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三年生 百合のハンカチ
しおりを挟む「先生」
「こんにちは。今日は、どうしました」
どうもしない、普通の日。先生に、会いに来ただけ。
「お腹、痛いかも……」
「いらっしゃい」
ちら、とベッドの方を見る。一番窓際のベッドの、カーテンが閉まっている。
「誰か、休んでるの?」
「奥でね。熱が出てしまったから、親御さんを待っています」
じゃあ、いちゃいちゃできないじゃん。空気読んでよ、熱の子(ひどい事言ってるって、分かってるよ)。
「だから、静かにね」
先生は立ち上がり、私の頬を持ち上げて、キスをする。舌を入れて、えっちなやつ。うそでしょ。私は爪先立ちになる。
だめ、先生。私、癖で、あなたに教わったから、癖で、喉が鳴っちゃう。
「ん、んっ」
「先生……?」
ほら。カーテンの向こうの子に、聞こえてる。
「どうしました?頭、まだ、痛い?」
唇を離して、でも、私を抱き締めて、髪を撫でながら、向こうに声を掛ける。悪い先生。
「氷枕、冷えたやつに替えてほしいかも」
「分かりました。少し、待ってくださいね」
待ってくださいね、って。私と目を合わせて、言うんだ。本当に、悪い先生。
冷凍庫を開けて、緑色の氷枕に薄いタオルを巻いて、先生はそちらへ行く。私は、先生の机を見て、待つ。
机の上の、白いハンカチ。お花の刺繍がしてあって、きれいにアイロンが掛かってる。手に取って、香りをかいでみる。柔軟剤? 香水かな。とっても、いい香りがする。先生にぴったりくっ付いた時と、同じ香り。 私は目を閉じて、膝を擦り合わせて、何だか、変な気持ちになる。
ぱたん、と音がして、そちらを見る。温くなった氷枕を、冷凍庫に入れた音。
「かわいい子。私のにおい、した?」
私にだけ聞こえる声で、耳元で、囁く。私はハンカチを当てたまま、頷く。
「耳まで真っ赤。私の声で、感じてるの?」
先生が、耳たぶを噛む。声が、出そうになる。
「ハンカチ、差し上げます。それで、声、我慢してね」
私はあなたの言うなりで、ハンカチで口を抑えながら、耳や、首や、うなじに、何度も何度も、キスされた。
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