77 / 121
第七十七話 傷物(16)
しおりを挟む
「水!」
カラフルなタイルで装飾された手洗い場、まだ真新しい輝きを放つ銀色の蛇口を、壊す勢いで捻った。小さな両手を、今にも凍りそうな水に差し込むと、少女の唸り声は一層激しく変わった。
「我慢して!何でこんなことしたの!」
「なんで!どうして!」
うろたえる私達の声は大きくなっていたけれど、少女は更に大きな声で応えた。
「お姉ちゃんが好きだから!」
「なんで……、私なんか……」
「初めての友達だから!」
後輩は少女の小さな体に泣き付いて、何度も掠れる声で謝り続けていた。
「と、とにかく!病院連れて行かないと!あと、保護者の方にも連絡を、お家は近い?」
「だめ!お母さんには言わないで……。お願い……、します。それだけは……」
弱々しく泣き出してしまった少女と、血と髪の毛が付いた顔で泣いている後輩を前に、私は痛む頭を抑えてどうするべきかを考えていた。
カラフルなタイルで装飾された手洗い場、まだ真新しい輝きを放つ銀色の蛇口を、壊す勢いで捻った。小さな両手を、今にも凍りそうな水に差し込むと、少女の唸り声は一層激しく変わった。
「我慢して!何でこんなことしたの!」
「なんで!どうして!」
うろたえる私達の声は大きくなっていたけれど、少女は更に大きな声で応えた。
「お姉ちゃんが好きだから!」
「なんで……、私なんか……」
「初めての友達だから!」
後輩は少女の小さな体に泣き付いて、何度も掠れる声で謝り続けていた。
「と、とにかく!病院連れて行かないと!あと、保護者の方にも連絡を、お家は近い?」
「だめ!お母さんには言わないで……。お願い……、します。それだけは……」
弱々しく泣き出してしまった少女と、血と髪の毛が付いた顔で泣いている後輩を前に、私は痛む頭を抑えてどうするべきかを考えていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる