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第七十話 傷物(10)
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「大丈夫。先生に任せて」
しゃがんで少女と目線を合わせて、震える小さな手を握った。室内には後輩の泣き叫ぶ声と、薪が燃える音が響いている。湿った雨の匂いと、髪の毛が燃えたような嫌な臭いもしていた。
「先生、大丈夫?頭どうしたの?」
少女が目を丸くしていた。私が別人のような金髪パンクロッカーだから心配しているのだろう。
「ふふ、私は大丈夫。少し待っててね」
「……うん」
男性と合うのに、少しでも頭の派手さを抑えるために履いた、地味な茶色のロングスカート。今は雨を吸って重くなっちゃったけど、確かに彼の頭が乗っていたんだ。そして、再開する機会を作ってくれたのは、あなただったんだね。
「……来たら刺すよ!」
あなたはそんな大変なときに、近くで応援してくれていたんだね。自分が辛いのも隠して、そんなに辛さを誰にも言えずに。やっとの思いで伝えた彼にも裏切られて、そしてきっと私にも……
「近付かないで!もういい!何もかも嫌いだ!彼も店長も!店長が好きなあの人だって!」
「……私は、あなたのこと大好きなままだよ」
一歩ずつ後輩に近づく足に、散らばっている髪の毛がまとわりついた。
『彼とデートなので、思いっきり可愛くして下さい!店長のカットは世界一ですからね!』
そう嬉しそうに笑う後輩を思い出して、胸が痛くなる。私と仲良くなる前から、彼女は自分で肩を傷付けていたんだ。どうして気付けなかったのだろう。
「うるさい!嘘ばっかり!こんな自傷女、誰も好きになってくれない!誰からも愛してもらえないんです!」
振り回すカッターが音を残して、引き千切られる髪の毛が悲鳴を上げていた。
「そんなことないよ」
その小さく丸まった背中が、どうしようもなく可哀想に見えて、後ろから抱きしめようとした。
「来ないでよ!」
振り向くように払われたカッターナイフが、私のスカートを切り裂いた。
しゃがんで少女と目線を合わせて、震える小さな手を握った。室内には後輩の泣き叫ぶ声と、薪が燃える音が響いている。湿った雨の匂いと、髪の毛が燃えたような嫌な臭いもしていた。
「先生、大丈夫?頭どうしたの?」
少女が目を丸くしていた。私が別人のような金髪パンクロッカーだから心配しているのだろう。
「ふふ、私は大丈夫。少し待っててね」
「……うん」
男性と合うのに、少しでも頭の派手さを抑えるために履いた、地味な茶色のロングスカート。今は雨を吸って重くなっちゃったけど、確かに彼の頭が乗っていたんだ。そして、再開する機会を作ってくれたのは、あなただったんだね。
「……来たら刺すよ!」
あなたはそんな大変なときに、近くで応援してくれていたんだね。自分が辛いのも隠して、そんなに辛さを誰にも言えずに。やっとの思いで伝えた彼にも裏切られて、そしてきっと私にも……
「近付かないで!もういい!何もかも嫌いだ!彼も店長も!店長が好きなあの人だって!」
「……私は、あなたのこと大好きなままだよ」
一歩ずつ後輩に近づく足に、散らばっている髪の毛がまとわりついた。
『彼とデートなので、思いっきり可愛くして下さい!店長のカットは世界一ですからね!』
そう嬉しそうに笑う後輩を思い出して、胸が痛くなる。私と仲良くなる前から、彼女は自分で肩を傷付けていたんだ。どうして気付けなかったのだろう。
「うるさい!嘘ばっかり!こんな自傷女、誰も好きになってくれない!誰からも愛してもらえないんです!」
振り回すカッターが音を残して、引き千切られる髪の毛が悲鳴を上げていた。
「そんなことないよ」
その小さく丸まった背中が、どうしようもなく可哀想に見えて、後ろから抱きしめようとした。
「来ないでよ!」
振り向くように払われたカッターナイフが、私のスカートを切り裂いた。
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