異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第七章 妖精と 夜空彩る そのきせき

第110話 (作ったのは)ボクだよボク! ハンバーグだよ!

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 ナイフとフォークでハンバーグを切り分けると、肉汁とともに中からとろりとしたチーズが出てきた。
 なるほど、チーズインなタイプだったか。

 さらに切り分け、チーズを絡めて口に運んでみると、肉汁とデミグラスソース、そしてチーズの濃厚な旨味が口の中にが広がった。
 それぞれの味がいい具合に混ざり合いつつ、しかしそれぞれの味が埋もれることなく主張している。

 ……これは、すごいな。
 今まで食べたハンバーグの中で、一番おいしいかもしれない。

 ユズの方も、

「なにこれー! すっごくおいしい! ハヤテちゃん、ハヤテちゃん! このハンバーグ、すごいよ! ソースもチーズも、そしてこのお肉も、全部がすごいよー!」

 と、あまりのおいしさに、語彙力ごいりょくがどこかに行ってしまったみたいだ。

「以前にも頂いたことがありますが、やはりハヤテさんのハンバーグはおいしいですね……。一度、この味が出せないか挑戦したことがあるのですが、中々に難しかったです。ある程度似たような味にはなったのですが、やはりハヤテさんのハンバーグほどおいしくはできませんでした」

 リューナでも再現できないのは、かなりすごいことじゃないだろうか?

「けど、似たところまで行けるあたり、リューナはすごいというか、恐ろしいよ~」

 ……確かにな。

「元の味を知っていましたので。それよりも、その味を一から作り出したハヤテさんの方が、とても素晴らしいと思います」

「そうよー。ハヤテちゃん、好きな料理に関しては、ずっと研究していたものね。こんなにおいしいハンバーグを作れるのは、お姉ちゃんとして誇らしいわ」

「……まあ、そうね。お姉ちゃん云々うんぬんはともかく、こういうところは素直に感心するわ」

「な、なんだか今日は、皆がすごいほめてくるよ~。どうしてなんだろ?」

 ……普段のいたずらとかが原因じゃないかな?

 案の定、

「……一度、普段の行いを思い出してみるといいんじゃないかしら?」

 なんて、レイに言われてしまっていた。

「……あ、そんなことより! ユズ、ボクのハンバーグのおいしさを思い知ったみたいだね!」

 あ、逃げた。

「さっきも言ったけど、すっごくおいしいよ! ハヤテちゃんには、いたずらよりも、もっと料理を食べさせてほしいなー」

 なんて、いたずらっぽい顔でユズがそう言うと、

「ボクの料理で喜んでくれるのもいいけど、それ以上に皆を驚かせるほうが楽しいから、難しいね~」

 なんて満面の笑顔で答えていた。
 ……まあ、その方がハヤテらしいけどな。

「むぅ。……また、色んな料理を作って欲しいけど、料理に変ないたずらとかはしないでよー?」

「料理はちゃんと美味しく食べて欲しいから、不味くなるようないたずらはしないよ~」

 ……つまり、それ以外のいたずらはする可能性がある、ってことか?

「……確かに、このハンバーグを作るまでに色々と研究していそうだもんね。そんな料理を不味くするいたずらは、ハヤテちゃんは流石にやらないかー」

「うんうん! 料理はおいしく食べて欲しいもんね~。というわけで、あたたかいうちに召し上がれ~」

「そうだね! まずは料理に集中しようっと!」

 という感じで、その後はこのスープもおいしい! とか、残ったソース、パンにつけて食べたいかも……、なんて感想(?)を挟みながら、食事を食べていった。
 ちなみに、ハンバーグのソースは

「ふっふっふ~。パンにつけてもおいしいだろうけど、ボクはその上を行くからね! というわけで、これを絡めて食べてみてね~!」

 と、ハヤテが取り出したバスタを絡めて食べた。

 パスタには軽く下味がついており、微妙に残ったハンバーグのかけらがボロネーゼっぽくなって、これもおいしかった。

 もちろん、ヒカリが作ってくれたサラダ、スープもおいしかった。
 特にスープは、ハヤテの作ったハンバーグを引き立てるような味付けをしており、流石はヒカリだな、といった感じだった。

 これは、本当に大満足だな。
 ごちそうさまでした!



「ふー。食べた食べたー。お腹いっぱいだよー。……ハヤテちゃん、ヒカリさん、リューナさん、ごちそうさまでした!」

「俺も、ごちそうさまでした、だな」

 ちなみに、ごちそうさま、は異世界で普通に通じた。
 異世界の文化が広まったとか、翻訳がいい感じに訳してくれてるとかだろうな。

「それにしても、こんなにおいしいハンバーグ、どんな工夫をしているのか気になるよー。ハヤテちゃん、教えてくれないかな?」

「それは秘密~、と言いたいところだけど、ボクの頑張りを知ってほしいから、特別に教えてあげるね~。えっと、まずはね……」

 あんまり秘密にする気がなさそうなハヤテから聞いた感じでは、肉、チーズ、ソースそれぞれにこだわりポイントがあるようだ。

 まず肉は、魔界にいる魔物の物を使っているようだ。
 しかも、何種類かの肉を用いて合挽あいびきにしていた。
 肉やつなぎを、様々なパターンや分量で試作し、現在の形になったようだ。

 チーズも同じように、何種類ものチーズをブレンドしているらしい。

 デミグラスソースも同様にこだわっていたが、メイに協力してもらうことで、より一層、おいしい物ができたそうだ。
 前に発明した、魔法を使って煮込むやつだろうな。

 それを聞いたリューナたちは、

「ほえー。ハヤテちゃんのこだわりがすごすぎるよー」

「そこまで研究していたのですね……。再現ができないのも納得です」

「ハヤテ、こだわる時はとことんこだわるものね」

「それが、ハヤテちゃんのいいところですね」

 なんて反応をしていた。
 ……うん、本当に、すごくこだわっているよな。

「けど、そんなに料理を研究しているなら、もっと積極的にその料理を作ってもいいんじゃないか?」

 ハヤテと食事をする機会は何度かあったけど、ハヤテがメインで作った料理を食べたのは、これが初めてだしな。

「こういうのは、たまに作るからいいんだよ~。……それに、ただ待っているだけで料理が出てくるっていうのもいいからね~」

 うん。
 やっぱりハヤテはハヤテだな。

 そんな感じで食事の感想を言い合っていると、いつの間にか片づけを終えたヒカリが、用があるとのことでどこかに転移していった。
 ……本当に忙しそうだな。

 というわけで、残ったレイを交えて雑談をしていたのだが、段々とハヤテが今までやらかしていた話になり、居心地が悪くなったハヤテが、

「そ、そろそろ妖精のところに戻っても、いいんじゃないかな~?」

 と、話を切り上げようかと提案した。

「……まあ、ハヤテをいじめるのはこれくらいにしておこうかしらね。それに、ハヤテたちはまだ旅行の途中だったわね」

 ということで、妖精の谷に戻ることにした。



 ハヤテの転移魔法で、また妖精の谷に戻って来た。

「帰って来たー! それで、ハヤテちゃん。この後はどうするの?」

「う~ん。さっきの妖精たちはまだ眠ってるだろうし、もう少し大きい子たちのところに遊びにいこうかな~」

 大きい子ってことは、中妖精ってことかな?
 
「わーい! また別の妖精さんたちと遊べるんだね! それで、その妖精さんたちは、どこにいるのかな?」

「ここからちょっとだけ離れた場所だよ~。……う~ん、また転移で移動するのもあれだし、飛んでいこうかな~」

「え、ハヤテちゃん? 飛んでいくってどういうこと?」

「こういうこと~」

 そうハヤテが言うと、俺たちの身体が浮き始めた。
 ……つまり、飛行魔法で飛んでいくってことか。

「ハ、ハヤテちゃん! なんだか身体が浮いてるんだけど! ど、どうすればいいの!?」

「そのまま楽にしていれば大丈夫だよ~。なんてったって、風魔皇が使う飛行魔法だからね~! さて、それじゃ、行くよ~」

 ということで、俺たちは空高く舞い上がった。
______________________________________
日本以外ですと、ごちそうさま、はとってもおいしかった、のように言う国が多いみたいですね。

この物語では、ちょっと異世界っぽくない表現があっても、翻訳がいい感じにしているか、異世界から伝わったとかで、あんまり深く考えないでいただけたらと思います……。
(読むのにあまり支障がないように気を付けてはいますが、なかなか難しいですね……)
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