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事後調査
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タオが美味しいお菓子に舌鼓を打っていた頃、ヒドラに襲われた村の跡地では、アンドレとレイアによる事後調査が進められていた。
「……どう思う?」
「冒険者としての見解を言わせてもらえるなら、これはあり得ませんね」
「やはり、そうか……。予想はしていたが、これは何者かによるラモス領への攻撃ってことで間違い無いかな」
「まぁ、そうでしょうね。ヒドラが通った跡は、アケロンの大河から真っ直ぐ領都へと向かっています。
こんなの、ふつうの魔物の動きとしてはあり得ません」
「う~ん、ちなみにだけど、ふつうの魔物でないならどうだろうか? 強い魔物の中には、知性を持つものもいると聞くが……?」
「……確かに、そんな話も聞きますけど、私が見た限りでは、あのヒドラにそのような知性があったようにはとても……」
「そう、だな……。そうなると、やはり誰かによってあのヒドラは操られていたと考えるべきか……。
だが、そうだとして、一体誰がどうやって? ヒドラを操る魔法など聞いたこともないし、そもそもの話、どうやってあのアケロンの大河を越えて魔の森の深部からヒドラを連れて来る?
人の身で、本当にそんなことが可能なのか?」
「さあ? そんな人、私の知る冒険者の中には一人もいませんけど……あっ、一人いましたね。
タオちゃんなら案外できちゃうかも知れません」
「あぁ、確かに! タオ殿であればあるいは……。
だが、タオ殿に限ってそれはあり得ない話だよ」
(なにせ、彼女は父の命を救ってくださった正真正銘の女神様だからね)
「そうですね。いくら強いからって、あんなにかわいい娘がそんなことする訳ないですしね」
(かわいいは正義! その辺の下品な脳筋冒険者どもとは生き物としての格が違うんだから)
「ハハっ……そうだね」
魔物の専門家でもある冒険者ギルドとの合同調査。
そこで分かったことと言えば、魔の森から出てきたヒドラがアケロンの大河を渡り、そのまま一直線に領都ラモスを目指していたということだけ。
他には目もくれず、真っ直ぐにだ。
こんなこと、レイア嬢に言われるまでもなく、常識的にあり得ない。
今回襲われた村にしても、たまたまラモスへの通り道にあったというだけで、通り道から外れた他の村は一切襲われていない。
つまり、この村が襲われたのは偶々で、元々ヒドラの狙いは始めからラモスにあったということ。
これが人為的でなくて何だというのだ。
群雄割拠。複数の都市国家が乱立するこの西方世界で、他領の領主に戦を仕掛けられることなど珍しくもないが……。
単なる魔物被害でもなく、さりとて他領からの攻撃とも言い切れないこの状況をどうすべきか。
調査が終われば、毒に穢された土地の復興支援も必要だが、その前にヒドラの素材売却の問題もある。
カテリーナの機転で売却窓口は冒険者ギルドとなってはいるが、流石に交渉相手が他領の領主クラスになれば、ラモス家としても完全に冒険者ギルド任せともいかないだろう。
何より、間に入って実際に実務を担うレイア嬢が可哀そう過ぎる!
魔物相手ならともかく、交渉ごとには一切向かないあのギルマスに、政治向きの話などできるわけがない。
全てを押し付けられて苦労するレイア嬢が目に浮かぶではないか。
そんなことは、ラモスを治める次期領主として看過できない!
いや、恐らく、次期領主ではなくなるか……。
タオ殿の話が本当なら、父上の寿命は私よりずっと長い。
おまけに、病気にも怪我にも毒にも強いとなれば、私より長生きするのは確実だろう。
であれば、このまま父上が領を治め、それこそ私が死んだ後にでも、改めて新たな妻を迎えてゆっくりと後継を作ればいいだけの話だ。
父上よりも早く死ぬ私に、ラモス領を引き継ぐ意味などこれっぽっちもないのだから……。
(領主を継ぐ必要がないなら……婚姻の相手を私が自由に選んでも問題ないのでは……?)
「……できるできないはともかく、一度タオちゃんの意見を聞いてみるのはいいかもしれませんね」
「えっ!?」
(確かにレイア嬢に告白するにしても、事前にタオ殿に詳細を確認するべきか)
「このような不可思議な事件の原因究明など、凡人の私たちには荷が勝ち過ぎてますよ」
「えっ? ……ああ、そうだね。我々で調べられそうなことはおおよそ調べ終えたし、一度タオ殿と話をしてみよう」
「ええ、ぜひ、そうなさってください。あっ、その時には、できれば私も同席させていただけると嬉しいです!」
タオ殿贔屓のレイア嬢が、この機会を逃すまいと話し合いの席への同席を求めてくる。
私ではなくタオ殿に夢中なのは気に入らないが、今回の事件でレイア嬢と話せる時間を多く持つことができた。
ヒドラ襲来は決して喜ぶべきことではないが、最近はレイア嬢と話せる機会も増えたし、何より彼女と結ばれるという可能性も生まれてきている。
父が何歳まで子作りできるかについてはタオ殿に今一度確認する必要があるが、もし問題が無いようなら、父に話して正式に次期領主の座を返上し、この想いをレイア嬢に告げたい。
いや、勿論、レイア嬢に断られるという可能性もあるにはあるのだが……。
「……どう思う?」
「冒険者としての見解を言わせてもらえるなら、これはあり得ませんね」
「やはり、そうか……。予想はしていたが、これは何者かによるラモス領への攻撃ってことで間違い無いかな」
「まぁ、そうでしょうね。ヒドラが通った跡は、アケロンの大河から真っ直ぐ領都へと向かっています。
こんなの、ふつうの魔物の動きとしてはあり得ません」
「う~ん、ちなみにだけど、ふつうの魔物でないならどうだろうか? 強い魔物の中には、知性を持つものもいると聞くが……?」
「……確かに、そんな話も聞きますけど、私が見た限りでは、あのヒドラにそのような知性があったようにはとても……」
「そう、だな……。そうなると、やはり誰かによってあのヒドラは操られていたと考えるべきか……。
だが、そうだとして、一体誰がどうやって? ヒドラを操る魔法など聞いたこともないし、そもそもの話、どうやってあのアケロンの大河を越えて魔の森の深部からヒドラを連れて来る?
