異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

文字の大きさ
15 / 161
第一章 知り合いが どんどん増える 一週間

第15話 味噌汁が綺麗ですね

しおりを挟む
 一晩経って次の日。
 今日は確かホムラに魔法をまた教わる日だったな。
 戦うのは遠慮したいけど、新しい魔法が使えるようになるのは嬉しいし、今日も楽しみだ。

 あっ!
 その前に、念のためソフィアと連絡できるようにしておこう。



 教会に行くと、入口のそばにモニカがいた。

「あ! ハクトさん、おはようございます。 昨日焼肉弁当をいただきましたが、とってもおいしかたです! ありがとうございました」

 ああ、一昨日ソフィアと作った焼肉のたれを使ったやつか。
 モニカの口にも合ったようで何よりだ。

「それに、ソフィア様がまた何かを作った際には、感想が欲しいと言っていただけました」
 
 なんて嬉しそうに言っていた。

 モニカと、次は私が何か作りますね、とか、どのような物が好みですか? などと話していると、入口付近にソフィアが来ていた。
 目が合うと、こちらに来て

「すみません、邪魔をしてしまいました。確か、相手に料理を作る約束をするのは、異世界ではプロポーズのようなものでしたか」

「違う! ……とは完全に言い切れないけど、確か毎日味噌汁を作ってみたいに言う感じだったはず。それで意味は、ずっと一緒にいてください、みたいな意味だったかな?」

 多分そうだったと思うけど、正直自信はない。
 というかそんな昔の言い回し、何から知ったんだ?

 月以外でも何かを綺麗だな、とかいったら、プロポーズですか? なんて言われそうだ。

「ってそういうことじゃなくて。昨日の焼肉弁当のお礼に。何か作ってくれるって話をしていただけだ」

「そ、そうです。ソフィア様にもお礼として、何かお口に合うものが作れれば良いのですが……」

「そうでしたか。あまり好き嫌いはありませんので、ハクトさんと同じものでお願いします」

 俺とソフィアに、モニカが何か作ってくれることになった。
 そういや、女の子からの手作りを貰うのは初めてかも。
 異世界ってすごい!
 ……いや、異世界関係ないけど。

「あ、そうだ。昨日色々あって、リンフォンを手に入れたんだ。ソフィアとも連絡を取れるようにしておきたいんだけどいいかな?」

「ええ、かまいませんよ」

「あ、あの、ハクトさん。確かその魔道具は高価なものだったと思うのですが、購入資金は大丈夫だったのですか?」

 ソフィアと連絡先を交換しようとしたところ、モニカが心配そうに話しかけてきた。
 うーん、なんて説明すればいいんだろう。

「あー、えっとな。この街に人形を作ったり売ったりしているお店を知ってるかな? そこの店主の所で仕事をする代わりに購入してもらったんだ」

「あっ、少しですが知っています。腕の良い職人で、有名な商店からも多くの仕事を受けているらしいですね。だたその、とても職人らしい性格だと聞いていましたが、良く知り合えましたね。それに、そんな方のお手伝いができるというのもすごいですね」

「まあ、偶然みたいなものだったな。店先に飾ってあった等身大の人形を見ていたら、いつの間にか色々話が進んで気づけば、みたいな。仕事としては、商品の配置を整えたり、異世界人である俺の持つ情報を教えたりしたって感じかな」

 と話していると、ソフィアがいつもより真剣な雰囲気で

「ハクトさん。後で元の世界に帰るとはいえ、自分を安売りしてはいけません。自分のプライベートな情報を渡すのは良くないことです」

「俺の情報ってそれじゃないからね!? 向こうの世界の漫画やアニメだったり、それを立体化したものとかのイメージだから!」

「そうでしたか、安心しました。では登録しましょう」

 切り替えの早いソフィアがさっそくリンフォンを取り出したので、お互いに魔力を流し連絡をとれるようにした。

 それと、ついでにモニカとも交換しておいた。
 次はどんな発言をするんだろうとソフィアを見たが、不思議そうに首をかしげるだけだった。
 ここでは天然な発言はしないんかい!

 ちなみに、モニカはあまり連絡する用がないとのことで、従来品の魔道具を使っていた。

「それと、確認しておきたいことがありました。明日の予定は決まっていますか?」

 アキナやイズレからはいずれ連絡が来るだろうが、昨日の様子だとすぐに連絡は来ないだろうから大丈夫かな。
 ソフィアの用というのは、仕事の手伝いのお願いだろうか?

 ……イズレからいずれ。
 ちくしょう、気づいてしまった。
 うん、全部イズレのせいだ。

「連絡が来る予定はあるけれど、どっちも少し時間がかかりそうだったし、明日は問題ないと思う」

「そうでしたか。では明日の朝、9時までに教会にお願いします。準備はこちらでしておきますので」

「わかった。明日はよろしくな」



 話も終わり、そろそろホムラが来る頃か、と外に出ようとした所、いきなり教会の入口から誰かが入ってきた。
 そして辺りを見回すとこちらに気づき、

「見つけた! 君が例の異世界人、ハクト君だね。急ですまないが私に少し時間を貰えないかな。なに、ただでとは言わないので安心してほしい。内容に応じて様々な報酬を用意してある。さあ、まずは魔界にある私の工房に行こうか!」

 なんて、ダボっとした服に青緑色の眼鏡、短めな茶髪の美女が話しかけてきた。
 突然のことに驚いていると、すぐにホムラが飛び込んできた。

「おい! ちょっと待てって! っとすまねぇハクト。今日はこいつを紹介しようと思ったんだが、知識欲に負けてこうなっちまったらしい。……ふんっ」

 と、ホムラが彼女の頭に思いっ切りげんこつを落とした。
 こうかは いまひとつの ようだ。

 ……いや、落ちついたみたいだな。

「ふぅ、すまない。少し興奮してしまったようだね。私は地属性の魔族。こっちでの名前は持っていないから、彼女、ホムラのように名前をつけてもらえればありがたいかな」

 なんてこちらを興味深そうに見ながら言ってきたが、正直どう扱ったものかと思い、ホムラの方を見た。

「いてて。ったく、相変わらずの石頭だな。ああ、なんでこいつがいるかなんだが、オレが今日ハクトと会うと言ったら、こいつも会いたいと言ってな。こいつは魔道具を作る職人? 研究者? まあそういうやつなんだが、何でもハクトの元居た世界の道具とかについて色々聞きたいらしい」

 なるほど、俺の持つ異世界の知識を求めて来たってわけか。
 けど、こっちの世界にも似たような魔道具は色々あったし、参考になるようなものがあるのだろうか。

「うーん。節度とかを守ってくれればそれはいいんだけど、そもそも参考になるかな? この世界の魔道具って、俺の世界でも良く使われていたようなものが多くあるみたいだし。いくつか思い浮かんだ、こっちになさそうな物だと、高度な技術が使われていて、詳しい説明は全然できそうにないかも」

 スマートフォンの原理を教えて! とか言われても、ふわっとした説明しかできそうにないしな。

「ああ、それは理解しているよ。……そうだな。前にそちらの世界から来た安藤という人に会ったことがあってね。ただ残念な事に、彼に会った時は、最後の旅行として魔界に来たタイミングだったんだ。ただそれでも、彼とは魔道具のことで気が合って、スケジュールを調整することで半日ほど色々議論できたよ。それで、時間も少ないからと、主に向こうで使われている技術の話をしてくれたね」

 こんなところで安藤さんの話が出るとは。
 それと、魔界に観光っていうはいいな。
 ルールみたいなのがあるみたいだけど、どこかで申請すれば行けるのだろうか?

「ただその分、その技術が使われている道具については少ししか聞けなくてね。だから、次に異世界人に会えたタイミングでそのあたりを色々聞こうと思ったのさ。そのための魔道具も開発したからね」

 と一昨日も、昨日も見た、イメージを伝える魔道具を取り出した。

 彼女はあの魔道具の開発者なのか。それはすごい! ……けど、何というか。イズレもそうだけど、すごい技術とかを持っている人って、どこか変わったところがあるな。

「今日は軽い顔見せと、ハクトに名前を考えてもらうだけの予定だったんだがな。こいつは魔道具のことになると、たまに暴走することがあってな。今日もそうなっちまったみたいだ」

「いやはや、面目ない。最近行き詰っていたからか、自分で思っていたより理性を止められなかったみたいだね。けどさっき言ったことは本当さ。今日でなくてもいいから、是非とも私の工房に来てもらいたいね」

「実は昨日、魔道具の専門店に行って色々見たのもあって、工房って言われるとかなり気になるかも。けどホムラが先約だったから、次の機会でお願いしたいかな」

「ああ、オレの方は後でもいいぜ。それに今日でなくても、こいつが暴走してもいいよう、同行したほうが良さそうだ」

 その後話し合った結果として、工房に行くのは彼女がまた暴走しないよう今日の方が良い、という結論になった。

 というかホムラって、やっぱり面倒見がいいよな。
 なんとなく、損な役回りばかりしていそうだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

処理中です...