人生フリーフォールの僕がユニークスキル【 大落下 】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のために戦ってたら知らぬ間に最強になってました~

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第4章 インフェ・グレーゴル・ドルード12世編

第208話 地獄の暴走黒竜

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 音を立てて足場が崩れ始めた。
 カルラがポンさんの頭を踏み台にしてダナンに斬りかかるも、まばゆい光の壁にはばまれ、弾き返されてしまった。


「こんボケカスっ、俺の頭を足場にすな!」

「クッ、何がどうなっている!?」

「知るか! そんでも俺らがハメられたっちゅうことだけは確かや。下見てみぃ!」

 底が抜け、これまで見えていた地面がブラックホールのような闇へと変貌し、僕ら全部を吸い込むように手招きしている。頭上で見つめているダナンは、光の壁の外側から落ちていく僕らを覗き込み、神妙な面持ちでさらに先を見据えているようだった。


「ダナンさん、さっきがどうとかって」


 遠くなっていく彼の顔を一点に見つめて呟く。しかしその直後、その場の全てを揺るがすほどの咆哮が穴全体に響き、僕ら三人は思わず耳を塞いだ。


「なんや、なんの声や!?」

「下から聞こえたようだが……。なんだあれは?」


 冷静なカルラの呟きから数秒後、底の見えない闇の先で微かに何かが光った。僕はなんだかとても嫌な予感がして、思わず二人を抱えて穴底の縁にへばりついた。その時だった――


 恐ろしいほどの閃光。
 穴底から発された焼け付くほどの熱線が、さっきまで僕らがいたあたりを貫通し、天井の魔力障壁に衝突し、激しい爆発を巻き起こす。風圧に吹き飛ばされそうになりながらギリギリで壁にへばりついた僕は、二人が飛ばされないよう必死にもがいた。


「な、なんやねん、今のシャレにならん攻撃は!?」

「どうやら下からのようだ。……何かいるな」


 鈍く輝く地下の光が青白く点滅し、僕らの姿を怪しく見据えている。熱線を吐き出したであろうその場所からは、揺らいでしまうほどの魔力が紫色の水蒸気に反射し、そこに存在するナニカを薄っすらと照らした。

 そして続け様の熱線が三発。
 僕はポンさんを抱えて壁を踏み切り、カルラは垂直に切り立った壁を走り、熱線をものともせず敵の元へと駆けていく。同じ熱量の爆発が天井に反射し爆発すると、その圧力が僕らの背中を押し、さらに穴底へと僕らを追いやった。さらにその爆発の光が反射し、闇の中で蠢く巨大なシルエットを映し出していく。

 身の丈は、50メートルはくだらないだろうか。穴底を塞いでしまいやしないかと錯覚するほど大きく壮大で骨っぽい翼を威嚇するように開いたソイツは、その質量を補って余りあるほどの声量で叫び、僕らを威嚇した。


「なッ!? まさかあれは……!?」


 驚愕しながらも、カルラがシルエットの正体へと距離を詰め、腰に挿していた二本の短刀で斬り掛かった。しかし鈍い音で彼女の攻撃を弾いたソレの身体は、僅かな傷がついただけで、さしてダメージがない。それどころか――


「ホギュアァアアアア!!」


 攻撃は新たな怒りを買い、新たな熱線となって立て続けに放出された。文字通り闇雲に放たれた超高温、超高魔力の一撃が、ほんの数秒で周囲の風景を変えていく。

 僕の背中で「ギィエエエエエエ!」と悲鳴を上げていたポンさんは、落下の最中、次第にくっきり見えてきたその巨体を目前にし、それはそれは恐怖に満ちた奇声を上げたのだった。


「い、い、い、やてー!? なんでこんなとこに、そんなもんがおんねーんッ!?」


 ポンさんがそう呼んだ巨大なドラゴンは、全身から溢れる魔力を熱に変え、連続で口から熱線を吐き出した。無尽蔵に湧き出す魔力が周囲を明るく照らし、いつしか穴底がドラゴンの放つ熱でギラギラと燃え滾っている。


「ちょ、ちょっとポンさん! なんなのアイツ!?」

「『最古の黒竜』て呼ばれてるたぐいのバケモンや! 目に付く全部をぶっ壊すまで暴走し続けるほどメチャクチャやから、一部では『絶対皇帝』なんて呼ばれる最悪の竜やねん」

「な、なんでそんなのがこんなところに!?」

「そんなん知るか! せやけど最悪や、アレは俺らがもっとも相手したくない部類の敵やねん」


 妙な言い回しで「アバババ」と慌てているポンさん。攻撃を諦めて戻ってきたカルラも、どうやらその黒竜のことを知っていたらしく、額に汗を滲ませながら苦笑いをこぼしている。


「カルラさん、アイツの何が最悪なんですか!?」


 ゆっくりコチラを向いた彼女は、まるで僕の何かを想像したかのように、数秒時間を開けてから、ふぅと息を吐きつつ言った。


「……できないんだよ」

「……できない?」

「奴は例えそれがどれだけ強いドラゴンでも、例えそれが竜族の王であっても」

「王であっても……?」

「……一切制御が効かない」

「せ、制御が……? って、それどういう!?」


 苦笑いをこぼしながら、カルラが再びドラゴンに突進していく。彼女の後ろ姿を見つめながら僕の頬を指で思い切り突いたポンさんは、まるで僕自身に言い聞かせるように、周囲の音を掻き消すほどの声で叫んだ。


「アイツ、メッチャアホやねん! ドチャクソ強いけど、誰の言うことも聞かへんし、誰の制御も効けへんし、どんな奴が相手でも死ぬまで延々ツッコミ続ける、超無能かつ大バカで有名な無限機関、人呼んで、『地獄の暴走黒竜』とはコイツのことやー!!」
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