不定期∶王道無糖

加速・D・歩

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本編

75 [緊急クエスト:砂虫襲来]

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「俺の分の飯が無かったな」
「ルゥ食べ物くえるのか?」
「ハッハッハ冗談だ。使い手のエネルギーを貰うだけだわ」
「ふうん?」
「にしても砂虫か」
「知ってるのか、ルゥ」

 ルゥが封印される前の世界でも各地で巨大魔物がいる時代だったらしい。

「【砂漠地帯】には砂虫、【海】にはクラーケン、【森】にはマ……いや、あれは魔物だったんだろうか……あとは【山岳地域】ではドラゴンや鳥系の魔物とかまぁ色々いたのお」
「【森】に何が居た?」
「いや、……んー……、俺が見たのは一部分だけだったが、触手が束になった様なデカい木だった。ソイツは周辺の村や町の人々に自身の種を植え付けて操る能力があった。操られた者は口々に『マザー』と言う。まぁ大昔に俺らで根絶やしにしたから平気だろうが」
「なるほどね」

 マザー、ね。心当たりがあるのは他の世界のか。そういやこの【グランエール】も侵食し始めてるんだっけ。あと魔族も活発ってたしなんかありそうなんだよなぁ。

「クロくんっ!」
「リア、どうかしたのか」

 部屋に戻ろうとした僕をリアが呼び止める。駆け足で寄ってきたから何かあるのかと待ってるけど特に会話が無い。覗き込むように見ると顔を真っ赤にして両手で隠す。

「用がないなら行くけど」
「あります、あのクロくんがかっこよくてつい……っ恥ずかしいですわ」
「? 平凡な何処にでも居るような男だが、」
「いえ! 少なくとも私は、……本当に、クロくんの事がす、きで……チュラルをもらった時も嬉しくて、」

 リアから好き好きと告白される、廊下で。い、いきなり? みんなは各々過ごしてて廊下には人が居ない。

「ソユラさんとクロくんが、魔王を倒したあとに結婚するって知ってます」
「わ、私も、第二妻としてダメ、ですか……?」

 そっと僕の腕に寄り添って上目遣いでこっちを見る。んんー、割と年下なんだよな、そもそも。僕は──

「あー! ご主人様とくっくついてる! ズルい!」
「ちょ、リジュっ! 廊下を走るな!」
「主~! 我も!」
「ヴァルシュも!」

 声とドタドタ音が聴こえて振り向くとリジュとヴァルシュに引っ付かれる。その後をピーチ達が歩いてきた。

「ほんと、主人に目がないですね、お前らは。躾はどうなってんだ?!」
「ん、別に好きにしたら、」
「「好きになって良いの?!」」
「ちょお、」

 ピーチが躾がなってない《奴隷契約》がどうなってるんだっていうから契約内容的にははぼ設定はしてないから“好きに生きれば”と口にしようとしたら2人に床へ押し倒され──

「こら、貴方達! クロくんに何をしてるんです」
「だって好きにしていいって」
「話を聞いて感じ、ピーチと《奴隷契約》の内容だったでしょう」

 ソユラがやってきてピシャリと二人に言うと誤解が解けて二人は素直に「「ごめんなさい」」を言ってきた。
 ソユラはリアを一回横目で見ながらも僕に向き合う。

「クロくんは、この状況をどうしたいのですか」
「どうって……」

 ハッキリさせろって事だよな。全員いる訳じゃないけど、口を開くと同時に慌てた様子の執事が走ってきた。

「す、砂虫ッが、! 何十体も現れてッ!!」
「ええ、でもここから【砂漠地帯】は距離が、」
「砂漠から上陸してきて近くの森や林、近くの村々まで、英雄様っ! と、討伐を──、人々を守ってください!!」

 その執事や他の使用人達も家族や知人が心配だと大慌てだ。ゲームウィンドウには[緊急クエスト:砂虫襲来]と表示されてる。内訳は砂虫の討伐数と、魔族の討伐、人々を守った数が集計されそれによって報酬になるらしい。

「とりあえず現場に向かう、他の冒険者、傭兵とか来るんだよな?」
「冒険者ギルド等に協力をお願いしてます、」
「したら僕達も向かうぞ!」
「「おー!」」



+メモ
【砂漠地帯】…一つぐらいオアシスがある、気がする幻でなければ。
砂虫…ノルマ達成?砂漠と言ったら砂虫だいたい追いかけられる。デカいキモいひぃ……!
[緊急クエスト:砂虫襲来]…倒す対象と守る対象によって報酬が良くなる。突発的に依頼された依頼が対象になる。
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