異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第八章 さけたなか 湯けむりはれる 魔界旅

第127話 今ひるどきでい

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 ハヤテは帰ってしまったが、異世界のお酒についてはまだまだ聞きたいみたいだった。

 他にも色々と思いついたものを言ってみたが、ほとんどが既にこの世界に存在しているようだ。
 ……やはり、どの世界でも酒好きは色々な酒を追い求めるらしいな。
 実際、シーラがそうだもんな。

 そんな中、こっちの世界になさそうな物としては、水が氷るくらいの温度まで冷やしたビール、があった。
 
 それを聞いたレイが、確かに、お酒は水よりも凍りにくかったわね、と言っていた。
 ……というか、お酒を凍らせようとしたことがあるんだな。

 こっちは温度を一定に保つ必要があるため、今度アオイにそんな魔道具ができないか相談してみよう、ということになった。
 
 ……魔道具と聞いて、振動でビールの泡を出すやつとか、色々な道具があるのを思いついた。
 けど、アオイ、と主に俺が大変なことになりそうな気がして、言うのはやめておいた。

 後で、小出しで話していくことにしよう、うん。

 その後は、アキナがこの街にあるお酒を色々見てみたい、とのことで、街に点在している酒蔵を巡った。
 流石にすべての場所で試飲はしなかったけど、いくつか気になったお酒は飲ませてもらった。

 特に、塩味のある植物から作られたお酒にはびっくりした。
 俺のいた世界にも確かそんな植物はあった気がするけど、流石に元から塩味のあるお酒、というのは聞いたことがなかったからな。

 ただ、カクテルにソルティドッグというのがあったな、なんてボソッと言ってしまったらレイとシーラに食いつかれてしまった。
 コップの周りに塩がついていたのは見たけど飲んだことはない、と説明したら、また二人で話し合いを始めてしまった。

 そんなこんなで、気づけば辺りも暗くなり、シーラの酒蔵がある建物に戻り、夕食を食べることになった。
 もちろん、そこでも色々なお酒が出た。

 街を歩いている時や休憩中、アルコールを分解しやすくする魔法を使ったりしたけど、それでも今日は大量にお酒を飲んだな。
 今まで飲んだ量お酒を合わせても、今日飲んだ量に追いつかないんじゃないだろうか? ってくらいだな。

 そんな感じで、今日は一日中ずっとお酒を飲んでいた気がする。
 まあでも、たまにはこういった日があってもいい、よな?

 それと、本日の宿泊場所だが、この建物には酔いつぶれた人用の部屋がいくつも用意してあるらしく、今日と明日はそこに泊めてもらえるとのことだ。
 ……この状態であんまり移動したくなかったので、正直助かった。

 ちなみに、リューナもこの空気に負けてお酒をそこそこ飲んでいたが、結局口調はそのままだった。
 ……ちょっと残念だったな。

 アキナは、酒蔵巡りも含めかなりの量を飲んでいたけど、全然余裕そうだった。
 というか俺以外、全員がかなりの酒豪だったな。

 そして食事、というか酒盛りを終え、流石に今日はもう寝るか、と部屋に行くことにした。

 ベッドで横になりつつふと、ここに泊まるってことは、まさか明日も酒尽くしなのでは、なんて考えが頭をよぎったが、睡魔には勝てずに寝てしまった。
 


 そして次の日。
 今日もお酒尽くし、とはならずに、マーフォークがく船に乗って街を観光するようだ。

 朝食を食べている時に、レイが説明してくれた。
 ……さすがはシーラといったところか、朝からお酒を飲んでいた。
 流石に、度数は低そうだったけど。

 シーラに挨拶をしつつ建物を出ると、目の前にある水路には既に船が用意してあった。
 見た目としては、舞浜にある某テーマパークで一度乗ったことがあるゴンドラに近い、かな?

 結構座る場所に余裕があり、下手な事では落ちなさそうだ。
 ただ、マーフォークは泳いで船を曳くようで、オールなどはついていなかった。

 普段は荷運びなどに使われており、たまにこの街を訪れる人がいると、椅子を取り付けるようだ。

 そして、

「それじゃあ、よろしくね」

「ええ、今日は頑張るわ。お客さんたちも、よろしくね!」

「よろしくな」

 と、男女二人のマーフォークが

 彼らは夫婦のようで、普段から交替で船を使った運送をしているようだ。
 今日は、彼らが交替しながら俺たちを運んでくれるそうだ。

 ……というか、男性の魔族と話すのは、これが初めてだな。
 魔皇は全員女性だし、この街でもほとんど見かけなかった。

 前に、魔族は女性が多いみたいなことを聞いたけど、それを実感するな。

 それと、アキナは彼らの言葉がわからないので、俺が通訳をすることにした。
 ……翻訳でどっちも日本語に聞こえるから、片方が言った言葉を、そっくりそのまま復唱するだけなんだけどさ。

 さっそく4人全員で船に乗り込むと、先頭のスペースに女性のマーフォークが乗り込んだ。
 そして、男性のマーフォークが水路に飛び込み、女性のマーフォークの合図で船が進み始めた。

 流石はマーフォークといったところか、思っていたよりもかなり力強く船が進んで行った。



 道中、船を先導する彼女と雑談をしつつ、街を巡った。

 驚いたのが、昨日会ったマーフォークの女性は彼女たちの娘だったそうだ。
 家に帰ってくるなり、人間族の人と話せた! と嬉しそうに話していたようで、俺に感謝してくれた。

 それと、俺たちを運ぶのは午前中のみの予定だったが、そのお礼と言うことで午後も請け負ってくれたそうだ。
 情けは人のためならず、ってやつだな。

 船から見る街の景観は、昨日街を歩いたときとはまた違った感じで、とてもよかった。
 水路の壁や橋の裏側にも装飾が施されていたりと、船に乗らなければ分からなかったものも多くあった。

 マーフォークは水路も道として使ってるから、こうした場所にも装飾があるってことなんだろうな。
 
 そうして、街を巡り、昼の時間になったということでマーフォーク夫婦おすすめの場所に案内してもらった。
 俺とアキナがお店に入ると、店主がすこしびっくりした表情をしたが、すぐそばにいたレイを見て、次にマーフォーク夫婦の方を見ると納得した表情になった。

 さっそく席に着くと、メニューを見ながらアキナが、

「それにしてもまさか、魔界にもそばがあるなんてね」

 と、驚きながら言っていた。
 そう、この店はそば屋だったのだ。

 外観は周りと同じレンガ造りをしていて、店内に入るとだしの香りがしていた。
 もしかして、和食の店なのか、なんて思いはしたものの、まさかそば屋だとは俺も思わなかったな。

「俺も、異世界に来た時は同じようにびっくりしたな。元いた世界にも会ったようなメニューが色々あったし」

 うどん屋とか、うなぎ屋とか、他にも色々とな。

「なるほどね。少しだけハクトの気分を味わえた、ってわけね。……それにしても、魔界のそば、か。これは楽しみね」

 それぞれが注文を終えると、そばについての話になった。

 さっきの店主の反応からそうじゃないかとは思ったけど、マーフォーク夫婦は娘も含め、この店の常連のようだ。

 この街にはそば屋はここしかなく、ほかの場所ではそばを食べたことはないようだが、味はこの街一番だと自信満々に説明してくれた。
 ただ、俺は異世界で、アキナは人間界でそばを食べたことがある、と話すと、ちょっとだけトーンが下がった。

 さらに、アキナがかなりのそば好きで、人間界ではあちこちのそば屋を食べ歩いた、なんて話をすると、ちょっと不安そうな表情になった。

 そして、丁度そばを持って来た店主がそれを聞いてしまい、不安そうな表情で俺を見た。
 ……いや、俺は通訳してるだけで、言ったのはアキナです。

 それを見たアキナは慌ててフォローしたけど、俺が通訳するってことで、不安そうな三人のマーフォークからじっと見られてしまった。
 ……通訳、別の人にお願いすればよかったかも。
______________________________________
舞浜といえば?
そう、サーバですね!

……今年の暑さでリセットだと、中々辛いものがありますね。
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