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第2章
86.紅日皇后は食欲旺盛
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紅日皇后日香の使役であり、彼女と意識を同調させることもできる桃色の小鳥がパタパタ飛んでいる。扉も窓も閉め切ったこの部屋に、どうやって入って来たのだろうか。転移を使ったのかもしれない。
『いつもの巡回がてら来ちゃった。アマーリエちゃん、この前はお疲れ様~。私は泊りがけの仕事でいなかったんだけどさ、燃えたんだって? 神官府』
ちょっと鍋が焦げちゃったんだって? くらいのノリで言う皇后。
『あー大丈夫大丈夫。吹っ飛んだ神官府を復活させるのは新米聖威師の登竜門だから。誰もが通る道だよ。そこから先が本番なのよ~』
嫌な登竜門すぎる。
『ティルお義兄様……あ、クレイス帝のことね……が、大笑いで話してくれたよ。神官府が消し飛ぶのはよくあることだけど、今回はそりゃもう華麗に爆発して、復元の仕方もド派手だったって。見たかったなぁ』
「お、大笑いされておられたのですか……」
『ティルお義兄様は笑い上戸なんだよ。二色の光の柱がギュイーンて天に噴き上がって、その中からジャンジャカジャーンみたいに神官府が復活したから、帝城から視てたラウお義兄様が目を点にしてたってさ。あ、ラウお義兄様ってのはオルディス帝ね」
その言葉で記憶が蘇る。オルディス帝――神官府の庭で出会った皇帝だ。黇死皇秀峰の双子の兄で、彼への伝言を届けてくれた。
『光の柱のうち一色は紅葉色だったから、アマーリエちゃんが復元したんだろうって言ってた。うーん、そんな派手にブチ直すなんて、さすが焔神の愛し子』
のほほんとした口調で、桃色の小鳥は翼をはためかせて笑った。その声音が、不意に変わる。
『……フルード君とアマーリエちゃんがいれば、神々が覚醒する時の反動にも持ち堪えられるかもしれないね』
「入眠中の神々が起きられるというあれですか?」
『そうそう。眠り神の中には至高神もいるから、私たちはそっちの相手で手一杯なの』
小鳥が羽を動かし、器用にカリカリと頭をかいた。
『しかも天威師って、行動にめちゃくちゃ制約が多くてね。今回邪神がやったみたいに、皇宮と帝城にあらかじめ力を浸透させておくとかができなくてさ。絶妙にアシストしてくれた邪神にはホント感謝だよ~』
下界に微塵の愛着もないラミルファがここまで親切にサポートしたのは、フルードを始めとする聖威師たちが必死で地上を維持しようとしているからだ。
『邪神は敵に回したら終わりだけど、味方に付いてくれたら最強だから。アマーリエちゃんのことも助けてくれるよ、きっと』
明るい調子で述べた皇后は、そのまま話題を変えた。
『それより、焔神のケーキ私も食べたいなぁ。絶対美味しいよ』
「フレイムは料理が大得意ですからね。裁縫も上手いですし、手先が器用なんだと思います」
『うんうん、私のお義父様並みの腕前だと思う。……生来の荒神は超絶器用ってジンクスでもあるのかなぁ』
後半は聞き取れないくらいに小さな呟きだった。
『ね、どんなケーキを作ってくれるんだろう?』
「皇后様の分も用意して、皇宮に転送しましょうか?」
『え、ほんと!? やったー! アマーリエちゃんやっさしい~!』
小鳥が超絶ダンスを展開して歓喜している。本気で嬉しそうだ。
「フロマージュのチーズケーキがよろしいですか?」
『あっごめん、あれはノリで言っただけだから、アマーリエちゃんの好きなケーキを作ってもらって。私はクリームでもチョコでもタルトでも何でもイケるよ~。食べ物は何でも好き!』
「パイ系はどうでしょう? アップルパイ、レモンパイ、ベリーパイ……」
小鳥の嘴がジュルッと鳴る。
『わぁ、涎が出て来た……食べる食べる!』
それからしばらく、皇后ともスイーツ談義で盛り上がるアマーリエだった。
『いつもの巡回がてら来ちゃった。アマーリエちゃん、この前はお疲れ様~。私は泊りがけの仕事でいなかったんだけどさ、燃えたんだって? 神官府』
ちょっと鍋が焦げちゃったんだって? くらいのノリで言う皇后。
『あー大丈夫大丈夫。吹っ飛んだ神官府を復活させるのは新米聖威師の登竜門だから。誰もが通る道だよ。そこから先が本番なのよ~』
嫌な登竜門すぎる。
『ティルお義兄様……あ、クレイス帝のことね……が、大笑いで話してくれたよ。神官府が消し飛ぶのはよくあることだけど、今回はそりゃもう華麗に爆発して、復元の仕方もド派手だったって。見たかったなぁ』
「お、大笑いされておられたのですか……」
『ティルお義兄様は笑い上戸なんだよ。二色の光の柱がギュイーンて天に噴き上がって、その中からジャンジャカジャーンみたいに神官府が復活したから、帝城から視てたラウお義兄様が目を点にしてたってさ。あ、ラウお義兄様ってのはオルディス帝ね」
その言葉で記憶が蘇る。オルディス帝――神官府の庭で出会った皇帝だ。黇死皇秀峰の双子の兄で、彼への伝言を届けてくれた。
『光の柱のうち一色は紅葉色だったから、アマーリエちゃんが復元したんだろうって言ってた。うーん、そんな派手にブチ直すなんて、さすが焔神の愛し子』
のほほんとした口調で、桃色の小鳥は翼をはためかせて笑った。その声音が、不意に変わる。
『……フルード君とアマーリエちゃんがいれば、神々が覚醒する時の反動にも持ち堪えられるかもしれないね』
「入眠中の神々が起きられるというあれですか?」
『そうそう。眠り神の中には至高神もいるから、私たちはそっちの相手で手一杯なの』
小鳥が羽を動かし、器用にカリカリと頭をかいた。
『しかも天威師って、行動にめちゃくちゃ制約が多くてね。今回邪神がやったみたいに、皇宮と帝城にあらかじめ力を浸透させておくとかができなくてさ。絶妙にアシストしてくれた邪神にはホント感謝だよ~』
下界に微塵の愛着もないラミルファがここまで親切にサポートしたのは、フルードを始めとする聖威師たちが必死で地上を維持しようとしているからだ。
『邪神は敵に回したら終わりだけど、味方に付いてくれたら最強だから。アマーリエちゃんのことも助けてくれるよ、きっと』
明るい調子で述べた皇后は、そのまま話題を変えた。
『それより、焔神のケーキ私も食べたいなぁ。絶対美味しいよ』
「フレイムは料理が大得意ですからね。裁縫も上手いですし、手先が器用なんだと思います」
『うんうん、私のお義父様並みの腕前だと思う。……生来の荒神は超絶器用ってジンクスでもあるのかなぁ』
後半は聞き取れないくらいに小さな呟きだった。
『ね、どんなケーキを作ってくれるんだろう?』
「皇后様の分も用意して、皇宮に転送しましょうか?」
『え、ほんと!? やったー! アマーリエちゃんやっさしい~!』
小鳥が超絶ダンスを展開して歓喜している。本気で嬉しそうだ。
「フロマージュのチーズケーキがよろしいですか?」
『あっごめん、あれはノリで言っただけだから、アマーリエちゃんの好きなケーキを作ってもらって。私はクリームでもチョコでもタルトでも何でもイケるよ~。食べ物は何でも好き!』
「パイ系はどうでしょう? アップルパイ、レモンパイ、ベリーパイ……」
小鳥の嘴がジュルッと鳴る。
『わぁ、涎が出て来た……食べる食べる!』
それからしばらく、皇后ともスイーツ談義で盛り上がるアマーリエだった。
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