異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第七章 妖精と 夜空彩る そのきせき

第112話 星空の下のディ~ナ~

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「それじゃ、ボクのとっておきの場所に案内するよ!」

「……そこは、空を飛んでいかなくても、大丈夫な場所なのかな?」

「もちろんだよ~。ボクはびっくりさせるのは好きだけど、怖がらせるのはそうじゃないからね!」

「……びっくりさせるのも、ほどほどにしてほしいんだけどねー。けど、それがあってこそのハヤテちゃん、って気もするしなー」

「うんうん、そうだよ~。それで、今は照明魔法で明るくなってるけど、移動先は真っ暗だからね~。ボクがいいと言うまで、視線を下にしているといいよ~。あ、念のため、リューナに様子を見にいってもらってもいいかな?」

「もちろんです。それで、どちらに行けばよいでしょうか?」

「えっとね~」

 ハヤテはそう言いつつリューナに近づき、何かを耳打ちした。

「……わかりました、あの場所ですね。では、行ってきます」

 ということで、リューナが転移で移動し、一分も経たないうちに戻って来た。

「問題ありませんでした」

「ありがとね~。さて、それじゃ、出発しよう! 準備はいいかな~?」

「大丈夫だよー! 下を向いていればいいんだよね?」

「俺も問題ないぜ」

 さっきハヤテが言っていた通り、俺とユズは下を向いた。

「よ~し。それじゃ、転移するよ~」

 ということで。俺たちはハヤテの魔法で転移した。



「ついたよ~。それじゃ、空を見上げてみて~!」

 ハヤテの言葉通り、空を見上げてみると、そこには、

「うわー! すっごーい! 空に星がいっぱい見えるよー!」

「本当だ……。これは、すごいとしか言いようがないな……」

 無数の星々が浮かぶ、満天の星が広がっていた。
 ……祖父の家は田舎にあって、そこでは星も良く見えたんだけど、そこで見た星空とは比べ物にならないほど綺麗だった。

「ここは、ちょっと小高い丘の上なんだ~。この辺りはよく風が吹いているし、周囲には何もないから、星がとってもよく見えるんだよ! どう? びっくりしたでしょ?」

 ハヤテはいたずらっぽい笑顔でそう言った。

「うん! 本当にびっくりしたよー。……ハヤテちゃんのびっくりは、たまーにこういう時があるから、侮れないんだよねー」

「そうだな。……俺も、この光景には、いい意味ですごく驚いたな」

「ふふふ~。二人とも、気に入ってくれてよかったよ~。リューナも、前に教えた時には喜んでくれたんだよ~」

「そうでしたね。……あの時は、こんなに美しい星空が存在していることに驚き、そして、とても感動しました。星を見たくなった時には、この場所には度々訪れています」

 うん。
 何度も来たくなるって気持ちは、すごいわかる。
 時期が違えば、また違った星空が見えるだろうしな。



 しばらくの間、全員が無言で星空を堪能していると、横から、くー、という音が聞こえた。

「あっ。……あー、えっと。なんだか、お腹が空いてきちゃったみたい」

 音の発生源であるユズが、ちょっと恥ずかしそうにそう言った。
 それを聞いたハヤテが、

「それじゃあ、そろそろ夕食にしようか~。ちょっともったいないけど、照明魔法を使うね~」

 と、魔法で明かりをつけた。

「では、準備をしますね」

 リューナはそう言うと、収納の魔法から机や魔道具を取り出していった。
 ……この魔道具の形、もしかして。

「というわけで、今日の夕食はBBQだよ! ハクトが前にエルフの村でやった、って聞いて、ボクもやりたくなったんだ~」

 やっぱり、コンロ用の魔道具だったか。

 リューナが、俺の視線から何かを察したのか、

「こちらの魔道具は直火が発生しますので、前回の魔道具とは違う仕様になっています」

 なんて説明してくれた。
 エルフの村では、火気厳禁だったものな。

「ふっふっふ~。こんな綺麗な星空の下でBBQ、しかもお肉は魔界にいる魔物を使ってるんだよ~。どう? エルフの村よりもすごいでしょ~!」

 ……別に、対抗しなくてもいいのに。

「あっちはあっちで、独特な魔力に包まれていたし、木々の香りがしたりとかもあったし、甲乙つけがたいかな」

「むぅ~。……まあボクも、エルフの村には行ってみたくなったけどさ~。カレーとかも気になるし~」

 色々言っていたけど、結局は気になっていたのね。

「私も行ってみたいなー。ハヤテちゃん、もし行くときは、私も誘ってね!」

「うん、もちろんだよ~!」

 ……やっぱり、なんだかんだ二人は仲良しだよな。



 リューナも含む全員でエルフの村について色々話していたら、食事の準備が整っていた。 
 リューナは、話に混ざりつつもずっと作業の手を止めずにいたからな。

「わっ! いつの間にか、準備が終わってる! ……リューナにだけ作業をしてもらうのも、ちょっと申し訳なかったかな?」

「いえ。半分は趣味のようなものですので」

「しゅ、趣味かぁ。……けど、お礼は言わないとだね。準備してくれてありがとうー」

 そうなんだよな。
 ……それに、下手に手伝おうとすると、逆にリューナの邪魔をしちゃうことになっちゃうしな。 

 俺とハヤテもリューナにお礼を言い、BBQが始まった。

 食材を焼くリューナを見たユズが、

「私も焼くのをやってみたいなー」

 とチャレンジしたけど、リューナと自分が焼いた肉を食べ比べると、

「……残りは、全部リューナにお任せするよー」

 と、あまりの差にちょっとうなだれていた。

 ……いや、まあ、ユズの方もきちんと焼けてはいたんだけどさ。
 リューナ相手には、分が悪すぎるというか、なんというか。

 その後も、野菜や色々な魔物の肉をリューナに焼いてもらった。
 ユズにとっては初めて食べる魔物の肉が多かったためか、

「えっ、何このお肉! 塩を振っただけなのに、すごい味がするよー!」

「このお肉、すごく柔らかーい! 口の中に入れるまでは普通のお肉だったのになんでー? すごーい、不思議ー!」

「えっ、このお肉……。普通においしい!」

 なんて、新しい肉を食べる度にリアクションしていた。

 俺も、前に魔皇の城で食べた時はびっくりしたなぁ。
 ……流石に、ユズみたいなリアクションはしなかったけど。



 今回の食事もおいしくいただき、(リューナの)片付けも終わったところで、

「お腹も膨れたことだし、改めて星空観賞をしようか~」

 と言いつつ、ハヤテが敷物を取り出した。
 それを地面に敷くと、そこにゴロンと横たわり、

「やっぱり、星を見るならこれが一番だね~。ほら、みんなもいっしょに見ようよ~」

 なんて言った。
 まあ、確かに、そういった星空鑑賞をしたりするけどさ……。

「うーん。食べてすぐ寝るのは行儀が悪い、なんて言われるけど……。こんなに、綺麗な星空なんだし、別にいいよね!」

 なんて言いつつ、ユズもハヤテの横に横たわった。
 こっちでも、やっぱりそんな感じなんだな。

「ほら~、ハクトも見よ~。リューナも~」

 なんて言われたので、まあ、せっかくだしと、俺もハヤテの反対側に横たわることにした。

 リューナは少し悩んでいたけど、

「……そうですね。たまには、いいでしょうか?」

 なんて言って、俺の横にきた。



 こっちの世界にも星座があるみたいで、

「あれは、ゴブリン座ですね」

「あの星は火魔皇、あっちが風魔皇ですね」

「ふふふ~。緑色ですごく明るい星だったから、これに決めたんだ~」

「確かに、ハヤテちゃんみたいに、元気に光ってるように見えるねー」

 みたいな感じで、リューナに解説してもらいつつ、みんなで星空鑑賞を楽しんでいると、

「ふわー。ご飯を食べて、こうやって寝そべってると、段々と眠くなってくるねー」

 なんて、ユズが眠たそうに言った。

 そして、それから少しすると、案の定寝息が聞こえてきて、

「……ユズが寝ちゃったね~、どうしよっか?」

「そうですね。ユズさんの本日の就寝場所は、ハヤテさんの部屋でしたよね? 私が連れて行きましょうか?」

「そうだね~。お願いするよ~」

 というやり取りの後、リューナがユズをお姫様だっこして、魔皇の城へと転移していった。
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