63 / 101
番外編 -焔神フレイムとフルード編-
優しいだけでは㉔
しおりを挟む
「当真、何をしているんだ!」
険しい顔をした当波と、金髪碧眼の美しい男性が現れる。
「ラ、ライナス大神官!」
冷たい美貌を持つ男性を見て、フルードは声を上げた。彼は帝国神官府の大神官、ライナス・イステンド。アシュトンの父でもある。
「あの、面談室だった塔が爆発して……」
フルードの言葉に、男性――ライナスが塔を見上げる。気付けば塔の炎は嘘のように消え、破られた窓も元に戻っていた。完全に復元している。最新の防衛機能を持つ南の塔に組み込まれた、自動修復霊具が発動したのだ。
「君との面談はこの塔で行う予定ではなかった。ここは自動修復もあって便利だから、アシュトンが個人的に立ち回ったのだろう。遮断結界もあの子が張ったのか? 全く、勝手なことをして……」
眉を寄せた呟きが大気に溶ける。
「私たちがやる。子どもは下がっていなさい」
「父上、待っ……」
当波が言い、当真を強制転移させた。抵抗するように声を上げかけた当真だが、霞のようにかき消える。
当真を抑えていたフレイムが、空いた手を下ろして当波とライナスを見た。
「おい、どういうことか説明しろ」
それに被せるように、狼神がフルードを抱えたまま後方に跳んだ。その残像を貫くように弾丸が飛来する。着地した狼神は、間髪入れずさらに後方に離脱する。
直後、飛び退いた場所の地面から鋭い突起状の聖威が突き上がった。半瞬でも退避が遅れて入れば串刺しになっていただろう。
「残念、外しましたか」
「確実に心臓を刺し貫こうと思ったのですが」
抑揚のない声と共に、聖威を銃の形に発現させた佳良と、神妙な顔をしたオーネリアが現れる。
「…………」
色々な意味で凍り付いているフルードをちらと見遣り、フレイムが佳良とオーネリアに言う。
「連続で攻撃することもできたはずだ。それをしなかったってことは話し合いの余地があると思っていいのか?」
佳良が眉を寄せた。
「単発に留めたのはあなた方がいたからです。何なのですかあなた方は。フルード神官をこちらに渡しなさい」
フルードが狼神にしがみつき、フレイムに向かって必死で首を横に振った。それを見て安心させるように頷いたフレイムが、ビシッと聖威師たちを指差す。
「いや、渡したら殺すだろお前ら! いい大人が9歳のガキを寄ってたかって仕留めようとする方が何なのですかだよ! いいから訳を話せ、お前らを傷付ける気はねえから」
フルードも勇気を振り絞ってかすれ声を上げた。
「そ、そうですよ説明して下さい。僕が全然神官として上達しないからですか? 何をやらせても駄目だからですか? 何度教えても上手くできないからですか? 僕が……」
「違う、君は何も悪くない! 私たちの力が及ばなかっただけだ」
強い口調で言った当波が拳を握る。
「君のせいではない。君はよく頑張っている、私たちは誰も見限ってなどいない。……だが、もう……」
苦渋を孕んだ目で言葉を絞り出そうとするのを遮り、ライナスが一歩前に出た。
「自分が殺される理由を説明されたところで納得するのか? 何を言っても説明ではなく言い訳にしかならない」
聖威師たちとて、最初から問答無用で息の根を止めようと考えていたわけではない。フルードが納得するかは別として、きちんと理由を話すべきだと思っていた。
しかし――仮に説明した場合はどうなるか聖威を用いて試算したところ、かなりの確率でフルードの心が砕けるという予測が出た。自分が弱いせいで、聖威師たちに最後の最後まで特大の迷惑をかけてしまったと。両親や貴族の虐待拷問を受け続けてすら自身を保ち続けた驚異の魂は、しかし、このような形でのダメージに対しては脆い。しかも、生まれてからまともに肯定されて来なかったため、自己肯定感がマイナスをも振り切るほどに低い。
それらを踏まえ、聖威師たちは悩みに悩んだ末、本人には仔細を言わず強制的に昇天させ、先に神にしてしまった方がいいと考えた。神格を解放すれば精神も神のそれになる。そうなれば、その後に事情を知らされても砕けることなく耐えられるからだ。
