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19話
「お待たせしました。じゃあ、ハル君これを着てみてくれるかな。サイズを確認したくて。そこに試着室があるからね。」
私はそうキールさんの指す先にある試着室にディルさんに渡された服を持って向かった。
試着室に入り、渡された服を見る。オススメの中の一着のようだ。全体的にゆったりしているが、腰や太腿の辺りは自然な感じでキュッと締まっており、メリハリが付いている。所々に可愛らしいデザインが施されているが、しつこくない。最後に身丈だけが少し短い羽織を着るようだ。
全て着用してみたが、自分ではどれも着たことがないため、似合っているのかよくわからない。先ほどから外でガルムさんとディルさんの声が聞こえる。ガルムさんも何か買ったのだろうか。
「お待たせしました。どう、でしょうか?」
試着室の仕切りを開けて反応を伺う。
似合っていなかったらどうしよう。選んでくれた二人に申し訳ない……
「キャー!やっぱり僕の見立ては間違ってなかった!!可愛いよー!!」
開けて少しの間の後、キールさんが飛びつこうとしてくる。デジャブだ。
「待て待て、落ち着け。」
キールさんの首根っこをディルさんが掴み、既の所で止める。
「「似合っている」ね」
「そうっすね!さらに可愛らしくなったっす!」
褒められなかったため、どう応えれば良いのか分からず戸惑ってしまう。
「ハル、これは俺からのプレゼントだ。受け取ってくれ。」
ワタワタしている間にガルムさんが前に出てリボンのついた箱を渡してくる。
「そんな、ダメです。受け取れません。ただでさえ服を買ってもらっているのに、プレゼントまでなんて……」
ガルムさんが少し考える素振りをする。良かった。考えてくれて。
「ふむ、ではこうしよう。今朝のアレを詫びると言っていたな。その詫びの内容を”このプレゼントを受け取ること"にしよう。どうだ。」
「っ……。ありがとう、ございますっ。」
断れない言い方に私は、結局受け取ることにした。震える手でガルムさんの手からプレゼントの箱を貰う。正直、プレゼントと言われ、心がざわめきだっていた。何しろ、初めてのプレゼントなのだ。今まで憧れ、望めないと思っていたものが今自分の手の中にあるのだ。この喜びはこれまで辛かった人生が報われるような心地だった。
私は、気づけば頬に涙が伝っていた。
「す、すまん。嫌だったか?」
突然泣き出したてしまったことで、ガルムさんが出会ってから初めて取り乱す。
「いえ、とても……とても、嬉しいです。これだけでこれからも生きていける気がします。」
顔を上げ、ガルムさんに向ける。気づけば私は、全くと言っていい程動かなかった表情が、口の端が、少し上がっていた。
「そうか、その笑顔を見れたのなら、プレゼントした甲斐が合ったというものだ。」
ガルムさんがふわっと微笑む。
「はい、……。はいっ……!」
ガルムさんが私の涙を指で掬う。
「開けてみてくれ。」
生まれて初めてのプレゼント。ガルムさんからのプレゼント。
私は丁寧にその包装を外し、中の箱を開ける。
「これは……。」
「髪紐だ。食事の際、邪魔そうにしていたからな。」
私は箱の中の髪紐を手に取る。綺麗な紺色をしている。
この色、ガルムさんと似ている。
それが分かると何故か嬉しくなってしまう。ガルムさん本人はきっと意識してこの色を選んだわけではないのだろう。だが、ガルムさんが選んでくれただけで嬉しかった。
「鏡もあるし、丁度良い。俺が結んでやろう。来い。」
私は返事をしてガルムさんに髪紐を渡してから背を向ける。
私の長い髪がガルムさんの角ばってゴツゴツしている指で纏められていく。時折、首筋に当たるガルムさんの指がくすぐったい。
キュッという髪紐を結ばれる感覚がした後、ガルムさんのよし、と言う声がする。いつの間にか鏡が私の目の隣にある。ディルさんかキールさん辺りが運んでくれたのだろう。
鏡を見ると、腰まで伸びていた髪が頭の上の方で纏められ、髪紐で結ばれている。いわゆるポニーテールというやつだ。
「どうでしょうか。似合って、いますか?」
「あぁ、とても。」
初めてのプレゼントで浮かれていたこともあり、ガルムさんに褒められ思わず口角が上がる。
「ガルム、以外とセンスいいんだね。」
「そうっすね。超似合ってるっす!」
レオさんとウィルさんに続き、ディルさんとキールさんも褒めてくれた。
こんなに心温まる日が来るなんて思いもしなかった。
私はそうキールさんの指す先にある試着室にディルさんに渡された服を持って向かった。
試着室に入り、渡された服を見る。オススメの中の一着のようだ。全体的にゆったりしているが、腰や太腿の辺りは自然な感じでキュッと締まっており、メリハリが付いている。所々に可愛らしいデザインが施されているが、しつこくない。最後に身丈だけが少し短い羽織を着るようだ。
全て着用してみたが、自分ではどれも着たことがないため、似合っているのかよくわからない。先ほどから外でガルムさんとディルさんの声が聞こえる。ガルムさんも何か買ったのだろうか。
「お待たせしました。どう、でしょうか?」
試着室の仕切りを開けて反応を伺う。
似合っていなかったらどうしよう。選んでくれた二人に申し訳ない……
「キャー!やっぱり僕の見立ては間違ってなかった!!可愛いよー!!」
開けて少しの間の後、キールさんが飛びつこうとしてくる。デジャブだ。
「待て待て、落ち着け。」
キールさんの首根っこをディルさんが掴み、既の所で止める。
「「似合っている」ね」
「そうっすね!さらに可愛らしくなったっす!」
褒められなかったため、どう応えれば良いのか分からず戸惑ってしまう。
「ハル、これは俺からのプレゼントだ。受け取ってくれ。」
ワタワタしている間にガルムさんが前に出てリボンのついた箱を渡してくる。
「そんな、ダメです。受け取れません。ただでさえ服を買ってもらっているのに、プレゼントまでなんて……」
ガルムさんが少し考える素振りをする。良かった。考えてくれて。
「ふむ、ではこうしよう。今朝のアレを詫びると言っていたな。その詫びの内容を”このプレゼントを受け取ること"にしよう。どうだ。」
「っ……。ありがとう、ございますっ。」
断れない言い方に私は、結局受け取ることにした。震える手でガルムさんの手からプレゼントの箱を貰う。正直、プレゼントと言われ、心がざわめきだっていた。何しろ、初めてのプレゼントなのだ。今まで憧れ、望めないと思っていたものが今自分の手の中にあるのだ。この喜びはこれまで辛かった人生が報われるような心地だった。
私は、気づけば頬に涙が伝っていた。
「す、すまん。嫌だったか?」
突然泣き出したてしまったことで、ガルムさんが出会ってから初めて取り乱す。
「いえ、とても……とても、嬉しいです。これだけでこれからも生きていける気がします。」
顔を上げ、ガルムさんに向ける。気づけば私は、全くと言っていい程動かなかった表情が、口の端が、少し上がっていた。
「そうか、その笑顔を見れたのなら、プレゼントした甲斐が合ったというものだ。」
ガルムさんがふわっと微笑む。
「はい、……。はいっ……!」
ガルムさんが私の涙を指で掬う。
「開けてみてくれ。」
生まれて初めてのプレゼント。ガルムさんからのプレゼント。
私は丁寧にその包装を外し、中の箱を開ける。
「これは……。」
「髪紐だ。食事の際、邪魔そうにしていたからな。」
私は箱の中の髪紐を手に取る。綺麗な紺色をしている。
この色、ガルムさんと似ている。
それが分かると何故か嬉しくなってしまう。ガルムさん本人はきっと意識してこの色を選んだわけではないのだろう。だが、ガルムさんが選んでくれただけで嬉しかった。
「鏡もあるし、丁度良い。俺が結んでやろう。来い。」
私は返事をしてガルムさんに髪紐を渡してから背を向ける。
私の長い髪がガルムさんの角ばってゴツゴツしている指で纏められていく。時折、首筋に当たるガルムさんの指がくすぐったい。
キュッという髪紐を結ばれる感覚がした後、ガルムさんのよし、と言う声がする。いつの間にか鏡が私の目の隣にある。ディルさんかキールさん辺りが運んでくれたのだろう。
鏡を見ると、腰まで伸びていた髪が頭の上の方で纏められ、髪紐で結ばれている。いわゆるポニーテールというやつだ。
「どうでしょうか。似合って、いますか?」
「あぁ、とても。」
初めてのプレゼントで浮かれていたこともあり、ガルムさんに褒められ思わず口角が上がる。
「ガルム、以外とセンスいいんだね。」
「そうっすね。超似合ってるっす!」
レオさんとウィルさんに続き、ディルさんとキールさんも褒めてくれた。
こんなに心温まる日が来るなんて思いもしなかった。
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