不定期∶王道無糖

加速・D・歩

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本編

41 あの日の夢3

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 ここの施設自体物凄く広いらしく移動する私達は周りが見えない馬車に乗せられる。前に施設内を移動した時もこういう馬車に乗ったとき『他の場所は機密が多いのでコレで移動するんですよ』と言われてた。

 何処に移動するのだろうか、と数十人の同僚と話しながらガタゴトと揺れる。




『着いたぞ、降りろ』

 馬車を降りると空は見えなくて薄暗い場所だった。不安になってみんな各々の顔を見渡す。
 御者をしてた人に案内をされて付いていくと、いきなり明るい場所に出たわ。
 彼が言うにはここは“成れの果て”という場所らしい。聞いてもよく分からなかった。何十メートルも下には居住区があって住んでる人が遠目に見える。

 あたしたちが連れてこられた理由は様々らしいけど、改めて呼ばれるらしいから町に降りろと専用のリフトに乗せられ降ろされた。

 上を見るともうさっきの彼は見えなくなって遠くから馬車の音が遠ざかる。あたし達はただボーゼンと立ち尽くしてると遠くからここの“住人”が近づいて来てたわ。


『ねぇ……あれ何……?』
『え、魔物……?』
『あれって──、──……?』

 ヒト、なのか近づいてくると分かる。普通のヒトではない事が。ニンゲンっぽいけど顔の半分が魔物? や手足がヒトではない。獣人とは全く違うワカラナイモノ達……そして────




 中には見知った顔が居た。それはお世話係をしてたら知ってる顔達。

 
 アァ……ヤラ、セ……
 モッ……クッ……ッマザ──

 人の言葉を発せられないのか途切れ途切れになってる。1番近くに居た同僚に彼らは襲いかかった。いい服では無いけどビリビリと破かれ、襲われる。溢れかえったヒト達から逃げようと物陰に逃げるけどひとり、ひとり襲われ白い液体塗れになってしまった。

 あたしは運動神経がよかったから彼らが来ない建物の屋根に移動したけど何がなんだか分からなくて、見送った筈の子供達は成長はしてて30~50代ぐらいにはなってたけど……でもいったい……と思ってるとピーと音がなって上から色んなものが振ってくる。それは食べ物だったり、武器だったり、物資のようだった。

 食べ物に群がるヒトの隙に襲われた同僚を見に行くと、臍下辺りに見たことがない紋が浮かんでてそれが発光すると同時にお腹が膨らんだと思ったら中身が出てきた──それを同僚は愛おしそうに母乳を与え育てようとしてる。声をかけようとするとブツブツと何か言ってる。それは他の襲われた同僚も同じで──


『マ、ザーノ為……産ミ、ソダテ……』
『モッド、産マナイ……ト』

 目は虚ろで産んで出たそれを身体を揺らしながらあやす。食べ物に夢中になってるヒト達が帰ってくる前にまた屋根に隠れる。逃げるのに無我夢中だったせいかお腹は空かなくて……見てたら──

 また獣のようにまぐわって、即出産してるのが見えた。人間の赤子出はない緑色のグチャグチャとした楕円形のモノ、それと他のものが言ってたマザーとは……


 また今度は大量の物資が届いて、隙を見て食べ物と念の為の弓矢を手に入れた。直接当てなくても気を引いたり出来ると思ったから。
 その時──でっかいスライムが落ちてきて皆が産んだソレだけを回収して戻っていく。
 他のゴブリンの様な者達が次にやってきて同僚を柔らかくなってる壁にはめ込む。顔、胸、下半身だけが出てるよく分からないけど、下には動く道が設置されてた。

 ゴブリンが帰ったあと壁を触っても硬いだけで同僚の身体は引っ張り出せなかった。また様子をみてるとヒト達がやってきて、それを出産したものが産み落とされ動く道に運ばれて行ってた。

 あたしはあんな状態になりたくなくて何度か逃げてたけど、緊張状態が続いたのと、……町の探索をしてたら別のエリアで売り物をしてるヒトが居たの。建物伝いに移動して何を売ってるのかと、……見なきゃ良かったわと思った。


 肉が部位事に売られてて、その光景に吐いた。知ってる顔もあって涙が出てくる……こんな再会をしたかったんじゃない。それから何日か後気絶したら捕まってた。
 あたしのお腹が膨らんでて──……




『あー、この子良さそうだね。この子も実験に使おう』
『じゃあ外しますね』
『あと、これまだそんなに産んでないね。まぁあっちの実験と合同で試すのに実験体は何人も居てもいいからね。あ、あと孤児院行って数人実験の方に回してよ』
『良いんですか? まだ十分に育てられてないですよ?』
『ま、なんとかなるしょ!じゃ運んでこうー!』

 


 目を開けるとあの場所じゃない所に居た。お腹はへこんでいて、マザーという言葉を発することも無かった。もしかしたら、悪い夢でも見てたんじゃないか……ってそう思ってたけど──現実はそんなに甘くなかった。


『おはよう諸君!』
『ゼレス様、声が大きいですよ、響きます』

 ゼレスと呼ばれる人と、そのお付みたいな人それ以外は老若男女全裸で立たせられてる。あたしも頭がグワングワンして、恥ずかしいとか考えられなくてただ棒立ちになって話を聞く。

『あ、僕はね【バッタール】って国の王子なんだ! だから歯向かわないでね!』
『で、君達を呼んだのはここの研究者達の実験体になってもらいたいんだ! 実験が成功すれば僕の国でも雇ってあげるよ! 頑張ってね!!』

 何を──言ってるの……? ついてこない頭で考える。ダメだ理解できない。それは周りもそうでざわめいてる。研究者達が別の部屋から魔物を連れてきて床には何個のも魔法陣が描かれてる。そこに前から選ばれた5人が魔法陣の中に、魔物も同じ5体がそれぞれの所に入れられ詠唱が始まると──人と魔物がくっつく様を観る。

 悲鳴と怒号が響き、ゼレスを観ると椅子に座ってニコニコしながら実験を観ていたわ。でも、何度も実験は失敗する。それを面白くなかったのか持ってる鞭で集まってる人達を叩き始めた。ミミズ腫れした体に抵抗も出来ず、そのまま実験体になる人達……

 
『やあ。』
『あー! 来てたんだ! 言ってくれたら良かったのに!』
『なかなかすぐに連絡が取れなくてね。それで実験はうまくいってるの?』
『ううん。みんな根性なしで失敗続きさ。』
『ふうん。まぁ、じゃコレ使ってみない?』

 青白い肌……あれって魔族? なんでそんなのが居るのよ、それにあのゼレスと親しげに話してる。魔族は彼に何かを渡すと目を輝かせあたしたちを見る。あたしは目を合わせないように下を見るけど──


『これは君が似合うね』
『僕も思ってたんだよね』

 二人に手を引っ張られて魔法陣の上に乗せられてしまった────



+メモ

名前:ゼレス
種族:人間
見た目:赤髪赤目の少年
一人称:僕
二人称:君、この子
背:152
歳:見た目13歳
武器:鞭
【バッタール】の王子様、友達と考えた僕の考えた最強の兵器を作りたいらしい。

名前:?
種族:魔族
見た目:青い肌紺髪赤目の少年
一人称:僕
二人称:君
背:164
歳:見た目10代後半
《氷槍》《氷塊》
上の友達とは彼の事
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