フルードの主神である狼神には事前に説明しておこうと思ったが、三日前の儀式が終わってから幾度か連絡を取ろうとしても繋がらない。
狼神は狼神で、フレイムと今後の打ち合わせがあるのと、天界にて悪神からある発表が行われ騒ぎになったことで手を取られているためだ。だが、聖威師たちはその事実を知らない。天の神とはすぐに連絡が付かないこともあるので、タイミングが悪いとしか思わなかった。
そして、その結果――いきなりフルードの命を断とうとする現在の状況が発生していた。
理不尽で不条理な話であるが、聖威師たちの方も必死だ。下手に心が砕けてしまえば、神として悠久に在り続けるフルードは、これから続く永劫の時を屍同然で過ごし続けることになりかねない。それだけは回避しようとしている。
「君は私たちを怒っていい。永遠に恨んでいい」
「そんなことしません」
覚悟の表情を受かべて言ったライナスに、フルードは間髪入れずに返した。
「あなたたちは僕に優しくして下さいました。とても親切にして下さいました。今までずっと冷たくて暗い世界にいた僕に、温かさと光をくれました。そんなあなたたちを怒ったり恨んだりなんかしません。嫌いになったりもしません。僕は皆さんのことがずっと大好きです。例え皆さんに嫌われたとしても……」
自分を殺そうとする者を迷わず許し、これからも変わらず慕うと断言する。場に沈黙が落ちた。ライナスの怜悧な美貌が崩れ、打って変わって包み込むような優しさを帯びた眼差しが微笑む。
「私たちが君を嫌うはすがない。私たちも君のことがとても大事だ。――だが、そうか……うん、やはり君はここで死ぬべきだ」
「何でそうなるんだよ!」
フレイムがズコッとこける。
当波の手に閃光が走り、聖威の稲妻が宿った。
「一瞬で終わらせるから目を閉じておいで。大丈夫、痛みを感じる間もないよ。次に目を開けたらもう天界にいるからね、何も怖くないよ」
怖さしか感じない台詞を吐き捨てる当波に、フルードはひぃと身を竦めた。
(ほ、本気で……殺される!)
そして、フレイムと狼神を見る。
「た……助けて下さい!」
例え正体を明かされていなくとも、魂の無意識の部分は彼らが誰であるかを察し、全幅の信頼を寄せていた。
「あなたたちなら聖威師に勝てるでしょう!?」
目の前にいるのが本当にただの清掃員であったら、無茶振りもいいところである。
「大丈夫、必ず守りますよ」
「おぅ任しとけ!」
だが、二人とも高位神なのであっさり快諾した。
「清掃業者に当ててはいけませんよ!」
「分かっております。万一フルード君以外に当たっても無害なようにしています」
念押しする佳良に頷いた当波が稲妻を振りかぶり、正確にフルードに向けて投げ放った。音速よりも早い攻撃。片腕でフルードを抱えた狼神がかわすが、稲妻は軌道を変えながら宙で分裂し、幾つもの雷撃に変じて一斉にフルードを襲う。
狼神が空いている片腕をかざして対応しようとする。だが、それよりも早くフレイムがフルードの前に滑り込み、雷撃をまとめて手刀でなぎ払い、叩き落とした。
「清掃員、どけ!」
神官衣の腰に下げていた剣の柄に手をかけたライナスが、フレイムと狼神に向かって鋭く告げる。
神威による強力な目眩しのせいで、全員がフレイムと狼神を普通の清掃員だと強固に信じ込んでいる。音速の攻撃をあっさり避けたり聖威を素手で叩き落とす清掃員などいるはずがないが、その理屈も認識できないようにされているためだ。
「あーもう話し合いにならねえな! いったん離れましょう!」
フレイムが狼神と頷き合い、タンと地を蹴った。遮断結界を力ずくでぶち破って脱出する。
「待て――」
聖威師たちが追撃しようとした時。外部との窓口担当の神官から緊迫した念話が入った。
《緊急通信です! オルハ王国にある高位神の神器が妖魔に奪取され、取り込まれたとのこと! 専用の神器で対処を試みたものの手に負えず、やむを得ず帝都の神官府に妖魔ごと緊急転送すると連絡がありました! 転送先は時計塔の付近に設定するそうです。聖威師の方々、どうか迎撃のご準備を!》
