メイスオブクリスティア

桜bysen

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9話 月曜の章「イヤハルオオトカゲを探しに」

カグツチ編 1&ジェニファー編

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ーー

カグツチ
「ここでお待ちくだされ。」

と呼び掛けると、彼はヒロタ達とは反対側に足を進めて、手を合わせて祈るような姿のやや古臭い仏像の前で止まり、シノビ特有の座りかたで仏像の前で手を合わせる。

ヒロタ
「ん?どうしたんだ?....ん?小さな仏像?」

その仏像は片手で握れそうなくらいに小さく、その下には上面が平たく加工された1つの岩が土台となっていた。

ヒロタ達5人を待たせながらもカグツチは仏像に対してこう口にする。

カグツチ
「...ただいま帰って参りましたぞ、まだ2ヶ月しか経ていないにも関わらず、諸事情で早くもこの地へ久しぶりに来ることがてきたでござる。次お会い出来るのは7月から8月まででしょう。それまではどうかご辛抱を...。」

言い終わると、そこを離れて、ヒロタ達の元へと戻った。

カグツチが足を止め、「待たせて申し訳ない。」と言うと、

ヒロタに「祈願か?」と質問される。

カグツチ
「いや、某の一族にここに帰郷したことを、報告に参ったしだいにござる。」

マリカ
「へぇー、まさかカグツチがこんな綺麗で自然な場所で暮らしてたなんてマジで超知らなかったし。」

ゲイル
「...仏像に報告っていうことは、知り合いはもう...。」

カグツチ
「左様、...全員、亡くなり申した。6ヶ月前のあの夜で...。」

すると、表情を一変させて、俯いた顔の中に瞳が暗く曇りながらも、カグツチは話を続ける。

カグツチ
「某はあの時、滝修行で心身を鍛えていて、その後帰り支度をして帰ろうとしたその時、一瞬ぱっと視界が一瞬白く光って、ふと夜空を見上げると、ひと大きい水色に発光した流れ星が空から降りていき、やがてその流星は一族が暮らしている住みかに衝突し、一族は皆、帰らぬ人となった。」

そして、5人の間を通って、その後三歩くらい離れた距離で話を再開した。

カグツチ
「急いで住みかまで駆けつけると、建物が完全に焼き尽くされ、やがて、燃え尽くされた一族の姿を見て、某は悲しみのあまり...泣き崩れてしもうたのでござる。」

微笑んでいるように見えて、今にも涙を流しそうになる、そんな表情を必死に抑えた。ーー


ーー「”ヴヴヴヴヴヴヴ”」とやや高いうなり声を上げる”それ”は森を駆け抜け、どんどんと地音を鳴らしていく。ーー


ーー

エンリル
「むぅー、疲れたのだーー!」

エース
「そうだな、ここで一先ず休憩するか。はぁ、結構長時間歩いたし...。」

そう言い、川の畔に移動すると、全員岩石に座り込み、仮眠を取ったり、水分を補給したりする中で、エースはジェニファーに体調確認を済ませて、「平気です」と返事を聞きながら

ジェニファーのすぐ隣の岩に座った。

一旦、兄の顔を見て、そのあとに正面に視線を戻し、その下の川の水面を覗くと、次の事を話す。

ジェニファー
「お兄様、私を学園に連れていってくれて、ありがとうございます。おかげで私はエンリルさん達とも仲良くなれましたし、武術や剣術と言った苦手な鍛練もそつなくこなすことが出来ましたし、それに、...ふふ、今、お兄様と一緒にこうして話すこともできて、嬉しいです。」

エース「...ジェニファー。よかった。」

エースは感謝されたことの嬉しさか、ぼーっとジェニファーを見つめ、やや固まったかと思いきや、すぐに笑みを返す。ーー


ーー「”ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ”」ーー


ーー

その後、ルーカスは楽観的ではない真寧にな態度でカグツチにこう聞いた。

ルーカス
「...ほんで、助けは呼んだんか?隣んとこの村とかに。」

すると、カグツチはこう答えた。

カグツチ
「1つ、壁がなければそのようなことも出来たのかも知れぬが、...何しろ、フウマ一族はイヤハルの村人達、タツタイの人々に憎らしい存在として忌み嫌われているのでござる。そのもの達に助けを乞うなど、某には到底無理な話であった。力で追い返され、助けてくれないだろうと思い、そんなことは考えもしなかった。」

ケイト
「他に助けてくれる人は居なかったのか?」

カグツチ
「左様、そんなもの誰一人として...。しかし、師匠である叔父一人だけは巻き込まれずに助かったでござる。...が、その叔父は一族達を埋葬し終えたその翌日に何処かへと消えてしまわれた...。置き手紙だけを残して...。置き手紙には、”私はこれから旅にでる。それもフウマ一族代々伝わる”ニンポウ”を広める為に必要な旅である。もう、しばらくはお前とは会わないだろう。お前も何か好きな事をするといい。”...と。」

そして、ふと、目を見開き、5人のいる方向に振り返り、「失礼つかまつった。いきなりおかしな事を申し上げて...。」と詫びを入れて、また話を続ける。

カグツチ
「しかし、某がここに入ったのも、それ以前から届いた入学願書と師匠からの置き手紙のおかげでござる。だからこそ、学園を入学することができ、ヒロタ殿面々とお会いでき申した。こればかりは師匠に感謝してもしきれまい。」

ヒロタ
「そっか、お前にも複雑な事情があるんだな。俺達もそうだ。お前は何か夢はあるのか?」

ーー

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