異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第九章

第146話 あつまれ 魔皇たちの城

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「うっし! んじゃ、二人が仲直りしたことだし、オレのおごりでメシに行こうぜ! ついでに、ハクトが本を読んだ記念もな。それで、マオの予定は大丈夫か?」

 あ、ついでとはいえ、それも祝うのね。
 マオは、本? なんて疑問を言いつつも

「祝ってもらえるのは、嬉しいっす! 一応、予定は入ってるっすけど、まだまだ大丈夫っす!」

 と嬉しそうに答えた。

「……マオと食事をするのも、本当に久しぶりですね。ホムラさん、場所はどこにしますか?」

「せっかくだし、人間界にあるうまいカレー屋に……、と思ったが、マオは行けないんだったな」

「そうっすね」

 マオは、カレーが苦手ってこと?
 いや、そもそも人間界に行けない、ってことだろうか?

 ……確か、魔族が人間界に行くには、認識を誤魔化す魔法が必要だったよな。
 けど、マオであれば問題なく使えそうな気がする。

 となると……。
 マオはさらっと答えてはいたけど、やっぱり元魔王だから、ってことなんだろうか?

「うん? ああ、ハクトの考えてることは、半分正解だと思うぜ。人間界では、自分のいる国から別の国に行く時は双方の許可が必要だろう? 魔界も一つの国みたいになってるから、同じように魔界と相手国の許可をもらう必要がある、ってことだ」

 さらっと心を読まれた!
 ……いや、表情に出ていただけか。

 けど、そうか。
 許可をもらうには、その人物がどういった人かを説明する必要がある。
 つまりは……、

「許可をもらうためには、昔魔王と呼ばれた存在が人間界に行きたがっている、って説明する必要があるっす」

 ……そういうこと、だよな。

「いくつかの国の代表と話した限りでは、問題なく許可が下りそうなんだがな。けど、それを提案することで、人間界と魔界の交流に影響が出るかもしれない、って、こいつが気にしてな」

「段々と、魔界に訪れる人間族の方が増えてるっす。……もしも私のせいで影響が出たら、どうしたらいいか、わからないっす。それに今でも、ホムラの姉貴のお陰で、人間族の方と交流ができているっす。それだけでもありがたいっす!」

「こいつの言ったように、交流は増えてるからな。それがさらに進めば、いつかこいつも人間界に行けると思ってるぜ。それに、今はハクトの試練もあるしな!」

 おおう、ちょっとプレッシャーが……。
 でも、

「なら、余計にホムラには手伝ってもらわないとな。それに、マオにも、もちろん、リューナにもな」

「おう、まかせとけ!」

「もちろんっす!」

「私もです」

「よっしゃ! そんじゃ、この調子のままメシに行くか!」

 と、またしても急に転移させられた。
 ……どこにいくつもりだろう?



 そしてやって来たのは……、

「やっぱり、ここだな。んじゃ、ヒカリにお祝いの食事をお願いするか!」

 ということで、魔皇の城だった。

「ま、魔皇の城でお祝いっすか! しかも、ヒカリさんに食事を作ってもらうなんて、恐れ多いっす……」

「……そうでしたね。マオは、ヒカリさんからとても怒られたのでしたね」

 ああ、ヒカリから怒られたのか……。
 ハヤテの時の比じゃないくらい怒られたんだろうな……。

「私を心配して怒ってくれたことは、わかってるっす。人間界でやかしたことではなく、未知の場所へと勝手に行った事を、特に怒られたっすから。……けど、やっぱり怖かったっす」

 ヒカリらしいな。
 まあ、本人が反省していたから、人間界に関する部分は怒らなかった、というのもあるだろうけどさ。

「……まあ、気持ちはわかります。私も、自身が怒られていないのに、反省したくなることがありますから」

「本当だよ~。ちょっといたずらしただけなのに、すっごく怖い顔をするんだもん~。何というか、凄みのある笑顔だよね! というわけで****、いらっしゃ~い。この城に来るなんて珍しいね~? やっぱり、リューナと仲直りしたから? 一緒にいるってことは、そういうことだよね!?」

 野生のハヤテが飛び出してきた!
 ……いや、ハヤテが野に放たれてるのは危ないな、うん。
 
「おお、ハヤテさん。少し前振りっす! 仲直りはしたっすけど、この城には、ホムラの姉貴に強制的に連れて来られたっす。それと、マオ、って名前をハクトの兄貴からもらったっす!」

 マオは、ハヤテとは仲が良さそうな感じかな?

「やっぱり、ハクトから名前をもらったんだね! ……兄貴?」

「兄貴っす!」

「……そうなんだ~。それにしても、マオがリューナと一緒に転移して来てびっくりしたよ~。おめでと~! 今度からは、リューナも一緒に遊びに誘えるよ~」

 兄貴の部分に関しては、気にしないことにしたようだ。
 なら、ボクはハヤテの姉貴だね! とかならなくてよかった。

「ありがとうっす! それと、今までは申し訳なかったっす」

「別にいいよ~。……いや、反省しているなら、今度ボクの手伝いをしてもらうかな?」

 あ、この表情は何か悪だくみをしている顔だな。
 なんて思っていると、

「ハヤテちゃん?」

 と、ハヤテ曰く凄みのある笑顔をしながら、ヒカリが現われた。

「え、えっと。……あ、そうだ! マオとリューナが仲直りしたんだよ~。これはお祝いしなくちゃだよね!」

「……リューナちゃんと****ちゃん、ですね? 二人の気配を感じたのでもしやとは思いましたが、本当にそのようですね。新しい名前は、マオちゃん、ですか。素敵な名前ですね」

 リューナはともかく、マオもちゃんづけなんだ。

「ヒカリさん、こんにちわっす。名前はハクトの兄貴に考えてもらったっす!」

 ヒカリがあんな感じで出てきたけど、マオは普通に挨拶しているな。
 ……いや、ちょっとだけだけど、口元がひきつってるな。

「よかったわね! それじゃあ、ハヤテちゃんの言う通り、お祝いをしなくっちゃね! ハヤテちゃん、手伝ってくれる?」

「もちろん!」

 ということで、ヒカリはハヤテと一緒に料理を作りに行った。

 と思ったら、それと入れ替わりでレイとアオイ、メイが来た。
 ……これで、魔皇が全員集合したな。

「ホムラから連絡をもらったよ。新しい名前はマオ、だったよね? どうだい? この機会に魔道具作りをやってみないかい?」

「ま、前も言ったっすけど、私にはちょっと向いてないっす」

「うーん。もう少し勉強すれば、コツを掴んでくれそうなんだけどね。それに、やっぱり君の器用さを魔道具作りに活かせば、すごい物を作り出せるはずだよ」

「と、とりあえず、すぐには勘弁してほしいっす。魔道具について勉強してると、頭が痛くなってくるっす」

「まあ、無理強いはしないよ。……今後も、提案はさせてもらうけどね」

「……お手柔らかにお願いするっす」

 マオは、アオイから熱烈に、魔道具作りの勧誘を受けているみたいだな。

 それと、レイとメイからは

「おめでとう。安心したわ」

「……よかった」

 と声を掛けられていた。

 ……あれ?
 ホムラからは、マオとはそんなに交流のない魔皇もいる、って説明されたはずだ。

 だから、ホムラの土地を選んだんだけど……。
 って、いつの間にかホムラがいない。

「あれ? ホムラはどこ行ったんだ?」

「ホムラなら、食材を取りに行くって出ていったよ」

「そうだったか。……なあ、アオイ。」

「うーん。一応メイとはそんなに交流はない、とは言えるかな? けれど、マオはリューナがいない時を狙って、たまにこの城に来ているし、何度も顔を合わせてはいるね。ああ、ヒカリに対しては、ヒカリが怒っている時に怖がってはいるけど、仲が悪いってわけでもないからね。どうしてだい?」

「いや、ホムラ以外の魔皇とも仲が良さそうだったから、どうしてかな? と思って。普段から会っていた、ってことだったんだな」

「そうだね。……以前問題を起こしてから、ホムラ以外の魔皇も、マオの事を気にかけるようになったからね。それが切っ掛けで、今はそうなっている、って感じかな?」

「なるほどな」

 ……一応、ホムラは嘘は言ってないか。

 まあけど、やっぱり、ホムラが同行する口実だったんだろうな。
 とはいえ、ホムラがいてくれたことでスムーズに言った部分もあるし、結果としてはむしろ、ありがたかったな。

 そんな感じで、マオが話の中心になりつつ皆で談笑していると、ハヤテがやってきて、料理ができたよ~、とのことだったので、全員で食事用の部屋へと移動した。
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