78 / 121
第七十八話 傷物(17)
しおりを挟む
「病院に連れて行きましょう!このまま火傷の跡が残ったら大変です!」
「いや!それだけはだめ!」
「わがまま言わないの!」
「お姉ちゃんだって、わがままじゃん!」
「ちょっと!店長も黙ってないで何か言ってくださいよ!」
少女が母親を尋常じゃなく恐がるのが気になったが、こうなったのは私の責任だ、しっかりしないと……
「と、とにかく、誰かに診てもらわないと、お母さんに知られたくないなら、どうしたら……」
「もう連れて行きましょう!お母さんには私からちゃんと謝るから!あなたは何も悪くない、だからお願い」
「絶対いや!お爺ちゃんのとこ行く!痛くなってきてる……」
「お爺ちゃんなら良いのね!近くに住んでいるの!」
「この裏に住んでる!」
「急ごう!私が背負うから、あなたは傘を差してあげて!」
「は、はい!」
思ったよりも軽い小さな体を背負って、勢いよくドアを開ける。目の前にだらりと垂れる少女の手のひらは、直視するのが怖かったが、暗闇でも分かるほどに赤かった。
「どこの家!」
「そこ!目の前の、赤い屋根!チャイム壊れてるから、開けて!」
「開けてって言われても……」
「店長!何してるんですか!開けますよ!」
鍵はかかっていなかったのか、あっさりと開いてしまったドアの中から、眩しい光と人影が点滅するように飛び込んできた。
「いや!それだけはだめ!」
「わがまま言わないの!」
「お姉ちゃんだって、わがままじゃん!」
「ちょっと!店長も黙ってないで何か言ってくださいよ!」
少女が母親を尋常じゃなく恐がるのが気になったが、こうなったのは私の責任だ、しっかりしないと……
「と、とにかく、誰かに診てもらわないと、お母さんに知られたくないなら、どうしたら……」
「もう連れて行きましょう!お母さんには私からちゃんと謝るから!あなたは何も悪くない、だからお願い」
「絶対いや!お爺ちゃんのとこ行く!痛くなってきてる……」
「お爺ちゃんなら良いのね!近くに住んでいるの!」
「この裏に住んでる!」
「急ごう!私が背負うから、あなたは傘を差してあげて!」
「は、はい!」
思ったよりも軽い小さな体を背負って、勢いよくドアを開ける。目の前にだらりと垂れる少女の手のひらは、直視するのが怖かったが、暗闇でも分かるほどに赤かった。
「どこの家!」
「そこ!目の前の、赤い屋根!チャイム壊れてるから、開けて!」
「開けてって言われても……」
「店長!何してるんですか!開けますよ!」
鍵はかかっていなかったのか、あっさりと開いてしまったドアの中から、眩しい光と人影が点滅するように飛び込んできた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる