異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第一章 知り合いが どんどん増える 一週間

第13話 異世界文化の布教?

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 さて、イズレの行きつけのお店にやってきた。
 エルフ行きつけの店ということで、どんな変わった店なんだろうかと楽しみにしていたのだが……

「……丼物専門店?」

 なんだか思っていたのと全然違った。

「ふむ。ハクトは来るのは初めてか? この店は商品の提供が早くてな。しかも米とおかずを同時に食べられる形になっていて効率が良い。さらにメニューの種類も豊富と、言うことなしだ」

「この国の東、わたしの故郷で多く生産している米や調味料をメインに使っている料理ね! わたしもたまに食べに来るわ! 今日はどのメニューにしようかしら?」

 やっぱりアキナはこの世界の東方出身のようだ。
 ……ってそうじゃない。
 エルフの行きつけ感を全く感じられない、忙しいサラリーマンとかが利用しそうなお店じゃないか。

「……まあ、似たようなお店には来たことあるかな。多分知ってるメニューがあると思うから大丈夫」

「じゃあ入りましょ!」



 イズレは牛丼、アキナはかき揚げ丼、俺はカツドゥーン、ではなくかつ丼を頼んだ。
 提供が早くて、しかもとてもおいしかったです。

 食事後店員さんに確認したところ、昔、教会の巫女が伝えたと言われているレシピを元に作っているらしい。
 この店もソフィアからの影響を受けていた。

 もう巫女じゃなくて、食の伝道師でんどうしと呼んだ方がいいのだろうか?



 イズレの店に戻り、商談用のスペースで大小様々な人形を見ることになった。
 その前に、何故こういった人形を作り始めたのか聞いてみることにした。

「ふむ。そもそもこういった人形を作り始めたのは、人物の表現に疑問を持ったからだ。エルフ族というのは一般に容姿端麗ようしたんれいな種族として知られている。そして、自身の見栄えを良くした絵画や人形を依頼するときに、エルフ族のような見た目にして、という注文はごくありふれたものだ。だが、我々はその容姿が当たり前の環境で育った。だから、エルフ族が良いと思える、さらには他種族にもそう思える表現がないかと模索しているのだ」

 なるほど。エルフ族は容姿端麗、って印象しか持っていなかったが、その種族特有の感覚ってものは実際に存在しているってことか。
 そしてこの世界はエルフが現実に存在しているから、それが一つの理想として定着してしまっている、って感じかな?
 第一印象は変なエルフだったが、きちんとした信念を持っている人だった。
 いや、それでも変なエルフではあるのだけれど。

「そこで各地を巡り、様々な人種や職人たちが作り出した人物画や人形を探す旅に出た。だが、私の求めるものは見つからなくてな。その後色々あったが、ここに店を構え、試行錯誤しながら人形づくりをしている」

「それで、今はこういった人形を作っているってことか……」

 ううむ、もしかしたら彼にキャラクターの絵やモデルを見せれば、何か新たな着想を与えられるかもしれない。
 食文化に関してはソフィアがあちこちに広めているし、危険なものでなければ問題ないと言っていたし、大丈夫だよな? ソフィア。



~一方その頃~

「?」

「どうかしましたか? あ、先ほど焼肉弁当をいただきました! ご飯に甘辛いたれがしみ込んでいて、冷めていても、とってもおいしかったです! ただ、味が少し濃いめでしたので、一度口のなかをさっぱりさせる副菜などを添えると、よりよいかと思います」

「そうですか。参考になりました、ありがとうございます。また、何か作りましたら感想をお願いできますか?」

「本当ですか! こちらこそ、よろしくお願いします!!」

~閑話休題~



 ソフィアといえば、昨日使った相手にイメージを伝えることのできる魔道具を使えば、俺の持つアニメやゲームなどのイメージを伝えられるのではないだろうか。
 もしかしたらイズレが持っているのではないか、と思い聞いてみると、

