異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第九章

第139話 近未来的魔界を編集

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 気を取り直して、アオイに街の案内をお願いした。
 これ以上、俺のせいで観光が進まないのも申し訳ないしな。
 ……それに、アオイが言っていた、面白い物を色々見てみたいし。



 というわけでしばらくの間、アオイの案内で街を見て回った。

「話を聞いたときは半信半疑だったけど、本当に街中に魔道具があってびっくりしたぜ。……ちょっと、魔界に引っ越したくなるじゃんか」

「それに、それを可能とするための機能と環境もだな。それと、魔族は基本的に魔力量が人間より多いってのも、ここまで普及できる理由だよなぁ」

 そう、この街も、他の魔皇に案内してもらったように、魔力が集まっている場所に街ができていた。
 ただこの街は、地属性ではなく、無属性の魔力が集まる場所に街を作ったそうだ。

 そして、その魔力が利用できる機能を、比較的大型な魔道具に搭載している、とのことだった。
 とはいえ、そこまで大量に魔力を集めることはできないようで、使用には魔力が必要なようで、ある程度魔力が使える前提の設計のようだ。

 ただ、消費魔力が比較的少ない魔道具であれば、壊れるまでは半永久的に動作する、ということでもあった。
 この街のあちこちに設置された、照明用の魔道具のように。
 
 これのおかげで、夕暮れ時でも街が明るく照らされ、問題なく観光ができていた。

「それもずるいよなー。使用者の魔力を使えない場合は魔石が必要だけど、こっちは魔石を補充する必要がないから、たまに整備すればいいもんな」

「そうだね。けど、魔道具職人が新しい魔道具を作ったら、それと入れ替えたりするから、結局一度も整備していない、という魔道具も多いんだけどね」

「それはそれで羨ましいじゃんか。……うっし、決めた! アオイ、頼みがある。定期的にこの街に通いたいから、あたしにそういった許可をもらえないか?」

「もちろん! ベイラには会わせたい職人もいっぱいいるからね」

「それは楽しみだぜ」

 うん。やっぱりベイラは、この魔道具の街をかなり気に入ったみたいだな。

 一方でディニエルはというと、

「あの人」

「あの方はオーク族ですね。先ほど見かけたゴブリン族の方とは、肌の色など似ている部分がありますね。ですが、オーク族は力が強い種族で、手先が器用なゴブリン族とは違った特徴を持っています。他の違いとしましては、体系が大柄、鼻の形が横に大きい、等でしょうか」

「ん」

「あちらはオーガ族ですね。あの方が頭に一本の角がありますが、二本であったり、ごくまれに三本あることもあります。三本ある方はオーガ族の中ではかなり強力であることが多いです。ただ、一本と二本では、ほとんど違いがないそうです」

「かっこいい。けど、専用の帽子が必要」

「確かに、少々不便かもですね。……ああ、あちらの方ですね。あの方の種族は……」

 と、リューナに街にいる魔族について色々聞いていた。

 色々な魔族を見かけたけど、魔道具を見るのが忙しくて、俺はあんまり見れなかったな。
 ……落ち着いたら、俺もリューナに質問させてもらおう。

 それと、話を聞いた後でメモを取ることもあり、おそらく服飾関係の参考にするんだろうな。
 ディニエルも、ベイラと違った形で充実していそうだな。

 リューナの方も、ディニエルと魔界を旅行できて楽しそうにしている。
 魔王について何か悩むかも、なんて少し思ったけど、見た限りでは問題なさそうだ。
 ……問題があったのは俺ですね、はい。

 まあそんな俺も、色々な魔道具を見ることができて、かなりテンションが上がっている。 

 例えば、飛行魔法で浮く荷台や、それを応用した乗り物があった。
 その乗り物は、人魚タイプのマーフォークのように、地上を歩行できない種族の為に開発されたようだ。
 速度はあまり出ないとのことだけど、それでも軽くジョギングするくらいの速度は出るようだ。

 ……どこか、迷惑にならない場所で乗ってみたいな。

 また、街中には様々な種類のゴーレムが設置してあった。
 例えば、複数人が乗り込める荷台と、あらかじめそれが走る用に整備された道、そしてその荷台を押して動くゴーレム。
 滑車とそれにかけられた丈夫そうな紐、その片側に取り付けられた箱、そしてもう片方の紐をゴーレムに引かせることで、エレベータのように動作する設備。

 人の後ろを追従し、足元を照らしたり、暖かい空気や冷たい空気を送ってくれる等の機能があるゴーレム。
 また、木材などの材料を加工するための小型ゴーレムなど、本当に色々なゴーレムがあった。

 SFチック、とはまた違った感じだけど、俺のいた世界にも欲しい、と思えるような設備が色々とあったな。
 そんな感じで、本当に悩む時間がないくらいすごかった。



「さて、君たちがいた場所では、そろそろお昼の時間かな? 食事がとれる場所に案内したいんだけれど、いいかい?」

 とのアオイの提案に皆が賛成し、アオイの先導でその場所へと向かった。

 そして、たどり着いたその場所には

「おおっ! これ、あたいが試作した魔道具じゃねぇか! アオイ、もしかして実用化できたのか!?」

 と、ベイラがアオイに提供した、自動調理が行える魔道具の試作品が並んでいた。

 見た感じ、円盤状の鉄板らしきものが先端に取り付けられたアームが二本、上下に挟み込むように配置されているな。

 そして、その左横と右横にスリットが空いた箱状のものが配置されていた。
 右横の方がスリットが大き目で、少し下に配置されていた。
 また、こちらには、スリットから出て来たものが乗るであろうプレートも配置されていた。

 ……おそらく、左のスリットから出てきた食材が、アームについている鉄板の上に乗るんだろう。
 そして鉄板で食材を挟み込んで焼いて、最終的には右のスリットから出てきた食材の上にそれを乗せる、って感じかな?
 
「完全な実用化、というのは難しかったけど、一部の自動化を諦めることで一応料理が提供できるようになったよ。とはいえ、この場所限定で、だけどね」

「あー。やっぱり、あの部分の自動化は難しかったかぁ。けど、こうして実際に動く魔道具があるってのは、やっぱすごいぜ! 流石はアオイ、といったところか」

「ああいや。これをここまで持って行ったのは私じゃなくて、この街にいる魔道具職人なんだ。後で紹介するよ」

「おお! そいつは是非とも会いたいぜ!」

「お腹空いた。話は後で」

「あー、そうだったな。動きも見たいし、さっそく注文すっか!」

 ということで、ベイラが試作し、この街の魔道具職人が実用化させたという魔道具で昼食をとることにした。

 魔道具の前にいた店員さんに注文すると、調理過程を見ながらベイラが解説してくれた。
 それと、アオイが改良した部分についても教えてくれた。

 まず、この魔道具はハンバーガーの自動調理を行ってくれる物のようだ。
 ……俺が、自動調理の魔道具について相談された時に言ったメニューだな。

 店員さんが魔道具のボタンを押すと、下のアームが左のスリットまで動き、スリットからは冷凍のパティが出てきた。
 鉄板に乗ったそれを上下のアームが挟み込み、加熱するようだ。

 この部分の調整が難しく、試作の段階ではパティが焦げてしまったようだ。
 そこで、この街の魔力のみを使用して加熱する、という改良をしたところ、いい感じに焼くことができたようだ。

 そして右側のスリットから下のバンズが出てきて、そこに焼きあがったパティを滑らせて乗せていた。

 最後に店員さんがソースと野菜を乗せ、上のバンズを置いて完成した。
 ベイラ曰く、試作では上から食材やソースを落とす方式にしたが、ハンズがずれて落ちてしまうことが度々あったそうだ。
 ……しかも、パンにソースがついているため、床を汚してしまう等の問題もあった。

 というわけで、改良方法が見つかるまで試作の段階で店の奥に眠らせていたようだが、ベイラの店に来たアオイがそれを見つけ、ベイラから譲り受けたようだ。

 さて、こうして完成したハンバーガーをさっそく食べてみたところ、どこか食べなれた味がした。
 ……うん。これは、ポテトとかコーラが欲しくなるな。 
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