異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第七章 妖精と 夜空彩る そのきせき

第107話 妖精専用生成魔法

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 リューナの説明によると、妖精は成長するにつれて大きさが変わるみたいだ。
 普通の人間のように成長して身長が伸びる、というだけでなく、スケールも大きくなるみたいだ。

 そして最初に出会った妖精、小妖精は幼稚園児から小学校低学年くらい、次に会った妖精、中妖精は中学生くらいのようだ。
 さらに、成人に近づくとますます大きくなり、倍近い大きさになるらしい。
 そしてある日突然、人くらいの大きさになるようだ。
 ……不思議な生態だ。
 
 そしてこの場所は、そんな成人した妖精がまとめているらしい。
 ……後で、あいさつしたほうがいいかな?

 妖精は魔力が集まって生まれる存在で、周囲の魔力に属性がある場合は、その属性の妖精が生まれ、そうでない場合には何かしらの属性を持って生まれるそうだ。
 そして、魔力さえ周囲にあれば、食事は必要ないらしい。

 また、妖精は実体と魔力体とで自由に変化できるらしく、魔力体では様々な魔法、例えば転移などが自然と使えるみたいだ。
 ……つまり、さっき突然現れたのは、転移魔法を使っていたから、ってことか。

 また、成長の過程で突然変異することもあるようだ。
 その原因をアオイが色々調べたが、結局はわからなかったらしい。

「妖精について簡単に説明すると、これくらいでしょうか。それで、こちらの谷についてなのですが……」

 続いてリューナが説明してくれた内容によると、ここは幼稚園や学校のような場所みたいだ。
 妖精は魔力が集まり突然生まれるのだが、それはつまり、親となる存在もいないことになる。

 とはいえ、魔力さえあれば成長するため、それ自体は問題にはならなかったようだ。

 問題となったのは妖精たちの特性で、魔力体であれば自然と魔法が使えるという内容だ。
 まだ無邪気な妖精たちが無邪気に魔法を使うため、時に大きな被害が出ることもあったようだ。

 また、本人たちもその魔法に振り回されたり、それに目を付けた悪い魔族にこき使われてしまう、といったこともあったようだ。

 その事態をうれいていたヒカリが、魔皇たちと協力して、この谷のような場所をあちこちに作ったみたいだ。

「ってことは、ハヤテちゃんも協力したってことだよね?」

「そうだよ~。皆、純粋でいい子たちばかりなのに、悪者にされたり、酷使されたりしていたから、ボクも何とかしたいと思っていたんだ。それで、それぞれの属性と同じ属性の妖精を、ぞれぞれの魔皇が担当することにしたんだよ!」

「……リューナみたいに、特殊な属性の妖精とかはいなかったのか?」

「もちろんいたよ~。けど、かなり特殊な例だったから、それはまとめてヒカリが担当になったんだ~。あ、それで、今はボクや知り合いの魔族が妖精を保護して、この谷に連れてきているんだ~」

「すごーい! ハヤテちゃん。なんだか立派な人みたいだね!」

「ふふ~ん。……って、そもそもボクは魔皇なんだからね! みたいじゃなくて、立派なんだよ!」

 とまあそんな場面がありつつも、リューナは説明を続けていった。

 それで現在では、ここを卒業(?)した妖精からの提案で、中妖精が小妖精の面倒を見たり、大妖精が中妖精の面倒を見たりしているらしい。
 中妖精が小妖精の面倒を見るのは勉強も兼ねているらしく、ローテーションで入れ替わっているようだ。
 そして、一部の大妖精や成人した妖精は、ここから独り立ちしていく感じみたいだ。

「それで、ボクはたまにこの場所に遊び……、じゃなくて、様子を見に来てるんだよ! とはいえ、面倒を見る妖精はちゃんとしてる子ばかりだから、問題はほとんど起こらないけどね~」

 ……むしろ、ハヤテが問題を起こす、というか、いたずらをしていそうだ。



 といった感じで、リューナの説明が終わった。

 途中、妖精の大きさによって、呼び方の区別とかはあるのか、と聞いてみたけど、ないみたいだった。
 それならと、妖精の前に小、中、大、とつけたらどうか、と提案したところ、ユズから、可愛くないー、といった意見が出て却下となった。
 結果として、異世界での妖精の呼び名を使って、小妖精は”ピクシーフェアリー”、中妖精が”リトルフェアリー”、大妖精が”フェアリー”、成人した妖精が”ハイフェアリー”ということに決まった。

 最初はリトルが小妖精、大妖精がビッグとかラージを提案したんだけど、かわいくない! というユズによって却下。
 小さい妖精ということで、ピクシーという呼び名を思い出しそれを提案したとこと、響きがかわいい! ということで採用され、ピクシー、リトル、無印、ハイという順番になった。
 ……忘れそうなので、俺は心の中では小、中、大って区別しようかな……。

「うー。リューナの説明はわかりやすかったけど、説明を聞いていたら、なんだが疲れたよー。何か、甘い物が食べたいかも」

 妖精について、全然知らないところから色々説明してもらったし、俺も脳に栄養を送りたくなるかも。
 なんて思ったら、

「これ、ど~ぞ!」

 と、またもや突然妖精が現れた。
 ……大きさ的にピクシー、小妖精だな。

 そして、その手にはクッキーを持っていて、ユズに手渡していた。

「わー、ありがとー! 妖精さんからクッキーをもらえるなんて、うれしい!」

 そういいつつ、ユズはクッキーを受け取っていた。

 ……あれ?
 妖精って確か、食事が必要ないんじゃなかったっけ?

 そういえば、ソフィアたち天使も必要がないけど、ソフィアは食事をしているし、それと同じかな?
 ……ソフィアと同じ、っていうと、ちょっとあれな気もするけど。

 ユズは受け取ったクッキーを名残惜しそうに見つめた後、キラキラとした目でユズを見つめる妖精をちらっと見て、クッキーを食べた。

「うん! これ、すごく美味しいよ! 妖精さん、ありがとねー」

 それを聞いた小妖精は、ぱあっと笑顔になると

「よかった~! わたしがつくったクッキーだから、とってもうれしい~」

「え、そうなの!? すごーい! とっても上手にできてるね!」

「わ~い! じゃあ、みんなにもつくるね~」

 というと、小妖精の手にクッキーが出現した。
 流石は妖精、収納魔法も使えるんだな。
 
 ……いや、まて。
 聞き間違いじゃなければ、今、つくるって言わなかったか?

「……なあ、ハヤテ。聞き間違いじゃなければ、取り出す、とかじゃなくて、つくる、って言ってなかった?」

「そうだよ~! ソフィアが、食事は必要ないけど食べてる、って話を聞いたときに、それならこの子たちも食べれるんじゃないか、って思ったんだ~。それで、試しにクッキーをあげてみたら、食べられたんだよ! あ、もちろん、魔法とかを使って、身体に問題がないかを確認したよ~」

「……あの、ハヤテさん? それ、私も初耳なのですが? それは、ヒカリさんもご存知ぞんじなのでしょうか?」

「え? ……あっ」

「……後で、伝えておきますね」

「うん、よろしく~! それでね、その時は食べられるかがわからなかったから、一人半分くらいしか持ってこなかったんだ~。それなら、魔法で作ってみる~、ってこの子たちが試しにやってみたら、なんと成功しちゃったんだよね! あの時は、流石にボクもびっくりしたよ!」 

「……えっと。 つまり、このクッキーは、この子が魔法で作ったってこと!? ええー!」

 ……流石に俺は叫ばなかったけど、かなり驚いた。
 というか、魔法から物を作り出すって、とんでもないことをしていないか?

「あ、おねえちゃんがまたさけんだ~! わ~い!」

 そしてそれに反応する小妖精。
 ……というか、うれしいのね。

「けど、魔力が拡散したら消えちゃうんだ~。だから、早く食べないとだし、元々が魔力だから、お腹には溜まらないみたいなんだ~」

「それなら、早く食べなきゃ!」

「あ、そうだった~! きえちゃうまえに、どうぞ~」

 と言って、今度は俺の前に小妖精が現れた。

 お礼を言ってクッキーを受け取ると、ハヤテ、リューナにも同じように、クッキーを魔法で生成し手渡していた。

 一口食べてみると、食感も味もきちんとした、おいしいクッキーだった。
 ……これを魔法で作り出したなんて、信じられないな。

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妖精それぞれの大きさは、ガ○プラでいうHG、MG、PGくらいのサイズ感だと思ってください。

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