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第三章 要するに この章ほとんど デートかい
第50話 何時も迷子
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「とまあ、他の皆とはこんな感じだったよ」
「楽しそうでよかったです。ハクトさん、ありがとうございました。それにしても、ソフィアさんには後でお礼に行かないとですね」
「俺も楽しかったし、お礼を言われるようなことでもないよ。ソフィアも読書仲間が増えたってことで、なんとなく嬉しそうだったしな」
日付変わって本日はデートの最終日、ヒカリの番だ。
待ち合わせ場所はいつもの教会、ではなく転移門の前だ。
他の皆は、転移門から教会までの道は単純ということもあって、集合場所を教会前にしていた。
ホムラやハヤテは元々場所を知っていたしな。
一方、ヒカリだけ場所が違う理由なんだが、魔皇城で武勇伝を聞いている時にこんな話を聞いたからだ。
「あー、それとな。ヒカリのやつなんだが、方向音痴なんだ」
「昔はよく迷子になっていたんだよ。それでね、迷子になった先で起きていたトラブルを解決する、ってことがよくあったんだよ~」
「一度行った場所は、持ち前の記憶力で辿り着けるのだけど……。景観《けいかん》が変わっていることもあるから、そういった時はまた迷子になってしまうわね」
「魔界のトラブルを積極的に仲裁していたこともあって、ヒカリは迷った先でもよく頼られるみたいだね。それと、今は魔界でも通信用の魔道具が普及しているから、転移が可能な場所で待ち合わせをしてるみたいだよ」
「……たまにはぐれて、迷子になってるけど」
ということで、ヒカリだけは必ず辿り着けるであろう転移門を待ち合わせ場所にした、というわけだ。
◇
「それで、今日はこの街を案内する、ってことでいいんだよな?」
「ええ、お願いします。ハヤテちゃんやホムラちゃんがよく来ているこの街を、実際に見て回りたいです。……それに、あまり人間界の街を歩くことはありませんので」
元々忙しいのに加え、方向音痴っていう理由があるから、かな?
ともかく、今日はホムラやハヤテと巡ったお店を色々案内していこうかな。
ちなみに、昨日最後に行った場所には案内しないつもりだ。
他の人には秘密だよ~、ってハヤテに言われたからな。
きっと、その景色を見て驚く顔が見たいんだろうな。
◇
「この店は、ホムラが食材を調達するのによく利用しているらしいよ」
「ホムラちゃんはここで買ってきてくれていたのですね……」
と、この前ホムラに案内してもらった店を紹介したり、
「ここが、ハヤテに昨日連れて行ってもらったうなぎのお店だな。見た目の通り高級なお店なんだけど、その分すごく美味しかったよ」
「ハヤテちゃんが言っていたうなぎというものは、ここで食べられるのですね。一度食してみようと思ったのですが、魔界では手に入らなくて……」
「ここのお店はこの国の東方から仕入れているみたいだな」
「なるほど、東方ですか……」
なんて感じで街を案内した。
……時折、ヒカリがちゃんと付いてきているかを確認して、迷子にならないようにしながらな。
「それで、ここが……」
と、次の店を案内しようとしたところ、リーン、とヒカリの方から音が鳴った。
ヒカリは俺に断った後で、通話モードでリンフォンを使用した。
聞こえてきた内容からすると、みんなでは判断が難しいトラブルがあったみたいだ。
ヒカリは、その場合はこうして……、もしこうだったら……、今までの経験からすると……、みたいな感じで、解決策をほとんど悩むことなく提案していた。
確かに、これならあちこちで頼られるだろう。
そして、リンフォンでの話が終わると、申し訳なさそうに俺に謝罪してきた。
「案内の途中ですみません。あちらで判断がしにくい事態が起きてしまったようでして……」
「気にしなくていいよ。それに、また同じようにリンフォンが鳴ったら、そっちを優先してもらっていいからな」
「……ありがとうございます」
前に聞いた話を考えると、何度もリンフォンが鳴るだろうな。
例えば部族間でのトラブルとかなら、双方について詳しく知っていないと難しいだろう。
というか、それを全部一人でこなしていたヒカリって……。
それからも度々、リーンという音が聞こえてきて、その度にヒカリが解決策やアドバイスなどを話していた。
その度に、ヒカリは申し訳なさそうな顔をしていたな。
うーん。何とかしたいけど、こればっかりは難しいなぁ。
◇
「こんな時間だし、そろそろどこかで食事にしようか」
そんなこんなで、街を色々と案内していたらお昼の時間になっていた。
「そうですね。……この街についてはあまり知らないので、おまかせしてもいいでしょうか?」
「確かにそうだな。……うーん。それじゃ、色々なものが食べれるってことで、屋台がいっぱい並んでいるところはどうだ? 各自好きな物が選べるし、この街の名物も色々見れるしな」
それに、外にあるし、座れる席も多いから、リンフォンで話をしても大丈夫だろうからな。
「それはいいですね。ハヤテちゃんやホムラちゃんから、この街の食べ物について聞いているのですが、変わったものが多くて。色々見てみるのが楽しみです」
「それならよかった。それじゃ、行くか!」
ということで、お昼は屋台が色々並んでいる場所でとることにした。
◇
屋台では、色んな物に興味を示したヒカリが色々と質問してきた。
「これはラーメンというものでしたね。この麺はどうやって作るのでしょうか? うどんなどは作れたのですが……」
「確か、かん水っていう液体を使ってたかな? ……そういえば、前に見た映画、じゃなくて物語では、ベーキングパウダーっていう粉と塩を水に溶かして代用していたな」
あれは南極を舞台にした作品での、登場人物の一人がラーメンを切望した場面だったかな?
あの映画は面白かった。
「なるほど……。ありがとうございます。かん水、というのは初めて聞きましたがどこかで売っているでしょうか? ふくらし粉は焼き菓子などに使うので、かん水が手に入らなければ試してみようかと思います」
と、作り方を聞いてきたり、
「このたこ焼きというのは、丸い生地の中にたこが入っていますが、他の物を入れても良いのでしょうか?」
「まずくなければ好きに入れても大丈夫だと思うけど……」
いちゃもんをつけそうな異世界人がいなければ。
「ですがあちらでは、いかの姿焼きをいか焼きというものを売っています。例えばたこ焼きのたこをいかにしたら、どうなってしまうのでしょうか?」
……あー。
「……そんなに深く考えなくてもいいんじゃないか?」
なんてちょっと解答に困る質問が来たりした。
それにしても、食べ物や料理について色々質問してきたし、やっぱり料理が好きなのかな?
◇
ヒカリは、今度作ってみるということでラーメンを頼んだ。
俺も、それにつられてラーメンにしてみた。
ちなみに、ヒカリは麺が伸びないようにつけ麺、俺はとんこつラーメンをチョイスした。
もちろん、今回も美味しかったです。
幸い、食事中にリンフォンが鳴ることもなく、お互い落ち着て食事をすることができた。
ただ、食事を終えた後ですぐにリンフォンが鳴り、
「……それは、対処が難しいですね」
と受け答えした後でヒカリがこちらを向いた。
「ハクトさん。私が顔を出さなくては、対処が難しい問題が出てきてしまいました。また、対処にどのくらい時間が掛かるかわからないです。大変申し訳ないのですが、本日はここで解散とさせてください」
ヒカリが悪いってわけでもないのに、本当に申し訳なさそうな顔をしている。
うーん。今日の終わりがこれっていうのは、ちょっと嫌だな。
何だかんだあったけど今日は楽しかった、って感じで解散したい。
「もし間に合えばなんだけど、夕食を一緒に食べるのはどう? また転移門で待ち合わせをしてさ」
「……そうですね。これで解散、というのは後味が悪いですものね。それなら、連絡が取れるようにリンフォン同士で魔力を交換しておきましょうか」
ヒカリも同じように思っていたみたいだな。
ということで、リンフォン同士で魔力を交換した後、ヒカリは転移で魔界に帰っていった。
「楽しそうでよかったです。ハクトさん、ありがとうございました。それにしても、ソフィアさんには後でお礼に行かないとですね」
「俺も楽しかったし、お礼を言われるようなことでもないよ。ソフィアも読書仲間が増えたってことで、なんとなく嬉しそうだったしな」
日付変わって本日はデートの最終日、ヒカリの番だ。
待ち合わせ場所はいつもの教会、ではなく転移門の前だ。
他の皆は、転移門から教会までの道は単純ということもあって、集合場所を教会前にしていた。
ホムラやハヤテは元々場所を知っていたしな。
一方、ヒカリだけ場所が違う理由なんだが、魔皇城で武勇伝を聞いている時にこんな話を聞いたからだ。
「あー、それとな。ヒカリのやつなんだが、方向音痴なんだ」
「昔はよく迷子になっていたんだよ。それでね、迷子になった先で起きていたトラブルを解決する、ってことがよくあったんだよ~」
「一度行った場所は、持ち前の記憶力で辿り着けるのだけど……。景観《けいかん》が変わっていることもあるから、そういった時はまた迷子になってしまうわね」
「魔界のトラブルを積極的に仲裁していたこともあって、ヒカリは迷った先でもよく頼られるみたいだね。それと、今は魔界でも通信用の魔道具が普及しているから、転移が可能な場所で待ち合わせをしてるみたいだよ」
「……たまにはぐれて、迷子になってるけど」
ということで、ヒカリだけは必ず辿り着けるであろう転移門を待ち合わせ場所にした、というわけだ。
◇
「それで、今日はこの街を案内する、ってことでいいんだよな?」
「ええ、お願いします。ハヤテちゃんやホムラちゃんがよく来ているこの街を、実際に見て回りたいです。……それに、あまり人間界の街を歩くことはありませんので」
元々忙しいのに加え、方向音痴っていう理由があるから、かな?
ともかく、今日はホムラやハヤテと巡ったお店を色々案内していこうかな。
ちなみに、昨日最後に行った場所には案内しないつもりだ。
他の人には秘密だよ~、ってハヤテに言われたからな。
きっと、その景色を見て驚く顔が見たいんだろうな。
◇
「この店は、ホムラが食材を調達するのによく利用しているらしいよ」
「ホムラちゃんはここで買ってきてくれていたのですね……」
と、この前ホムラに案内してもらった店を紹介したり、
「ここが、ハヤテに昨日連れて行ってもらったうなぎのお店だな。見た目の通り高級なお店なんだけど、その分すごく美味しかったよ」
「ハヤテちゃんが言っていたうなぎというものは、ここで食べられるのですね。一度食してみようと思ったのですが、魔界では手に入らなくて……」
「ここのお店はこの国の東方から仕入れているみたいだな」
「なるほど、東方ですか……」
なんて感じで街を案内した。
……時折、ヒカリがちゃんと付いてきているかを確認して、迷子にならないようにしながらな。
「それで、ここが……」
と、次の店を案内しようとしたところ、リーン、とヒカリの方から音が鳴った。
ヒカリは俺に断った後で、通話モードでリンフォンを使用した。
聞こえてきた内容からすると、みんなでは判断が難しいトラブルがあったみたいだ。
ヒカリは、その場合はこうして……、もしこうだったら……、今までの経験からすると……、みたいな感じで、解決策をほとんど悩むことなく提案していた。
確かに、これならあちこちで頼られるだろう。
そして、リンフォンでの話が終わると、申し訳なさそうに俺に謝罪してきた。
「案内の途中ですみません。あちらで判断がしにくい事態が起きてしまったようでして……」
「気にしなくていいよ。それに、また同じようにリンフォンが鳴ったら、そっちを優先してもらっていいからな」
「……ありがとうございます」
前に聞いた話を考えると、何度もリンフォンが鳴るだろうな。
例えば部族間でのトラブルとかなら、双方について詳しく知っていないと難しいだろう。
というか、それを全部一人でこなしていたヒカリって……。
それからも度々、リーンという音が聞こえてきて、その度にヒカリが解決策やアドバイスなどを話していた。
その度に、ヒカリは申し訳なさそうな顔をしていたな。
うーん。何とかしたいけど、こればっかりは難しいなぁ。
◇
「こんな時間だし、そろそろどこかで食事にしようか」
そんなこんなで、街を色々と案内していたらお昼の時間になっていた。
「そうですね。……この街についてはあまり知らないので、おまかせしてもいいでしょうか?」
「確かにそうだな。……うーん。それじゃ、色々なものが食べれるってことで、屋台がいっぱい並んでいるところはどうだ? 各自好きな物が選べるし、この街の名物も色々見れるしな」
それに、外にあるし、座れる席も多いから、リンフォンで話をしても大丈夫だろうからな。
「それはいいですね。ハヤテちゃんやホムラちゃんから、この街の食べ物について聞いているのですが、変わったものが多くて。色々見てみるのが楽しみです」
「それならよかった。それじゃ、行くか!」
ということで、お昼は屋台が色々並んでいる場所でとることにした。
◇
屋台では、色んな物に興味を示したヒカリが色々と質問してきた。
「これはラーメンというものでしたね。この麺はどうやって作るのでしょうか? うどんなどは作れたのですが……」
「確か、かん水っていう液体を使ってたかな? ……そういえば、前に見た映画、じゃなくて物語では、ベーキングパウダーっていう粉と塩を水に溶かして代用していたな」
あれは南極を舞台にした作品での、登場人物の一人がラーメンを切望した場面だったかな?
あの映画は面白かった。
「なるほど……。ありがとうございます。かん水、というのは初めて聞きましたがどこかで売っているでしょうか? ふくらし粉は焼き菓子などに使うので、かん水が手に入らなければ試してみようかと思います」
と、作り方を聞いてきたり、
「このたこ焼きというのは、丸い生地の中にたこが入っていますが、他の物を入れても良いのでしょうか?」
「まずくなければ好きに入れても大丈夫だと思うけど……」
いちゃもんをつけそうな異世界人がいなければ。
「ですがあちらでは、いかの姿焼きをいか焼きというものを売っています。例えばたこ焼きのたこをいかにしたら、どうなってしまうのでしょうか?」
……あー。
「……そんなに深く考えなくてもいいんじゃないか?」
なんてちょっと解答に困る質問が来たりした。
それにしても、食べ物や料理について色々質問してきたし、やっぱり料理が好きなのかな?
◇
ヒカリは、今度作ってみるということでラーメンを頼んだ。
俺も、それにつられてラーメンにしてみた。
ちなみに、ヒカリは麺が伸びないようにつけ麺、俺はとんこつラーメンをチョイスした。
もちろん、今回も美味しかったです。
幸い、食事中にリンフォンが鳴ることもなく、お互い落ち着て食事をすることができた。
ただ、食事を終えた後ですぐにリンフォンが鳴り、
「……それは、対処が難しいですね」
と受け答えした後でヒカリがこちらを向いた。
「ハクトさん。私が顔を出さなくては、対処が難しい問題が出てきてしまいました。また、対処にどのくらい時間が掛かるかわからないです。大変申し訳ないのですが、本日はここで解散とさせてください」
ヒカリが悪いってわけでもないのに、本当に申し訳なさそうな顔をしている。
うーん。今日の終わりがこれっていうのは、ちょっと嫌だな。
何だかんだあったけど今日は楽しかった、って感じで解散したい。
「もし間に合えばなんだけど、夕食を一緒に食べるのはどう? また転移門で待ち合わせをしてさ」
「……そうですね。これで解散、というのは後味が悪いですものね。それなら、連絡が取れるようにリンフォン同士で魔力を交換しておきましょうか」
ヒカリも同じように思っていたみたいだな。
ということで、リンフォン同士で魔力を交換した後、ヒカリは転移で魔界に帰っていった。
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