人の身で、本当にそんなことが可能なのか?」
「さあ? そんな人、私の知る冒険者の中には一人もいませんけど……あっ、一人いましたね。
タオちゃんなら案外できちゃうかも知れません」
「あぁ、確かに! タオ殿であればあるいは……。
だが、タオ殿に限ってそれはあり得ない話だよ」
(なにせ、彼女は父の命を救ってくださった正真正銘の女神様だからね)
「そうですね。いくら強いからって、あんなにかわいい娘がそんなことする訳ないですしね」
(かわいいは正義! その辺の下品な脳筋冒険者どもとは生き物としての格が違うんだから)
「ハハっ……そうだね」
魔物の専門家でもある冒険者ギルドとの合同調査。
そこで分かったことと言えば、魔の森から出てきたヒドラがアケロンの大河を渡り、そのまま一直線に領都ラモスを目指していたということだけ。
他には目もくれず、真っ直ぐにだ。
こんなこと、レイア嬢に言われるまでもなく、常識的にあり得ない。
今回襲われた村にしても、たまたまラモスへの通り道にあったというだけで、通り道から外れた他の村は一切襲われていない。
つまり、この村が襲われたのは偶々で、元々ヒドラの狙いは始めからラモスにあったということ。
これが人為的でなくて何だというのだ。
群雄割拠。複数の都市国家が乱立するこの西方世界で、他領の領主に戦を仕掛けられることなど珍しくもないが……。
単なる魔物被害でもなく、さりとて他領からの攻撃とも言い切れないこの状況をどうすべきか。
調査が終われば、毒に穢された土地の復興支援も必要だが、その前にヒドラの素材売却の問題もある。
カテリーナの機転で売却窓口は冒険者ギルドとなってはいるが、流石に交渉相手が他領の領主クラスになれば、ラモス家としても完全に冒険者ギルド任せともいかないだろう。
何より、間に入って実際に実務を担うレイア嬢が可哀そう過ぎる!
魔物相手ならともかく、交渉ごとには一切向かないあのギルマスに、政治向きの話などできるわけがない。
全てを押し付けられて苦労するレイア嬢が目に浮かぶではないか。
そんなことは、ラモスを治める次期領主として看過できない!
いや、恐らく、次期領主ではなくなるか……。
タオ殿の話が本当なら、父上の寿命は私よりずっと長い。
おまけに、病気にも怪我にも毒にも強いとなれば、私より長生きするのは確実だろう。
であれば、このまま父上が領を治め、それこそ私が死んだ後にでも、改めて新たな妻を迎えてゆっくりと後継を作ればいいだけの話だ。
父上よりも早く死ぬ私に、ラモス領を引き継ぐ意味などこれっぽっちもないのだから……。
(領主を継ぐ必要がないなら……婚姻の相手を私が自由に選んでも問題ないのでは……?)
「……できるできないはともかく、一度タオちゃんの意見を聞いてみるのはいいかもしれませんね」
「えっ!?」
(確かにレイア嬢に告白するにしても、事前にタオ殿に詳細を確認するべきか)
「このような不可思議な事件の原因究明など、凡人の私たちには荷が勝ち過ぎてますよ」
「えっ? ……ああ、そうだね。我々で調べられそうなことはおおよそ調べ終えたし、一度タオ殿と話をしてみよう」
「ええ、ぜひ、そうなさってください。あっ、その時には、できれば私も同席させていただけると嬉しいです!」
タオ殿贔屓のレイア嬢が、この機会を逃すまいと話し合いの席への同席を求めてくる。
私ではなくタオ殿に夢中なのは気に入らないが、今回の事件でレイア嬢と話せる時間を多く持つことができた。
ヒドラ襲来は決して喜ぶべきことではないが、最近はレイア嬢と話せる機会も増えたし、何より彼女と結ばれるという可能性も生まれてきている。
父が何歳まで子作りできるかについてはタオ殿に今一度確認する必要があるが、もし問題が無いようなら、父に話して正式に次期領主の座を返上し、この想いをレイア嬢に告げたい。
いや、勿論、レイア嬢に断られるという可能性もあるにはあるのだが……。
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