異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第七章 妖精と 夜空彩る そのきせき

第109話 Show会

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 そして、ハヤテに転移させられた場所はというと……、

「……魔皇の城?」

 そこは、最近では見慣れてしまった、ソファがいくつか置かれた部屋だった。

「もう! 言ったそばから急に転移するなんて、ひどいよハヤテちゃん! ……って、あれ? ハクト、今、魔皇の城、って言った? ええー!!」

「そうだよ~! ようこそ、ボクたちのお城へ! ふふふ~、いつかユズを招待したかったんだ~」

「……よく考えてみたら、四人の魔皇には会ったことがあるし、知り合いのおうちに招待された、ってことだよね? そう考えてみたら、平気な気がしてきたかも! ……ちょっと、大豪邸すぎるけどね」

「むぅ~。ボクたちのお城に慣れてくれて嬉しいような、もうちょっと驚いていて欲しかったような、複雑な気分だよ~」

 なんて、ユズとハヤテが会話していると、

「ようこそいらっしゃいました、ユズさん。私は光魔皇の、ヒカリと言います。ハヤテちゃんとは、これからも仲良くしてくれると嬉しいです」

「あなたがハヤテの友達なのね。私はレイ、水魔皇よ。よろしくね」

 と、ヒカリとレイが現れた。

 二人の感じからして、俺たちをこの場所に転移することを事前に伝えてたみたいだな。

 ハヤテがここにユズを連れて来た目的は、二人にユズを紹介するから、ってのもあるんだろう。

「ハ、ハヤテちゃん! なんだか、キレイですごそうな人が二人も出てきたよ! ど、どうしよう!」

 すぐに落ち着いたと思ったら、出会ったことがない魔皇二人が出てきて、また元に戻っちゃったな。

「ボクだって、すごくてキレイだから大丈夫だよ~」

「……ハヤテちゃんは、キレイと言うか、かわいいって感じじゃないかな? それに、あの二人はいかにも魔皇! って雰囲気があるけど、ハヤテちゃんは、……うーん」

「む~! ボクだって魔皇だし、あの二人と同じ……、レイと同じくらいすごいんだからね!」

 あ、二人じゃなくて、レイだけになった。
 ……うん、ヒカリは、なんというか、別格だもんな。

「あらあら。ハヤテちゃんは、ユズさんとは、本当に仲良しなのね」

「そうね。……どんな子なのか、より興味が湧いてきたわね」

 そんな様子を見た二人が、しみじみとした感じで感想を言った。
 それを聞いたユズは、

「……って、ああ! ハヤテちゃんに構うより先に、二人に挨拶しないと! ……えっと、レイさん、ヒカリさん。私は、ハヤテちゃんの友達の、ユズって言います。えっと、それと、おじいちゃんと一緒におもちゃ屋をやっていて、人生双六、ってボードゲームを作ったりしてます」

 と、まだ二人に挨拶をしていないことに気づいたみたいだ。
 ……それも相まって、思わず敬語が出てしまっているな。

「へぇ、あのゲームを作ったのね。前にハヤテがこの城に持ち込んで、それからみんなで楽しく遊ばせてもらっているわ」

「私も、あのゲームでみんなと楽しい時間を共有させてもらってますね。それと、ユズさんはハヤテちゃんの友達なんだから、私たちとも、いつも通りに話してもらって大丈夫ですよ? 他にも、色々なお話を聞きたいですし」

「そうね。……ハヤテが普段、人間界でどんなことをしているか、色々と聞いてみたいし」

「え、えっと。……うん。レイさん、ヒカリさん。これからよろしくね!」

 お、なんとか普通に戻ったみたいだ。
 ……前に他の魔皇に会ったことがあるし、耐性ができたのかな? なんてな。

「……とりあえず、ユズが二人と仲良くできそうだし、よかったってことにするよ~。それじゃあボクは、今日の昼食を作りに行ってくるね~」

「えっ? ハヤテちゃんが料理を作るの!? 大丈夫? 怪我とかしない?」

「もう、そんな失敗しないよ~! ……けど、ユズには、ボクの料理を食べさせたことは無かったね~。……ふっふっふ。余りのおいしさに、腰を抜かすといいよ!」

 なんて言いながら、調理をしに部屋を出ていった。
 ……と思ったら、

「あ、ヒカリも手伝って~。メインの料理以外をお願い~」

 と、ヒカリにお願いしに戻って来た。

「……私も、手伝ったほうがいいでしょうか?」

「う~ん。そうだね! リューナもお願い~」

 ……まあ、六人分を作るって考えたら、その方がいいか。



 ハヤテたちが料理を作っている間、ハヤテが普段どんなことをしているか、その逆に、魔界こっちではどんなことをしているかを、情報共有していた。

「……って感じなこともあったよ。それの積み重ねがあって、ハヤテちゃんからハクトを紹介された時には、異世界から来たっていうのは嘘だと思っちゃったんだもん」

「……まあ、急に異世界から来た、って言われても、信じるのは難しかったんじゃないか」

「うーん。けど、他の仲のいい人から紹介されたなら、ちょっと疑いつつも嘘だとは思わなかったかなー」

「……やっぱりハヤテは、人間界でも色々とやらかしてるのね。まあ、あれでも魔皇の一人だし、大事にはならないように気を付けているから、そこは信頼しているけれどね。……ある意味、それが厄介でもあるのだけれど」

 あれでも、とか言っちゃったよ。
 まあ信頼している、とも言っているし、迷惑がっているわけではないだろうけどさ。

「まあ、それによっていい方向になることも多いんだけどねー。……でも、こっちが一方的にびっくりさせられる事が多いのは、ちょっと何とかしたいかなー」

「それは、確かにそうね。……そうね。今はハクトもいるし、そばにはリューナがいることも多いわよね。それなら……」

 と、ユズがハヤテに対して反撃する方法を考えていった。

 ……流石に本人は狙っていないだろうけど、ハヤテのおかげでユズとレイの会話が弾んでいるな。
 
 と、そんな感じで会話をしていると、料理が完成したようで、リューナが呼びに来てくれた。
 リューナに先導されつつ、これまたいつもの食事を取る部屋に移動すると、

「みんな、よく来たね。今日の料理は自信作だよ! ユズ、あまりにびっくりして、ひっくり返らないようにね!」

 と、ハヤテが自信満々な顔で待っていた。

「……流石に、ひっくり返ることはないと思うよー。それで、ハヤテちゃんが作った料理はどれなのかな?」

「それは食べてからのお楽しみ~、と言いたいけど、ちゃんと味わってほしいからね! 皆が席に着いたら教えるよ!」

 ということなので、さっそく全員が席に着いた。

「それじゃあ、さっそく食べよう! それで、ボクの作った料理は、この銀の蓋がしてあるやつだよ!」

 一品だけ蓋がしてあったから、多分それじゃないかな、なんて思ったけど、やっぱりそうだったか。
 さっそく開けてみると、中身は……、

「わぁー、ハンバーグだー! それに、いいにおいー! これ、本当にハヤテちゃんが作ったの?」

 と、ユズが言ったように、ハンバーグ、それもデミグラスソースがかかったタイプだった。

「もちろんだよ! ソースから何から、全部ボクが作ったんだからね! ……おかげで、他はヒカリとリューナが作ったものになっちゃったけど。あ、真ん中にパンが置いてあるけど、ご飯もちゃんと用意してあるからね~。……ヒカリが」

「あ、じゃあ、私はご飯がいいなー。……まずは、メインの前にサラダからいただこうかなー」

 俺とハヤテもご飯を希望し、リューナが配膳してくれた。

「……このサラダ、すっごくおいしい! 野菜も新鮮だし、かかってるドレッシングは初めて食べた味だけど、おいしい! ……ねぇ、ハヤテちゃん? ちゃんと順番に食べるから、じーっと見ないでほしいな。ちょっと食べにくいよー」

「だって~」

「「もう、仕方ないなぁ。それじゃあ、食べてみるよ!」

 ハヤテは、ユズがどんな反応を示すかかなり気にしているな。
 ……俺も、ちょっと気になって様子を伺っちゃったけど。

 さて、味が気になるし、俺も食べてみることにするか。
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