険しい顔をした当波と、金髪碧眼の美しい男性が現れる。
「ラ、ライナス大神官!」
冷たい美貌を持つ男性を見て、フルードは声を上げた。彼は帝国神官府の大神官、ライナス・イステンド。アシュトンの父でもある。
「あの、面談室だった塔が爆発して……」
フルードの言葉に、男性――ライナスが塔を見上げる。気付けば塔の炎は嘘のように消え、破られた窓も元に戻っていた。完全に復元している。最新の防衛機能を持つ南の塔に組み込まれた、自動修復霊具が発動したのだ。
「君との面談はこの塔で行う予定ではなかった。ここは自動修復もあって便利だから、アシュトンが個人的に立ち回ったのだろう。遮断結界もあの子が張ったのか? 全く、勝手なことをして……」
眉を寄せた呟きが大気に溶ける。
「私たちがやる。子どもは下がっていなさい」
「父上、待っ……」
当波が言い、当真を強制転移させた。抵抗するように声を上げかけた当真だが、霞のようにかき消える。
当真を抑えていたフレイムが、空いた手を下ろして当波とライナスを見た。
「おい、どういうことか説明しろ」
それに被せるように、狼神がフルードを抱えたまま後方に跳んだ。その残像を貫くように弾丸が飛来する。着地した狼神は、間髪入れずさらに後方に離脱する。
直後、飛び退いた場所の地面から鋭い突起状の聖威が突き上がった。半瞬でも退避が遅れて入れば串刺しになっていただろう。
「残念、外しましたか」
「確実に心臓を刺し貫こうと思ったのですが」
抑揚のない声と共に、聖威を銃の形に発現させた佳良と、神妙な顔をしたオーネリアが現れる。
「…………」
色々な意味で凍り付いているフルードをちらと見遣り、フレイムが佳良とオーネリアに言う。
「連続で攻撃することもできたはずだ。それをしなかったってことは話し合いの余地があると思っていいのか?」
佳良が眉を寄せた。
「単発に留めたのはあなた方がいたからです。何なのですかあなた方は。フルード神官をこちらに渡しなさい」
フルードが狼神にしがみつき、フレイムに向かって必死で首を横に振った。それを見て安心させるように頷いたフレイムが、ビシッと聖威師たちを指差す。
「いや、渡したら殺すだろお前ら! いい大人が9歳のガキを寄ってたかって仕留めようとする方が何なのですかだよ! いいから訳を話せ、お前らを傷付ける気はねえから」
フルードも勇気を振り絞ってかすれ声を上げた。
「そ、そうですよ説明して下さい。僕が全然神官として上達しないからですか? 何をやらせても駄目だからですか? 何度教えても上手くできないからですか? 僕が……」
「違う、君は何も悪くない! 私たちの力が及ばなかっただけだ」
強い口調で言った当波が拳を握る。
「君のせいではない。君はよく頑張っている、私たちは誰も見限ってなどいない。……だが、もう……」
苦渋を孕んだ目で言葉を絞り出そうとするのを遮り、ライナスが一歩前に出た。
「自分が殺される理由を説明されたところで納得するのか? 何を言っても説明ではなく言い訳にしかならない」
聖威師たちとて、最初から問答無用で息の根を止めようと考えていたわけではない。フルードが納得するかは別として、きちんと理由を話すべきだと思っていた。
しかし――仮に説明した場合はどうなるか聖威を用いて試算したところ、かなりの確率でフルードの心が砕けるという予測が出た。自分が弱いせいで、聖威師たちに最後の最後まで特大の迷惑をかけてしまったと。両親や貴族の虐待拷問を受け続けてすら自身を保ち続けた驚異の魂は、しかし、このような形でのダメージに対しては脆い。しかも、生まれてからまともに肯定されて来なかったため、自己肯定感がマイナスをも振り切るほどに低い。
それらを踏まえ、聖威師たちは悩みに悩んだ末、本人には仔細を言わず強制的に昇天させ、先に神にしてしまった方がいいと考えた。神格を解放すれば精神も神のそれになる。そうなれば、その後に事情を知らされても砕けることなく耐えられるからだ。
フルードの主神である狼神には事前に説明しておこうと思ったが、三日前の儀式が終わってから幾度か連絡を取ろうとしても繋がらない。
狼神は狼神で、フレイムと今後の打ち合わせがあるのと、天界にて悪神からある発表が行われ騒ぎになったことで手を取られているためだ。だが、聖威師たちはその事実を知らない。天の神とはすぐに連絡が付かないこともあるので、タイミングが悪いとしか思わなかった。
そして、その結果――いきなりフルードの命を断とうとする現在の状況が発生していた。
理不尽で不条理な話であるが、聖威師たちの方も必死だ。下手に心が砕けてしまえば、神として悠久に在り続けるフルードは、これから続く永劫の時を屍同然で過ごし続けることになりかねない。それだけは回避しようとしている。
「君は私たちを怒っていい。永遠に恨んでいい」
「そんなことしません」
覚悟の表情を受かべて言ったライナスに、フルードは間髪入れずに返した。
「あなたたちは僕に優しくして下さいました。とても親切にして下さいました。今までずっと冷たくて暗い世界にいた僕に、温かさと光をくれました。そんなあなたたちを怒ったり恨んだりなんかしません。嫌いになったりもしません。僕は皆さんのことがずっと大好きです。例え皆さんに嫌われたとしても……」
自分を殺そうとする者を迷わず許し、これからも変わらず慕うと断言する。場に沈黙が落ちた。ライナスの怜悧な美貌が崩れ、打って変わって包み込むような優しさを帯びた眼差しが微笑む。
「私たちが君を嫌うはすがない。私たちも君のことがとても大事だ。――だが、そうか……うん、やはり君はここで死ぬべきだ」
「何でそうなるんだよ!」
フレイムがズコッとこける。
当波の手に閃光が走り、聖威の稲妻が宿った。
「一瞬で終わらせるから目を閉じておいで。大丈夫、痛みを感じる間もないよ。次に目を開けたらもう天界にいるからね、何も怖くないよ」
怖さしか感じない台詞を吐き捨てる当波に、フルードはひぃと身を竦めた。
(ほ、本気で……殺される!)
そして、フレイムと狼神を見る。
「た……助けて下さい!」
例え正体を明かされていなくとも、魂の無意識の部分は彼らが誰であるかを察し、全幅の信頼を寄せていた。
「あなたたちなら聖威師に勝てるでしょう!?」
目の前にいるのが本当にただの清掃員であったら、無茶振りもいいところである。
「大丈夫、必ず守りますよ」
「おぅ任しとけ!」
だが、二人とも高位神なのであっさり快諾した。
「清掃業者に当ててはいけませんよ!」
「分かっております。万一フルード君以外に当たっても無害なようにしています」
念押しする佳良に頷いた当波が稲妻を振りかぶり、正確にフルードに向けて投げ放った。音速よりも早い攻撃。片腕でフルードを抱えた狼神がかわすが、稲妻は軌道を変えながら宙で分裂し、幾つもの雷撃に変じて一斉にフルードを襲う。
狼神が空いている片腕をかざして対応しようとする。だが、それよりも早くフレイムがフルードの前に滑り込み、雷撃をまとめて手刀でなぎ払い、叩き落とした。
「清掃員、どけ!」
神官衣の腰に下げていた剣の柄に手をかけたライナスが、フレイムと狼神に向かって鋭く告げる。
神威による強力な目眩しのせいで、全員がフレイムと狼神を普通の清掃員だと強固に信じ込んでいる。音速の攻撃をあっさり避けたり聖威を素手で叩き落とす清掃員などいるはずがないが、その理屈も認識できないようにされているためだ。
「あーもう話し合いにならねえな! いったん離れましょう!」
フレイムが狼神と頷き合い、タンと地を蹴った。遮断結界を力ずくでぶち破って脱出する。
「待て――」
聖威師たちが追撃しようとした時。外部との窓口担当の神官から緊迫した念話が入った。
《緊急通信です! オルハ王国にある高位神の神器が妖魔に奪取され、取り込まれたとのこと! 専用の神器で対処を試みたものの手に負えず、やむを得ず帝都の神官府に妖魔ごと緊急転送すると連絡がありました! 転送先は時計塔の付近に設定するそうです。聖威師の方々、どうか迎撃のご準備を!》
1
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる