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本編
9 迷宮へ:?日目……48層→50層
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「んじゃ、50層目指して頑張りますか!」
「「オー!!!!」」
元気いっぱいに返事をして、歩き進める。
「あのさぁ・・・今思ったんだけど」
「ん、どうしたんですか?」
下に続く階段を降りてるとユナさんが急に呟く。
「いやぁ、まあ。あと何層レベルで言うのもなぁとは思ったんだけどさ」
「なによー、勿体ぶらないでさっさと言いなさいよ!」
「全員【組織】って分かったんなら《転移》で移動すれば良くね? って」
「「あ~確かに」」
ほんと、確かに。って思っちゃった。そしたら開かずの扉も通り越せるのにってなんで思いつかなかったんだろう?
「ほんとほんと! ねぇ、《転移》してみて!」
「うん、やってみます。全員手繋いで、よし!」
ロイくん、ユナさん、青さん、赤さん、自分が輪になるように手を繋ぎ、ロイくんの《転移》で、50層超えしようと飛んだ──
「行けた?」
「「えー! 嘘っ!」」
双子さん達の声に目を開けると──大きな扉が目の前にあった。
「これって、・・・開かずの扉、」
「《転移》で飛び越えられないなんて、嘘だろ」
しかもこの先、なんか嫌な予感がする。
「あの、赤さん達、この先にどうしても先に進まないと行けないんですか……?」
「そうよ、どうしてそんな事聞くの?」
嫌な予感を他の人は感じてない? それとも私だけそう感じている……?
「だってこの先はボス部屋にゃーん」
「「あ、ねこちゃん」」
「なんで、こんな所に居るんだ?」
「そんな事を気にしてもしかたにゃいにゃーん」
ト、と青さんの肩に乗る一匹の黒猫。彼? 彼女? も立派な【組織】のメンバー《コピー》だ。
「《コピー》一人で来たのか? ここ50層だぞ?」
「我の能力は《コピー》! 本体は外にいるにゃーん」
「ああ、そういう事か」
分離体をここまで送ってきたのか。にしてもボス部屋って。《コピー》に話しを聞くと、ただならぬオーラをまとってる場所はボスがいるからワープで飛び越えられないらしい。
「って事は、この先に“何か”居るのね」
「でも開かないんですよね、あ、魔石貰えますか?」
青さんに持ってきた良質の魔石を渡すと扉にある窪みにハメる。
大きさは少し魔石が大きかったらしく少し削ってから再び──
「うーん、ダメですね。」
「良い魔石なのに……!」
「何がダメっていうのかしらね?」
ふと、何となくだけど、ハマってる魔石に向かってピコピコハンマーを思いっきり魔力を乗せて叩いてみた。軽快なピコッ! という音に、双子達は不思議そうに見てたけど──……
──ゴゴゴッ……!
「おわ、開いた?! マジかよ」
「「わっ、何だか分からないけど凄い!!」」
「フェンさん、扉が開きましたよ!!」
ゆっくりとギシギシ、ゴゴゴと音をたてながら、長年開いてなかったのか上から砂埃が降ってくるのを少し離れて落ち着いたから近づく。
「中は見えないですね、何も無かったりして」
「ボス部屋ってのは足を踏み入れたら“それ”が存在するのにゃーん」
「双子達のトロールじゃなくて本物の何かが居るんですね」
「てか、双子達って戦えるの?」
大きな扉が開いたもののその場から中は何も見えない真っ暗なだだっ広い部屋? が広がる。自分達も戦闘力、戦力に数えられるとキツイんだけど、と双子達に聞くと彼女らは拳や脚で戦うスタイルらしい。赤さんは《火系スキル》を使いつつ手脚に炎マナを纏い戦う、青さんは扇子という東の国にある武器と《水系スキル》を使って彼女は手脚よりマナを扱って戦う方と。
何個かストックしてる良い魔石を鞄から取り出し各自に渡す。武器や防具の点検、必要なその他のアイテム。
「この先に何が居るのか分からないけど」
「・・・よし、行くか」
「「おー!!」」
皆いっせいのせで靄がかかってる所に足を踏み入れた────
「・・・!」
「えっ、」
足を踏み入れると部屋の壁には一定の間隔でロウソクが灯っててそれなりに明るかった。だからそこに鎮座してる魔物もよく見えた。
「黒い、ドラゴン……?」
「こんなにデカいのは初めて見たぜ」
「でも、ね、寝てる……?」
その黒いドラゴンはくるりと丸まって寝ているようだった。
なんだかそれが拍子抜けして少し脱力してしまった。
「鬼の居ぬ間になんとやら、青、壁とかちょっと調べよ!」
「う、うん」
双子達はドラゴンの後ろへ向かっていってしまって自由だなあの人らと。ドラゴンもいつ起きるか分からないし、少し離れた所でユナさん、ロイくん、にゃんこと待つ。
「冒険者さんをやっててもドラゴンって見ないの?」
「んーにゃ、この手の大物と出会わねぇだけで小型やワイバーンとかは見るな。ワイバーンも野生なのか、元々どっかの騎士団から逃げてきたやつかは知らんけど。」
「へぇ。人間の言葉を喋れるのは?」
「俺が見てきたドラゴンじゃ居なかったな。それこそ──」
「「部屋の隅から隅を見たけど何も無かったよ~!」」
寝てる姿でも大きいこの黒いドラゴン。ユナさんが冒険者をしてるって事で他の種類のドラゴンの話を聞いてたら、双子達が帰ってきた。
どうもこの迷宮は50層のここが最下層? と言う事なんだろうか?
何も無いし部屋から出ようとしたら外が見えてるのに向こうに戻れなかった。
「なんだよ、これ! 薄い膜みたいので出れないッ」
「……」
「坊主《転移》出来るか?」
「やってみますっ!」
みんなで、手を繋ぎロイくんが《転移》をしようとするが────
「駄目だにゃーん」
「普通に出る事が出来ないってそれって、」
「コイツを倒さなきゃ出れねぇって事か?」
「倒せるのかな、ワタシ達で」
相手は寝てるだけなのに物凄い威圧感。
でも、殺らないとみんなここから出れないし……と持ってる武器を握る──
『おお、ようやく集まったか』
「え、起き──」
「うわー! しゃべったぁー!?」
「……」
「で、っけぇ……」
のそりと起き上がる黒いドラゴン。喋れるのか──体を起こすと天井がミシミシと軋み揺れる。
「あんたを倒さないとここから出れねぇのか?」
『いかにも』
「まじかよ、こんなに対話出来てるつーのに!」
ユナさんが対話を試みてみるものの、相手は倒されなければこの部屋から出る事は不可能と。いつまでも私達がここにいる訳にはいかないので、覚悟を決めないと──
先に攻撃したのはドラゴンだった。たった、右の前足をユナさんに振り落としただけなのに、剣でガードしたユナさんをぶっ飛ばし、勢いそのままの味は石畳を爪で抉った。その風圧がこっちにも来る──!
ふっ飛ばされたユナさんは、なんとか耐えつつまた前に出る。ベテラン冒険者は違うな、自分なんか隙を見て叩きにいきたいけど脚が動かない。
赤さんも炎を纏った脚でドラゴンの横から攻撃、攻撃、攻撃、効いてるのか分からないけどやり続けてる。
自分も、行かねば……ピコハンにはめた魔石を見てから後ろに移動して、尻尾を狙う。本体が動くと大木のようなでもしなやかにあっちへこっちへ動く尻尾の動きを狙ってピコッ! とピコピコハンマーを叩きつけた。
『むう、場にそぐわない音の癖に痛いじゃないか』
「フェンさん! くっ!」
ドラゴンがグルリとこっちに向き、前足が迫ってくる瞬間──ロイくんの矢が当たりドラゴンは痛そうに手を引っ込める。私はその瞬間に後ろに下がった。
「ロイくんっ、ありがとう!」
「いえ! 矢が足りるかどうか……俺達の攻撃って効いてるんですかね、っと!」
「《コピー》ちゃん行くよ、《召喚:大波》!」
「「にゃあ!」」
《コピー》が複数体になって、青さんの出した大量の水に乗り爪で攻撃し始めた。《コピー》の鋭い爪だけどドラゴンの硬い鱗に通ってるのか、攻撃の数は多いから地味にダメージが入ってるのか……?
前衛はユナさんと赤さん、中衛は私とにゃんこ、後衛は青さんとロイくんで攻撃を続けるけど最初と変わらずにこっちを攻撃してくるドラゴン。攻撃を防いて耐えてくれてるユナさんに持ってるポーションを投げ渡す。こういう時に回復が出来る人が居れば……
「こんな時に、トキさんが入れば……っ」
「「トキさんって?」」
「ああ、双子は表側で会ってないのか、《時止め》の事だよ、っても偽名だとは思うけどな」
「ちなみに、《先読み》はサキさん」
「「あはは、偽名っぽーい」」
確かに、トキさんが居れば時間を止めてこっちが攻撃し続けられるけど……さ、カラ元気っぽいやりとりはともかく、このままだとジリ貧だ。
『だよなぁ。このままじゃキミ達が負けちゃうよねぇ』
「「は?!」」
何言って────黒いドラゴンは攻撃を、動きを、止めた。
負ける……?
「何いってんだ……」
『現実を見なよ《変化》』
「なんで、」
『なんで知ってんのかって? そりゃあ──』
黒いドラゴンが光り輝いてそれが人型に縮んでいく。
『《記憶改変》でしたー! じゃじーん! パフパフ!』
「「はあ?!」」
「え、お前、え??」
「ど、どういう事??」
「……」
「フェンさん、何が、」
光がおさまりその瞬間、いつもの聞き覚えがある気の抜ける様な言葉が──
【組織】のメンバー《記憶改変》だった。何故、いやどこから情報の処理をして良いのかみんな混乱してる中、ずっとにゃんこは黙ったまま《記憶改変》を見てる。
「《記憶改変》お前さんの目的は我々を殺す事か?」
『んー? にゃ言葉忘れてるぞ《コピー》まぁ、そうだなその予定だった。最初はね』
仲間だった《記憶改変》が自分達を殺す? 信じられないと彼を見る。いつもどこかおちゃらけて、ひょうひょうとしてる。掴み所がない存在。
それに《コピー》にも違和感、いや……なんだこれは。
『まー、どこから話すか。とりあえず、俺の名前はクロくんって呼んでね!』
「「……」」
クロくんって、言われても殺すと言われたから皆武器は持ちながら警戒をする。それを、気にしないのか《記憶改変》はさっきの戦闘でボロボロになってる床に座り話し始めた。
『1番簡単に言うとこの世界を作ったのが俺なんだけど』
「は、何いってんだ、てかそれじゃあ神ってことか?」
『んー、まあ人によっては神でも良いけどどっちかって言ったら管理者の方があってるね。神は作って任せてるし。』
《記憶改変》の口から飛び出す言葉に毎回みんな驚き困惑戸惑い。自分もそれが本当なのかなんて信じられないし、《記憶改変》の見た目じゃそこら辺にいる普通の人と変わらないし……
「っ、チ! それで、神が本当でアンタの目的は何なんだ!」
『ずいぶん感情的だね《変化》は、んー、そうだな。端的に言えばこの『俺ら』を殺せる相手を作る、それが目的本懐ってやつかな。』
「「殺す事ってなにそれ」」
意味が分からない。それに複数形だった? 《記憶改変》が複数居るってこと……?
『で、この魔力で暴走しがちに設定して魔力保持を高めて、リーダーに会った時に《力》を与えあげてそれらが集まる【組織】も作ってさ。別の所から本当は黒いトカゲ連れてこようと思ったら嫌がられちゃったからまあ、『俺』が変身してさっき攻撃してみたけど、やっぱまだまだかぁ。』
? ? ? なに、言ってるんだ、本当に。リーダーはこの事を知ってるのか? 力を与える? 組織を作る?
「リーダー……は、あんたが何もんなのか知ってんのか?」
『あの時に会った=《記憶改変》だとは思ってないと思うけど。まぁ、目の前で最愛の人が魔力暴走で木っ端微塵になってボーゼンとしてたからね? じゃあ《能力者》集めて【組織】でも作ってみたらー? ってさ』
「そんな言い方、血も涙もない無いのかよ!」
「……」
へらへらしながらそういう話をする《記憶改変》にロイくんが怒る。それでもなお、《記憶改変》の言い方は変わらない。
『まぁ、目的は色々あるんだけどさ。とりあえず、2人呼んできたよ』
「「此処は……?」」
「《先読み》! 《時止め》!」
「えっ、あれ、全員集まってますね、サキ様」
ロイくんの《転移》でもなく、《記憶改変》の横に現れたサキさんとトキさんの2人。
目の前に私達がいて変な場所にいるせいか、彼女らも戸惑ってる。すかさず、赤さんが彼女らをこっちに連れてきた。
「大丈夫? 怪我はない?」
「ええ、これはいったい……」
「とりあえず、《記憶の共有》をつかうにゃ。」
+メモ
秘密結社【プラムプトゥリィ】
先読み:サキ:車椅子の女の子
時止め:トキ:車椅子側近の眼鏡をかけた女性
転移:弓:ロイ:フードを被った無口な少年
魔石生成:ハンマー:フェン:仮面を付けた青年
記憶操作:手脚火:赤:赤い髪の少女(双子の姉)
認識操作:扇子水:青:青い髪の少女(双子の妹)
記憶改変:クロくん:黒髪黒目の少年
コピー:爪:人語を話す黒猫
変化:大剣:ユナ:50代のおっさん
ドラゴン色々
伝説系ドラゴン…中々お目にかかれることはないが人に変化して街にいる者も居るし、長く生きてても人間みたいにならない者も居る。基本的に無駄に長生き+辺境住みの為凝り固まったお年寄り感がある(若者に化けても喋り方や考え方が)
基本同じ種類のドラゴンが少ない、もしくは自分だけになってしまった。と遠い昔思い出しがち
討伐されがちドラゴン…冒険者から討伐されがち、大体ドラゴンでいうとヤングだったり中2病みたいなヤンチャ盛り、ちょっと強くて勘違いしてヤラれるみたいな。一応人間には圧倒的脅威にはなる。それぐらいの力の差はある為、大勢の人間が攻めてきがち。魔石はかなりのモノだし、鱗や肉等どの部位も使い勝手がいい。人間からすれば倒せればロマン。
召喚系ドラゴン…人間が召喚して使役するタイプの一応契約がある為仕方なく従ってるが基本冷ややか。余程の人間好きじゃなければ。悪魔召喚より良心的、良家召喚しがち
使役タイプドラゴン…騎士団で扱うワイバーン種。野生は針山みたいな場所に生息してるが、この手のドラゴンは卵から孵し人馴れさせる。産まれた頃から人間と過ごしてる為基本的に従順。扱いが酷いと戦地に行った時に逃げ出したり飼い騎士がやられ野良になる事もある。
リザードマン…彼らはトカゲであってドラゴンではないのだが、そういう見た目に化けるドラゴンも居る。爬虫類多めの化け、人間に角や翼などがあるパターン色々
骨ドラゴン…討伐され死体が無残に放置されその者の怨念、もしくは近くの魔物たちの魂が集まり死体を動かす。理性がなくなった分普通のドラゴンよりも脅威、毒系や死霊などの攻撃をしてきがち、迷宮ではボーンドラゴンと死体、媒体を用意しなくても出せる。
他も色々あるが割愛。
《召喚:大波》…今回のは一方向から出して対象を押し流す水系魔法、出した水は消える不思議だね
過去の魔力暴走4
とある夫婦が仲睦まじく暮らしていた。が、妻が謎の病で倒れる。色々と施したが夫の目の前で彼女の体内にあるマナが膨張し木っ端微塵になり消滅する。被害は半径5mほど。最愛の妻を亡くし打ちひしがれる彼の目の前に『』は現れる。『』は悲しみのどん底に居る彼に《力》を与え──のあと彼は自分と同じ様にならない為に各地で起きるようになる魔力暴走を解決する為に【組織】を作り活動していくことになる。
「「オー!!!!」」
元気いっぱいに返事をして、歩き進める。
「あのさぁ・・・今思ったんだけど」
「ん、どうしたんですか?」
下に続く階段を降りてるとユナさんが急に呟く。
「いやぁ、まあ。あと何層レベルで言うのもなぁとは思ったんだけどさ」
「なによー、勿体ぶらないでさっさと言いなさいよ!」
「全員【組織】って分かったんなら《転移》で移動すれば良くね? って」
「「あ~確かに」」
ほんと、確かに。って思っちゃった。そしたら開かずの扉も通り越せるのにってなんで思いつかなかったんだろう?
「ほんとほんと! ねぇ、《転移》してみて!」
「うん、やってみます。全員手繋いで、よし!」
ロイくん、ユナさん、青さん、赤さん、自分が輪になるように手を繋ぎ、ロイくんの《転移》で、50層超えしようと飛んだ──
「行けた?」
「「えー! 嘘っ!」」
双子さん達の声に目を開けると──大きな扉が目の前にあった。
「これって、・・・開かずの扉、」
「《転移》で飛び越えられないなんて、嘘だろ」
しかもこの先、なんか嫌な予感がする。
「あの、赤さん達、この先にどうしても先に進まないと行けないんですか……?」
「そうよ、どうしてそんな事聞くの?」
嫌な予感を他の人は感じてない? それとも私だけそう感じている……?
「だってこの先はボス部屋にゃーん」
「「あ、ねこちゃん」」
「なんで、こんな所に居るんだ?」
「そんな事を気にしてもしかたにゃいにゃーん」
ト、と青さんの肩に乗る一匹の黒猫。彼? 彼女? も立派な【組織】のメンバー《コピー》だ。
「《コピー》一人で来たのか? ここ50層だぞ?」
「我の能力は《コピー》! 本体は外にいるにゃーん」
「ああ、そういう事か」
分離体をここまで送ってきたのか。にしてもボス部屋って。《コピー》に話しを聞くと、ただならぬオーラをまとってる場所はボスがいるからワープで飛び越えられないらしい。
「って事は、この先に“何か”居るのね」
「でも開かないんですよね、あ、魔石貰えますか?」
青さんに持ってきた良質の魔石を渡すと扉にある窪みにハメる。
大きさは少し魔石が大きかったらしく少し削ってから再び──
「うーん、ダメですね。」
「良い魔石なのに……!」
「何がダメっていうのかしらね?」
ふと、何となくだけど、ハマってる魔石に向かってピコピコハンマーを思いっきり魔力を乗せて叩いてみた。軽快なピコッ! という音に、双子達は不思議そうに見てたけど──……
──ゴゴゴッ……!
「おわ、開いた?! マジかよ」
「「わっ、何だか分からないけど凄い!!」」
「フェンさん、扉が開きましたよ!!」
ゆっくりとギシギシ、ゴゴゴと音をたてながら、長年開いてなかったのか上から砂埃が降ってくるのを少し離れて落ち着いたから近づく。
「中は見えないですね、何も無かったりして」
「ボス部屋ってのは足を踏み入れたら“それ”が存在するのにゃーん」
「双子達のトロールじゃなくて本物の何かが居るんですね」
「てか、双子達って戦えるの?」
大きな扉が開いたもののその場から中は何も見えない真っ暗なだだっ広い部屋? が広がる。自分達も戦闘力、戦力に数えられるとキツイんだけど、と双子達に聞くと彼女らは拳や脚で戦うスタイルらしい。赤さんは《火系スキル》を使いつつ手脚に炎マナを纏い戦う、青さんは扇子という東の国にある武器と《水系スキル》を使って彼女は手脚よりマナを扱って戦う方と。
何個かストックしてる良い魔石を鞄から取り出し各自に渡す。武器や防具の点検、必要なその他のアイテム。
「この先に何が居るのか分からないけど」
「・・・よし、行くか」
「「おー!!」」
皆いっせいのせで靄がかかってる所に足を踏み入れた────
「・・・!」
「えっ、」
足を踏み入れると部屋の壁には一定の間隔でロウソクが灯っててそれなりに明るかった。だからそこに鎮座してる魔物もよく見えた。
「黒い、ドラゴン……?」
「こんなにデカいのは初めて見たぜ」
「でも、ね、寝てる……?」
その黒いドラゴンはくるりと丸まって寝ているようだった。
なんだかそれが拍子抜けして少し脱力してしまった。
「鬼の居ぬ間になんとやら、青、壁とかちょっと調べよ!」
「う、うん」
双子達はドラゴンの後ろへ向かっていってしまって自由だなあの人らと。ドラゴンもいつ起きるか分からないし、少し離れた所でユナさん、ロイくん、にゃんこと待つ。
「冒険者さんをやっててもドラゴンって見ないの?」
「んーにゃ、この手の大物と出会わねぇだけで小型やワイバーンとかは見るな。ワイバーンも野生なのか、元々どっかの騎士団から逃げてきたやつかは知らんけど。」
「へぇ。人間の言葉を喋れるのは?」
「俺が見てきたドラゴンじゃ居なかったな。それこそ──」
「「部屋の隅から隅を見たけど何も無かったよ~!」」
寝てる姿でも大きいこの黒いドラゴン。ユナさんが冒険者をしてるって事で他の種類のドラゴンの話を聞いてたら、双子達が帰ってきた。
どうもこの迷宮は50層のここが最下層? と言う事なんだろうか?
何も無いし部屋から出ようとしたら外が見えてるのに向こうに戻れなかった。
「なんだよ、これ! 薄い膜みたいので出れないッ」
「……」
「坊主《転移》出来るか?」
「やってみますっ!」
みんなで、手を繋ぎロイくんが《転移》をしようとするが────
「駄目だにゃーん」
「普通に出る事が出来ないってそれって、」
「コイツを倒さなきゃ出れねぇって事か?」
「倒せるのかな、ワタシ達で」
相手は寝てるだけなのに物凄い威圧感。
でも、殺らないとみんなここから出れないし……と持ってる武器を握る──
『おお、ようやく集まったか』
「え、起き──」
「うわー! しゃべったぁー!?」
「……」
「で、っけぇ……」
のそりと起き上がる黒いドラゴン。喋れるのか──体を起こすと天井がミシミシと軋み揺れる。
「あんたを倒さないとここから出れねぇのか?」
『いかにも』
「まじかよ、こんなに対話出来てるつーのに!」
ユナさんが対話を試みてみるものの、相手は倒されなければこの部屋から出る事は不可能と。いつまでも私達がここにいる訳にはいかないので、覚悟を決めないと──
先に攻撃したのはドラゴンだった。たった、右の前足をユナさんに振り落としただけなのに、剣でガードしたユナさんをぶっ飛ばし、勢いそのままの味は石畳を爪で抉った。その風圧がこっちにも来る──!
ふっ飛ばされたユナさんは、なんとか耐えつつまた前に出る。ベテラン冒険者は違うな、自分なんか隙を見て叩きにいきたいけど脚が動かない。
赤さんも炎を纏った脚でドラゴンの横から攻撃、攻撃、攻撃、効いてるのか分からないけどやり続けてる。
自分も、行かねば……ピコハンにはめた魔石を見てから後ろに移動して、尻尾を狙う。本体が動くと大木のようなでもしなやかにあっちへこっちへ動く尻尾の動きを狙ってピコッ! とピコピコハンマーを叩きつけた。
『むう、場にそぐわない音の癖に痛いじゃないか』
「フェンさん! くっ!」
ドラゴンがグルリとこっちに向き、前足が迫ってくる瞬間──ロイくんの矢が当たりドラゴンは痛そうに手を引っ込める。私はその瞬間に後ろに下がった。
「ロイくんっ、ありがとう!」
「いえ! 矢が足りるかどうか……俺達の攻撃って効いてるんですかね、っと!」
「《コピー》ちゃん行くよ、《召喚:大波》!」
「「にゃあ!」」
《コピー》が複数体になって、青さんの出した大量の水に乗り爪で攻撃し始めた。《コピー》の鋭い爪だけどドラゴンの硬い鱗に通ってるのか、攻撃の数は多いから地味にダメージが入ってるのか……?
前衛はユナさんと赤さん、中衛は私とにゃんこ、後衛は青さんとロイくんで攻撃を続けるけど最初と変わらずにこっちを攻撃してくるドラゴン。攻撃を防いて耐えてくれてるユナさんに持ってるポーションを投げ渡す。こういう時に回復が出来る人が居れば……
「こんな時に、トキさんが入れば……っ」
「「トキさんって?」」
「ああ、双子は表側で会ってないのか、《時止め》の事だよ、っても偽名だとは思うけどな」
「ちなみに、《先読み》はサキさん」
「「あはは、偽名っぽーい」」
確かに、トキさんが居れば時間を止めてこっちが攻撃し続けられるけど……さ、カラ元気っぽいやりとりはともかく、このままだとジリ貧だ。
『だよなぁ。このままじゃキミ達が負けちゃうよねぇ』
「「は?!」」
何言って────黒いドラゴンは攻撃を、動きを、止めた。
負ける……?
「何いってんだ……」
『現実を見なよ《変化》』
「なんで、」
『なんで知ってんのかって? そりゃあ──』
黒いドラゴンが光り輝いてそれが人型に縮んでいく。
『《記憶改変》でしたー! じゃじーん! パフパフ!』
「「はあ?!」」
「え、お前、え??」
「ど、どういう事??」
「……」
「フェンさん、何が、」
光がおさまりその瞬間、いつもの聞き覚えがある気の抜ける様な言葉が──
【組織】のメンバー《記憶改変》だった。何故、いやどこから情報の処理をして良いのかみんな混乱してる中、ずっとにゃんこは黙ったまま《記憶改変》を見てる。
「《記憶改変》お前さんの目的は我々を殺す事か?」
『んー? にゃ言葉忘れてるぞ《コピー》まぁ、そうだなその予定だった。最初はね』
仲間だった《記憶改変》が自分達を殺す? 信じられないと彼を見る。いつもどこかおちゃらけて、ひょうひょうとしてる。掴み所がない存在。
それに《コピー》にも違和感、いや……なんだこれは。
『まー、どこから話すか。とりあえず、俺の名前はクロくんって呼んでね!』
「「……」」
クロくんって、言われても殺すと言われたから皆武器は持ちながら警戒をする。それを、気にしないのか《記憶改変》はさっきの戦闘でボロボロになってる床に座り話し始めた。
『1番簡単に言うとこの世界を作ったのが俺なんだけど』
「は、何いってんだ、てかそれじゃあ神ってことか?」
『んー、まあ人によっては神でも良いけどどっちかって言ったら管理者の方があってるね。神は作って任せてるし。』
《記憶改変》の口から飛び出す言葉に毎回みんな驚き困惑戸惑い。自分もそれが本当なのかなんて信じられないし、《記憶改変》の見た目じゃそこら辺にいる普通の人と変わらないし……
「っ、チ! それで、神が本当でアンタの目的は何なんだ!」
『ずいぶん感情的だね《変化》は、んー、そうだな。端的に言えばこの『俺ら』を殺せる相手を作る、それが目的本懐ってやつかな。』
「「殺す事ってなにそれ」」
意味が分からない。それに複数形だった? 《記憶改変》が複数居るってこと……?
『で、この魔力で暴走しがちに設定して魔力保持を高めて、リーダーに会った時に《力》を与えあげてそれらが集まる【組織】も作ってさ。別の所から本当は黒いトカゲ連れてこようと思ったら嫌がられちゃったからまあ、『俺』が変身してさっき攻撃してみたけど、やっぱまだまだかぁ。』
? ? ? なに、言ってるんだ、本当に。リーダーはこの事を知ってるのか? 力を与える? 組織を作る?
「リーダー……は、あんたが何もんなのか知ってんのか?」
『あの時に会った=《記憶改変》だとは思ってないと思うけど。まぁ、目の前で最愛の人が魔力暴走で木っ端微塵になってボーゼンとしてたからね? じゃあ《能力者》集めて【組織】でも作ってみたらー? ってさ』
「そんな言い方、血も涙もない無いのかよ!」
「……」
へらへらしながらそういう話をする《記憶改変》にロイくんが怒る。それでもなお、《記憶改変》の言い方は変わらない。
『まぁ、目的は色々あるんだけどさ。とりあえず、2人呼んできたよ』
「「此処は……?」」
「《先読み》! 《時止め》!」
「えっ、あれ、全員集まってますね、サキ様」
ロイくんの《転移》でもなく、《記憶改変》の横に現れたサキさんとトキさんの2人。
目の前に私達がいて変な場所にいるせいか、彼女らも戸惑ってる。すかさず、赤さんが彼女らをこっちに連れてきた。
「大丈夫? 怪我はない?」
「ええ、これはいったい……」
「とりあえず、《記憶の共有》をつかうにゃ。」
+メモ
秘密結社【プラムプトゥリィ】
先読み:サキ:車椅子の女の子
時止め:トキ:車椅子側近の眼鏡をかけた女性
転移:弓:ロイ:フードを被った無口な少年
魔石生成:ハンマー:フェン:仮面を付けた青年
記憶操作:手脚火:赤:赤い髪の少女(双子の姉)
認識操作:扇子水:青:青い髪の少女(双子の妹)
記憶改変:クロくん:黒髪黒目の少年
コピー:爪:人語を話す黒猫
変化:大剣:ユナ:50代のおっさん
ドラゴン色々
伝説系ドラゴン…中々お目にかかれることはないが人に変化して街にいる者も居るし、長く生きてても人間みたいにならない者も居る。基本的に無駄に長生き+辺境住みの為凝り固まったお年寄り感がある(若者に化けても喋り方や考え方が)
基本同じ種類のドラゴンが少ない、もしくは自分だけになってしまった。と遠い昔思い出しがち
討伐されがちドラゴン…冒険者から討伐されがち、大体ドラゴンでいうとヤングだったり中2病みたいなヤンチャ盛り、ちょっと強くて勘違いしてヤラれるみたいな。一応人間には圧倒的脅威にはなる。それぐらいの力の差はある為、大勢の人間が攻めてきがち。魔石はかなりのモノだし、鱗や肉等どの部位も使い勝手がいい。人間からすれば倒せればロマン。
召喚系ドラゴン…人間が召喚して使役するタイプの一応契約がある為仕方なく従ってるが基本冷ややか。余程の人間好きじゃなければ。悪魔召喚より良心的、良家召喚しがち
使役タイプドラゴン…騎士団で扱うワイバーン種。野生は針山みたいな場所に生息してるが、この手のドラゴンは卵から孵し人馴れさせる。産まれた頃から人間と過ごしてる為基本的に従順。扱いが酷いと戦地に行った時に逃げ出したり飼い騎士がやられ野良になる事もある。
リザードマン…彼らはトカゲであってドラゴンではないのだが、そういう見た目に化けるドラゴンも居る。爬虫類多めの化け、人間に角や翼などがあるパターン色々
骨ドラゴン…討伐され死体が無残に放置されその者の怨念、もしくは近くの魔物たちの魂が集まり死体を動かす。理性がなくなった分普通のドラゴンよりも脅威、毒系や死霊などの攻撃をしてきがち、迷宮ではボーンドラゴンと死体、媒体を用意しなくても出せる。
他も色々あるが割愛。
《召喚:大波》…今回のは一方向から出して対象を押し流す水系魔法、出した水は消える不思議だね
過去の魔力暴走4
とある夫婦が仲睦まじく暮らしていた。が、妻が謎の病で倒れる。色々と施したが夫の目の前で彼女の体内にあるマナが膨張し木っ端微塵になり消滅する。被害は半径5mほど。最愛の妻を亡くし打ちひしがれる彼の目の前に『』は現れる。『』は悲しみのどん底に居る彼に《力》を与え──のあと彼は自分と同じ様にならない為に各地で起きるようになる魔力暴走を解決する為に【組織】を作り活動していくことになる。
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