「ほう、良く知っているな。顧客からのイメージを正確に受け取るのに便利でな。高価な部類ではあったが、必要経費と割り切って購入してある。ふむ、奥から持って来よう」
 
 と、店の奥に魔道具を取りに行った。

「イズレってば、いい魔道具を持ってるじゃない! ハクトはそれで何かのイメージをイズレに伝えたいってこと?」

「ああ。何かの役に立てばいいがな」

 イズレは、魔道具を手にしてすぐに戻って来た。

「持ってきたぞ。ハクトの持つイメージを共有するということでいいんだな?」

 そして、共有する設定が視覚になっていることを確認し、お互いが魔道具の片側を持った。

「それじゃ、まずはこれでいいかな? 送るぞ」

 と、VTuberが動く姿をイメージすることにした。
 アニメ絵が立体になって動いているのは、きっと参考になるだろう。

「!? 何だこれは!! ハクト、お前はこれをどこで見た!」

 くわっ、と目を見開くと、イズレは詰め寄りながら質問してきた。
 
 ……なんだが思った以上の反応だ。
 いや。彼からしたら、いきなり生きている宇宙人の映像を見せられたような感覚だったのかもしれない。
 
 そしてどこで見たって、異世界ですと言うしかないが、変な目で見られないかな?  
 いやまあ他に説明のしようがないし、適当なことを言っても信じてもらえるか怪しいか。

「あー、実は俺、異世界から来たんだ」

「!? ……そうか、道理でな。 私の追い求めるものはそこにあったのか……」

 信じてもらえてよかった。
 アキナも小声で

「そういうことだったのね……。やっぱりわたしのカンは当たっていたってことね……」

 と言っていたので、大丈夫そうだな。



 その後、イズレが忘れないようにスケッチを取りたいと準備した後、アニメやゲーム、VTuberなどのイメージをいくつも送った。

 それらを送る度に、「なんだと!?」、「ばかな!?」、「こんなものが……」、「ほう……、いや待て、そう来るか!」、なんて色々な反応が返ってきて、面白かったのは内緒だ。

 ある程度のイメージを送ったところで終了を告げられた。
 流石に衝撃が多すぎて頭が疲れたらしい。
 それに、今回スケッチしたイメージだけでも検証するのに大分時間がかかりそう、とのことだった。

「あ、そうだ! 昨日言っていたゴブリンのデフォルメした姿っていうのも、その魔道具で送れるよね? イズレ、最後に一仕事お願いできないかしら?」

「先ほどまでの作業で私は疲れているのだが……。まあいい、もののついでだ。ハクト、いつでもいいぞ」

「わかった。ただ案が2つあるんだが、大丈夫か?」

「ふむ。まあ、それくらいなら平気だ」

 一つは漫画風な可愛げのある少年をベースにし、肌の色を緑色に、耳を尖らせて、鼻を長くした。
 もう一つは、それをさらに2.5等身ほどにしたものをイメージして送った。
 絵は描けないが、こういうのを考えるのは結構好きだったんだよな。

 2つのスケッチしてもらったデフォルメゴブリンをアキナに渡すと

「なるほど! 確かに前よりも見た目に愛嬌がある! しかもゴブリンの特徴もある程度残ってる! こっちの小さくなってるのはかわいい!」

 と結構高評価だった。
 ただ、

「けど、元々の見た目とはかなり違うっていうのは気になるね。ちゃんとゴブリンであると認識してくれるかな? ……うーん、他の人の意見も欲しいな。一度持ち帰って皆に意見を貰ってみるね!」

 と、商売人の娘っぽい視点でいろいろ考えていた。

「さてと、では行くか」

「あれ? 何か予定があるのか?」

「お前の魔道具を買うと最初に約束したであろう?」

 そういえば、そういう約束で手伝っていたんだった。
 なんだかんだでちょっと忘れてたよ。

 ということで魔道具のお店に行くことになった。
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