70 / 300
70話
しおりを挟む
昨日アルトさんからハーレム関係のゴタゴタが終わったことを知らされたため、今日は久々に私の討伐依頼に行くことになった。ガルムさん達は昨日も討伐依頼を受けていたため、物資を整える必要があり、今は出かけている。
私はと言うと、ざっと一時間はかかると言われたため、買い置きしていたものを冷蔵庫から取り出し、パパッと昼食を作り終えていた。持ち運び可のものとなると、凝ったものが作れないのが難点だった。
そう思いながら時計を見ると、まだガルムさんが出ていってから30分も経っていないことに気づいた。
まだ時間があるから、血の玉を作っておこう。この間、役に立ったしね。
早くしないとガルムさんが帰ってきてしまうと思った私は、さっさと動き準備を整えた。
今日は一個だけにしておこう。この後討伐もあるしね。
「っ……。」
刺した所から血が溢れてくる。やはり、いくらやっても痛覚が残っていることに若干嫌になる。それでも、役に立てたことを思い出せば我慢できた。
よし……、あと半分くらい溜まったらにしよう。
ガチャッ……
「おはよう、ハル。今日は俺が付き添……っ!!何しているんだ!!ハルっ!!」
「っ……!?こ、これは……!」
気づいた時には既に遅かった。扉を見ると、そこには血相を変えたアルトさんが立っていた。そしてアルトさんの視線の先には、自身の手を短刀で刺して血を溜めている私。どう見ても言い逃れできない光景だ。
「うるさいぞ、アルト。何をそんなに騒い、で……。ハル、お前っ……!」
さらに最悪なことに私に駆け寄ったアルトさんの背後からガルムさんが現れた。
「ハル、説明しろ。なんでこんなことをしているんだ……!」
ガルムさんが眉間に眉を寄せ、奥歯を見せて怒っている。こんなガルムさんの表情、今まで見たことない。私は、初めてガルムさんに恐怖を感じた。
もしかして、嫌われる!?なんとかしないと……、なんとかしなきゃ……!
そう思っても言葉が上手く口から出ずハクハクとしか動かす事ができなかった。自然と目が熱くなってくる。そんな様子を知ってか知らずか、ガルムさんが言葉を続ける。
「この間アルトに使ったものがこれだろう。あの時、何故ポーションだと嘘をついた……!」
「おい、待てガルム。どういうことだ?あれはポーションじゃないのか?」
「説明はあとだ。で、どうなんだ、ハル……!」
私はもう限界だった。必死に堪えていたがダメだった。
「……っ……うっ……、っ……。」
「「っ……!!」」
「ごめんっ、な、さいっ……。っ……ご、めん、なっ……、さ、いっ……。」
「っ、すまない、ハル……!怖かった、よな……。もう、怒らない。怒らないから、なんでこんなことをしていたのか、教えてくれないか?ハルが大切なんだ。」
私は面倒くさいやつだ。自分がいけないのに泣き出して、あげくの果てにガルムさんに抱きしめられて慰められているなんて。
「っ……、役にっ、立ちたかったからっ……。私も、ここにいてっ、いいんだって、思えた、からっ……。アルトさんも、ごめん、なさいっ……。ポーションって騙して、私の血で治療してしまって……。私の血は、傷を癒せるんです。気持ち悪い、ですよね……。」
最後の方はガルムさんの温もりで気持ちが落ち着き始め、涙が収まってきてあまりつまらずに言えた。
「気持ち悪いだなんて思わない、むしろ正直に話してくれてありがとう。」
「……こちらこそ、突き放さないでくれて、ありがとうございます。」
内心、アルトさんの口から拒絶の言葉が出てこなくてとても嬉しかった。すると、今まで抱きしめてくれていたガルムさんが腕からスッと解放され、両肩を優しく掴まれる。
「ハル。」
「はい……。」
私は、何か言われるのではないかとドキドキしながら続きを待つ。
「二度とこんなことしないって約束してくれるか?」
「なんで、ですか?手を刺しても死にはしませんから、ガルムさんにこれからも恩を返すことはできますよ。」
「そういうことではない……!違うんだ……!」
ガルムさんは何故かとても苦しそうに話す。今まで言わないでいたことを伝えるか伝えまいか悩むかのように。すると、意を決したかのようにパッと視線を合わせてくる。
「俺はハルのことが好きだ!正直に言うと、今すぐにでも番になってほしいくらい……!だから、好きなやつが傷つく所は見たくない、お願いだ……!」
えっ……、今、なんて……?ガルムさんが、私のことを、好きって……?
私はと言うと、ざっと一時間はかかると言われたため、買い置きしていたものを冷蔵庫から取り出し、パパッと昼食を作り終えていた。持ち運び可のものとなると、凝ったものが作れないのが難点だった。
そう思いながら時計を見ると、まだガルムさんが出ていってから30分も経っていないことに気づいた。
まだ時間があるから、血の玉を作っておこう。この間、役に立ったしね。
早くしないとガルムさんが帰ってきてしまうと思った私は、さっさと動き準備を整えた。
今日は一個だけにしておこう。この後討伐もあるしね。
「っ……。」
刺した所から血が溢れてくる。やはり、いくらやっても痛覚が残っていることに若干嫌になる。それでも、役に立てたことを思い出せば我慢できた。
よし……、あと半分くらい溜まったらにしよう。
ガチャッ……
「おはよう、ハル。今日は俺が付き添……っ!!何しているんだ!!ハルっ!!」
「っ……!?こ、これは……!」
気づいた時には既に遅かった。扉を見ると、そこには血相を変えたアルトさんが立っていた。そしてアルトさんの視線の先には、自身の手を短刀で刺して血を溜めている私。どう見ても言い逃れできない光景だ。
「うるさいぞ、アルト。何をそんなに騒い、で……。ハル、お前っ……!」
さらに最悪なことに私に駆け寄ったアルトさんの背後からガルムさんが現れた。
「ハル、説明しろ。なんでこんなことをしているんだ……!」
ガルムさんが眉間に眉を寄せ、奥歯を見せて怒っている。こんなガルムさんの表情、今まで見たことない。私は、初めてガルムさんに恐怖を感じた。
もしかして、嫌われる!?なんとかしないと……、なんとかしなきゃ……!
そう思っても言葉が上手く口から出ずハクハクとしか動かす事ができなかった。自然と目が熱くなってくる。そんな様子を知ってか知らずか、ガルムさんが言葉を続ける。
「この間アルトに使ったものがこれだろう。あの時、何故ポーションだと嘘をついた……!」
「おい、待てガルム。どういうことだ?あれはポーションじゃないのか?」
「説明はあとだ。で、どうなんだ、ハル……!」
私はもう限界だった。必死に堪えていたがダメだった。
「……っ……うっ……、っ……。」
「「っ……!!」」
「ごめんっ、な、さいっ……。っ……ご、めん、なっ……、さ、いっ……。」
「っ、すまない、ハル……!怖かった、よな……。もう、怒らない。怒らないから、なんでこんなことをしていたのか、教えてくれないか?ハルが大切なんだ。」
私は面倒くさいやつだ。自分がいけないのに泣き出して、あげくの果てにガルムさんに抱きしめられて慰められているなんて。
「っ……、役にっ、立ちたかったからっ……。私も、ここにいてっ、いいんだって、思えた、からっ……。アルトさんも、ごめん、なさいっ……。ポーションって騙して、私の血で治療してしまって……。私の血は、傷を癒せるんです。気持ち悪い、ですよね……。」
最後の方はガルムさんの温もりで気持ちが落ち着き始め、涙が収まってきてあまりつまらずに言えた。
「気持ち悪いだなんて思わない、むしろ正直に話してくれてありがとう。」
「……こちらこそ、突き放さないでくれて、ありがとうございます。」
内心、アルトさんの口から拒絶の言葉が出てこなくてとても嬉しかった。すると、今まで抱きしめてくれていたガルムさんが腕からスッと解放され、両肩を優しく掴まれる。
「ハル。」
「はい……。」
私は、何か言われるのではないかとドキドキしながら続きを待つ。
「二度とこんなことしないって約束してくれるか?」
「なんで、ですか?手を刺しても死にはしませんから、ガルムさんにこれからも恩を返すことはできますよ。」
「そういうことではない……!違うんだ……!」
ガルムさんは何故かとても苦しそうに話す。今まで言わないでいたことを伝えるか伝えまいか悩むかのように。すると、意を決したかのようにパッと視線を合わせてくる。
「俺はハルのことが好きだ!正直に言うと、今すぐにでも番になってほしいくらい……!だから、好きなやつが傷つく所は見たくない、お願いだ……!」
えっ……、今、なんて……?ガルムさんが、私のことを、好きって……?
46
あなたにおすすめの小説
魔女の呪いで男を手懐けられるようになってしまった俺
ウミガメ
BL
魔女の呪いで余命が"1年"になってしまった俺。
その代わりに『触れた男を例外なく全員"好き"にさせてしまう』チート能力を得た。
呪いを解くためには男からの"真実の愛"を手に入れなければならない……!?
果たして失った生命を取り戻すことはできるのか……!
男たちとのラブでムフフな冒険が今始まる(?)
~~~~
主人公総攻めのBLです。
一部に性的な表現を含むことがあります。要素を含む場合「★」をつけておりますが、苦手な方はご注意ください。
※この小説は他サイトとの重複掲載をしております。ご了承ください。
公爵子息だったけど勘違いが恥ずかしいので逃走します
市之川めい
BL
魔王を倒した英雄によって建国されたグレンロシェ王国。その後は現在までに二人、王家の血を引く者から英雄が現れている。
四大公爵家嫡男、容姿端麗、成績優秀と全てにおいて恵まれているジルベールは、いつか自分も英雄になると思い、周りには貴公子然とした態度で接しながらも裏では使用人の息子、レオンに対して傲慢に振る舞い性的な関係まで強要していた。
だが、魔王の襲来時に平民であるはずのレオンが英雄になった。
自分とレオンの出生の秘密を知ったジルベールは恥ずかしくなって逃走することにしたが、レオンが迎えに来て……。
※性描写あり。他サイトにも掲載しています。
【本編完結】落ちた先の異世界で番と言われてもわかりません
ミミナガ
BL
この世界では落ち人(おちびと)と呼ばれる異世界人がたまに現れるが、特に珍しくもない存在だった。
14歳のイオは家族が留守中に高熱を出してそのまま永眠し、気が付くとこの世界に転生していた。そして冒険者ギルドのギルドマスターに拾われ生活する術を教わった。
それから5年、Cランク冒険者として採取を専門に細々と生計を立てていた。
ある日Sランク冒険者のオオカミ獣人と出会い、猛アピールをされる。その上自分のことを「番」だと言うのだが、人族であるイオには番の感覚がわからないので戸惑うばかり。
使命も役割もチートもない異世界転生で健気に生きていく自己肯定感低めの真面目な青年と、甘やかしてくれるハイスペック年上オオカミ獣人の話です。
ベッタベタの王道異世界転生BLを目指しました。
本編完結。番外編は不定期更新です。R-15は保険。
コメント欄に関しまして、ネタバレ配慮は特にしていませんのでネタバレ厳禁の方はご注意下さい。
神獣様の森にて。
しゅ
BL
どこ、ここ.......?
俺は橋本 俊。
残業終わり、会社のエレベーターに乗ったはずだった。
そう。そのはずである。
いつもの日常から、急に非日常になり、日常に変わる、そんなお話。
7話完結。完結後、別のペアの話を更新致します。
冷徹王子と身代わりの妃
ミンク
BL
精霊に愛された大国カナーディル。
暖かく住みやすい気候、豊富な水源、恵まれた土壌、
述べれば限りないほどの精霊の加護を建国以来変わらず守り続けている。
カナーディルでは加護を受け続けるために、かの伝説に乗っ取り「王族は精霊をルーツとする一族の男子と婚姻を結ぶ」という仕来りを長年守り続けていた。
年に一度の精霊祭りの日、城では、仕来り通り第二王子の婚姻式が厳粛に執り行われていた。
王族や宰相、教会、貴族、騎士達が見守る中、精霊の血を引く家に生を受けたユウト・マグドー(17)は名実ともにカナーディル第二王子の妃となった。
「氷の情炎」という奇妙な二つ名のついたリオルド・カナーディル(20)の元へと、さまざまな思惑の末に嫁がされていく。
第一王子に嫁いだ自身の兄クリスの身代わり品として。
王家に嫁いだ後も様々な事件がユウトを襲う。
身代わりとして嫁ぎ、運命に翻弄されながらも
愛の為に突き進んで行くストーリー
【8話完結】恋愛を諦めたおじさんは、異世界で運命と出会う。
キノア9g
BL
恋愛を諦め、ただ淡々と日々を過ごしていた笠原透(32)。
しかし、ある日突然異世界へ召喚され、「王の番」だと告げられる。
迎えたのは、美しく気高い王・エルヴェル。
手厚いもてなしと優しさに戸惑いながらも、次第に心を揺さぶられていく透。
これは、愛を遠ざけてきた男が、本当のぬくもりに触れる物語。
──運命なんて、信じていなかった。
けれど、彼の言葉が、ぬくもりが、俺の世界を変えていく。
全8話。
影の織り手たち
あおごろも
BL
ー『君と織る光』前日譚ー
士官学院。
若き血統と才能が集い、中枢を担う者たちが育つ場所で、彼らは出会い、交差する。
交わされた言葉、触れた肌の温度。
数度の夜と、たった一度の夜。
選び取った距離、手放した想い。
未来が光を織るその前に、
密やかに交差した、影の物語。
2025/9/22完結
以降は番外エピソードを更新
猫を追いかけて異世界に来たら、拾ってくれたのは優しい貴族様でした
水無瀬 蒼
BL
清石拓也はある日飼い猫の黒猫・ルナを追って古びた神社に紛れ込んだ。
そこで、御神木の根に足をひっかけて転んでしまう。
倒れる瞬間、大きな光に飲み込まれる。
そして目を覚ましたのは、遺跡の中だった。
体調の悪い拓也を助けてくれたのは貴族のレオニス・アーゼンハイツだった。
2026.1.5〜
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる