。その時、神器から毒粉がポロポロ出て、窓から神域に舞って、何割かは次元の壁を通過して人世にまで落ちてたよ』
天界は全ての宇宙次元を見下ろす高みの領域にあるが、現在はアマーリエたちが暮らす地上世界と太く繋がっているという。神格持ちが滞留していることに加え、聖威師が帰天しているために臨時ゲートを作って両界を結んでいるからだ。
ゆえに、イデナウアーの神器から溢れた毒粉も、他の星や宇宙には飛ばず、アマーリエたちの生まれ故郷である世界に落ちていったそうだ。
『今は地上の……人間界の空を舞ってるところ。そろそろ影響が出始めるんじゃない? 悪神の神器から生まれた毒の花粉だから、良い効果はもたらさないだろうねぇ』
「「……なっ……」」
聖威師たちがそろって息を呑んだ時。
《一大事だ、主! 帝都と皇都を中心に、地上にある神器が一斉に不安定になっている! まだ狂ってはいないが、いつ暴走してもおかしくないそうだ!》
《皇帝家が管理している至高神の神器は無事ですが、他の物が危険だそうです。ミンディたちが奔走していますが、秘奥の神器を筆頭に高位の物への対処は荷が重いため、緊急援護要請を頼まれました。しかも、それだけではありません。地上を漂う魂が穢れて、一斉に悪霊化しています!》
ラモスとディモスから届いた悲鳴のような念話が、頭の中を突き抜けた。
《何ですって!?》
「た、大変よ皆!」
脳裏が真っ白になるような衝撃を覚えながら、アマーリエは肉声で聖威師たちに語りかけた。聖獣たちが伝えてくれた内容を復唱する。
「地上の神器が一斉に暴走しかかっていて、まだ転生していない魂も悪霊化しかけているそうよ。毒の花粉に当てられたんだわ。ミンディたちが頑張っているけれど対応し切れないって。ラモスとディモスが緊急念話で伝えてくれたわ!」
全員の纏う空気が豹変した。
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