異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第一章 知り合いが どんどん増える 一週間

第6話 そうだ 魔界行こう(強制)

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「って急に転移するなよ!」

 この世界の奴は人を急に転移させるのが趣味なんだろうか。

「わりぃわりぃ。ちょっと驚かせたくてな。で、どうよ。オレの住む魔界の景色は」

 といわれ周りを見渡すと、遠くまで見渡せる平らで硬そうな地面と所々に岩があるのが見えた。
 だた、空の色が赤かったり暗かったりせず、普通に地球や人間界で見たような青空に見えるな。

「なんというか、もっとおどろおどろしい光景を勝手に想像してたけど、殺風景な感じ以外は普通、かな?」

「こっちの人間界の奴も同じように思ってるやつが多いみたいだな。まあ一部そんな地域もあるが、基本的には人間界とそこまで変わらねーな。魔界に初めて来た奴はそのギャップに驚いてるぜ」

  確か、魔界は人間界より魔力に満ちていたり、魔力がどれかの属性に偏った地形が存在している、みたいな簡単な説明を受けたと思う。
 けど、行けるかどうかもわからなかったから、質問とか全然しなかったんだよな。
 一度は行ってみたいと思っていたから後で調べようとは思っていたけど。

 それにしても、こっちの世界の人間も、魔界に対する認識が結構かたよってるんだな。

「本当は街とかを見せてやりたいんだが、人間界の奴がこっちに来るには色々とルールがあってな。この辺りの一帯はオレの私有地ってことで、問題なく連れてこれたわけだ。なんもないけど模擬戦とかするのに便利なんだぜ」

 そう言われ、改めて周囲を見渡すが、多分一キロ以上先まで何も無いように見える。

「ずっと遠くまで見えるけど、もしかしてここ全部!?」

「ああ。とはいっても本当になんもない場所だけどな。それより早く魔力の使い方を覚えてオレと模擬戦しようぜ!」

「え、なんで!?」

「なんでって、身につけた力を確かめる必要があるだろ? いざ戦闘になったときに自分の力を把握してないってのは問題だぜ」

 ホムラは不思議そうな顔をしながらそう言ってきた。

「いや、俺のいた国じゃほとんどの人が戦闘とは無縁だったし、そもそも俺あんまり戦いとか好きじゃないというか……」

「そりゃあずいぶんと平和な世界から来たんだな。……とはいえ、こっちも人間界と魔界とが繋がった後は争いも随分減ったか。それに、人間界でもその後は戦争とかもしてないらしいぜ」

「え、その話すごく気になる」

「まあ詳しくはソフィアにでも聞いてくれ。んじゃ、魔力の使い方について教えていくか。うーん、異世界から来たみたいだし、まずは魔法についての知識を先に教えるのがいいか?」



 そんなこんなで、魔法は火・水・風・土と光・闇の属性、無属性に分かれていること、魔法を撃つのに魔法名や詠唱は必要なくイメージが大事なこと、ただしイメージを明確にするために魔法名を喋ったり思い浮かべながら発動する人もいることなど教わった。
 ちなみに人間は基本的に無属性、魔族はホムラが火属性を持ってるように様々な属性に分かれているらしい。

 魔力の使い方については、まずは体内の魔力を感じることから始まり、魔力を身体に巡らせるやり方、魔力の抑え方、魔力を身体の一部に集めるやり方までを教わった。
 口調は少し荒っぽいが教え方は意外と丁寧で分かりやすかった。

 休憩のために一度落ち付いたところでそのことを尋ねると、

「そうだな……。基本的に魔界ってのは力が強い奴が偉いって感じでな。今ではほとんどなくなったが、昔は力の強いやつが無理やり弱者を従えるってことがあちこちであったんだ。で、今でも人間界ではこのイメージが残っちまってるみたいでな。魔族が人間界に行くときは、いい感じに認識を誤魔化す魔法を使ってるんだ。最初から正体がバレてる相手とか、お前みたいに魔力が強い奴には全然効かないけどな」

 そう話すホムラの顔は、どことなく寂しそうだった。

「っと話がそれちまったな。で、オレは戦うことは好きだが、弱者を虐げるってのは嫌いでな。そういったことをしてるやつを見かけては、勝負を挑んで蹴散らしてきた。ほんで、助けてきた奴の中には鍛えたら強そうだなって奴も度々いてな。そいつらを鍛えてくうちに自然と教え方も上手くなっていった、ってわけだ」

