異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第九章

第149話 誘われし者たち

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 ちょっとしたトラブル(?)もあったが、とりあえず本に関しては方針ができたな。

 次の日は、なんだかんだで四日も魔界に行っていたので、のんびりと過ごすことにした。
 そのおかげで、魔界や本に関する考えも少し整理できた気がする。
 うん、たまにはこうした日もいいな。

 それと、のんびり部屋で過ごしていると、あれがあると便利かも? ここはちょっと不便だな、なんて改めて思えて来た。
 それもあって、旅行に行く日までに俺の家に関して考えたり、それをリューナにお願いすることにした。

 俺の家だし、と色々自由に考えていると、段々と歯止めが利かなくなってきそうだったので、ある程度の所でリューナにお願いすることにした。
 ……リューナに相談することで、これいらないのでは? とか、なんであれを作らなかったんだ、みたいになったので、リューナにお願いすることに決めてよかった。
 


 そして旅行当日の朝、教会前で本日の同行者を待っていると、

「おはようございます、ハクトさん」

 と、モニカがやって来た。
 ……これで、同行者がモニカ以外だったらびっくりだよな。

「おはよう、モニカ。今日の旅行、楽しみだな」

「そうですね。魔界には前から興味はあったのですが、実際に行くのは中々に難しかったので、こんな機会に恵まれて嬉しいです。ハクトさんには感謝しています」

「それなら、メイにも感謝だな。……まあ、行く場所は図書館だと思うし、魔界観光に来た! って雰囲気にはならないかもだけど」

「そうですね……。そもそも、あまり旅行する機会がないので、私にはその方がありがたかったかもです。それに、本を読むのも好きなので、魔界にはどんな本があるのか、今から楽しみです」

「そっか。それならよかった、かな? ……それにしても、魔界で魔族が書いた本、か。うーん、全然想像がつかない」

「ゴブリンのお話みたいに、魔族ならではのお話も、色々とあるのではないでしょうか?」

「なるほどな。それは、確かに楽しみだ」

 と、今日の旅行について盛り上がっていると、ソフィアとメイ、リューナが同時に現れた。
 ……俺の家の中から。

 おそらく、俺の家に作る図書館について話していた、とかだろうな。
 いや、何も旅行直前に話さなくてもいいと思うんだが……。

「……みんな、そろった。……それじゃ、しゅっぱつする」

 とメイが全員に確認を取り、今日の目的地へと転移した。



「……とうちゃく。……ここは、巨大な図書館。……魔界中の本で、溢れかえっている」

 メイが説明してくれたように、見渡す限り本だらけな場所だった。

 時折、魔族が空を飛びながら、高い場所の本を取ったり、本が勝手にどこかに飛んで行ったりと、ファンタジーな図書館、って感じの光景が見られた。
 うん、この光景を見られたことだけでも、この図書館に連れてきてもらった甲斐があるな。

「……本を探すときは、これ」

 と、メイが持って来たのは、文庫本くらいの大きさの何かだった。

「……ここにある、全ての本の情報が、ここに入ってる。……使い方は、まずこれを持って……」

 と、メイが使用方法を教えてくれた。

 この魔道具を持ち魔力を流すと、リンフォンを使う時みたいに、頭の中に本のジャンルが文字で浮かんでくる。
 そのジャンルを思い浮かべると、さらに細かいジャンルが文字で浮かび、最終的には小別された本のタイトルが、文字で浮かんでくるようだ。
 その本のタイトルを思い浮かべ、取り出す、と思い浮かべると、この魔道具にその本が引き寄せられるようだ。
 
 また、ジャンルや本のタイトルを思い浮かべた後、検索、と思い浮かべると、この魔道具がその場所に弱い力で引き寄せられるそうだ。
 うん、この魔道具はかなり便利だ。
 けど……、

「使い方はわかったよ。 けど、ソフィアの持ってる収納の魔道具みたいに、最初からジャンルとかをイメージして検索した方が便利な気もするけど……」

「私のは、特別製ですので」

「……そうなのか?」

「はい。高級な収納の魔道具には、中に入っている物を知りたいと考えれることで、内容物が頭に思い浮かぶ機能があります。ただ、ジャンルなど、曖昧あいまいなイメージでの検索機能がついた魔道具は、この世界には存在しません。私の持っている魔道具は、仲間に作成してもらったものです」

 ……つまり、知り合いの天使の特別製、ってことか。
 俺の家に欲しいな、なんて思ったけど、そもそも非売品だったのね。

 なんというか、それを漫画の為に作ってもらうとは、色んな意味で流石はソフィアって感じだな。

「……あの魔道具、すごい。……けど、ソフィアから、持ち出し禁止って、言われた」

「あの魔道具は特別製でしたので。アオイさんに分解してみたい、と言われた時も、お断りしています」

 ……まあ、アオイならそう言うだろうな。

 さて、気を取り直して、魔界にはどんな本があるのか、この魔道具で色々と検索してみるか。
 勇者と魔王の本については、ここに来てすぐ聞くっていうのもあれだし、後で聞くことにしようかな。
 ……本に夢中になって、忘れないようにしないとな。



 ということで、本が読めるスペースに移動した。
 来館者の為に先ほどの魔道具が大量に用意してあるらしく、一人一つ魔道具を借りることにして。
 そしてさっそく、それぞれが本を検索することにした、のだが……、

「あの、メイさん。この魔道具で表示される言葉がわからないです……。本であれば、翻訳の魔法が使えますので、読めると思うのですが……」

 と、モニカがおずおずとメイに尋ねた。

「……そうだった。……この魔道具は、人間界の言葉は、表示できない。……どうしよう」

 あー。
 この図書館を訪れるのは魔族だけだから、魔道具も魔族専用になっちゃってるのか。
 実際、使用しない機能は必要ないしな。

 それと、今初めて知ったが、モニカは翻訳魔法が使えるんだな。
 ……俺は、翻訳スキル的なのがあるけど、翻訳魔法の方は、どんな感じで言葉や文字が翻訳されるんだろう?

 いや、それより今は、モニカの本選びだったな。
 
「それなら、メイが本を紹介する、っていうのはどうだろう? 俺も、本を紹介してもらったいたいしな。……この魔道具を使って軽く調べたんだけど、数が多すぎて、どれから読めばいいか全然決められないんだ」

「……けど、モニカの好みがわからない。……ハクトの方は、ある程度わかる、かも?」

 メイとは、ソフィアの図書館で本の感想を言い合ったりしてたからな。

「別に、好みの本じゃなくてもいいんじゃないか? 前に俺がメイに漫画を紹介した時は、ジャンルとかは聞いたけど、俺の好きな漫画から選んだしな」

「……うん。……それなら、モニカは、どんな本が読みたい?」

「そうですね……。まずは、魔界でよく読まれている、楽しい物語が読んでみたいです」

「……それなら、おすすめがある」

 そう言ったメイは、魔道具を使って本を呼び出した。

「……この本。……内容は、……ううん、やっぱり、読んでのお楽しみ」

「メイさん、ありがとうございます」

 そういうと、モニカは椅子に座り、本を読み始めた。

「俺も、後で読ませてもらおうかな。さて、俺も……」

 いや、まてよ。
 俺もモニカと同じように、メイに読みたい本を言おうと思ったけど、今はやめることにした。
 そのかわり……、

「リューナ、今は本の検索中みたいだけど、ちょっといいかな?」

「ええ、大丈夫です。どうしましたか?」

「せっかくだし、リューナおすすめの本が読んでみたいな」

 と、今回はリューナにおすすめの本を聞いてみることにした。

「私のおすすめ、ですか? ……そうですね。でしたら……」

 と、リューナもメイと同じように、本を呼び出してくれた。
 リューナから手渡されたタイトルは、龍の冒険、だった。

 言い換えると、ドラゴンのク……、いや、何でもない。

「せっかくの機会ですし龍について書かれた本を読んでいただこうかと思いました。それに、お話自体もとてもおすすめです。私も、その本に出てくる龍のように……、いえ、これ以上言うのはやめておいた方がいいですね」

「ありがと。それじゃあ、さっそく読んでみることにするよ」

 ということで、俺も椅子に座って読むことにした。

 ちなみにソフィアだが、既に魔道具を使って何冊もの本を呼び出していた。
 ……まさかそれ、全部読む気なのか?
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