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本編
66 試練9 竜と竜
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「アタシ達4人……レイラが居ないけど無事よね。」
「ソユラ姉さま、心配だ早く探しに行かないと」
「うんうん、行きましょう!」
クロくんにソックリなカゲさんって方も後ろからついてくる。彼はメリメロさん達としか話せ……意思疎通ができないらしいですわ、さっきも何度かカゲさんに話しかけてみたものの少し見つめられるだけでしたから。でもあの後メロさんから『少しの間、よろしく頼む』と言ってたと言われましたわ。もしかしてかなり声が小さい方なのかしらと思ったけどやっぱり違うみたいね。
「にしても、かなり細い道ね、薄暗いし……」
「光を灯せ《ライト》」
「ありがとう、ん……? 何か聴こえませんでしたか?」
「あたしたちには何も、何かあるの、」
ピーチくんに光をつけてもらうと、細い道の先から『オオオォォオオ──……』と隙間風の様な音が聴こえた。アタシの大きなキツネ耳には聴こえたんだけど3人には聴こえなかったみたいでもう一回、その場で耳を澄ませた。
「やっぱり、何か居ますわ」
「でもこの先に進むしか無いよね、分かれ道も無かったし……」
「回復役、ピーチ様は《聖魔法》を使えるから回復も使えます?」
「ただの《ヒール》ぐらいなら、専門のソユラ姉様に比べたら回復力も……」
「はい、あたしとカゲさんで前衛をするので、中衛はアーニャ、後衛はピーチ様でお願いしますね」
「「了解!」」
先に進むとさっき聴こえてた音が3人にも分かるぐらい大きく聴こえるようになってた。開けた場所に出ると足元がくるぶしぐらい水がはってて、歩くたびにピチャ、ピチャンと音がする。
何か、居る──アタシ達は武器を構え、ピーチくんがさっきよりも強めの灯りをともすと──
「嘘でしょ……」
「水竜……って、アタシ達4人で?」
アタシたちが居る少し先は池みたいになっててそこには、一体の水竜が居た……わ。相手もアタシたちを見てて認識してるわね。口を開けたと思ったら《水鉄砲》が来て咄嗟にアタシは《マジック》で、何枚かの《バリア》を出現させ軌道をそらせ、各々の配置につく。
「あの《水鉄砲》に当たったらかなり痛そう、気をつけないと……」
メロさんとカゲさんは、アタシの出した足場に乗って水竜に斬りつけていく。胴体が長く、ニョロニョロと体を捻り、抵抗していく。体には硬い鱗がビッシリ生えてるわ。
「くっ、一体だけどやっぱり強いね……っ、」
「メロさん! 危ないっ!」
「メロを癒せ──《ヒール》!」
油断はしてない、けど、遠心力で尻尾がメロさんへ向かっていき当たる既の所でカゲさんが弾く。その尻尾の先がメロさんに当たってピーチくんが回復させる。
カゲさんはそのまま、片手剣で水竜へ向かっていく。
「はっ、はっ、……っ」
「メロ、さん……? 大丈夫、」
メロさんが胸を押さえて苦しそうにしてるから、『大丈夫なの?』って声をかけようとした時、メロさんは小声で『あたしも、やらなきゃ……』って苦しそうな声がした。
「は、……っ、ハアアア────ッ!《変身》!!」
「……」
メロさんがそう叫ぶと、指先から白い鱗でおおわれていく、元々白い尻尾は生えてたので竜属の何かではあるんだろうけど、アタシにはなんで苦しそうにしてたのか分からなくて──
アアァァ──!!
瞬きした瞬間、メロさんは白い竜になっていた。彼女は竜になった途端、目の前に居る水竜へ噛み付いた。水竜も戸惑いながらもお互い絡みつくように抵抗してる。
「だ、駄目だ! ボクの《ヒール》じゃ、メロの傷が……」
「メロさんが相手をおさえてるうちに、水竜を倒しましょう!」
ピーチくんが何度もメロさんの傷を癒してはその瞬間別の傷が出来て、メロさんだけでは……
アタシ達も援護するように攻撃をする。カゲさんの攻撃に合わせて《マジック》を使い、自分もナイフを投げる。
オオォォ──!
メロさんが水竜の首を噛み砕き、高らかに勝利の咆哮をする。アタシたちもホッとしてたら、メロさんの爪攻撃が──咄嗟にカゲさんが剣で防御したから良かったけど……!
「め、メロさん?!」
「ドラゴン姿になってから正気を保ってない、か、カゲどうにかしろっ!」
「《マジック》沼になれ!」
水竜を倒した時に水が引いて普通の地面に戻ったんだけど、メロさんが暴れるので彼女の足元だけに沼を作って行動を制御しようとした。白い竜の口元はさっきの水竜の血で赤く染まり黄色い目が輝いてる。
カゲさんが動いてメロさんを気絶させようと動くけど、どうしよう、このままじゃ……
「なんや、騒がしいなぁ」
アタシ達以外の声がして振り向くと、知らない男性が居た。
いつの間に、と思ってると彼は「へぇ、ドラゴンさんや」と呟いた瞬間、メロさんへ──だけど、カゲさんがその攻撃を弾く。
「んー? えらい事になってそうだから助太刀しようと思ったんやけどなぁ?」
「あ、あの! あの白い竜はアタシ達の仲間で、」
「ふーん?」
だから、殺さないで──と言おうとした瞬間、ピカッと一瞬光ったと思ったらメロさんの体が地面にドォン──と音をたてて倒れた。
「「、め、メロさん──!!」」
アタシはメロさんに駆け寄るピーチくんと一緒に彼女の下へ《マジック》を使って目眩ましをすると同時に《ヒール》をかけるピーチくん。
後ろでは金属のぶつかる音が鳴り響く──
「まずい、傷が深いぞ《ヒール》《ヒール》《ヒール》!!」
「そんなっ、アタシも!」
鞄に入れてたポーションをドラゴン姿から徐々に人型に戻る体にかける。傷はジュワジュワと音をたてながら治ってくけど、出した血の量が──……!
目眩ましの隙間から、カゲさんを見ると相手の素早い攻撃を無表情でさばいて、こっちに攻撃が来ないようにしてるけど、メロさんの事心配だよね。でも、あの人誰なの……
「勇者たる者、ドラゴン討伐は夢でしょ」
「……」
「自分、さっきから無言さんやねぇ」
ゆ、勇者……? 嘘でしょ、こんな所で??
で、でも、あの強さ……なら、本当に? でも、仲間が攻撃されるなんて……アタシは頭の中が混乱してる。
「アーニャ、メロの外傷は治った、担いでソユラ姉さまの所へ行こう」
「う、うん、そうね! カゲさんは、」
「アイツはあれの足止め、オレらはさっさと行こう!」
カゲさんを見ると無言だけど、分かってくれたみたいな視線をもらい《マジック》でメロの体を軽くして、アタシはお姫様抱っこで運ぶ。3人でこの部屋から出た。
+メモ
【海底神殿】ピーチ、メロ、アーニャ、カゲ
《水鉄砲》…意外と威力がある。普通の対象物が当たると貫通するほどの威力。
《バリア》…アーニャが出したのは無属性の一般的なバリア。
《足場》…水竜の体長が15mなので、上に伸びるとその場だと届かない。
名前:光の勇者ルート
種族:人間
見た目:茶髪オレンジ目男性
一人称:オレ
二人称:自分、あんたさん
背:174
歳:20代前半
武器:刀
《雷魔法》《一閃》
「ソユラ姉さま、心配だ早く探しに行かないと」
「うんうん、行きましょう!」
クロくんにソックリなカゲさんって方も後ろからついてくる。彼はメリメロさん達としか話せ……意思疎通ができないらしいですわ、さっきも何度かカゲさんに話しかけてみたものの少し見つめられるだけでしたから。でもあの後メロさんから『少しの間、よろしく頼む』と言ってたと言われましたわ。もしかしてかなり声が小さい方なのかしらと思ったけどやっぱり違うみたいね。
「にしても、かなり細い道ね、薄暗いし……」
「光を灯せ《ライト》」
「ありがとう、ん……? 何か聴こえませんでしたか?」
「あたしたちには何も、何かあるの、」
ピーチくんに光をつけてもらうと、細い道の先から『オオオォォオオ──……』と隙間風の様な音が聴こえた。アタシの大きなキツネ耳には聴こえたんだけど3人には聴こえなかったみたいでもう一回、その場で耳を澄ませた。
「やっぱり、何か居ますわ」
「でもこの先に進むしか無いよね、分かれ道も無かったし……」
「回復役、ピーチ様は《聖魔法》を使えるから回復も使えます?」
「ただの《ヒール》ぐらいなら、専門のソユラ姉様に比べたら回復力も……」
「はい、あたしとカゲさんで前衛をするので、中衛はアーニャ、後衛はピーチ様でお願いしますね」
「「了解!」」
先に進むとさっき聴こえてた音が3人にも分かるぐらい大きく聴こえるようになってた。開けた場所に出ると足元がくるぶしぐらい水がはってて、歩くたびにピチャ、ピチャンと音がする。
何か、居る──アタシ達は武器を構え、ピーチくんがさっきよりも強めの灯りをともすと──
「嘘でしょ……」
「水竜……って、アタシ達4人で?」
アタシたちが居る少し先は池みたいになっててそこには、一体の水竜が居た……わ。相手もアタシたちを見てて認識してるわね。口を開けたと思ったら《水鉄砲》が来て咄嗟にアタシは《マジック》で、何枚かの《バリア》を出現させ軌道をそらせ、各々の配置につく。
「あの《水鉄砲》に当たったらかなり痛そう、気をつけないと……」
メロさんとカゲさんは、アタシの出した足場に乗って水竜に斬りつけていく。胴体が長く、ニョロニョロと体を捻り、抵抗していく。体には硬い鱗がビッシリ生えてるわ。
「くっ、一体だけどやっぱり強いね……っ、」
「メロさん! 危ないっ!」
「メロを癒せ──《ヒール》!」
油断はしてない、けど、遠心力で尻尾がメロさんへ向かっていき当たる既の所でカゲさんが弾く。その尻尾の先がメロさんに当たってピーチくんが回復させる。
カゲさんはそのまま、片手剣で水竜へ向かっていく。
「はっ、はっ、……っ」
「メロ、さん……? 大丈夫、」
メロさんが胸を押さえて苦しそうにしてるから、『大丈夫なの?』って声をかけようとした時、メロさんは小声で『あたしも、やらなきゃ……』って苦しそうな声がした。
「は、……っ、ハアアア────ッ!《変身》!!」
「……」
メロさんがそう叫ぶと、指先から白い鱗でおおわれていく、元々白い尻尾は生えてたので竜属の何かではあるんだろうけど、アタシにはなんで苦しそうにしてたのか分からなくて──
アアァァ──!!
