134 / 602
第2章
31.今も記憶に残る声
しおりを挟む
◆◆◆
「ふぅ……。疲れましたわ」
時刻は20の時より少し前。暗い空の斜め上に昇った月を見上げ、ひとりごちる。リハーサルを終えたリーリアは、その後も残務に追われた。それをどうにかこなし、今は足を引きずるようにして回廊を歩いていた。
「やはり演技場所が変わると、動きが微妙にズレますわ」
元の予定では、21の時まで照覧祭のリハーサルを行うことになっていたが、帝都入りの緊張と慣れない場所で神官たちに疲労が見られたことから、休養を優先して早く切り上げた。
「催し前日は本番と同じ大広間で試演できる予定ですから、それまでに神官たちの動作を修正しておかなくては……」
ぶつぶつ呟いていると、回廊に面した庭園から声が聞こえた。
(誰かいらっしゃいますの?)
夜番の神官だろうかと目を向けると、初老の男女が何やら話している。
「ちょっとアンタ、もう暗くなったってのに、勝手に出歩いて大丈夫なのかい」
「なぁに、構うモンか。ちょっとした夜歩きだよ、夜歩き。誰にも怒られたりしねえさ、何たって俺たちは聖威師様になったんだぞ」
ガハハと笑いながら、男が美しい庭園をのし歩く。不安そうにしていた女性も、それもそうかと納得したらしく、笑顔で男に続いた。
(今の言葉……この方々も聖威師になられたばかりなのでしょうか。アマーリエ様以降、新しい聖威師が誕生したという報は届いておりませんが)
じっと視てみるが、男女から聖威は感じない。だが、それはリーリアとオーブリーも同じだ。得た聖威は、今はまだ魂の奥に秘められており、認証で認められれば表出するのではないかというのが祖父たちの予想だ。
(このお二人も認証がまだなのですかしら? ……それにしても、何て品のない方々なの。草花がメチャクチャですわ)
散策用の小道はきちんと整備されているのに、花々の中を歩いている。庭園を踏み荒す男女を睨んでいると、向こうがこちらに気付いた。
「おやぁ? こんな所にいっとう綺麗な花が……お嬢さん、こんばんは。今夜は良い月だ」
ニタニタと笑いながら、男が近付いて来た。推測が正しければ、こいつは旦那で女性が妻だろう。
「……ご機嫌よう」
目をそらして答えると、男女はリーリアをジロジロと見た。
「帝都はベッピンな娘が多いなぁ。お嬢さん、俺は天下の聖威師様だ。俺の愛人になったら美味しい思いができるぞ」
リーリアの背にゾゾっと寒気が走った。
「謹んでお断りします」
「遠慮するな」
ガハガハと笑う夫の背を、妻が叩いた。小馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
「帝都の女なんか、見かけは綺麗だけど、甘やかされて育った箱入り娘じゃないか」
「だから良いんだ。キレイな人形になっていさえすれば、俺が可愛がってやる」
大口を開けて笑う二人の歯が黒ずんでいる。虫歯なのか手入れをしていないのか分からないが、見ている方は不愉快だった。
(このような方々を見初める神がいらっしゃるなど、信じられませんわ)
一歩足を引くと、神官衣の裾をつまんで美しい礼を取る。
「……私はこれにて失礼いたします」
「待てよお嬢さん。俺が泊まってるトコに来な、愉しませてやるよ」
「離して下さいまし」
(困りましたわ)
テスオラでこのような被害に遭った時は、霊威か体術で実力行使に出ていた。悪鬼邪霊や妖魔などとも対峙することがある神官は、護身術や武術の習得が必須だ。戦闘訓練も受ける。だが、ここは帝国だ。しかも照覧祭の直前である。
(宗主国で余計な揉め事を起こしたくありませんのに)
転移で逃げてしまおうかと思っていると、こちらに向かって伸ばされた男の手首が、横から鷲掴みにされた。
「汚い手でリーリアに触れるな」
「い、痛ぇっ!」
ドクン、と心臓が跳ねた。凪いだ水面に清らかな雫が一滴落ちたような、静かで優しい声。
何年も前に聞いてから、一日たりとも忘れることはない。
高鳴る鼓動をそのままに、恐る恐る顔を向けたリーリアは、予想外の姿に双眸を瞬かせた。
「あなたは……焔神様の御随従の方」
スラリとした長身に金髪碧眼の、美貌の青年。中央本府の神官と接見した際、首座の後ろに控えていた。だが、何故彼があの時の神と同じ声を持っているのか。自分の記憶違いだろうか。
「焔神!? 今降臨してるとかいう神か!?」
男が裏返った声を上げる。
「リーリアに近付くな」
「ちょ……イタタタ!」
青年に掴まれた手首がギシギシと不穏な音を立てている。再び発された静謐な美声を聞き、揺らぎかけていた自信が持ち直す。
(やはりあの時の神と同じ声ですわ)
リーリア、と優しく自分を呼んでくれた声を、違えるはずがない。例え何年の月日が経とうとも。何故なら、あれが自分の初恋だったのだから。
「……愚かな罪人どもが」
形良い唇からポツリを言葉が滑り出る。そして、男の手首を掴んでいるのとは逆の手で、庭園の先にある暗がりを指した。
「貴様らが行くのはあちらだ。脇の小道を進め。その身に相応しい舞台が待っている。……高位の神に選ばれた貴様らにな」
吐き捨てるように言い放ち、男の手を離す。赤く腫れた手首をさする男が、妻の女と共に喜色を浮かべた。
「おお、俺たちの素性をご存知でしたか。さすがは焔神の舎弟だ」
「無礼者、舎弟ではなく随従ですわ!」
思わず鋭い声を上げたリーリアを、青年は手を上げて黙らせた。
「早く行け」
こちらの声などまるで気にしていない女が、ウキウキと言う。
「良かったねアンタ、きっと主神様からのプレゼントだよ。アタシたちに相応しい舞台って何だろうねぇ」
「いっちょ行ってみるか。焔神の子分さんとやら、今度からはもうちょっと優しい力でお願いしますよ。何しろこっちは高位神の愛し子なんでね……へへへ」
手首をわざとらしくさすった男が、醜く唇を歪める。
「こ、子分……!」
(何という言い草ですの)
再び抗議しようとするリーリアだが、《何も言わなくて良い》という念話が脳裏に響いて口を閉じる。言うまでもなく、青年からの念話だ。視線を向けると、口を出すなとその眼差しが語っていた。
(このまま行かせろということですの?)
困惑している間に、夫婦はドスドスと小道を踏み歩き、庭園の奥へ歩き去って行った。
「ふぅ……。疲れましたわ」
時刻は20の時より少し前。暗い空の斜め上に昇った月を見上げ、ひとりごちる。リハーサルを終えたリーリアは、その後も残務に追われた。それをどうにかこなし、今は足を引きずるようにして回廊を歩いていた。
「やはり演技場所が変わると、動きが微妙にズレますわ」
元の予定では、21の時まで照覧祭のリハーサルを行うことになっていたが、帝都入りの緊張と慣れない場所で神官たちに疲労が見られたことから、休養を優先して早く切り上げた。
「催し前日は本番と同じ大広間で試演できる予定ですから、それまでに神官たちの動作を修正しておかなくては……」
ぶつぶつ呟いていると、回廊に面した庭園から声が聞こえた。
(誰かいらっしゃいますの?)
