不定期∶どこかの【世界】の話

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とある子の話

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遭遇
2021年06月23日
(. ❛ ᴗ ❛.)ちまちま
+

 浮遊感、ふわふわと漂う感覚……

 ふと、眼を開けてみれば薄黄色の雲の中、上へと続く長い階段と共に、白い服を着た人達が列を作って歩いていた。

(此処は、何処なんだろう)

 ここは何処、ワタシは誰。そんな言葉を思い出しながら俺はこの場に来る前の事を思い出そうとしたが、頭には浮かんでこず。

 ただ、ぼーぜんと立ち尽くすわけにもいかず俺はその列へ並ぶ。こんだけ人が居るんだ、この先に進めばどうしたら良いか分かるだろう。

 長く続く階段と、長く続く人の列。進みは遅い。暇を持て余した俺は風景を見ていた。うす黄色い雲の中には色とりどりの花々が咲いている。空には小鳥が、いや……鳥なんだろうか。何かが羽ばたいてるのが見えた。
 風景を見るのも飽きた。後ろから話し声が聞こえた。内容からして知り合いなのだろう。

「おや、貴方もまた帰ってこられたんですね」
「おお、どうでしたか前世は。確か、猫でしたか」
「そうです、勝手気ままないい人生でした。貴方は?」
「私は、戦争ばっかりしている国の孤児でしたよ」
「あらま。」
「でもなんだかんだで、生き延びて結構な歳まで生きられた。まあ、またあんな人生はゴメンですけどね」
「そうですよね。」
「そういえば、もうひとりの方はまだ来てないみたいですね」
「ええ、確かエルフに転生が決まった時には大喜びしてましたね」
「長寿ですし、またいつ会えるのやら」
「そうだね」


 会話の内容で、ここがあの世っていう場所なのが分かった。そっか、ここが。
 俺はなんで死んだんだろう。寿命、病気、事故……いや。考えても仕方ないか。

 ふと、歩きながら風景を見ていたら遠くの方で人影が見えた。
 俺が、最初に分からなかったように他の人もそうなんだろうか。
 人影は、ツカツカと俺の方へ歩いてくる。

『へぇ。キミ俺の事見えてるんだ』

 喋ってるはずなのに、口から声が出てない。
 黒髪黒目服装も上から下まで真っ黒の人物。

『ああ、口に出さなくても良いよ。出したところでキミが独り言をしてる様に見えるだけだよ』
(あの、貴方は……)
『あー。僕の名前はクロくんでいいよ』

 "クロくん"と名乗った少年。
 俺も名前を、と思ったけど自分の名前が思い出せなかった。

『ま。ここに居る人達はそんなもんだよ。覚えてる人も中には居るけどそんなのこの輪廻で言えば一瞬の出来事だからね。』

 輪廻……魂は生まれ変わる。虫、動物、人間、魔物。様々でその都度、記憶はリセットされる。この場へ来ると思い出すことはあるとか。
 じゃ、なんで俺は思い出せないのか。

『生まれたての魂か、はたまた魂の故障か。どっちにしろ大した問題じゃないよ。』

 クロくんはそう言うけど……


(えーっと。何)

 クロくんは俺の方をジッと見るから、何かあるのかと。

『んー。キミ中々面白いね。そうだ! いい事考えた♪』
(嫌な予感しかしない……)

 彼の話を聞くと内容がよく分からないが、最近彼らの"世界"が崩壊したらしく、クロくん達は仲間内で会議を行ったらしい。

 今までの"世界"を復旧させるか、それともイチから新しく再構築を始めるか。

 世界を復旧させるには、記憶係すらそれは困難だと言い。一度は諦めたものの、未練を残す者たちがそれを元に模倣世界を作ったそうだ。
 しかし、作ったとしてそれは偽物ではないかと言われ困難。

『まあ、こっちにも色々あってね』
(何故、その世界は崩壊してしまったんだろう)
『ある人物が関係しててね。俺達も予想外だったよ。』
(人物……その人はどうなってるんですか)
『やけに食いつくじゃないか。まあ、今はまだ猶予があるけど地獄に連れて行くことが決まってね。まあ、その役目は俺じゃないから知らないけど』

(地獄……か。)

『所で、キミさ。俺と来なよ。』
(へ?)

 いきなりそう言われても。彼がいうには人手が足りないらしく、これが俗に言うスカウトってやつなんだろうか。

『ま、僕に対して拒否権はないし連れて行くね。』
(え、ちょ、うわぁ!)




「あれ、目の前に並んでた子供居なくない?」
「いつの間に。」
「迷子になった? でも、並ぶだけだしな。」
「探す? でもまた並びなおすのは面倒くさいな」
「まあ、良いだろ。でもあの歳でこの列に並んでたんだもんな」
「……そうだね。世の中には酷い事もあるもんだよ。」
「だよ、なぁ。」
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