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第九章
第141話 魔界研究地下街(悪の組織ではない)
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部屋に設置された目覚まし用の魔道具が稼働し、目が覚めた。
この魔道具は、指定した時間になると光魔法で部屋を照らす、というものだ。
製作者曰く、日光に近い光で目覚めもすっきり、とのことらしい。
またこの魔道具は、停止しなければ段々と明かりが強くなるという、寝坊対策もされていた。
現在のこれは改良版だが、以前は魔道具を止めなかった場合、本体が壊れるまで明るくなるという欠陥があったと、受付してくれた魔族から聞いた。
……本当に欠陥すぎる。
それと、その受付の魔族がゴブリンで、おお、本物のゴブリンがこんなに近くに! なんて、心の中で叫んでしまった。
……あまりじろじろ見ないようにしたから、失礼な感じにはならなかった、よな?
◇
身支度を整え、ディニエル、リューナと合流しアオイの工房へ向かった。
そこでは……、
「それなら、こっちの魔法陣はどうだい? 少し魔力の消費は増えるけど、安定して動作するはずだよ」
「おおっ、その手があったか! そんなら、こっちの構造も……。ほいっと」
「うん、流石だね。これで完成度がかなり高まったよ」
と、魔道具らしきものを持ったベイラと、魔法陣が書かれている紙を持ったアオイの姿があった。
周囲には紙や素材のようなものが散乱していた。
……この散らかりよう、徹夜で話していたんじゃないだろうか。
なんて思っていると、
「アオイさん? ベイラさん? もしかして、夜通し魔道具を作っていたのですか?」
と、笑顔でリューナが話しかけていた。
……笑っているのに、すごく怖い。
「え、えっと。ほら、せっかくの機会だったからね。それに、私は一晩どころか何日起きていても平気だよ」
「あ、あたしはそこまでじゃねけど、ニ、三日くらいは全く問題ないぜ。ドワーフっていうのはそういう種族だしな」
「起きていられるというだけで、疲労は蓄積します。ましてや、魔道具製作はかなりの頭脳労働です」
「あ、あはは。リューナ、前よりもヒカリに似て来たね。……あー、その、すまなかったね。思わず夢中になってしまったよ」
「あたしも、すまんな。……ヒカリって確か、光魔皇の名前だったよな? そんなに恐ろしいのか……」
「……すみません。お二人が心配で、少々感情的になりました。それと、ヒカリさんはいつもはお優しい方です」
うん。
主に、ハヤテを叱るとき以外はな。
◇
さて、気を取り直して旅行の続きだ。
今日は、アオイが地下街をあちこち案内してくれるみたいだ。
まずは、様々な環境を再現した区画を巡った。
暖かい、寒い、といった環境だけでなく、水で満たされた、大きなプールのようになっている区画、常時風が吹き続けている区画など、本当に多種多様な環境が再現されていた。
落ちると危ないということで、少し離れた場所から眺めるだけだったが、地下深くまで掘り下げらた区画なんかもあった。
遠くにハーピィのような魔族が見えたので、おそらくここは飛行する魔族がいる区画なんだろうな。
区画ごとに様々な魔族がいて、魔族の多様性をより感じられた。
……それと、色々な種族の魔族と仲良くなってみたいと、改めて思えたな。
区画の見学が終わり昼食食べたのだが、そのお店は丼物のお店だった。
種類が豊富で、様々なトッピングもあり、さらには持ち帰りも可能なお店だった。
それと、朝食は泊まった場所近くにあるお店で食べたのだが、メニューがシリアルやおにぎり、サンドイッチなど、手軽に食べれるものが多く、こちらも持ち帰り可能だった。
……丼物のお店といい、研究優先! って感じなんだろうな。
実際、俺たちを見て驚いたと思ったらすぐに食事を再開し、それを終えるとそそくさと店を出ていく、なんて魔族を何度か見たからな。
味はどちらのお店もおいしかったので、お腹が満たせればいい、って食事ではなかったのはよかった。
……自論だけど、やっぱりご飯はおいしい方がいいからな。
◇
そして食後は、ここで製作された魔道具が展示してある建物を見学した。
街で見かけた魔道具が詳細に解説されていて、これがすごく面白かった。
俺みたいに、魔道具に対する知識があまりない人、といった人にもわかりやすく説明されていた。
それに、様々な分野の魔道具があり、ディニエルは裁縫用の魔道具を見て、これほしい、なんてリューナに言っている場面もあった。
それと、謎の変形ギミックが仕込んである魔道具などもあり、それを見ていたリューナとディニエルは目をキラキラさせていた。
そうした、実用的ではない魔道具もあって、世界が違ってもこういったところは一緒なんだなぁ、なんてちょっとほっこりした。
ディニエルは言わずもがな、まさかのアオイまで、俺たちそっちのけであちこちを見て回っていた。
後で理由を聞いたのだが、ここに展示されている魔道具は結構な頻度で入れ替わり、特に試作品として展示された魔道具は、一回で入れ替わってしまうことも多いとか。
さて、様々な魔道具を見学し、ある程度満足したところで(若干一名を除く)、次は魔道具以外の研究についての展示がある場所に向かった。
こちらは、魔法の研究から魔物の素材、料理についてなどなど、本当に色々な研究についての展示があった。
特に、魔物の食材としての研究や、それを用いた研究なんかは、ソフィアを連れてくると面白そうかもな。
また、異世界についての研究も少数だがあった、のだが……。
うん、この研究者にはなるべく会わないようにしよう。
いや、内容自体はかなりまともだったんだけど、なんというか、知的好奇心が溢れかえっている感じで、今まであった人の比じゃないくらい、質問攻めに合いそうな感じがしたからな。
そんなこんなで、色々と興味深かった見学も終え、そろそろ夕食の時間かな、とか、ベイラとアオイは今日こそきちんと寝てもらわないとな、なんてことを考えていたら、
「それじゃ、そろそろ魔王城に向かうとしようか」
と、アオイから言われた。
「あれ? 今日もこの街に泊まるんじゃないんだな」
「そうだね。この街と君たちが住んでいる街には、かなりの時差があるだろう? だから、時差がほとんどない魔王城に泊まった方がいいと思ってね。それに、リューナはディニエルに魔王城を見せたいようだし、私もベイラに見せたい魔道具があるからね」
なるほどな。
今日は基本的に地下街で過ごしたから、時差による違和感が少なかった。
けど、朝目が覚めて宿泊場所から外へ出るとそろそろ夕暮れ、というのにはかなり違和感があったな。
そうしてもらえるのは、ありがたいかも。
◇
というわけで、アオイの転移で魔王城にやってきた。
魔王城に始めて来たベイラとディニエルは、かなり興味深そうだった。
見学はまた明日、ということでまずは今日泊まる部屋を決めることにした。
部屋割りとしては、俺は自分の部屋があるのでそこ、ディニエルはリューナの部屋、ベイラはアオイの部屋、となりそうだったが、リューナが無言のプレッシャーをかけた結果、ベイラは来客用の部屋になった。
そして夕食時、今日は魔皇が全員集合していた。
まあ魔皇たちは、予定がなければここに来て食べる、って感じみたいなので、特に不思議でもないんだけどな。
最初、ちょっとだけヒカリに警戒していたベイラだけど、元々があの性格なので問題はなさそうだった。
ディニエルの方は、相変わらずマイペースなので、言わずもがなって感じだな。
料理は、魔界で取れる食材をふんだんに使ったもので、いつも通りすごくおいしかった。
特にディニエルは、この料理にいたく感動したみたいで、しきりにおいしい、しあわせ、なんて言っていた。
この魔道具は、指定した時間になると光魔法で部屋を照らす、というものだ。
製作者曰く、日光に近い光で目覚めもすっきり、とのことらしい。
またこの魔道具は、停止しなければ段々と明かりが強くなるという、寝坊対策もされていた。
現在のこれは改良版だが、以前は魔道具を止めなかった場合、本体が壊れるまで明るくなるという欠陥があったと、受付してくれた魔族から聞いた。
……本当に欠陥すぎる。
それと、その受付の魔族がゴブリンで、おお、本物のゴブリンがこんなに近くに! なんて、心の中で叫んでしまった。
……あまりじろじろ見ないようにしたから、失礼な感じにはならなかった、よな?
◇
身支度を整え、ディニエル、リューナと合流しアオイの工房へ向かった。
そこでは……、
「それなら、こっちの魔法陣はどうだい? 少し魔力の消費は増えるけど、安定して動作するはずだよ」
「おおっ、その手があったか! そんなら、こっちの構造も……。ほいっと」
「うん、流石だね。これで完成度がかなり高まったよ」
と、魔道具らしきものを持ったベイラと、魔法陣が書かれている紙を持ったアオイの姿があった。
周囲には紙や素材のようなものが散乱していた。
……この散らかりよう、徹夜で話していたんじゃないだろうか。
なんて思っていると、
「アオイさん? ベイラさん? もしかして、夜通し魔道具を作っていたのですか?」
と、笑顔でリューナが話しかけていた。
……笑っているのに、すごく怖い。
「え、えっと。ほら、せっかくの機会だったからね。それに、私は一晩どころか何日起きていても平気だよ」
「あ、あたしはそこまでじゃねけど、ニ、三日くらいは全く問題ないぜ。ドワーフっていうのはそういう種族だしな」
「起きていられるというだけで、疲労は蓄積します。ましてや、魔道具製作はかなりの頭脳労働です」
「あ、あはは。リューナ、前よりもヒカリに似て来たね。……あー、その、すまなかったね。思わず夢中になってしまったよ」
「あたしも、すまんな。……ヒカリって確か、光魔皇の名前だったよな? そんなに恐ろしいのか……」
「……すみません。お二人が心配で、少々感情的になりました。それと、ヒカリさんはいつもはお優しい方です」
うん。
主に、ハヤテを叱るとき以外はな。
◇
さて、気を取り直して旅行の続きだ。
今日は、アオイが地下街をあちこち案内してくれるみたいだ。
まずは、様々な環境を再現した区画を巡った。
暖かい、寒い、といった環境だけでなく、水で満たされた、大きなプールのようになっている区画、常時風が吹き続けている区画など、本当に多種多様な環境が再現されていた。
落ちると危ないということで、少し離れた場所から眺めるだけだったが、地下深くまで掘り下げらた区画なんかもあった。
遠くにハーピィのような魔族が見えたので、おそらくここは飛行する魔族がいる区画なんだろうな。
区画ごとに様々な魔族がいて、魔族の多様性をより感じられた。
……それと、色々な種族の魔族と仲良くなってみたいと、改めて思えたな。
区画の見学が終わり昼食食べたのだが、そのお店は丼物のお店だった。
種類が豊富で、様々なトッピングもあり、さらには持ち帰りも可能なお店だった。
それと、朝食は泊まった場所近くにあるお店で食べたのだが、メニューがシリアルやおにぎり、サンドイッチなど、手軽に食べれるものが多く、こちらも持ち帰り可能だった。
……丼物のお店といい、研究優先! って感じなんだろうな。
実際、俺たちを見て驚いたと思ったらすぐに食事を再開し、それを終えるとそそくさと店を出ていく、なんて魔族を何度か見たからな。
味はどちらのお店もおいしかったので、お腹が満たせればいい、って食事ではなかったのはよかった。
……自論だけど、やっぱりご飯はおいしい方がいいからな。
◇
そして食後は、ここで製作された魔道具が展示してある建物を見学した。
街で見かけた魔道具が詳細に解説されていて、これがすごく面白かった。
俺みたいに、魔道具に対する知識があまりない人、といった人にもわかりやすく説明されていた。
それに、様々な分野の魔道具があり、ディニエルは裁縫用の魔道具を見て、これほしい、なんてリューナに言っている場面もあった。
それと、謎の変形ギミックが仕込んである魔道具などもあり、それを見ていたリューナとディニエルは目をキラキラさせていた。
そうした、実用的ではない魔道具もあって、世界が違ってもこういったところは一緒なんだなぁ、なんてちょっとほっこりした。
ディニエルは言わずもがな、まさかのアオイまで、俺たちそっちのけであちこちを見て回っていた。
後で理由を聞いたのだが、ここに展示されている魔道具は結構な頻度で入れ替わり、特に試作品として展示された魔道具は、一回で入れ替わってしまうことも多いとか。
さて、様々な魔道具を見学し、ある程度満足したところで(若干一名を除く)、次は魔道具以外の研究についての展示がある場所に向かった。
こちらは、魔法の研究から魔物の素材、料理についてなどなど、本当に色々な研究についての展示があった。
特に、魔物の食材としての研究や、それを用いた研究なんかは、ソフィアを連れてくると面白そうかもな。
また、異世界についての研究も少数だがあった、のだが……。
うん、この研究者にはなるべく会わないようにしよう。
いや、内容自体はかなりまともだったんだけど、なんというか、知的好奇心が溢れかえっている感じで、今まであった人の比じゃないくらい、質問攻めに合いそうな感じがしたからな。
そんなこんなで、色々と興味深かった見学も終え、そろそろ夕食の時間かな、とか、ベイラとアオイは今日こそきちんと寝てもらわないとな、なんてことを考えていたら、
「それじゃ、そろそろ魔王城に向かうとしようか」
と、アオイから言われた。
「あれ? 今日もこの街に泊まるんじゃないんだな」
「そうだね。この街と君たちが住んでいる街には、かなりの時差があるだろう? だから、時差がほとんどない魔王城に泊まった方がいいと思ってね。それに、リューナはディニエルに魔王城を見せたいようだし、私もベイラに見せたい魔道具があるからね」
なるほどな。
今日は基本的に地下街で過ごしたから、時差による違和感が少なかった。
けど、朝目が覚めて宿泊場所から外へ出るとそろそろ夕暮れ、というのにはかなり違和感があったな。
そうしてもらえるのは、ありがたいかも。
◇
というわけで、アオイの転移で魔王城にやってきた。
魔王城に始めて来たベイラとディニエルは、かなり興味深そうだった。
見学はまた明日、ということでまずは今日泊まる部屋を決めることにした。
部屋割りとしては、俺は自分の部屋があるのでそこ、ディニエルはリューナの部屋、ベイラはアオイの部屋、となりそうだったが、リューナが無言のプレッシャーをかけた結果、ベイラは来客用の部屋になった。
そして夕食時、今日は魔皇が全員集合していた。
まあ魔皇たちは、予定がなければここに来て食べる、って感じみたいなので、特に不思議でもないんだけどな。
最初、ちょっとだけヒカリに警戒していたベイラだけど、元々があの性格なので問題はなさそうだった。
ディニエルの方は、相変わらずマイペースなので、言わずもがなって感じだな。
料理は、魔界で取れる食材をふんだんに使ったもので、いつも通りすごくおいしかった。
特にディニエルは、この料理にいたく感動したみたいで、しきりにおいしい、しあわせ、なんて言っていた。
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