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愛斗
会いたくなかった2
しおりを挟む毎日毎日兄にこき使われる日々。
兄が気に入らない食材を使ったりリクエストにそぐわないと殴られ「お前の小遣いで代わり買ってこい」と怒鳴りつけられた。
中学に上がって定期テストの期間になっても
「お兄ちゃんや颯人に比べたら大したことないでしょ?」
と母親に言われる始末で。
家事くらいは完璧にできて当たり前。
うっかり忘れたら怒られて当然。
そんな風潮が完璧に出来上がってしまっていた。
颯人だけは俺に懐いていて優しかったのがせめての救いだったよ。
ただこれはまだ序の口。
兄が高校に上がったとき
ここからが酷かった。
ちょうどその頃俺はゲイを自覚したんだ。
そしてこっそり”そういう”雑誌?を買い始めた。
それが兄にバレてしまったんだ。
「コレ、お前の、だよな?」
ヒラヒラと眼の前に雑誌を突き出され真っ青になったよ
(バレた…どうしよう…)
「その反応…お前ホモなの?」
「…」
「ふーん…そうなんだ~じゃぁ」
嫌な予感がしたがうまく動けなかった。
次の瞬間ベットに押し倒される。
「溜まってるしヤらせろよ」
「え?」
「男なんか興味ねーけどオナホぐらいにはなるだろ」
正気とは思えなかったよ。
けど反論も抵抗もできないうちに服を剥がれ…
無理やり犯された。
怖かった。
なんで俺がこんなことされなきゃならないんだ。
あ。俺が”ダメなやつ”だからか。
兄にも弟にも劣る”ダメなやつ”だから。
これしか思いつかなかったよ。
その日は泣いて泣いて泣いて泣いた。
兄は事あるごとに俺を犯した。
来る日も来る日もアイツが”溜まる”度に
俺が中3のときまでそれは続いたんだ。
いつの日だったか、突然兄が男2人と女1人を家に連れてきた。
…で、その女ってのがさっき話した今日会った元カレの今カノ。
「ほんとにヤッちゃっていいのか?綾人」
男の1人が言った。
「ああ。気が済むまでいいぜ」
「じゃあコレ、使おうや」
もう片方の男がそう口にした。
と同時に口になんやら錠剤をツッコまれる。
兄が俺を引っ張って部屋に放り込んだ。
なんか身体が暑い。
意識が朦朧とする。
今思えば飲まされたのは媚薬的なものだったのだろう
取り敢えず苦しかった
「マジで効いてんじゃんw」
「うわキッツw」
「どーでもいいから早くヤろーぜ」
当たり前のように俺は男3人に嬲られた。
3人は媚薬のせいで乱れる俺を馬鹿にしたように笑いながら至極楽しそうに俺を輪姦した。
女は何故か動画を取ってるようだった。
怖いと気持ちいいがないまぜになったまま犯され何時間が経ったのだろう。
気がついたら俺は裸のままベットの上に1人放置されていた。
こういうことが2、3度あった。
もう限界だった。
数日後いつものように抱こうとしてきた兄を拒否った。
「は?お前、何言ってるかわかってんの?」
「もう限界なんだ!お願いだから止めてくれ!」
「ふーん…わかったよ止めてやるよ」
意外なことにあっさり引き下がった綾人に驚きが隠せなかった。
取り敢えずありがとうと言い(?)、自分の部屋に帰った。
夕飯を作り終えていたのと兄から開放された安心感で寝てしまったらしい。
母親に張り手されて目を覚ました。
「あんたちょっと来なさい」
今までにないほど冷たい母の声に驚いた。
静かに後ろについていく。
「コレ、どういうこと?」
何故かポリ袋に厳重に入れられた使用済みのゴムとゲイ雑誌(?)が眼の前に突き出された。
反論もする隙も与えられずに次々投げつけられる人格否定の言葉。
ひたすら続く罵倒。
体感2,3時間は続いたと思う。
ようやく終わったと思ったら段ボール箱と通帳、判子を渡された。
「荷物をまとめて出てけ」
段ボール箱を抱えて部屋に行った俺を兄はしたり顔で見ていた。
高校受験の合格発表があった日のことだった。
■
追い出された日は公園で取り敢えず夜を明かした。
朝起きてからは必死に取り敢えずバイトを探した。
中学生だったからどこも無碍に断られた。
もう無理だろう。死ぬしかないのか。
そう思って最後に行ったのは街の小さな定食屋だった。
平静を保ちながら話してたつもりだったんだけどね。気づいたら泣きながら事情を説明して懇願してたよ。
俺の運はそこで使い切ったみたいだ。そこの人たちはとても優しくて俺にアパートの1室を貸してくれたんだ。
■■■■■■■■■■■■
「愛斗さ…」
「会いたくなかった!!あいつらにも、お前に
も!!」
「…」
「お前に会わなきゃあの時俺は死ねたのに!!!
もう二度とッ!こんな記憶、思い出さずに楽になれたのに!!!!!!」
ぽたぽたと涙が膝の上でキツく握った手の甲に落ちる。
「…」
「ごめ、八つ当たりだってわかってる…けど…今はこんなことしか言えな…ごめ、こんな命救わずに他の命が…」
俺の言葉を遮るようにぎゅっと神野が抱きしめてきた。
「俺に会ってからの行動の謎が全て解けた。愛斗さん、今の貴方に必要なのは休憩だ。ゆっくり休もう?」
「…」
ぐっと神野を押しのける。
「…寝る。ご飯、鍋と炊飯器にあるから」
「愛斗さん…」
「おやすみ」
1度も振り返らずに寝室(?)にいく。
テキトウに布団を敷き、横になった。
(もう…目が覚めなきゃいいのにな…)
なんであの時死ななかったんだろう。死ねなかったんだろう。
俺は何か悪いことをしたのだろうか…
”でき”が悪かったから?
兄に逆らったから?
ゲイだから?
いつまでもぐるぐると頭の中を駆け回っていた。
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