夜番の神官だろうかと目を向けると、初老の男女が何やら話している。
「ちょっとアンタ、もう暗くなったってのに、勝手に出歩いて大丈夫なのかい」
「なぁに、構うモンか。ちょっとした夜歩きだよ、夜歩き。誰にも怒られたりしねえさ、何たって俺たちは聖威師様になったんだぞ」
ガハハと笑いながら、男が美しい庭園をのし歩く。不安そうにしていた女性も、それもそうかと納得したらしく、笑顔で男に続いた。
(今の言葉……この方々も聖威師になられたばかりなのでしょうか。アマーリエ様以降、新しい聖威師が誕生したという報は届いておりませんが)
じっと視てみるが、男女から聖威は感じない。だが、それはリーリアとオーブリーも同じだ。得た聖威は、今はまだ魂の奥に秘められており、認証で認められれば表出するのではないかというのが祖父たちの予想だ。
(このお二人も認証がまだなのですかしら? ……それにしても、何て品のない方々なの。草花がメチャクチャですわ)
散策用の小道はきちんと整備されているのに、花々の中を歩いている。庭園を踏み荒す男女を睨んでいると、向こうがこちらに気付いた。
「おやぁ? こんな所にいっとう綺麗な花が……お嬢さん、こんばんは。今夜は良い月だ」
ニタニタと笑いながら、男が近付いて来た。推測が正しければ、こいつは旦那で女性が妻だろう。
「……ご機嫌よう」
目をそらして答えると、男女はリーリアをジロジロと見た。
「帝都はベッピンな娘が多いなぁ。お嬢さん、俺は天下の聖威師様だ。俺の愛人になったら美味しい思いができるぞ」
リーリアの背にゾゾっと寒気が走った。
「謹んでお断りします」
「遠慮するな」
ガハガハと笑う夫の背を、妻が叩いた。小馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
「帝都の女なんか、見かけは綺麗だけど、甘やかされて育った箱入り娘じゃないか」
「だから良いんだ。キレイな人形になっていさえすれば、俺が可愛がってやる」
大口を開けて笑う二人の歯が黒ずんでいる。虫歯なのか手入れをしていないのか分からないが、見ている方は不愉快だった。
(このような方々を見初める神がいらっしゃるなど、信じられませんわ)
一歩足を引くと、神官衣の裾をつまんで美しい礼を取る。
「……私はこれにて失礼いたします」
「待てよお嬢さん。俺が泊まってるトコに来な、愉しませてやるよ」
「離して下さいまし」
(困りましたわ)
テスオラでこのような被害に遭った時は、霊威か体術で実力行使に出ていた。悪鬼邪霊や妖魔などとも対峙することがある神官は、護身術や武術の習得が必須だ。戦闘訓練も受ける。だが、ここは帝国だ。しかも照覧祭の直前である。
(宗主国で余計な揉め事を起こしたくありませんのに)
転移で逃げてしまおうかと思っていると、こちらに向かって伸ばされた男の手首が、横から鷲掴みにされた。
「汚い手でリーリアに触れるな」
「い、痛ぇっ!」
ドクン、と心臓が跳ねた。凪いだ水面に清らかな雫が一滴落ちたような、静かで優しい声。
何年も前に聞いてから、一日たりとも忘れることはない。
高鳴る鼓動をそのままに、恐る恐る顔を向けたリーリアは、予想外の姿に双眸を瞬かせた。
「あなたは……焔神様の御随従の方」
スラリとした長身に金髪碧眼の、美貌の青年。中央本府の神官と接見した際、首座の後ろに控えていた。だが、何故彼があの時の神と同じ声を持っているのか。自分の記憶違いだろうか。
「焔神!? 今降臨してるとかいう神か!?」
男が裏返った声を上げる。
「リーリアに近付くな」
「ちょ……イタタタ!」
青年に掴まれた手首がギシギシと不穏な音を立てている。再び発された静謐な美声を聞き、揺らぎかけていた自信が持ち直す。
(やはりあの時の神と同じ声ですわ)
リーリア、と優しく自分を呼んでくれた声を、違えるはずがない。例え何年の月日が経とうとも。何故なら、あれが自分の初恋だったのだから。
「……愚かな罪人どもが」
形良い唇からポツリを言葉が滑り出る。そして、男の手首を掴んでいるのとは逆の手で、庭園の先にある暗がりを指した。
「貴様らが行くのはあちらだ。脇の小道を進め。その身に相応しい舞台が待っている。……高位の神に選ばれた貴様らにな」
吐き捨てるように言い放ち、男の手を離す。赤く腫れた手首をさする男が、妻の女と共に喜色を浮かべた。
「おお、俺たちの素性をご存知でしたか。さすがは焔神の舎弟だ」
「無礼者、舎弟ではなく随従ですわ!」
思わず鋭い声を上げたリーリアを、青年は手を上げて黙らせた。
「早く行け」
こちらの声などまるで気にしていない女が、ウキウキと言う。
「良かったねアンタ、きっと主神様からのプレゼントだよ。アタシたちに相応しい舞台って何だろうねぇ」
「いっちょ行ってみるか。焔神の子分さんとやら、今度からはもうちょっと優しい力でお願いしますよ。何しろこっちは高位神の愛し子なんでね……へへへ」
手首をわざとらしくさすった男が、醜く唇を歪める。
「こ、子分……!」
(何という言い草ですの)
再び抗議しようとするリーリアだが、《何も言わなくて良い》という念話が脳裏に響いて口を閉じる。言うまでもなく、青年からの念話だ。視線を向けると、口を出すなとその眼差しが語っていた。
(このまま行かせろということですの?)
