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第六十二話 傷物
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「分かりますか?」
そこにあるのは、青白く感じるほど綺麗な肩だった。細くて青い血管が見えてしまいそうなほどに。何も無いのが不安を大きく燃やしていた、心配していた傷なんかは無かった。それでもきっと何かある、知ってはいけないようなことが、すぐそこに。
「ううん、綺麗な肩だよ。これが彼と喧嘩した原因になった秘密?」
後輩は肩を優しく撫でながら、泣き疲れて掠れた声で言葉を溢《こぼ》していく。
「……店長、意地悪して嘘ばっかりな私の言葉なんて、今更信じれないと思いますが。本当に店長のこと好きだったんですよ。優しくてかっこよくて。私にとっては先生より憧れの人で、大好きな先輩で。ずっと一緒に居たかった……」
「ずっと一緒だよ!」
後輩の中で話がどんどん進んでいて、私の言葉が届いていなかった。遠く離れたトンネル、その暗闇の中で寂しそうに手を振っている。そんなイメージが頭からずっと離れなかった。
「ううん、もう美容院には居れません。それで良いんです。店長とも、彼とも、彼氏にだって、もう会わない方が良いんです。私は変われなかった、ずっと前から決まっていたことなんです」
後輩の手が止まり、震えている。肩の皮膚を摘んで引っ張り始めた。ストッキングのように伸びながら剥がれる皮膚の下、それを目にして言葉を無くしてしまった。
そこにあるのは、青白く感じるほど綺麗な肩だった。細くて青い血管が見えてしまいそうなほどに。何も無いのが不安を大きく燃やしていた、心配していた傷なんかは無かった。それでもきっと何かある、知ってはいけないようなことが、すぐそこに。
「ううん、綺麗な肩だよ。これが彼と喧嘩した原因になった秘密?」
後輩は肩を優しく撫でながら、泣き疲れて掠れた声で言葉を溢《こぼ》していく。
「……店長、意地悪して嘘ばっかりな私の言葉なんて、今更信じれないと思いますが。本当に店長のこと好きだったんですよ。優しくてかっこよくて。私にとっては先生より憧れの人で、大好きな先輩で。ずっと一緒に居たかった……」
「ずっと一緒だよ!」
後輩の中で話がどんどん進んでいて、私の言葉が届いていなかった。遠く離れたトンネル、その暗闇の中で寂しそうに手を振っている。そんなイメージが頭からずっと離れなかった。
「ううん、もう美容院には居れません。それで良いんです。店長とも、彼とも、彼氏にだって、もう会わない方が良いんです。私は変われなかった、ずっと前から決まっていたことなんです」
後輩の手が止まり、震えている。肩の皮膚を摘んで引っ張り始めた。ストッキングのように伸びながら剥がれる皮膚の下、それを目にして言葉を無くしてしまった。
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