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第2章 闇との対面
第二十七話 ミアの選択
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「……で、どうすんだ?」
テオがアルシアに問いかける。
アルシアは片膝を抱えて考え込んでいる。
そしてポツリと言葉を漏らす。
「一応期限は一週間あるし……」
テオはアルシアの言葉を聞き、腕を組んだ。
「まぁ、それだけありゃあ魔物が戻ってくるかもしれねぇけどよ」
テオも思ってもなかった事態に悩んでいる様子だ。
ここで私が妙案でも思いつけばいいのだが、冒険者の経験など無い私にそんなものが思いつくはずもない。
ここは二人に任せるしかないか……。
そう思っていると、アルシアがふと何かに気付いたように顔を起こした。
「…………」
彼女は黙ってジッとしている。
一体どうしたのだろう?
その時――テオが後ろを振り返った。
私は気になってテオが振り向いた方を見る。
すると、真っ暗な闇の遠くに小さな明かりがポツポツと灯っていた。
あれは――松明?
だんだんと近づいてくる。
誰かいるのだろうか。
するとアルシアがテオに視線を送った。
「……ねぇ」
テオはアルシアの呼び掛けに振り向かず、そのまま松明の明かりを睨みつける。
「どうすんだ? あれは恐らく……」
テオがそこまで言いかけると、アルシアが途中で遮る。
「あれを報告したら良いんじゃない?」
そう言うとアルシアは、手に持っていた干し肉をがぶりとかじり、落ち着いた様子で食べ始めた。するとテオも「そうするか」と言ってモグモグ食べ始めた。
ちょっとちょっと。
私には意味がわからないのですけど。
「あの、どうしたんですか」
するとテオが干し肉を頬張りながら言ってきた。
「オメェも早く食え。野盗が来るぞ」
「え!」
こんな所に!?
私が状況を飲み込む間もなく、テオは早く食えと手を振ってきた。
なので私は急いで手元の干し肉を口へ放り込む。
そうしている間にも松明の明かりが近くまでやって来ていた。
暗闇に松明が五つ灯り、松明の明かりで体つきがぼんやりと照らされているのがわかった。 それは粗雑な布の服を身にまとった男たちで、片手に手斧や棍棒といった簡素な武器を持っているのがうっすらと見える。
傍目で野盗とわかる装いだ。
私は、だんだんと自分の顔が強張っていくのがわかった。
野盗と遭遇した事は、ロードリックと一緒に旅をしていた時に何度もある。
彼らは弱い人たちから奪うことしか考えていない。
その為には殺しもいとわない。
だから……ロードリックは自衛のために、彼らを殺していた。
自衛のために……だ。
好んで殺しをしていたわけではない。
そして今、私たちの前に彼らが現れた。
となると……。
アルシアの方を見ると、彼女は食べ終えてじっと松明の明かりを見つめていた。
テオも同じく見つめている。
アルシアの顔からは表情が消え、テオの顔つきは険しいものになっていた。
二人とも雰囲気がガラリと変わっている。
魔物と出会ったかのように、険しい雰囲気。
私は息を呑む。
松明の明かりと共に、彼らがすぐそこまでやって来る。
その時――アルシアが言った。
「ミア、聖なる光」
「えっ……あっはい!」
私は突然言われて焦りつつも、右手を上へ掲げて魔力を込めた。
「聖なる光!」
右手の先から眩い光が放たれる。
その光で辺り一面が明るく照らされ、「うおっ!」という野盗の声と共に野盗たち五人の姿がすぐそばであらわになる。
次の瞬間――アルシアが野盗の一人に掌底を打ち付けた!
掌底を食らった男は仰け反って倒れ込み、その間にテオが他の野盗たちへ殴りかかる。
そしてアルシアも続けさまに殴りかかっていった。
――不意を突かれた野盗たちは抵抗する間もなく制圧され、アルシアが野盗の一人が持っていた縄を見つけて全員を拘束した。
本当に一瞬の出来事だった。
私は何もできず、ただ見守ることしか出来なかった。
そして、私が呆気にとられていると、テオが拘束された野盗を見ながら言った。
「五人か……どうする?」
それを聞いたアルシアは腕を組んだ。
「そうねぇ……」
彼女は何か考えているようだ。
二人はこの拘束した野盗たちを一体どうするつもりなのだろうか。
私はてっきり殺してしまうのかと思ったのだけれど、何の躊躇もせずに殴って制圧だけをした。
私としては殺生をしないのは大変喜ばしいことなのだけれど、意外に思った。
二人に色々と聞きたいことはあるけれど、取りあえず思ったことを言ってみようか。
「……殺さないんですね」
するとテオがアルシアを見て言った。
「アルシアが嫌がるからな」
アルシアはその言葉を聞くと、私へ顔を向けてきた。
「私たちは冒険者であって殺人者じゃない。殺しなんて……するもんじゃないわ。こんな奴らでもね」
そう言って彼女は野盗たちへチラリと視線を向けた。
アルシアは永く生きてきて多くのことを見て、経験してきたんだ。
だからこそ、人を殺すという事がどういう事なのか、深く理解しているのだろう……。
「優しいんですね」
「……殺して欲しかった?」
「いえ――」
私は否定をすると、拘束されている野盗たちへと視線を向けた。
ある者はアルシアとテオへ敵意の視線を送り、ある者はふてくされたようにうつむき、ある者は逃げ出す隙をうかがうように視線をチラチラ周りへめぐらす。
反省の色は全く見られないな……。
私は彼らの元へと歩み寄っていく。
すると、野盗たちの注目が私へ集中した。
途端に彼らはビクッとした表情を見せ、震え出した。
小さな声で、教団の奴が居たのか、終わりだ、何をされるんだ、と呟いているのが聞こえてくる。
完全に怯えている。
彼らの表情には、絶望にも似た感情が浮かび上がっていた。
私は彼らの目の前まで来ると、一人一人の姿を確認するように眺めた。
そして、そのままアルシアとテオに尋ねた。
「――彼らをどうするんですか?」
すると、テオが答えた。
「こいつらを魔物として領主の所へ連れて行く」
「魔物……ですか?」
どういうこと?
彼らは人間じゃ……。
「依頼内容は魔物の討伐ですよね?」
「そうだ。だが対象が魔物である必要はねぇ」
テオの言葉を聞き、私は二人へ振り返る。
言っている意味が分からない。
すると、アルシアが野盗たちへ冷たい瞳を突き刺していた。
まるでゴミや虫けらを見る目。
とても人へ向ける目ではない。
そしてアルシアは虫けらを見るような目を向けながら、言い放った。
「世間の人たちにしてみたら、こういう奴らは人じゃないのよ。野盗みたいな不法者は魔物と同じ、人とみなされない」
「…………」
人が人扱いをされない。
衝撃的な事実に、私は何と答えたら良いのか分からなかった。
確かに彼らは殺生をするのを一切躊躇しない最低の人たちだ。
けれど、人扱いをされないからこそ、そこまで落ちぶれてしまったのではないかとも思う。
そこへテオが私へ声をかけてくる。
「同情する必要はねぇぜ。俺も孤児で盗っ人みてぇなことをしてたから人間扱いされねぇ辛さはわかるが……だからといって無闇に殺しなんざしなかったぜ」
彼は私の気持ちを察したのだろう。
気付かない間に浮かない顔をしていたみたいだ。
テオは自身の身の上を明かした上で、同情するなと諭したいんだ。
彼の言う事は正しいと思う。
いかなる理由があろうとも殺生を行ってはならない。
けれど……。
私は縛られている野盗の一人の前へしゃがみ込んだ。
そして私は、目の前の男の瞳をジッと見つめる。
彼の頬には殴られた跡があり、アザが浮き出ている。
表情は強張っている。
すると彼はサッと顔をそむけた。
だが私はそれを構うことはせず、そのまま見つめて問いかける。
「貴方は、今まで何人の人を殺しましたか?」
男は顔をそむけたまま答えた。
「……殺してねぇ」
その返事は本当ですか?
私は続けて問いかける。
「女神様に誓えますか?」
すると男は私の方へ顔をバッと向けて叫んだ。
「誓う! 誓うぜ!」
必死に乞うように叫ぶ男。
すると他の男たちも堰を切ったように、俺もだ、誓って殺しはしてねぇ、と私へ訴えかける。
まるで命乞いだ。
私には助かりたくて嘘を言っているように思える。
「……嘘では無いですね?」
「もちろんだ!」
男は懸命に訴える。
他の男たちも、本当だ、信じてくれ、と口々に訴えている。
その言葉が本当ならば、大きな罪にはならないだろう。
教会には誓盟の真理があるので、裁判でそれを使わせるという手もある。
だが、彼らが人扱いされないのならば裁判も行われずに処断されるのだろう。
さて、どうするか……。
「……テオさん、アルシアさん、どう思います?」
するとテオはサラッと答える。
「嘘に決まってんだろ」
そしてアルシアも冷徹に話す。
「人を殺さないなら斧とか棍棒とか持ってないと思うけど?」
……まあ、そうでしょうね。
二人の言葉を聞いた野盗たちは、余計なことを言うな、黙れビッチが、などと喚き立てている。
それが何よりの証左……かな。
私は続けて二人へ尋ねる。
「彼らは今後どうなりますか?」
するとテオが答える。
「ま、死罪だろうな」
「……そうですか」
想定通りの返答だ。
ルクナ教においても、贖罪は犯した罪と同じ程度で行わなければならないと教義で定められている。
つまり、人を殺したのならば命をもって償う……。
……ただ、私は思った。
罪と向き合う機会は与えてやっても良いのではないか、と。
私は考えをまとめると、目の前の男の頬へ右手を触れた。
それを見たアルシアが問いかけてきた。
「アンタ、何するつもり?」
彼女はこれから私が何をするのか察したのだろう。
だがこれが、私の教義だ。
「治癒」
テオがアルシアに問いかける。
アルシアは片膝を抱えて考え込んでいる。
そしてポツリと言葉を漏らす。
「一応期限は一週間あるし……」
テオはアルシアの言葉を聞き、腕を組んだ。
「まぁ、それだけありゃあ魔物が戻ってくるかもしれねぇけどよ」
テオも思ってもなかった事態に悩んでいる様子だ。
ここで私が妙案でも思いつけばいいのだが、冒険者の経験など無い私にそんなものが思いつくはずもない。
ここは二人に任せるしかないか……。
そう思っていると、アルシアがふと何かに気付いたように顔を起こした。
「…………」
彼女は黙ってジッとしている。
一体どうしたのだろう?
その時――テオが後ろを振り返った。
私は気になってテオが振り向いた方を見る。
すると、真っ暗な闇の遠くに小さな明かりがポツポツと灯っていた。
あれは――松明?
だんだんと近づいてくる。
誰かいるのだろうか。
するとアルシアがテオに視線を送った。
「……ねぇ」
テオはアルシアの呼び掛けに振り向かず、そのまま松明の明かりを睨みつける。
「どうすんだ? あれは恐らく……」
テオがそこまで言いかけると、アルシアが途中で遮る。
「あれを報告したら良いんじゃない?」
そう言うとアルシアは、手に持っていた干し肉をがぶりとかじり、落ち着いた様子で食べ始めた。するとテオも「そうするか」と言ってモグモグ食べ始めた。
ちょっとちょっと。
私には意味がわからないのですけど。
「あの、どうしたんですか」
するとテオが干し肉を頬張りながら言ってきた。
「オメェも早く食え。野盗が来るぞ」
「え!」
こんな所に!?
私が状況を飲み込む間もなく、テオは早く食えと手を振ってきた。
なので私は急いで手元の干し肉を口へ放り込む。
そうしている間にも松明の明かりが近くまでやって来ていた。
暗闇に松明が五つ灯り、松明の明かりで体つきがぼんやりと照らされているのがわかった。 それは粗雑な布の服を身にまとった男たちで、片手に手斧や棍棒といった簡素な武器を持っているのがうっすらと見える。
傍目で野盗とわかる装いだ。
私は、だんだんと自分の顔が強張っていくのがわかった。
野盗と遭遇した事は、ロードリックと一緒に旅をしていた時に何度もある。
彼らは弱い人たちから奪うことしか考えていない。
その為には殺しもいとわない。
だから……ロードリックは自衛のために、彼らを殺していた。
自衛のために……だ。
好んで殺しをしていたわけではない。
そして今、私たちの前に彼らが現れた。
となると……。
アルシアの方を見ると、彼女は食べ終えてじっと松明の明かりを見つめていた。
テオも同じく見つめている。
アルシアの顔からは表情が消え、テオの顔つきは険しいものになっていた。
二人とも雰囲気がガラリと変わっている。
魔物と出会ったかのように、険しい雰囲気。
私は息を呑む。
松明の明かりと共に、彼らがすぐそこまでやって来る。
その時――アルシアが言った。
「ミア、聖なる光」
「えっ……あっはい!」
私は突然言われて焦りつつも、右手を上へ掲げて魔力を込めた。
「聖なる光!」
右手の先から眩い光が放たれる。
その光で辺り一面が明るく照らされ、「うおっ!」という野盗の声と共に野盗たち五人の姿がすぐそばであらわになる。
次の瞬間――アルシアが野盗の一人に掌底を打ち付けた!
掌底を食らった男は仰け反って倒れ込み、その間にテオが他の野盗たちへ殴りかかる。
そしてアルシアも続けさまに殴りかかっていった。
――不意を突かれた野盗たちは抵抗する間もなく制圧され、アルシアが野盗の一人が持っていた縄を見つけて全員を拘束した。
本当に一瞬の出来事だった。
私は何もできず、ただ見守ることしか出来なかった。
そして、私が呆気にとられていると、テオが拘束された野盗を見ながら言った。
「五人か……どうする?」
それを聞いたアルシアは腕を組んだ。
「そうねぇ……」
彼女は何か考えているようだ。
二人はこの拘束した野盗たちを一体どうするつもりなのだろうか。
私はてっきり殺してしまうのかと思ったのだけれど、何の躊躇もせずに殴って制圧だけをした。
私としては殺生をしないのは大変喜ばしいことなのだけれど、意外に思った。
二人に色々と聞きたいことはあるけれど、取りあえず思ったことを言ってみようか。
「……殺さないんですね」
するとテオがアルシアを見て言った。
「アルシアが嫌がるからな」
アルシアはその言葉を聞くと、私へ顔を向けてきた。
「私たちは冒険者であって殺人者じゃない。殺しなんて……するもんじゃないわ。こんな奴らでもね」
そう言って彼女は野盗たちへチラリと視線を向けた。
アルシアは永く生きてきて多くのことを見て、経験してきたんだ。
だからこそ、人を殺すという事がどういう事なのか、深く理解しているのだろう……。
「優しいんですね」
「……殺して欲しかった?」
「いえ――」
私は否定をすると、拘束されている野盗たちへと視線を向けた。
ある者はアルシアとテオへ敵意の視線を送り、ある者はふてくされたようにうつむき、ある者は逃げ出す隙をうかがうように視線をチラチラ周りへめぐらす。
反省の色は全く見られないな……。
私は彼らの元へと歩み寄っていく。
すると、野盗たちの注目が私へ集中した。
途端に彼らはビクッとした表情を見せ、震え出した。
小さな声で、教団の奴が居たのか、終わりだ、何をされるんだ、と呟いているのが聞こえてくる。
完全に怯えている。
彼らの表情には、絶望にも似た感情が浮かび上がっていた。
私は彼らの目の前まで来ると、一人一人の姿を確認するように眺めた。
そして、そのままアルシアとテオに尋ねた。
「――彼らをどうするんですか?」
すると、テオが答えた。
「こいつらを魔物として領主の所へ連れて行く」
「魔物……ですか?」
どういうこと?
彼らは人間じゃ……。
「依頼内容は魔物の討伐ですよね?」
「そうだ。だが対象が魔物である必要はねぇ」
テオの言葉を聞き、私は二人へ振り返る。
言っている意味が分からない。
すると、アルシアが野盗たちへ冷たい瞳を突き刺していた。
まるでゴミや虫けらを見る目。
とても人へ向ける目ではない。
そしてアルシアは虫けらを見るような目を向けながら、言い放った。
「世間の人たちにしてみたら、こういう奴らは人じゃないのよ。野盗みたいな不法者は魔物と同じ、人とみなされない」
「…………」
人が人扱いをされない。
衝撃的な事実に、私は何と答えたら良いのか分からなかった。
確かに彼らは殺生をするのを一切躊躇しない最低の人たちだ。
けれど、人扱いをされないからこそ、そこまで落ちぶれてしまったのではないかとも思う。
そこへテオが私へ声をかけてくる。
「同情する必要はねぇぜ。俺も孤児で盗っ人みてぇなことをしてたから人間扱いされねぇ辛さはわかるが……だからといって無闇に殺しなんざしなかったぜ」
彼は私の気持ちを察したのだろう。
気付かない間に浮かない顔をしていたみたいだ。
テオは自身の身の上を明かした上で、同情するなと諭したいんだ。
彼の言う事は正しいと思う。
いかなる理由があろうとも殺生を行ってはならない。
けれど……。
私は縛られている野盗の一人の前へしゃがみ込んだ。
そして私は、目の前の男の瞳をジッと見つめる。
彼の頬には殴られた跡があり、アザが浮き出ている。
表情は強張っている。
すると彼はサッと顔をそむけた。
だが私はそれを構うことはせず、そのまま見つめて問いかける。
「貴方は、今まで何人の人を殺しましたか?」
男は顔をそむけたまま答えた。
「……殺してねぇ」
その返事は本当ですか?
私は続けて問いかける。
「女神様に誓えますか?」
すると男は私の方へ顔をバッと向けて叫んだ。
「誓う! 誓うぜ!」
必死に乞うように叫ぶ男。
すると他の男たちも堰を切ったように、俺もだ、誓って殺しはしてねぇ、と私へ訴えかける。
まるで命乞いだ。
私には助かりたくて嘘を言っているように思える。
「……嘘では無いですね?」
「もちろんだ!」
男は懸命に訴える。
他の男たちも、本当だ、信じてくれ、と口々に訴えている。
その言葉が本当ならば、大きな罪にはならないだろう。
教会には誓盟の真理があるので、裁判でそれを使わせるという手もある。
だが、彼らが人扱いされないのならば裁判も行われずに処断されるのだろう。
さて、どうするか……。
「……テオさん、アルシアさん、どう思います?」
するとテオはサラッと答える。
「嘘に決まってんだろ」
そしてアルシアも冷徹に話す。
「人を殺さないなら斧とか棍棒とか持ってないと思うけど?」
……まあ、そうでしょうね。
二人の言葉を聞いた野盗たちは、余計なことを言うな、黙れビッチが、などと喚き立てている。
それが何よりの証左……かな。
私は続けて二人へ尋ねる。
「彼らは今後どうなりますか?」
するとテオが答える。
「ま、死罪だろうな」
「……そうですか」
想定通りの返答だ。
ルクナ教においても、贖罪は犯した罪と同じ程度で行わなければならないと教義で定められている。
つまり、人を殺したのならば命をもって償う……。
……ただ、私は思った。
罪と向き合う機会は与えてやっても良いのではないか、と。
私は考えをまとめると、目の前の男の頬へ右手を触れた。
それを見たアルシアが問いかけてきた。
「アンタ、何するつもり?」
彼女はこれから私が何をするのか察したのだろう。
だがこれが、私の教義だ。
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