「ホムラってすげーいい奴だったんだな……」

 魔界は物語でよくあるような力で支配する、みたいなところだったみたいだ。
 そんな中で力に溺れず、自分より弱い奴にもきちんと接しているホムラに対して、思わずそう言葉が出た。

「よせやい! ……さて、そろそろ休憩も終わりでいいだろ。次は魔法の練習だ!」

 なんて、少し顔を赤くしながら言った。

「魔法ってのは、さっきも説明したがとにかくイメージが大事だ。とりあえず一般的にファイアボールって呼ばれてる魔法を撃ってみるから見ててみな」

 そういうとホムラが手から火の玉を撃ち出した。その時に何となく手に魔力を集めるのがわかった。それと――

「ホムラがファイアボールを撃つとき、手に魔力を集めてたか? しかも何というか魔力が火っぽいというか」

「お、もうそこまでわかるようになったか。こういった魔法は放出したい場所に魔力を集めてから魔法を撃つイメージをする感じだな。ついでに説明しておくと、オレの属性が火ってのは前に言ったが、体内で生成される魔力も火属性なんだ」

 そう言いながらホムラは右手に魔力をゆっくり集めた。
 うん、やっぱり火属性っぽいのが分かる。

「で、例えば水属性の魔法を撃とうとすると、一旦無属性に変換してから更に変換する必要がある。でお前たち人間は基本的に無属性の魔力を持ってるって感じだな。んじゃ、ちょっとやってみっか」

 そう言うと、ホムラは一度魔力を解放した。
 そしてもう一度右手に魔力を集めたかと思うと、一瞬で別の属性に変わり(おそらく無属性だろう)、すぐに水属性っぽい魔力に変わると拳大の水球が撃ちだされた。

「どうだ、魔力が二回変わったのが分かったか? それと、今回撃ったのはウォーターボールって呼ばれる魔法なんだが、ファイアボールを撃つより少し時間を必要としたのも分かったか?」

 言われてみれば、ウォーターボールは発動までに微妙にディレイがあった気がする。
 とはいえ、一秒にも満たない時間であったが。

「確かに、少しだけ時間がかかってるように感じた。けど、そこまで違いはないような気もするけど」

「まあただ使うだけなら問題ないが、強い奴同士で戦う場合はその一瞬が命取りだったりする。それに一度無属性に変換する工程を挟むと、それ相応に消費魔力も増えるしイメージもしにくくなる。だから魔族は基本的に自分の持ってる魔法をメインで使う感じだな」

「なるほど。で、人間は無属性だからいろんな魔法を使いやすいと」

 魔族は元々持っている属性の魔法に特化している。ただし、他の属性も頑張れば使える。
 人間は色々な属性の魔法を汎用的に使えるけど、魔族の特化してる属性には敵わない、って感じか。

「そうだ、よく理解してるな! さらに言うと基本的には人間ってのは魔力が魔族ほど多くない。まあ、お前ほどじゃないが化け物みたいな魔力を持つ奴も偶にいるがな」

「基本的に魔族ってのは魔力が多い種族ってことだったな。というか、やっぱり俺の魔力ってすごいんだな……」

「ああ、漏れ出てるんじゃなく、全力で開放したら結構な数の魔族がひれ伏すだろうな。で、強い魔族は戦いを挑まれたと思って襲い掛かってくるだろうな」

 なんて笑いながらホムラが言った。

「絶対やらないからね!」

 他人を支配するのも、戦いになるのも絶対に遠慮したいところだった。

「さて、んじゃハクトも魔法を使ってみるか。オレのやり方を見てていろいろ理解したようだし、試しにやってみるか!」

 なんて言われたので、とりあえずファイアボールを撃ってみることにした。

 えっと、手に魔力を集めて……、属性が火になるようにして、こぶし大の火球が飛んでいくようにイメージしながら、魔力を放出する!

「で、できた!」

「一回で成功するとはやるな! んじゃどんどん魔法を使って練習してくか!」

そんな感じでファイアボールやウォーターボールなど、様々な属性の魔法を練習していった。
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