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第2章
55.パパさんと呼ぶ神は
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◆◆◆
「パパ、さん……?」
アマーリエは胡乱に繰り返す。
(それはフロース様がフルード様を呼ぶ時の言い方だわ。どうしてラモスとディモスを案内した神が同じ呼び方をするの?)
そこでハタと思い出す。
(いえ、待って。そもそもフロース様は、どうしてフルード様をパパさんと呼んでいるのだったかしら)
確かもう一柱、そう呼んでいる神がいたはずだ。フロースはその呼び方を真似るようになったと言っていた――だが、思考を遮るようにフレイムの声が響く。
「やっぱそうか。6年前も怒ってたもんな。泡神様が必死に宥めてたが」
『オーブリーはあの子の制裁対象、ということですな』
狼神が巨体を揺らして笑う。そして話し出した。6年前、テスオラ王国の御山洗の儀でオーブリーがやらかしたこと。加えて、今回の照覧祭前の失態。
(それは大失敗だわ……)
「ラモスとディモスがオーブリーの報を聞いても冷静だったのは、神の手の内だと分かっていたからですか。……だが、計画は他言無用と念押しされていても、ユフィーが一時的とはいえ倒れるほど心労がかかっている姿を見れば、耐え切れず白状しそうですが」
『それはこの子たち自身たちも自覚しておりました。なので、私の力で少々心の動きを鈍らせました。主への想いに乱れぬよう、精神にストッパーをかけたのです』
「なるほど、だから落ち着いてたんですか」
『この聖獣たちは誠にアマーリエへの忠義が深い。何卒オーブリーに重い罰をと、私に対して臆せず直訴して来たのです。中々に興味深い体験でした。いや、起きているのも面白いものです』
(……起きているのもって、どういう意味?)
意味深な発言に、アマーリエは疑問符を帯びた目を向ける。それに気付き、狼神が補足してくれた。
『神々の中には、日々に飽いたなど様々な理由により、自身の領域で長い眠りに入った者もいる。例えば、そうさな……時空神様もそうであった。たまたま一時的に覚醒し、少しだけ地上を視た際にライナスを発見し、見初めたのだ』
それ以来、すっかり目が冴えて愛し子を溺愛しているという。
『太古の神々は、既に入眠しておる者たちも多い。天珠の栽培に熱を上げている運命神様、世話好きな煉神様と葬邪神様などは起きているが』
と、タイミング良くアリステルがやって来た。邪霊との話が終わったらしい。狼神に向け、流れるような動作で礼を取った。
「狼神様にご挨拶申し上げます」
『楽にするが良い。息災にしておったか』
「神々の篤きご加護をもちまして」
優しく応じる狼神に恭しく答え、姿勢を戻すとフレイムへと視線を向ける。
「邪霊たちから事情が聞き出せました。葬邪神様の神器が関わっていたことから、まずは彼の神に念話でお伝えしておりましたため、遅くなりましたことをお詫び申し上げます」
「葬邪神様と連絡が付いたのか。ラミルファが念話した時は出なかったようだが」
「今はもう話せます。あちらの状況も少しお聞かせいただけましたが、骸邪神様及びフルードと共にいらっしゃるとのことです」
「ああ、じゃあアイツらも葬邪神様からこっちと同じことを聞かされてんな。……で、邪霊側の事情っていうのは?」
「はい、実は……」
アリステルが語るゲイルに関しての内容を聞き、アマーリエは込み上がる脱力感をこらえた。
「娯楽本の世界が現実に侵食して来たわ……」
現在流行中の展開をそのまま模写したような真相である。そっと邪霊たちを見ると、二体そろって小さくなっている。身の置き所がないといった風情だ。
「パパ、さん……?」
アマーリエは胡乱に繰り返す。
(それはフロース様がフルード様を呼ぶ時の言い方だわ。どうしてラモスとディモスを案内した神が同じ呼び方をするの?)
そこでハタと思い出す。
(いえ、待って。そもそもフロース様は、どうしてフルード様をパパさんと呼んでいるのだったかしら)
確かもう一柱、そう呼んでいる神がいたはずだ。フロースはその呼び方を真似るようになったと言っていた――だが、思考を遮るようにフレイムの声が響く。
「やっぱそうか。6年前も怒ってたもんな。泡神様が必死に宥めてたが」
『オーブリーはあの子の制裁対象、ということですな』
狼神が巨体を揺らして笑う。そして話し出した。6年前、テスオラ王国の御山洗の儀でオーブリーがやらかしたこと。加えて、今回の照覧祭前の失態。
(それは大失敗だわ……)
「ラモスとディモスがオーブリーの報を聞いても冷静だったのは、神の手の内だと分かっていたからですか。……だが、計画は他言無用と念押しされていても、ユフィーが一時的とはいえ倒れるほど心労がかかっている姿を見れば、耐え切れず白状しそうですが」
『それはこの子たち自身たちも自覚しておりました。なので、私の力で少々心の動きを鈍らせました。主への想いに乱れぬよう、精神にストッパーをかけたのです』
「なるほど、だから落ち着いてたんですか」
『この聖獣たちは誠にアマーリエへの忠義が深い。何卒オーブリーに重い罰をと、私に対して臆せず直訴して来たのです。中々に興味深い体験でした。いや、起きているのも面白いものです』
(……起きているのもって、どういう意味?)
意味深な発言に、アマーリエは疑問符を帯びた目を向ける。それに気付き、狼神が補足してくれた。
『神々の中には、日々に飽いたなど様々な理由により、自身の領域で長い眠りに入った者もいる。例えば、そうさな……時空神様もそうであった。たまたま一時的に覚醒し、少しだけ地上を視た際にライナスを発見し、見初めたのだ』
それ以来、すっかり目が冴えて愛し子を溺愛しているという。
『太古の神々は、既に入眠しておる者たちも多い。天珠の栽培に熱を上げている運命神様、世話好きな煉神様と葬邪神様などは起きているが』
と、タイミング良くアリステルがやって来た。邪霊との話が終わったらしい。狼神に向け、流れるような動作で礼を取った。
「狼神様にご挨拶申し上げます」
『楽にするが良い。息災にしておったか』
「神々の篤きご加護をもちまして」
優しく応じる狼神に恭しく答え、姿勢を戻すとフレイムへと視線を向ける。
「邪霊たちから事情が聞き出せました。葬邪神様の神器が関わっていたことから、まずは彼の神に念話でお伝えしておりましたため、遅くなりましたことをお詫び申し上げます」
「葬邪神様と連絡が付いたのか。ラミルファが念話した時は出なかったようだが」
「今はもう話せます。あちらの状況も少しお聞かせいただけましたが、骸邪神様及びフルードと共にいらっしゃるとのことです」
「ああ、じゃあアイツらも葬邪神様からこっちと同じことを聞かされてんな。……で、邪霊側の事情っていうのは?」
「はい、実は……」
アリステルが語るゲイルに関しての内容を聞き、アマーリエは込み上がる脱力感をこらえた。
「娯楽本の世界が現実に侵食して来たわ……」
現在流行中の展開をそのまま模写したような真相である。そっと邪霊たちを見ると、二体そろって小さくなっている。身の置き所がないといった風情だ。
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