人生フリーフォールの僕がユニークスキル【 大落下 】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のために戦ってたら知らぬ間に最強になってました~

THE TAKE

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第4章 インフェ・グレーゴル・ドルード12世編

第203話 余所者のわがまま

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 違和感のある言い回しに僕ら二人の額にしわが寄った。「どのような意味か?」と問うミグネフの言葉に首を振ったヴェルニは、自らの力が及ばぬばかりにと、言葉を付け足した。


「貴殿らも存じているように、隣国は稀にみる混乱状態にある。特に我ら竜族の民は、大規模な騒乱に巻き込まれ、未だ立て直しの最中にある。どれだけ我らが認めたとして、全てがまかり通るわけではないということだ」

「それは理解している。しかし貴殿らが認めても話が通らないというのは一体どういう――」


 ミグネフが言い終わらぬうちに、穴底の地面がドンと揺れた。「何事だ」と僕らが困惑している間にも立ち上がったヴェルニは、舌打ちしながら天井を見つめた。


「言ったであろう。我らとて一枚岩ではないと。我ら以外の誰かが貴殿らを襲ったとて、それは我らの意志とは無関係だ」


 敵の存在を匂わせたヴェルニの言葉をきっかけに、緊張感が漂い始める。慌ただしく動き始めた周囲の面々が、この状況が異常事態であることを暗に示していた。
 玉座をたったヴェルニは、部下である数名を事態の収拾へと向かわせ、その他の者たちには領民の安全確保を第一にと命じた。どうやらこの急ごしらえの穴のどこかに『領民』と呼ばれる他の竜族もいるのだとわかり、ミグネフはアゴに手を置きながら提案した。


「我らも手をお貸ししようか。どういたそう?」

「……いや、それには及ばぬ。これは我々の戦いだ」


 身にまとったローブを翻したヴェルニは、無表情で僕を一瞥したのち、部下たちを引き連れて広間を出ていった。アワアワするばかりの僕に対して、ミグネフは眉にしわを寄せながらドンと肩に手を置き、耳元で呟くように言った。


「なんだかよく知らんが、奴らもバタバタしてるらしいな。町が消えてなくなっちまったことと関係もあるのだろうが。……こうなれば、長居は無用かもしれんな」

「そ、それはどういう……?」

「そのままの意味だ。余計な争いに巻き込まれる前に、ここを出た方がいいらしい。我々は一旦本隊へと戻り、様子を見て補給のみを実施し、すぐに出立する。準備しておけ」


 最後まで僕らを見つめていたダナンが立ち上がったのをきっかけに、僕らは飛び出していく彼らを横目に見つめながら、そそくさと逃げるように穴を抜け出した。僕はミグネフに先導されるまま穴の縁で身を隠しながら、そこで巻き起こる事態を眺めていた。


「敵は竜族の集団か……。状況を見る限り、どうやらここに住む者たちではないらしいな」

「僕らが山で遭遇した集団と同じでしょうか?」

「それはわからん。しかし奴らがここで身を隠すようにして警戒していた理由はわかった。そして真竜国が未だ他国へ攻め入らぬ理由の一端もな」


 真竜国の内情を知らない僕らにとって、この状況がイレギュラーであることに変わりはない。さらにまた別の争いが起きているのだとすれば、僕らの考えてきた計画も、また変更を余儀なくされるかもしれない。
 しかし今の僕らに、そんな泣き言を言っている余裕はない。言ってみれば、僕らも多くのものを賭けてこの場所にいる。ここで足止めをくらい、最終的に真竜国の王都へ辿り着けなければ、僕がインフに会う最初で最後のチャンスは消えてしまう。結果はどうあれ、手をこまねき、ただ漠然と見つめている時間はもうないのだから――


「ミグネフさんは、先に隊へ戻って王様たちに状況を伝えてください」

「なんだと? お前はどうするつもりだ」

「僕は彼らに加勢します。少しでもみんなの安全を確保するために!」

「……わかった、しかしやりすぎるなよ。我らはあくまでも他国の軍勢。奴らとて、いつこちらへ牙を剥くかわからん。油断するなよ」


 隙を見て散り散りになった僕らは、片や本隊へ、片や加勢へと二手に分かれた。僕はミグネフが見えなくなったところで、すぐに心の中でヴェルニに呼びかけた。しかしすぐに返答はなく、僕は仕方なく穴の近くにあった背の高い木々の天辺へと登り、戦況を確認するため目を凝らした。

 数多のドラゴンたちが、互いに牙を剥き、戦闘を続けている。中でも穴の中央から真っ直ぐに上がった領域では、周囲の景色が濃い魔力で歪んでしまうほど激しい応酬が繰り広げられ、僕は思わず息を飲んだ。


「ドラゴンの戦いってやっぱり凄いな……。なんて言ってる場合じゃなかった。ええと、ヴェルニさんはどこに……。いた、あそこだ!」


 墨色に歪んだ景色の中央付近。そこに竜族本来の姿に戻り、争いに加わったヴェルニの姿があった。いつか見た漆黒の肉体を雄大に震わせながら、迫りくるドラゴンの集団をブレス一つで落としていく。しかしすぐさま襲いくる二の矢、三の矢に手を焼き、なかなか均衡を破れないでいるみたいだ。

 僕はフゥフゥと大きく深呼吸を繰り返してから、グググッと両膝を曲げて腰を落とし、今の自分にできる最大の力で木の枝を踏み切った。そしてヴェルニの戦う空中戦のど真ん中目がけ、一直線に突進を開始する!


「これ以上、時間をかけてる場合じゃないんだ。悪いけど僕らの目的のために、みんな大人しくしてもらうよ!」

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