瞬きした瞬間、メロさんは白い竜になっていた。彼女は竜になった途端、目の前に居る水竜へ噛み付いた。水竜も戸惑いながらもお互い絡みつくように抵抗してる。
「だ、駄目だ! ボクの《ヒール》じゃ、メロの傷が……」
「メロさんが相手をおさえてるうちに、水竜を倒しましょう!」
ピーチくんが何度もメロさんの傷を癒してはその瞬間別の傷が出来て、メロさんだけでは……
アタシ達も援護するように攻撃をする。カゲさんの攻撃に合わせて《マジック》を使い、自分もナイフを投げる。
オオォォ──!
メロさんが水竜の首を噛み砕き、高らかに勝利の咆哮をする。アタシたちもホッとしてたら、メロさんの爪攻撃が──咄嗟にカゲさんが剣で防御したから良かったけど……!
「め、メロさん?!」
「ドラゴン姿になってから正気を保ってない、か、カゲどうにかしろっ!」
「《マジック》沼になれ!」
水竜を倒した時に水が引いて普通の地面に戻ったんだけど、メロさんが暴れるので彼女の足元だけに沼を作って行動を制御しようとした。白い竜の口元はさっきの水竜の血で赤く染まり黄色い目が輝いてる。
カゲさんが動いてメロさんを気絶させようと動くけど、どうしよう、このままじゃ……
「なんや、騒がしいなぁ」
アタシ達以外の声がして振り向くと、知らない男性が居た。
いつの間に、と思ってると彼は「へぇ、ドラゴンさんや」と呟いた瞬間、メロさんへ──だけど、カゲさんがその攻撃を弾く。
「んー? えらい事になってそうだから助太刀しようと思ったんやけどなぁ?」
「あ、あの! あの白い竜はアタシ達の仲間で、」
「ふーん?」
だから、殺さないで──と言おうとした瞬間、ピカッと一瞬光ったと思ったらメロさんの体が地面にドォン──と音をたてて倒れた。
「「、め、メロさん──!!」」
アタシはメロさんに駆け寄るピーチくんと一緒に彼女の下へ《マジック》を使って目眩ましをすると同時に《ヒール》をかけるピーチくん。
後ろでは金属のぶつかる音が鳴り響く──
「まずい、傷が深いぞ《ヒール》《ヒール》《ヒール》!!」
「そんなっ、アタシも!」
鞄に入れてたポーションをドラゴン姿から徐々に人型に戻る体にかける。傷はジュワジュワと音をたてながら治ってくけど、出した血の量が──……!
目眩ましの隙間から、カゲさんを見ると相手の素早い攻撃を無表情でさばいて、こっちに攻撃が来ないようにしてるけど、メロさんの事心配だよね。でも、あの人誰なの……
「勇者たる者、ドラゴン討伐は夢でしょ」
「……」
「自分、さっきから無言さんやねぇ」
ゆ、勇者……? 嘘でしょ、こんな所で??
で、でも、あの強さ……なら、本当に? でも、仲間が攻撃されるなんて……アタシは頭の中が混乱してる。
「アーニャ、メロの外傷は治った、担いでソユラ姉さまの所へ行こう」
「う、うん、そうね! カゲさんは、」
「アイツはあれの足止め、オレらはさっさと行こう!」
カゲさんを見ると無言だけど、分かってくれたみたいな視線をもらい《マジック》でメロの体を軽くして、アタシはお姫様抱っこで運ぶ。3人でこの部屋から出た。
+メモ
【海底神殿】ピーチ、メロ、アーニャ、カゲ
《水鉄砲》…意外と威力がある。普通の対象物が当たると貫通するほどの威力。
《バリア》…アーニャが出したのは無属性の一般的なバリア。
《足場》…水竜の体長が15mなので、上に伸びるとその場だと届かない。
名前:光の勇者ルート
種族:人間
見た目:茶髪オレンジ目男性
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二人称:自分、あんたさん
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武器:刀
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