25 / 121
第二十五話 先生との出会い
しおりを挟む
(ここかな……)
パステルブルーの細い窓枠に囲まれた、大きな一面ガラス。同じようにガラス張りのドアには、細い銀色のドアノブが付いており、引くのか押すのか分からない。ガラスには、白くお洒落な字体で営業時間と料金が書いてある。
ドアの向こうは受付だろうか、綺麗な女性が電話をしている。二つ皮張りの椅子が大きな鏡の前で、座られるのを待っていた。眩しいほどに真っ白な壁に、優しいクリーム色の床が、やけに綺麗に光って見えた。
「はあ」
普段は、安くて早い美容院しか行ってなかったから、何倍もする値段と入りづらさに、重い溜め息が漏れてしまう。
特にお洒落な服も無いので、制服で来てしまったのも良くなかった。ガラス越しに映る眼鏡で、真ん中分けのべったりした黒髪の自分が、ひどくダサく見えて引き返そうと思い美容院から目を離した。
ふと目に入った店前に置かれた小さなクリスマスツリー、試験が近付いているのを嫌でも実感させる陽気な音楽が、街から聞こえてくる。
(帰って勉強しよ、何やってるんだろ私……)
「予約してくれた方かな?」
後ろから響く透き通る女性の声に、耳元でサイレンでも鳴らされたような緊張感が走り、体が硬直してしまった。
「それ、うちの紹介状だよね?」
手に持っている小さな白いカードが、緊張で震えているのを見ていられずに、何も答えられずに俯いていることしか出来なかった。
「ふふ、緊張しなくて大丈夫。これ見てくれる?」
恐る恐る顔を上げると、小さな写真を彼女は持っていた。そこに写る女の子は私にそっくりだった。いかにも委員長というイメージの少女。制服は長いままのスカート、黒縁眼鏡の奥にある節目がちで不安そうな瞳。
「これね、学生の時の私なんだ。私も初めて美容院に来たときは、緊張しちゃって気持ち悪くてね。でも大丈夫。きっと来てよかったって思えるように私も頑張りたいから、少し協力してくれないかな?」
何故か、写真を持つ彼女の手も震えていて、心配に思い顔を見てみると。あまりの美人に目眩がしそうだった。
モデルのような整った顔立ちに大きな垂れ目がちな二重、少し大きな唇は光るようなピンク色で、口紅のCMでも見てるような錯覚に陥るほどだった。唇の上にあるほくろがセクシーな印象を与えるが、それを強調させているのは、真っ黒な艶のある胸まで伸びるロングヘアーだろう。
左の眉毛だけを隠すように流れた前髪の下で、こんな私に上目遣いでお願いしている美人が不思議だった。
「あの、私、その……」
何か言わなきゃいけない、でも、あまりに綺麗な女性を前にしてパニックになった私に、彼女は優しく微笑んでくれた。
「大丈夫。私に任せて」
何も考えられずに淡々とシャンプーをしてもらって、硬い表情のままドライヤーの熱い風を受けていた。
「私はね、ある男性にナンパされたんだ。そして、きっと捨てられちゃったんだと思う」
真後ろから独り言のように呟く、彼女の声が聞こえてくる。私の小さな返事はドライヤーに消されていった。
パステルブルーの細い窓枠に囲まれた、大きな一面ガラス。同じようにガラス張りのドアには、細い銀色のドアノブが付いており、引くのか押すのか分からない。ガラスには、白くお洒落な字体で営業時間と料金が書いてある。
ドアの向こうは受付だろうか、綺麗な女性が電話をしている。二つ皮張りの椅子が大きな鏡の前で、座られるのを待っていた。眩しいほどに真っ白な壁に、優しいクリーム色の床が、やけに綺麗に光って見えた。
「はあ」
普段は、安くて早い美容院しか行ってなかったから、何倍もする値段と入りづらさに、重い溜め息が漏れてしまう。
特にお洒落な服も無いので、制服で来てしまったのも良くなかった。ガラス越しに映る眼鏡で、真ん中分けのべったりした黒髪の自分が、ひどくダサく見えて引き返そうと思い美容院から目を離した。
ふと目に入った店前に置かれた小さなクリスマスツリー、試験が近付いているのを嫌でも実感させる陽気な音楽が、街から聞こえてくる。
(帰って勉強しよ、何やってるんだろ私……)
「予約してくれた方かな?」
後ろから響く透き通る女性の声に、耳元でサイレンでも鳴らされたような緊張感が走り、体が硬直してしまった。
「それ、うちの紹介状だよね?」
手に持っている小さな白いカードが、緊張で震えているのを見ていられずに、何も答えられずに俯いていることしか出来なかった。
「ふふ、緊張しなくて大丈夫。これ見てくれる?」
恐る恐る顔を上げると、小さな写真を彼女は持っていた。そこに写る女の子は私にそっくりだった。いかにも委員長というイメージの少女。制服は長いままのスカート、黒縁眼鏡の奥にある節目がちで不安そうな瞳。
「これね、学生の時の私なんだ。私も初めて美容院に来たときは、緊張しちゃって気持ち悪くてね。でも大丈夫。きっと来てよかったって思えるように私も頑張りたいから、少し協力してくれないかな?」
何故か、写真を持つ彼女の手も震えていて、心配に思い顔を見てみると。あまりの美人に目眩がしそうだった。
モデルのような整った顔立ちに大きな垂れ目がちな二重、少し大きな唇は光るようなピンク色で、口紅のCMでも見てるような錯覚に陥るほどだった。唇の上にあるほくろがセクシーな印象を与えるが、それを強調させているのは、真っ黒な艶のある胸まで伸びるロングヘアーだろう。
左の眉毛だけを隠すように流れた前髪の下で、こんな私に上目遣いでお願いしている美人が不思議だった。
「あの、私、その……」
何か言わなきゃいけない、でも、あまりに綺麗な女性を前にしてパニックになった私に、彼女は優しく微笑んでくれた。
「大丈夫。私に任せて」
何も考えられずに淡々とシャンプーをしてもらって、硬い表情のままドライヤーの熱い風を受けていた。
「私はね、ある男性にナンパされたんだ。そして、きっと捨てられちゃったんだと思う」
真後ろから独り言のように呟く、彼女の声が聞こえてくる。私の小さな返事はドライヤーに消されていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる