人生フリーフォールの僕がユニークスキル【 大落下 】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のために戦ってたら知らぬ間に最強になってました~

THE TAKE

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第4章 インフェ・グレーゴル・ドルード12世編

第206話 僕らにできること

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 ポンさんの言いたいことはわかる。
 しかしミグネフの言葉を事前に聞いている以上、譲歩の可能性はまず考えられない。何より僕らの後ろには、メガリーストのトップに君臨している王の存在がある。その絶対的象徴が同行している以上、安易な妥協による口裏合わせや、王への侮辱とすらなりかねない回答をミグネフが選択することはない。

 二つに一つと言いつつも、既に可能性は一つに限られている。
 だとしたらどうすべきか、僕らが選択しなければならないのは、その先の話だ。


「ポンさんは、どう動くのが正解だと思う?」

「まず絶対的に優先なのが王の命で、そこはどうあっても変えられへん。俺らがこの国のど真ん中に到達するためには、アレの存在が必要不可欠や。死んでも無事にいてもらわな成立せぇへん。そしてもう一つ重要なんが、俺らも穏便に町を出るっちゅうことや。もし俺ら三人の存在が中央にバレたら、それこそ余計な障壁が増えてまう。せやから確実に処理し、確実に逃亡する。それしかないねん」


 " 確実に処理 " 。
 それは、ヴェルニの思惑を確実に遮断し、全てを穏便に終わらせるという意味だ。
 しかしそれは要するに――


「……最初に西の辺境を落ち着かせてほしいって、彼を焚き付けたのは僕なんだよね。それなのに、僕らの言ったことを言葉通り示してくれた彼のことを、今度は反対に止めなきゃならない。勝手だよね、……本当に」

「それはそれ、これはこれや。残念ながら、互いにあんときとは状況がちゃうねん。アレは西の辺境伯で、おのれはメガリースト王の護衛や。その裏にどんな約束があったとしても、変えられへんもんがあるんや。諦め」


 わかっている。
 全ては僕のわがままと無責任な行動が招いた罰だ。誰かの不幸の上に、僕らの未来は立っている。しかしそれがわかっていたとしても、僕らはもう、歩みを止めることはできない。


「なら急ごう。僕は僕のすべきことをするよ。だからポンさんとカルラさんも協力してほしい」


 頷いた二人を連れ、穴底のさらに下に広がる竜たちの居住区に入った僕らは、まず最優先事項である物資の調達に奔走することとなった。

 確かに最終的な答えは決まっているかもしれない。しかしだからといって、ミグネフがそうそう簡単に決断を下すはずはない。最大限に返答を引き伸ばし、僕らや王の部隊が状態を立て直す時間を確保するよう努めるはずだ。それだけの知性と力を、あの人は備えている。だからこそ確実に、事が起こる前に全ての条件を整える。今の僕らにできることはそれしかない!

 タイムリミットはそれほど長くないはずだ。事と次第によっては、即刻戦闘に移行してしまう可能性も高い。何よりグニルの残党が再び襲ってくるなど想定すれば、自由に動き回ることはおろか、即時退却となり、この場を離れる選択を取ることにもなりかねない。

「なんもかんも、まずは食いもんの調達や。そもそも予定より随分工程が遅れとる。このまんまやと、昼夜問わずの移動も必要になるかもしれんで。回復薬や夜間に使う物資も全然足りてへん。今のうちにできるだけ買い漁るんやー!」

 しかしそこまで都合よく進むはずはない。何より僕らがいるのは急ごしらえの暫定的な町で、そもそもふんだんな物資や食料などあるはずがないのだ。なにより町には竜たちと行動を共にする人族や獣人族も多くいたが、誰もがよそ者である僕らのことを肯定してくれるわけではない。メガリーストの特使であることを示す腕章があるため直接的な行動を取る人はいないけど、隙あらば牙を剥こうとしている者もいるに決まってる。

 そうして警戒しながら走り回ってみたものの、商店も疎らな活気のない居住区内では、十分な物資の確保などできようはずもなかった。

「あかん、こんなじゃ今日明日の肉を買うんで精一杯や。しかも旧態依然としたメガリーストの衛兵が押し寄せてきたとなれば、ますますガードは固くなるばっかやで。う~む、もう詰んでる気ぃするなぁ、クチャクチャ」

 串に刺さった硬い肉を不味そうに噛み締めながらポンさんが呟いた。
 今はまだ竜族たちも僕らのことを半信半疑で目視する程度に収めてくれてるけど、恐らくヴェルニの一言で状況は一変する。メガリーストの腕章をしている僕らの存在は、彼らにするといわば人質。戒厳令が敷かれた時点で、彼ら全員が僕らの敵になってしまう。

「しか~も、俺らは目立つことなく、中央に絶対悟られんようにせなあかん。こ~れはム~ズいミッションやで。できることは、ただ逃げるしかあらへんのやさかいに」

 深入りせず、それでいていつでも逃げられるように。
 しかしそんな僕らの願望を嘲笑うかのように、突然居住区の屋根が激しく揺れた。「また奴らだ!」と口々に叫ぶ住人が避難に走る中、僕らは急ぎ、居住区の入口へと向かった。しかし――


「残念ダガ、誰一人ココヲ通スワケニハイカナイ」


 怪しく眼を光らせる人物がひとり。
 離れた場所からでもわかるほど、全てを威圧する迫力を持つ男が、僕らの行く手を遮った。

 ヴェルニの配下であり、かつ恐らくはこの拠点のナンバーツーである実力者。
 ダナンであった。
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