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11話 火曜の章「少しずつ浮かび始める苦杯と火種達」
アルフレド編&ファリオ編
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ーー
その翌日、この日は土曜日で、アルフレドは特に部活動がないため、安心して羽を伸ばせることに。
朝食を済ませた後に、北東側の裏口を出ると、穏やかで澄んだ草木と様々な花の咲く寮のような広さの庭園をゆったりと歩く。
そして、右側前方に崖が。そこから降り注がれた滝水はやがてその崖の下の綺麗で清らかな池の中に溜まる。
そんな溜め池の前で足を止め、気持ちよさそうに背伸びをしたり軽くストレッチする。
しかし、実際は気持ちがよくはならなかった。
何故なら昨日、合宿の時のウルムとアギトのことで、教官からとばっちりを受けたからだ。
アルフレド
「ふ~ん。昨日は何故か被害者の僕達が怒られてしまった。少し気分が乗らないね。」
言い方はいつも通りであるが、しかし、トーンがいつもよりも少し低い。
それは当然、アルフレドはその事でやるせない怒りを込み上げたためである。
しかし、それ以上にアギトの不可解な行動が理解できずに怒りを感じてたものが、今思い出せばもう既に怒りを通り越し、やがてはため息気味に呆れてしまうのである。
ともかく、この事はもう水に流そう。
そうだ、関わらなければいい。
アルフレド
「そんな時は女の子達といい話でもして、気分転換をしよう♪おや?」
そんな事を思い、独り言を呟いていると、なんと崖下の潜り穴の所で立ったまま寄りかかり、体を休ませているアギトを見つけた。
アギト「...。」
アルフレド
「...ふーん、早速遭遇してしまったか...。」
(それにしても、僕らが逆に説教をされたんだ、あまり騙されなさそうなナオマサ教官をいとも簡単に信じ込ませる程の演技力がなければ、到底この展開に持っていくなんて無理な話。僕だったら満点中満点を上げるね。...彼のあの時の言葉も全て演技だったとしたら...。)
やや気にくわないとそう思っているも、不可解な相手をまじまじと分析。そして、
(だとしたら、僕達にも想像つかないことを考えている?一体何を考えているのか...ふふ、中々面白い男だね~。これを利用して何か面白いことを...。)
途中で何かを企んでいるような笑みを浮かべながら、ふと何か妙案を考え出す。
(ああ、そうだ。まさかとは思うけど、実はアギトは、僕達の味方、つまり同じ利害関係を持っているもの同士...かな?だとしたら...、信用はともかく、人を操れる程のあの演技力があれば、早い時期に事が進める。...ふふ、面白いことになってきた。早速、彼と接触を...。)
そして、を新たに考えを見出だしたアルフレドは、恐る恐るアギトをに近寄ろうと、ゆっくり自然に歩く。が、その時、アギトがこちらを振り返り、
アギト「....誰だい?」
と問われる。
別に今は人は誰もいないため、こそこそする必要がないと判断したアルフレドは、そんな彼に歩みよりながら、
アルフレド
「おやおや、学園総合一位の天才アギト君。なんというか、君のお陰でナオマサ教官からしっぽりとお灸を据えられたよ~なにもしてないのに♪」
そして、アギトの右隣に足を止めたその時、
アギト
「...さっさと用件を言って。それとも?ただ僕とお喋りしたいって?だったら消えて。じゃないと、またいじめ疑惑を拡散させて、今度こそ君を退学に...。」
険悪な言葉遣いと冷たい視線で追い返そうとするアギトを制すると、自身は挑発的態度で、
アルフレド
「あれぇ?そんなことをしていいのかい?」
アギト「どういうこ...。」
と言い終わりかけた所を遮るように用件を直ちに話し始める。
アルフレド
「これから話す事は君にとって大事な事かもしれないよ?だから、下手に僕を追い出さない方がいい。僕が退学になった真相を知れば僕と長い付き合いのヒロタ達はきっと君を許さない。追い出す作戦を立てるかもよ?」
と言うと、アギトは顎に手を当てて考え込むような仕草を見せる。そして、その後すぐに口を開き、
アギト
「...まあ、確かに下手に君を追い出せないな。けど、大事な?だから?それ、僕に関係ある?」
と、辛辣な感じで聞いてくるアギトにアルフレドはこんなことを答える。
アルフレド
「ソイルの南寄り...。」
すると、瞬時に察したアギトは目を見開き、なぜ、アルフレドを追い出すのはおすすめしないと言われたのか、その理由を理解したアギトは、どこかほっとした表情でふふっ、と笑みをこぼすと、アルフレドにこう言う。
アギト
「...。なるほど...それで僕に話しかけた理由が分かった。なら、君も僕の出身地を当ててみて。」
アルフレド
「いいよ。...君の出身地は~...。」
と言って、彼の出身地を当ててみる。
"ーーーーーーーーーーーー"
...当たったのか、答えを聞いた後...。
アギト
「!...ふふ、ふふふふふ....。不本意だが、どうやら僕の仲間みたいだね。いいよ。特別に聞いてあげる。」
アルフレド
「ありがとう。...他の皆が来ない内に単刀直入にいうよ。...君、僕達と協力しない?きっと悪い話じゃない。これは僕達にも君にも得がある大事なメリット。必ず、君と僕は、待ち望んだ願いを叶えられる。...ね?」
アギト
「いいよ。その話、乗ってあげる。ふふふふふ...。心が満たされていく、何もかも上手く行けば、僕の願いが成就する。...アルフレド・キンバリー。これからよろしくね?」
アルフレド「よろしく.....。」
今まで冷たくあしらっていた彼の態度は嘘のように媚びたような柔らかな対応で相手をしてきた。
対してアルフレドは少し、引き気味だが、それを表情に出さずに、アギトに返事を返す。
しかし、それとは別に、同じ目的の仲間と出会えたことに心から感謝をしつつ、やがてアギトにややねっとりめに握手を交わしたのだった。
これからの計画の材料として利用するために...。
ーー
一方、同日の9時を過ぎた頃、今日は生徒会の活動内容として生徒会役員の7人で大聖堂内の清掃をすることに。
ギルティ
「そんじゃあ、めんどくせぇが、今日の活動内容は大聖堂の掃除だ。まあ、軽くでもいいけど、埃とって綺麗にした方が様になるし、いっちょ適当にやって終わらせっか...。」
しかし、ギルティはあまり本意ではなく、あまりにやる気のない言動と振る舞いに、
セスル「て、適当って...私達は生徒会なんですよ!そんな半端な気持ちで...。」
と、セスルは案の定激昂した。
クラウザー
「まぁまぁ、そんな会長だってやるべきって思ってこそ、そう考えているんだから...。」
エース
「気持ちは分かるが、あれが会長の人柄だからしょうがないよ。」
ギルティ
「...なんか偉く俺の傷口を抉るな君たち...。」
エース&クラウザー「あれ....?」
今にも直情的になりそうなセスルを二人がかりで止めるが、その言い方にギルティは軽く心臓をグサッと刺されるのであった。
ーー
ギルティ
「これ三時間まるごと使ってやるつもりでいっから、全部終わらせる勢いでいくぞ!?」
セスル&ルビー&カズマ
「「はーーい!!」」
まずはキャットウォークの160cm×100cmのサイズの全ての窓を一通り掃除していく。
それをしながら、ふと、ファリオは一学年の三人をちらっと見つめた。
まとめて見た後に、集中して活動に取り組むエースの顔を見て、
ファリオ「....ふふっ。」
と、密かに笑みを浮かべた。
ファリオ
(三人ともすっかり生徒会に馴染んでて良かった。結構皆、真面目だから、馬鹿三兄弟とギクシャクしないか心配だったけど、意外と会長達気配り上手で、何だかんだ面白いし...本当に幸せだ。...戦争なんてなくなって、いつまでもこんな平和な日々が続けばいいのに...。)
そして、残酷な過去を思いだし、憂いとトラウマの残る昔の感情が蘇る。
今の自身は下絵に付け加えられた暗いブルーな絵の具のように少し濁ったような表情である。
そんなファリオはふと、窓の外のある一点を見つめて...、
ファリオ
(あの建物も一体....、完璧に形を成している。)
その南側のガラス越しの先に見えるのは、クリスティア学園という高級感とは無縁の一切似ても似つかない塀という境を挟むようにある2つのグラウンド。
それと共に存在しているオーソドックスな2つの建物が。校舎か。
そして、ふとファリオはあることを思いだし、
ファリオ (そういえば7年前から徐々に建てられているってユキムラ教官から聞いたことあるけど...。)
今みると既に完成しているに等しく、南校舎の三階からでは見えないような所をそれよりも、かつあの塀の先を見通せる程に高い大聖堂。そんな大聖堂を利用している一部の人間への大特権かもしれない。しばらくその建造物をじーっと眺めていると、右方向から、エースの声が、
エース
「ファリオ先輩!ゴミ箱と替えのファイバー持ってきました。ここに置いておきます。...ん?先輩?どうしたんですか?」
清掃用具を床に置きながらそう尋ねてくるエースに、ファリオは朧気に、
ファリオ
「あぁ、エース君達。...実はあそこにある建物が気になっちゃって...。」
そういうとエースも窓の外を覗く。そして、少し関心を持ったような様子で、
エース
「へぇ。...結構シンプルで、落ち着いた建物ですね。」
と、感想を呟くと、
エース「一体何の建物だろう?」
と聞いてきた。
ファリオ
「わからない。何も教えられてないし...。けど、ユキムラ教官から7年前から作られているって話は聞いたんだ。」
エース「何かきっかけはあったんですかね?」
ファリオ「きっかけは確か...。」
そう経緯を思い出そうとしていると、
ギルティ
「エクロリア前国王の死去。同時にエレノア女王陛下が即位した時期。」
舞台裏からキャットウォークに来たギルティ。
思わずファリオも「会長...。」と名を呟く。
ギルティ
「けどその1ヶ月前は建物の設計を組み始めていた時期だったって。で1回目の三年の頃、会長をやってた奴が亡くなって、生徒会入ってた頃だった。」
そして、ファリオ達と同じ窓から外にある"その場所"を眺めながら話を続ける。
ギルティ
「それである日ここの活動してる時にあの建物が気になって、書類を提出するついでに学園長にそれとなく聞いてみたら、工事現場の人がそう言ってたって。」
エース
「あの、セスルもその事知ってるんですか?」
ギルティ
「当然、学園長の孫娘で後継者何だし、学園の周りの事をある程度把握してるはずだぜ。」
そう言って、おもむろに体の向きを反転させて、窓の下の出っ張った白いコンクリートに腰かけた。
エース「知ってたんですか?」
ギルティ
「だって、あっちがわざわざ公言してるんだから、当然知ってんよ。」
"あー、だりー"と言いながら右肩から首筋の間を右手で揉む。
エース
「あぁ、確かに...でも、二つともなんか学校みたいだな。もしそうだったら、合同で文化祭とかしてみたいですね。すごく面白そうじゃないですか?」
ファリオ「はは、確かに。」
エースがややウキウキとした様子でそう言う。
それを見てファリオは軽く笑いそう肯定する。
エースが来てから数分間経ったからか、やや色々長話をしていると、
セスル
「「ちょっとあなた達!ちゃんと掃除しなさい!」」
エース「ああ!ごめん!」
大広間の掃除をしていたセスルにそう注意され、エースはごめんと言ってすぐに元の掃除場所に戻っていく。
ファリオ「....。」
(...学校か。エース君の言うとおりグラウンドも整備されてる...。確かに、エース君みたいに、グラウンドで体育祭とか文化祭が出来たらいいな。)
しばらくエースを見送ってから、声を掛けようと、会長であるギルティの方へ向くと、
ギルティ「.....。」
彼の"そこの場所"を見つめているその顔は深刻そうな表情である。その表情にファリオはすぐに察する。
ファリオ
(?待って...風の音、会長は何か感じとったんだ。あの両方の建物があること。それが悪い予感だと...問題はあれ自身に降りかかるのか、それともあれが僕達をも巻き込むのか...。)
やがてそんな予感にもやもやとする気持ちを胸のすみに置き、ファリオは再び時間の許す限りに、大聖堂の中を掃除していくのであった。
ーー
その翌日、この日は土曜日で、アルフレドは特に部活動がないため、安心して羽を伸ばせることに。
朝食を済ませた後に、北東側の裏口を出ると、穏やかで澄んだ草木と様々な花の咲く寮のような広さの庭園をゆったりと歩く。
そして、右側前方に崖が。そこから降り注がれた滝水はやがてその崖の下の綺麗で清らかな池の中に溜まる。
そんな溜め池の前で足を止め、気持ちよさそうに背伸びをしたり軽くストレッチする。
しかし、実際は気持ちがよくはならなかった。
何故なら昨日、合宿の時のウルムとアギトのことで、教官からとばっちりを受けたからだ。
アルフレド
「ふ~ん。昨日は何故か被害者の僕達が怒られてしまった。少し気分が乗らないね。」
言い方はいつも通りであるが、しかし、トーンがいつもよりも少し低い。
それは当然、アルフレドはその事でやるせない怒りを込み上げたためである。
しかし、それ以上にアギトの不可解な行動が理解できずに怒りを感じてたものが、今思い出せばもう既に怒りを通り越し、やがてはため息気味に呆れてしまうのである。
ともかく、この事はもう水に流そう。
そうだ、関わらなければいい。
アルフレド
「そんな時は女の子達といい話でもして、気分転換をしよう♪おや?」
そんな事を思い、独り言を呟いていると、なんと崖下の潜り穴の所で立ったまま寄りかかり、体を休ませているアギトを見つけた。
アギト「...。」
アルフレド
「...ふーん、早速遭遇してしまったか...。」
(それにしても、僕らが逆に説教をされたんだ、あまり騙されなさそうなナオマサ教官をいとも簡単に信じ込ませる程の演技力がなければ、到底この展開に持っていくなんて無理な話。僕だったら満点中満点を上げるね。...彼のあの時の言葉も全て演技だったとしたら...。)
やや気にくわないとそう思っているも、不可解な相手をまじまじと分析。そして、
(だとしたら、僕達にも想像つかないことを考えている?一体何を考えているのか...ふふ、中々面白い男だね~。これを利用して何か面白いことを...。)
途中で何かを企んでいるような笑みを浮かべながら、ふと何か妙案を考え出す。
(ああ、そうだ。まさかとは思うけど、実はアギトは、僕達の味方、つまり同じ利害関係を持っているもの同士...かな?だとしたら...、信用はともかく、人を操れる程のあの演技力があれば、早い時期に事が進める。...ふふ、面白いことになってきた。早速、彼と接触を...。)
そして、を新たに考えを見出だしたアルフレドは、恐る恐るアギトをに近寄ろうと、ゆっくり自然に歩く。が、その時、アギトがこちらを振り返り、
アギト「....誰だい?」
と問われる。
別に今は人は誰もいないため、こそこそする必要がないと判断したアルフレドは、そんな彼に歩みよりながら、
アルフレド
「おやおや、学園総合一位の天才アギト君。なんというか、君のお陰でナオマサ教官からしっぽりとお灸を据えられたよ~なにもしてないのに♪」
そして、アギトの右隣に足を止めたその時、
アギト
「...さっさと用件を言って。それとも?ただ僕とお喋りしたいって?だったら消えて。じゃないと、またいじめ疑惑を拡散させて、今度こそ君を退学に...。」
険悪な言葉遣いと冷たい視線で追い返そうとするアギトを制すると、自身は挑発的態度で、
アルフレド
「あれぇ?そんなことをしていいのかい?」
アギト「どういうこ...。」
と言い終わりかけた所を遮るように用件を直ちに話し始める。
アルフレド
「これから話す事は君にとって大事な事かもしれないよ?だから、下手に僕を追い出さない方がいい。僕が退学になった真相を知れば僕と長い付き合いのヒロタ達はきっと君を許さない。追い出す作戦を立てるかもよ?」
と言うと、アギトは顎に手を当てて考え込むような仕草を見せる。そして、その後すぐに口を開き、
アギト
「...まあ、確かに下手に君を追い出せないな。けど、大事な?だから?それ、僕に関係ある?」
と、辛辣な感じで聞いてくるアギトにアルフレドはこんなことを答える。
アルフレド
「ソイルの南寄り...。」
すると、瞬時に察したアギトは目を見開き、なぜ、アルフレドを追い出すのはおすすめしないと言われたのか、その理由を理解したアギトは、どこかほっとした表情でふふっ、と笑みをこぼすと、アルフレドにこう言う。
アギト
「...。なるほど...それで僕に話しかけた理由が分かった。なら、君も僕の出身地を当ててみて。」
アルフレド
「いいよ。...君の出身地は~...。」
と言って、彼の出身地を当ててみる。
"ーーーーーーーーーーーー"
...当たったのか、答えを聞いた後...。
アギト
「!...ふふ、ふふふふふ....。不本意だが、どうやら僕の仲間みたいだね。いいよ。特別に聞いてあげる。」
アルフレド
「ありがとう。...他の皆が来ない内に単刀直入にいうよ。...君、僕達と協力しない?きっと悪い話じゃない。これは僕達にも君にも得がある大事なメリット。必ず、君と僕は、待ち望んだ願いを叶えられる。...ね?」
アギト
「いいよ。その話、乗ってあげる。ふふふふふ...。心が満たされていく、何もかも上手く行けば、僕の願いが成就する。...アルフレド・キンバリー。これからよろしくね?」
アルフレド「よろしく.....。」
今まで冷たくあしらっていた彼の態度は嘘のように媚びたような柔らかな対応で相手をしてきた。
対してアルフレドは少し、引き気味だが、それを表情に出さずに、アギトに返事を返す。
しかし、それとは別に、同じ目的の仲間と出会えたことに心から感謝をしつつ、やがてアギトにややねっとりめに握手を交わしたのだった。
これからの計画の材料として利用するために...。
ーー
一方、同日の9時を過ぎた頃、今日は生徒会の活動内容として生徒会役員の7人で大聖堂内の清掃をすることに。
ギルティ
「そんじゃあ、めんどくせぇが、今日の活動内容は大聖堂の掃除だ。まあ、軽くでもいいけど、埃とって綺麗にした方が様になるし、いっちょ適当にやって終わらせっか...。」
しかし、ギルティはあまり本意ではなく、あまりにやる気のない言動と振る舞いに、
セスル「て、適当って...私達は生徒会なんですよ!そんな半端な気持ちで...。」
と、セスルは案の定激昂した。
クラウザー
「まぁまぁ、そんな会長だってやるべきって思ってこそ、そう考えているんだから...。」
エース
「気持ちは分かるが、あれが会長の人柄だからしょうがないよ。」
ギルティ
「...なんか偉く俺の傷口を抉るな君たち...。」
エース&クラウザー「あれ....?」
今にも直情的になりそうなセスルを二人がかりで止めるが、その言い方にギルティは軽く心臓をグサッと刺されるのであった。
ーー
ギルティ
「これ三時間まるごと使ってやるつもりでいっから、全部終わらせる勢いでいくぞ!?」
セスル&ルビー&カズマ
「「はーーい!!」」
まずはキャットウォークの160cm×100cmのサイズの全ての窓を一通り掃除していく。
それをしながら、ふと、ファリオは一学年の三人をちらっと見つめた。
まとめて見た後に、集中して活動に取り組むエースの顔を見て、
ファリオ「....ふふっ。」
と、密かに笑みを浮かべた。
ファリオ
(三人ともすっかり生徒会に馴染んでて良かった。結構皆、真面目だから、馬鹿三兄弟とギクシャクしないか心配だったけど、意外と会長達気配り上手で、何だかんだ面白いし...本当に幸せだ。...戦争なんてなくなって、いつまでもこんな平和な日々が続けばいいのに...。)
そして、残酷な過去を思いだし、憂いとトラウマの残る昔の感情が蘇る。
今の自身は下絵に付け加えられた暗いブルーな絵の具のように少し濁ったような表情である。
そんなファリオはふと、窓の外のある一点を見つめて...、
ファリオ
(あの建物も一体....、完璧に形を成している。)
その南側のガラス越しの先に見えるのは、クリスティア学園という高級感とは無縁の一切似ても似つかない塀という境を挟むようにある2つのグラウンド。
それと共に存在しているオーソドックスな2つの建物が。校舎か。
そして、ふとファリオはあることを思いだし、
ファリオ (そういえば7年前から徐々に建てられているってユキムラ教官から聞いたことあるけど...。)
今みると既に完成しているに等しく、南校舎の三階からでは見えないような所をそれよりも、かつあの塀の先を見通せる程に高い大聖堂。そんな大聖堂を利用している一部の人間への大特権かもしれない。しばらくその建造物をじーっと眺めていると、右方向から、エースの声が、
エース
「ファリオ先輩!ゴミ箱と替えのファイバー持ってきました。ここに置いておきます。...ん?先輩?どうしたんですか?」
清掃用具を床に置きながらそう尋ねてくるエースに、ファリオは朧気に、
ファリオ
「あぁ、エース君達。...実はあそこにある建物が気になっちゃって...。」
そういうとエースも窓の外を覗く。そして、少し関心を持ったような様子で、
エース
「へぇ。...結構シンプルで、落ち着いた建物ですね。」
と、感想を呟くと、
エース「一体何の建物だろう?」
と聞いてきた。
ファリオ
「わからない。何も教えられてないし...。けど、ユキムラ教官から7年前から作られているって話は聞いたんだ。」
エース「何かきっかけはあったんですかね?」
ファリオ「きっかけは確か...。」
そう経緯を思い出そうとしていると、
ギルティ
「エクロリア前国王の死去。同時にエレノア女王陛下が即位した時期。」
舞台裏からキャットウォークに来たギルティ。
思わずファリオも「会長...。」と名を呟く。
ギルティ
「けどその1ヶ月前は建物の設計を組み始めていた時期だったって。で1回目の三年の頃、会長をやってた奴が亡くなって、生徒会入ってた頃だった。」
そして、ファリオ達と同じ窓から外にある"その場所"を眺めながら話を続ける。
ギルティ
「それである日ここの活動してる時にあの建物が気になって、書類を提出するついでに学園長にそれとなく聞いてみたら、工事現場の人がそう言ってたって。」
エース
「あの、セスルもその事知ってるんですか?」
ギルティ
「当然、学園長の孫娘で後継者何だし、学園の周りの事をある程度把握してるはずだぜ。」
そう言って、おもむろに体の向きを反転させて、窓の下の出っ張った白いコンクリートに腰かけた。
エース「知ってたんですか?」
ギルティ
「だって、あっちがわざわざ公言してるんだから、当然知ってんよ。」
"あー、だりー"と言いながら右肩から首筋の間を右手で揉む。
エース
「あぁ、確かに...でも、二つともなんか学校みたいだな。もしそうだったら、合同で文化祭とかしてみたいですね。すごく面白そうじゃないですか?」
ファリオ「はは、確かに。」
エースがややウキウキとした様子でそう言う。
それを見てファリオは軽く笑いそう肯定する。
エースが来てから数分間経ったからか、やや色々長話をしていると、
セスル
「「ちょっとあなた達!ちゃんと掃除しなさい!」」
エース「ああ!ごめん!」
大広間の掃除をしていたセスルにそう注意され、エースはごめんと言ってすぐに元の掃除場所に戻っていく。
ファリオ「....。」
(...学校か。エース君の言うとおりグラウンドも整備されてる...。確かに、エース君みたいに、グラウンドで体育祭とか文化祭が出来たらいいな。)
しばらくエースを見送ってから、声を掛けようと、会長であるギルティの方へ向くと、
ギルティ「.....。」
彼の"そこの場所"を見つめているその顔は深刻そうな表情である。その表情にファリオはすぐに察する。
ファリオ
(?待って...風の音、会長は何か感じとったんだ。あの両方の建物があること。それが悪い予感だと...問題はあれ自身に降りかかるのか、それともあれが僕達をも巻き込むのか...。)
やがてそんな予感にもやもやとする気持ちを胸のすみに置き、ファリオは再び時間の許す限りに、大聖堂の中を掃除していくのであった。
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