困惑している間に、夫婦はドスドスと小道を踏み歩き、庭園の奥へ歩き去って行った。
13
あなたにおすすめの小説
結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?
ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十周年。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
君といるのは疲れると言われたので、婚約者を追いかけるのはやめてみました
水谷繭
恋愛
メイベル・ホワイトは目立たない平凡な少女で、美人な姉といつも比べられてきた。
求婚者の殺到する姉とは反対に、全く縁談のなかったメイベル。
そんなある日、ブラッドという美少年が婚約を持ちかけてくる。姉より自分を選んでくれたブラッドに感謝したメイベルは、彼のために何でもしようとひたすら努力する。
しかしそんな態度を重いと告げられ、君といると疲れると言われてしまう。
ショックを受けたメイベルは、ブラッドばかりの生活を改め、好きだった魔法に打ち込むために魔術院に入ることを決意するが……
◆なろうにも掲載しています
『外見しか見なかったあなたへ。私はもう、選ぶ側です』
鷹 綾
恋愛
「お前のようなガキは嫌いだ」
幼く見える容姿を理由に、婚約者ライオネルから一方的に婚約を破棄された
公爵令嬢シルフィーネ・エルフィンベルク。
その夜、嫉妬に狂った伯爵令嬢に突き落とされ、
彼女は一年もの間、意識不明の重体に陥る――。
目を覚ました彼女は、大人びた美貌を手に入れていた。
だが、中身は何ひとつ変わっていない。
にもかかわらず、
かつて彼女を「幼すぎる」と切り捨てた元婚約者は態度を一変させ、
「やり直したい」とすり寄ってくる。
「見かけが変わっても、中身は同じです。
それでもあなたは、私の外見しか見ていなかったのですね?」
静かにそう告げ、シルフィーネは過去を見限る。
やがて彼女に興味を示したのは、
隣国ノルディアの王太子エドワルド。
彼が見ていたのは、美貌ではなく――
対話し、考え、異論を述べる彼女の“在り方”だった。
これは、
外見で価値を決められた令嬢が、
「選ばれる人生」をやめ、
自分の意思で未来を選び直す物語。
静かなざまぁと、
対等な関係から始まる大人の恋。
そして――
自分の人生を、自分の言葉で生きるための物語。
---
最初からここに私の居場所はなかった
kana
恋愛
死なないために媚びても駄目だった。
死なないために努力しても認められなかった。
死なないためにどんなに辛くても笑顔でいても無駄だった。
死なないために何をされても怒らなかったのに⋯⋯
だったら⋯⋯もう誰にも媚びる必要も、気を使う必要もないでしょう?
だから虚しい希望は捨てて生きるための準備を始めた。
二度目は、自分らしく生きると決めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
いつも稚拙な小説を読んでいただきありがとうございます。
私ごとですが、この度レジーナブックス様より『後悔している言われても⋯⋯ねえ?今さらですよ?』が1月31日頃に書籍化されることになりました~
これも読んでくださった皆様のおかげです。m(_ _)m
これからも皆様に楽しんでいただける作品をお届けできるように頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします(>人<;)
ローザリンデの第二の人生
梨丸
恋愛
伯爵令嬢、ローザリンデの夫はいつも彼女より仕事を優先させ、彼女を無碍にしている。
彼には今はもういない想い人がいた。
私と結婚したことにいい思いをしていないことは知っていた。
けれど、私の命が懸かっていた時でさえも、彼の精神は変わらなかった。
あなたが愛してくれないのなら、私は勝手に幸せになります。
吹っ切れたローザリンデは自分自身の幸せのために動くことにした。
※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)
1/10 HOTランキング2位、ありがとうございます。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる