166 / 169
第九章 ちの成果 暗幕あがる きっかけを
第157話 私たちの宝庫
しおりを挟む
「あー、えっと。今初めて翻訳を解除する、って意識しながら文字を見てみたんだけど、翻訳されずに見ることができたんだ」
うん、解除しようとしたのは初めてだし、嘘はついていない。
「それで、改めて魔族の文字を見てみたんだけど、この文字はサイン向きだと思うんだ。理由としては……」
と、この文字は絵のような感じでアレンジしやすそうだ、という理由と、実際の例をいくつか挙げて説明した。
そこまで多くは見たことないけれど、芸能人のサインとかで印象的な物があったからな。
「ほうほう。人間族からすると、発音が特殊で扱いづらい言語だと思っていたけれど、そういった利点があったとはね。……うん、そうだね。その案を採用させてもらうとしよう。それで、アレンジに関してだけれど、これは自身で考えた方がいいだろうね」
「ああ。そっちの方がよりその人のサイン、って感じで良さそうだな。……とりあえず、方向性が決まってよかったよ」
「いやはや。今日は人間界についての取材のつもりが、人間界での出版という、昔からの夢が現実味を帯びることになるとは。ハクトさんには本当に感謝だね。……これは、何かお礼を考える必要がありそうだ」
「いや、さっきも言ったけど、俺にとってもメリットがあるし……、いや、そうだな。昨日、ノベルが書いた龍と魔族のシリーズを二巻まで読ませてもらったんだけど、そのシリーズのサイン本が欲しいな」
まだそんなに長い間話したわけではないけど、ノベルはお礼とかはきっちりしそうだからな。
だから、俺から提示した方がいいと思い、提案してみた。
サインを書くのは大変かもだけど、ノベルのサインの練習にもなるだろうしな。
「いやいや、それではお礼にはならないよ。元々、今日集まってくれたお礼に、皆には本を渡すつもりだったんだ。もちろん迷惑にならなければ、だけれどね。それに、サインだって喜んでつけるよ」
うーむ。
俺としては、それだけでも十分すぎるお礼なんだけどなぁ。
それに、まだ俺の方は取材が残っているし、その時にもお礼を、なんて言われそうだ。
……取材といえば、こういうのはどうだろう?
「そうだな。……今後、俺たちの取材を元にして本を書くと思うんだ。もし本が完成したら、まず最初に俺たちが受け取る、というのはどうだろう?」
「どんな内容になるかはわからないけれど、本はもちろん執筆するつもりさ。先ほどの取材で、アイディアが色々と浮かんできているからね。けれど、その本もお礼として渡すつもりだったから、ハクトさんへのお礼としては不十分に感じるね」
……うむむ。
思った以上に、こう言った事には頑固だな。
けど、
「最初、っていうのが重要なんだ。俺のいた世界では、そういった本は希少価値があるんだ。特に人気な本とかは、かなりの価値になることもある。俺はまだ二冊しか読んではいないけれど、その本は人間界でも流行る、って確信があるんだ。だから、その本も価値のある物になるはずだよ。リューナ、この世界でも、そういった本は希少価値があったりするのか?」
と、ノベルの本のファンである、リューナに話を振ってみた。
「そうですね……。魔界では、そもそも本があまり流通していませんので、判断が難しいです。ですが、私も含め、ノベルさんの本が好きな方にとっては、とても価値のある物になりますね。また、真っ先に新しい本を読める、というだけでも、とても嬉しく思います」
と、少々熱のこもった目をしながら、ノベルに訴えかけた。
「そこまで言ってくれるとは、作者冥利に尽きるねぇ。……ううむ、そうだね。それなら今回は、私が折れるとしようか。その分、よりよい作品になるよう頑張らせてもらうとしよう。……さて、名残惜しくはあるが、そろそろお暇するとしようかね」
「……せっかくだし、お昼も、食べていく。……この後も、予定はないって、言ってた」
「あれ、そうなんだ? 俺への取材は後日って言っていたし、午後は予定があるのかと思ってたけど」
「……速記魔法は、そこそこ魔力を消費する。……それに、腕も疲れるから、連続して使うのは、大変」
なるほどな。
「メイさんの言う通りだね。それに加えて、一日中私の取材に付き合ってもらう、というのも悪いと思っていたんだ。……けれど、もしお邪魔じゃ無ければ、昼食もご一緒しても、いいのかな?」
それに対する返事は、全員とも大歓迎、だった。
◇
というわけで、昨日食事を食べた場所に移動し、お昼をとることにした。
メイとリューナで机の上に料理を並べていき、机の上には、魚のムニエルと野菜を煮込んだものがそれぞれのお皿に盛られ、大きなバケットにパンがまとめてのせられていた。
それと、何か料理が入っているであろう鍋が2つあった。
……こっちは多分、おかわり用だろうな。
ムニエルは人数分あったので、最初からノベルの分も用意してあったようだ。
「……今日は、リューナと一緒に、用意した。……それと、こっちの鍋にはリゾットが入ってるから、パンとお好みでどうぞ。……それで、こっちは、ラタトゥイユのおかわり。……パンと鮭のムニエルはリューナ、残りは、私が作った」
ラタトゥイユって確か、トマトとかの野菜を、香草で煮込んだ料理、だったかな?
それと、リゾットまで作ったのか。
……メイの料理のレパートリーは、どんどん増えていってそうだな。
なんて思っていたら、ノベルが
「ちょ、ちょっと質問させてほしい。ということはつまり、このリゾットと、ラタトゥイユという料理はメイさんが作ったということかい?」
と、驚いたような感じでメイに質問した。
……ノベル、メイが料理を作れるようになったって、知らなかったんだな。
「……そう。……少し前から、やってる。……今日も、おいしくできた。……ノベルも、みんなも、どうぞ召し上がれ」
メイは、得意げな雰囲気で、そう返答した。
……今日の午前中に取材を設定したのって、ノベルに料理を食べさせたい、ってのもあったのかな?
さっそくいただいてみると、メイが言うようにとってもおいしかった。
ラタトゥイユには野菜だけでなくベーコンも入っていて、その塩味がよりおいしさを引き出していた。
リゾットもいただいてみると、バターと、ほんのり醤油がきいていた。
しかも、鮭のムニエルとの相性がいい味付けになっていて、流石だった。
そうして、今日も変わらず大満足な食事だった。
ごちそうさまでした!
◇
食後、ノベルから、メイさんがこんなにおいしい料理が作れるなんて、なんてつぶやきがポロっと出た。
それを聞いたメイは、表情こそ変わらなかったものの、誇らしげな感じだった。
そしてそれを聞いていたソフィアも、何故か同じような感じになった。
……私が育てました、って感じなのだろうか。
食後の雑談中、気になったことを聞いてみた。
「そういえば昨日は、俺たちの他に本を読んでいる魔族はいなかったな。借りている人は見かけたんだけど」
「その疑問に答えようか。まず、本が好きな魔族は何百年と生きている人が多くてね。読みたい本はほとんど読んでしまっているんだ。それに、落ち着いた場所で本を読みたい、というのもあるからね」
「なるほど。……それと、もう一つ疑問なんだけど、ここにはどれくらいの本があるんだ?」
「……約、20万冊くらい、かな? ……ここには、魔族が書いた本を、ほとんど集めてる」
20万冊もあるのか!
……いや、何百年と生きる魔族が書いた本がその冊数って考えると、むしろかなり少ない気がしてきた。
そう疑問に思い聞いてみると、まずそもそも、本を書く魔族が珍しいかったようだ。
昔の魔界では、あまり大っぴらにできず、こっそり書いていおり、特に弱い魔族は、従っている魔族に本や原稿が見つかると燃やされてしまう、なんてこともあったようだ。
……ただ気に食わない、って理由だけでなく、何かを企んでいるのかも、なんて誤解からそうされてしまうことも多かったらしい。
「……だから、そういった本は、私がこっそり回収してた。……生み出された物語や考えが失われてしまうのは、世界の損失」
「それは、初めて聞いたよ。……メイさんは、この図書館を作る前から、そういったことをしていたのか。やっぱり、私よりもずっと、メイさんは魔皇に向いている気がするね」
メイは、そういったことをしていたのか。
……前は、気づいたら魔皇になっていた、なんて言っていたけど、そうなる理由がきちんとあったんだな。
「……私は、そういった魔法が得意だったから。……ノベルだって、それができるなら、そうしていた、はず。……この図書館を建てる時も、真っ先に協力してくれた」
ああ、そうだとは思っていたけど、この図書館はメイが主導で建てたんだな。
「私は、そこまで考えていたわけではないよ。……そうだね。ここに収められている本は、皆が趣味で書いている本なんだ。だから正直、読まれない本もいっぱいある。実際、私の本にも、他の人が読んでも面白くないかな、って物もあるんだ。けれど、いつか誰かに面白いと感じてもらえるかもしれない。そんな時が来るまで本を保存しておける場所が欲しい、そう思ったからなんだ」
「……なら、私と、あまり変わらない、と思う」
「そうかなぁ? やっぱり、違うと思うけれど」
「少なくとも、お二人が本を大事にしたい、多くの人に読んでもらいたい、という思いは変わらないと思います。……お二人が関わったこの図書館は、本を快適に読んでもらうための工夫がいっぱいありました。私は、また何度も利用させてもらいたいと思いました。……魔界にあるので、誰かに連れてきてもらう必要はあるのですが」
モニカの言う通り、二人の根底はあまり変わらない気がする。
……そして、そんな二人の関わっているこの図書館は、人間族が気楽に来れるようにしたい。
なんて思っていたら、
「私の図書館では、許可のある方のみが入れるようになっています。こちらの図書館でも、許可された方が簡単に転移できる仕組みを作るのはどうでしょうか?」
と、ソフィアが珍しくいい意見を言った。
……いや、流石にそれはソフィアに失礼だったな。
なんて思っていると、ノベルがソフィアの図書館という単語に反応してしまった。
その結果として、ソフィアの図書館に一人常連が追加されることになってしまった。
まあけど、メイと同じくらい本を大事にするノベルだから、全く問題にはならないだろうけどさ。
……俺への取材回数以外は、な。
______________________________________
これにて、ついに第九章完結です!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
うん、解除しようとしたのは初めてだし、嘘はついていない。
「それで、改めて魔族の文字を見てみたんだけど、この文字はサイン向きだと思うんだ。理由としては……」
と、この文字は絵のような感じでアレンジしやすそうだ、という理由と、実際の例をいくつか挙げて説明した。
そこまで多くは見たことないけれど、芸能人のサインとかで印象的な物があったからな。
「ほうほう。人間族からすると、発音が特殊で扱いづらい言語だと思っていたけれど、そういった利点があったとはね。……うん、そうだね。その案を採用させてもらうとしよう。それで、アレンジに関してだけれど、これは自身で考えた方がいいだろうね」
「ああ。そっちの方がよりその人のサイン、って感じで良さそうだな。……とりあえず、方向性が決まってよかったよ」
「いやはや。今日は人間界についての取材のつもりが、人間界での出版という、昔からの夢が現実味を帯びることになるとは。ハクトさんには本当に感謝だね。……これは、何かお礼を考える必要がありそうだ」
「いや、さっきも言ったけど、俺にとってもメリットがあるし……、いや、そうだな。昨日、ノベルが書いた龍と魔族のシリーズを二巻まで読ませてもらったんだけど、そのシリーズのサイン本が欲しいな」
まだそんなに長い間話したわけではないけど、ノベルはお礼とかはきっちりしそうだからな。
だから、俺から提示した方がいいと思い、提案してみた。
サインを書くのは大変かもだけど、ノベルのサインの練習にもなるだろうしな。
「いやいや、それではお礼にはならないよ。元々、今日集まってくれたお礼に、皆には本を渡すつもりだったんだ。もちろん迷惑にならなければ、だけれどね。それに、サインだって喜んでつけるよ」
うーむ。
俺としては、それだけでも十分すぎるお礼なんだけどなぁ。
それに、まだ俺の方は取材が残っているし、その時にもお礼を、なんて言われそうだ。
……取材といえば、こういうのはどうだろう?
「そうだな。……今後、俺たちの取材を元にして本を書くと思うんだ。もし本が完成したら、まず最初に俺たちが受け取る、というのはどうだろう?」
「どんな内容になるかはわからないけれど、本はもちろん執筆するつもりさ。先ほどの取材で、アイディアが色々と浮かんできているからね。けれど、その本もお礼として渡すつもりだったから、ハクトさんへのお礼としては不十分に感じるね」
……うむむ。
思った以上に、こう言った事には頑固だな。
けど、
「最初、っていうのが重要なんだ。俺のいた世界では、そういった本は希少価値があるんだ。特に人気な本とかは、かなりの価値になることもある。俺はまだ二冊しか読んではいないけれど、その本は人間界でも流行る、って確信があるんだ。だから、その本も価値のある物になるはずだよ。リューナ、この世界でも、そういった本は希少価値があったりするのか?」
と、ノベルの本のファンである、リューナに話を振ってみた。
「そうですね……。魔界では、そもそも本があまり流通していませんので、判断が難しいです。ですが、私も含め、ノベルさんの本が好きな方にとっては、とても価値のある物になりますね。また、真っ先に新しい本を読める、というだけでも、とても嬉しく思います」
と、少々熱のこもった目をしながら、ノベルに訴えかけた。
「そこまで言ってくれるとは、作者冥利に尽きるねぇ。……ううむ、そうだね。それなら今回は、私が折れるとしようか。その分、よりよい作品になるよう頑張らせてもらうとしよう。……さて、名残惜しくはあるが、そろそろお暇するとしようかね」
「……せっかくだし、お昼も、食べていく。……この後も、予定はないって、言ってた」
「あれ、そうなんだ? 俺への取材は後日って言っていたし、午後は予定があるのかと思ってたけど」
「……速記魔法は、そこそこ魔力を消費する。……それに、腕も疲れるから、連続して使うのは、大変」
なるほどな。
「メイさんの言う通りだね。それに加えて、一日中私の取材に付き合ってもらう、というのも悪いと思っていたんだ。……けれど、もしお邪魔じゃ無ければ、昼食もご一緒しても、いいのかな?」
それに対する返事は、全員とも大歓迎、だった。
◇
というわけで、昨日食事を食べた場所に移動し、お昼をとることにした。
メイとリューナで机の上に料理を並べていき、机の上には、魚のムニエルと野菜を煮込んだものがそれぞれのお皿に盛られ、大きなバケットにパンがまとめてのせられていた。
それと、何か料理が入っているであろう鍋が2つあった。
……こっちは多分、おかわり用だろうな。
ムニエルは人数分あったので、最初からノベルの分も用意してあったようだ。
「……今日は、リューナと一緒に、用意した。……それと、こっちの鍋にはリゾットが入ってるから、パンとお好みでどうぞ。……それで、こっちは、ラタトゥイユのおかわり。……パンと鮭のムニエルはリューナ、残りは、私が作った」
ラタトゥイユって確か、トマトとかの野菜を、香草で煮込んだ料理、だったかな?
それと、リゾットまで作ったのか。
……メイの料理のレパートリーは、どんどん増えていってそうだな。
なんて思っていたら、ノベルが
「ちょ、ちょっと質問させてほしい。ということはつまり、このリゾットと、ラタトゥイユという料理はメイさんが作ったということかい?」
と、驚いたような感じでメイに質問した。
……ノベル、メイが料理を作れるようになったって、知らなかったんだな。
「……そう。……少し前から、やってる。……今日も、おいしくできた。……ノベルも、みんなも、どうぞ召し上がれ」
メイは、得意げな雰囲気で、そう返答した。
……今日の午前中に取材を設定したのって、ノベルに料理を食べさせたい、ってのもあったのかな?
さっそくいただいてみると、メイが言うようにとってもおいしかった。
ラタトゥイユには野菜だけでなくベーコンも入っていて、その塩味がよりおいしさを引き出していた。
リゾットもいただいてみると、バターと、ほんのり醤油がきいていた。
しかも、鮭のムニエルとの相性がいい味付けになっていて、流石だった。
そうして、今日も変わらず大満足な食事だった。
ごちそうさまでした!
◇
食後、ノベルから、メイさんがこんなにおいしい料理が作れるなんて、なんてつぶやきがポロっと出た。
それを聞いたメイは、表情こそ変わらなかったものの、誇らしげな感じだった。
そしてそれを聞いていたソフィアも、何故か同じような感じになった。
……私が育てました、って感じなのだろうか。
食後の雑談中、気になったことを聞いてみた。
「そういえば昨日は、俺たちの他に本を読んでいる魔族はいなかったな。借りている人は見かけたんだけど」
「その疑問に答えようか。まず、本が好きな魔族は何百年と生きている人が多くてね。読みたい本はほとんど読んでしまっているんだ。それに、落ち着いた場所で本を読みたい、というのもあるからね」
「なるほど。……それと、もう一つ疑問なんだけど、ここにはどれくらいの本があるんだ?」
「……約、20万冊くらい、かな? ……ここには、魔族が書いた本を、ほとんど集めてる」
20万冊もあるのか!
……いや、何百年と生きる魔族が書いた本がその冊数って考えると、むしろかなり少ない気がしてきた。
そう疑問に思い聞いてみると、まずそもそも、本を書く魔族が珍しいかったようだ。
昔の魔界では、あまり大っぴらにできず、こっそり書いていおり、特に弱い魔族は、従っている魔族に本や原稿が見つかると燃やされてしまう、なんてこともあったようだ。
……ただ気に食わない、って理由だけでなく、何かを企んでいるのかも、なんて誤解からそうされてしまうことも多かったらしい。
「……だから、そういった本は、私がこっそり回収してた。……生み出された物語や考えが失われてしまうのは、世界の損失」
「それは、初めて聞いたよ。……メイさんは、この図書館を作る前から、そういったことをしていたのか。やっぱり、私よりもずっと、メイさんは魔皇に向いている気がするね」
メイは、そういったことをしていたのか。
……前は、気づいたら魔皇になっていた、なんて言っていたけど、そうなる理由がきちんとあったんだな。
「……私は、そういった魔法が得意だったから。……ノベルだって、それができるなら、そうしていた、はず。……この図書館を建てる時も、真っ先に協力してくれた」
ああ、そうだとは思っていたけど、この図書館はメイが主導で建てたんだな。
「私は、そこまで考えていたわけではないよ。……そうだね。ここに収められている本は、皆が趣味で書いている本なんだ。だから正直、読まれない本もいっぱいある。実際、私の本にも、他の人が読んでも面白くないかな、って物もあるんだ。けれど、いつか誰かに面白いと感じてもらえるかもしれない。そんな時が来るまで本を保存しておける場所が欲しい、そう思ったからなんだ」
「……なら、私と、あまり変わらない、と思う」
「そうかなぁ? やっぱり、違うと思うけれど」
「少なくとも、お二人が本を大事にしたい、多くの人に読んでもらいたい、という思いは変わらないと思います。……お二人が関わったこの図書館は、本を快適に読んでもらうための工夫がいっぱいありました。私は、また何度も利用させてもらいたいと思いました。……魔界にあるので、誰かに連れてきてもらう必要はあるのですが」
モニカの言う通り、二人の根底はあまり変わらない気がする。
……そして、そんな二人の関わっているこの図書館は、人間族が気楽に来れるようにしたい。
なんて思っていたら、
「私の図書館では、許可のある方のみが入れるようになっています。こちらの図書館でも、許可された方が簡単に転移できる仕組みを作るのはどうでしょうか?」
と、ソフィアが珍しくいい意見を言った。
……いや、流石にそれはソフィアに失礼だったな。
なんて思っていると、ノベルがソフィアの図書館という単語に反応してしまった。
その結果として、ソフィアの図書館に一人常連が追加されることになってしまった。
まあけど、メイと同じくらい本を大事にするノベルだから、全く問題にはならないだろうけどさ。
……俺への取材回数以外は、な。
______________________________________
これにて、ついに第九章完結です!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
0
あなたにおすすめの小説
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~
カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。
気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。
だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう――
――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。
彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
社畜の異世界再出発
U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!?
ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。
前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。
けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる