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本編
93 青い血
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「は? なんだって……?」
変な訪問者が帰ったあといつもの椅子にドカと座ると魔王軍の報告で10分の4の兵力が“何者”かに残虐されたらしいと【ジイナンリ大陸】に向かったモンスターたちが元から居た彼らと連絡がつかなくなり、飛行兵隊達が見に行くと交戦した形跡があるが姿が見えず、あの地域に居たであろう勇者がやったのか……?
「他に情報は? これだけか?」
「い、いえ! 人に化けれる者たちが何があったのか聞けば、蜘蛛の勇者様と言う者が我々同胞を……あの場に居たのはトカゲの勇者ぐらいで、蜘蛛ならアラクネ共かと思いましたがそれでもなく、」
「もういい、下がれ」
「はっ!」
『今回の勇者や英雄達には手こずると思うよ?』
あの男、知ってやがったのか? だとすればすぐに自分は殺されるのか? まだ何もしてないっていうのに……!
『コレ、試作品なんだけどさ。使ってみない?』
あの時、渡された変哲も無いナイフを手に取り刃に反射する顔をみる、なんとも眉毛が下がり情けない顔をしていた。まぁ、魔族達からは今後をただ悩んでる顔にしか見えないらしいが。
「ニケス、いるか」
「は、ここに」
自分をこの【世界】に喚んだ立場上腹心として居るニケスが音もなく現れ椅子横に立つ。他の魔族達からは「ニケス様だ、久しぶりに見た」とザワつかれてるが、彼は《認識不可》を持ってるせいか他に認識されづらいのだとか。普段も自分のサポートとしてよく居るんだけどな。
「あの男はなんだ」
「あの男ですか……?」
ハテと首を傾げる、そういや自分に言ってきたのは別の魔族達か。
事の話を軽く説明すると手に持ってたナイフを見せて欲しいというから彼に渡した。
「グッ、……ニケ、ス、何を……」
「ベイルシオン様ッ、さ、刺すつもりは!! これは呪われてるのか、いや、回復できる者! 魔王様に!」
「ハハッ! 直ちに!」
突然の出来事に自分もニケス、この場に居る魔族達で何が起こったのか、本来ならナイフで刺されたぐらいでは傷なんか一瞬で治る“筈”なのに魔族特有の青い血がドクドクと服を汚しながら地面に落ちるのを朦朧としながら眺めるしかなかった。自分自身の《回復スキル》をかけようとすれば、上手くマナが練れず出来なかった。だからそれを見ていたニケスはすぐ回復が使える者を呼んできた。
「魔王、様……」
「にけす、何故」
「分からないんです、このナイフを持った瞬間にはあなたを、」
「あの男、なにをわたして、きたんだ。」
『なんか呼んだー?』
「何者?!」
混乱が冷めるまもなく『あの男』がその場に居た。近くに居る魔族達は警戒戦闘モードに入る。ニケスも本を開き様子をうかがってるが、その本人は平然としていた。
「お前、コレは何だ。」
『ナイフだけどー? まぁ、効果は好意がある者を刺すって所かな』
「好意……?」
『好きとか信頼とか? まぁ面白いよね。ちなみに聖剣魔剣の分類だからねそれ』
は、ニケスを見ると困り顔でこっちを見ながら、床に落としてたナイフを見ていた。
「貴方が何者かは知らないけど何故コレをベイルシオン様に?」
大勢の魔族に囲まれてるにも関わらず飄々と緊張もしていない。ただの人間ではない。
『俺の名前はクロだけど、ややこしいか。まぁ『バケモノ』でも『ヒナタ』でも良いけど。それで、なぜ渡したかって? そりゃああっちも想定より強くなっちゃってさ、ほらなんかいい感じにナイフをあっちのヒロインに渡してさー』
『バケモノ』? 自分で言うのかそれを。まぁいい、なるほどな男の説明を聞けばまぁ、面白いが上手くできるのか? そのヒロインの武器は杖なのにナイフを使う? どうやって……
「まおーさま!」
「なんだ。」
目の前にゴブリン族が手を上げる。彼は住んでる集落近くにある人間の村々でナイフで戦う勇者が人気で子供達が木の短剣でチャンバラしてるのをよく見かけるそうだ。それでなんだ、って話だが、自分を殺しに来る英雄の仲間達が子供が多く、それを流行らせヒロインが「自分もナイフ使いたい!」って気にさせたら良いのではという案が出た。
どういう相手なのか知らないが、そんな事出来るのか……まぁ、とりあえず部下に箱に入れたナイフを渡して様子を見ることにした。
そんな話をしてる間に男は何も言わずに去ってしまった。
自分はナイフ作戦が失敗すると思ってるし、別の戦闘案も考えながら自室に戻ることにした。窓から見える月を見て、もし死んだらどこに還るのか──
+メモ
ベイルシオン∶魔王
ニケス∶腹心
【1の大陸】【セケーウ大陸】
【2の大陸】【エユャシ大陸】
【3の大陸】【ジイナンリ大陸】
【4の大陸】【ルッフイ大陸】
【北の魔王領地】【イリウ大陸】
【南の大陸】【リジン大陸】
変な訪問者が帰ったあといつもの椅子にドカと座ると魔王軍の報告で10分の4の兵力が“何者”かに残虐されたらしいと【ジイナンリ大陸】に向かったモンスターたちが元から居た彼らと連絡がつかなくなり、飛行兵隊達が見に行くと交戦した形跡があるが姿が見えず、あの地域に居たであろう勇者がやったのか……?
「他に情報は? これだけか?」
「い、いえ! 人に化けれる者たちが何があったのか聞けば、蜘蛛の勇者様と言う者が我々同胞を……あの場に居たのはトカゲの勇者ぐらいで、蜘蛛ならアラクネ共かと思いましたがそれでもなく、」
「もういい、下がれ」
「はっ!」
『今回の勇者や英雄達には手こずると思うよ?』
あの男、知ってやがったのか? だとすればすぐに自分は殺されるのか? まだ何もしてないっていうのに……!
『コレ、試作品なんだけどさ。使ってみない?』
あの時、渡された変哲も無いナイフを手に取り刃に反射する顔をみる、なんとも眉毛が下がり情けない顔をしていた。まぁ、魔族達からは今後をただ悩んでる顔にしか見えないらしいが。
「ニケス、いるか」
「は、ここに」
自分をこの【世界】に喚んだ立場上腹心として居るニケスが音もなく現れ椅子横に立つ。他の魔族達からは「ニケス様だ、久しぶりに見た」とザワつかれてるが、彼は《認識不可》を持ってるせいか他に認識されづらいのだとか。普段も自分のサポートとしてよく居るんだけどな。
「あの男はなんだ」
「あの男ですか……?」
ハテと首を傾げる、そういや自分に言ってきたのは別の魔族達か。
事の話を軽く説明すると手に持ってたナイフを見せて欲しいというから彼に渡した。
「グッ、……ニケ、ス、何を……」
「ベイルシオン様ッ、さ、刺すつもりは!! これは呪われてるのか、いや、回復できる者! 魔王様に!」
「ハハッ! 直ちに!」
突然の出来事に自分もニケス、この場に居る魔族達で何が起こったのか、本来ならナイフで刺されたぐらいでは傷なんか一瞬で治る“筈”なのに魔族特有の青い血がドクドクと服を汚しながら地面に落ちるのを朦朧としながら眺めるしかなかった。自分自身の《回復スキル》をかけようとすれば、上手くマナが練れず出来なかった。だからそれを見ていたニケスはすぐ回復が使える者を呼んできた。
「魔王、様……」
「にけす、何故」
「分からないんです、このナイフを持った瞬間にはあなたを、」
「あの男、なにをわたして、きたんだ。」
『なんか呼んだー?』
「何者?!」
混乱が冷めるまもなく『あの男』がその場に居た。近くに居る魔族達は警戒戦闘モードに入る。ニケスも本を開き様子をうかがってるが、その本人は平然としていた。
「お前、コレは何だ。」
『ナイフだけどー? まぁ、効果は好意がある者を刺すって所かな』
「好意……?」
『好きとか信頼とか? まぁ面白いよね。ちなみに聖剣魔剣の分類だからねそれ』
は、ニケスを見ると困り顔でこっちを見ながら、床に落としてたナイフを見ていた。
「貴方が何者かは知らないけど何故コレをベイルシオン様に?」
大勢の魔族に囲まれてるにも関わらず飄々と緊張もしていない。ただの人間ではない。
『俺の名前はクロだけど、ややこしいか。まぁ『バケモノ』でも『ヒナタ』でも良いけど。それで、なぜ渡したかって? そりゃああっちも想定より強くなっちゃってさ、ほらなんかいい感じにナイフをあっちのヒロインに渡してさー』
『バケモノ』? 自分で言うのかそれを。まぁいい、なるほどな男の説明を聞けばまぁ、面白いが上手くできるのか? そのヒロインの武器は杖なのにナイフを使う? どうやって……
「まおーさま!」
「なんだ。」
目の前にゴブリン族が手を上げる。彼は住んでる集落近くにある人間の村々でナイフで戦う勇者が人気で子供達が木の短剣でチャンバラしてるのをよく見かけるそうだ。それでなんだ、って話だが、自分を殺しに来る英雄の仲間達が子供が多く、それを流行らせヒロインが「自分もナイフ使いたい!」って気にさせたら良いのではという案が出た。
どういう相手なのか知らないが、そんな事出来るのか……まぁ、とりあえず部下に箱に入れたナイフを渡して様子を見ることにした。
そんな話をしてる間に男は何も言わずに去ってしまった。
自分はナイフ作戦が失敗すると思ってるし、別の戦闘案も考えながら自室に戻ることにした。窓から見える月を見て、もし死んだらどこに還るのか──
+メモ
ベイルシオン∶魔王
ニケス∶腹心
【1の大陸】【セケーウ大陸】
【2の大陸】【エユャシ大陸】
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【北の魔王領地】【イリウ大陸】
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