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第七十九話 傷物(18)
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「あの!すみません、こんな時間に!その!この子が!」
中から鋭い眼光だけが、私を射抜いて離さなかった。日本人離れした彫りの深い、細い金枠の丸眼鏡が似合う、お洒落なお爺様といった感じだった。白い髭は口を囲うように生えて、そのまま均一の長さを保って耳に吸い込まれている。
「お爺ちゃん、ごめんなさい……」
孫娘の手を見て、切れ長の細い目が見開いて、静かに頷いた。
「申し訳ありません!私達が付いていながら!」
「違うの!私が勝手にやったの!この人達は、私の友達だから!」
もう一度、フクロウのように首を軽快に回して私達を睨むと、思ったより若々しい左手を向けて、ここで待っていてくれと伝えられた気がした。少女が腕を引っ張られて奥の部屋へと消えて行った。
「店長、私は何てことを……」
「大丈夫、あなたは間違いなく苦しんでいたし、あなたも何も悪くないでしょ。こうして生きてくれてるだけでも、私は本当嬉しいよ。あの子も、やり方が分からなかっただけで、あなたを励ましたかったんだから、自分を責めないで」
「……私、変わりたいです」
「うん。私も、そう思うわ。あんな小さい子に辛い思いをさせたくないもの、私がしっかりしないと……」
家の中は暖房が効いていたが、暖かい玄関で冷たい後輩の手を強く握ることしか出来なかった。
中から鋭い眼光だけが、私を射抜いて離さなかった。日本人離れした彫りの深い、細い金枠の丸眼鏡が似合う、お洒落なお爺様といった感じだった。白い髭は口を囲うように生えて、そのまま均一の長さを保って耳に吸い込まれている。
「お爺ちゃん、ごめんなさい……」
孫娘の手を見て、切れ長の細い目が見開いて、静かに頷いた。
「申し訳ありません!私達が付いていながら!」
「違うの!私が勝手にやったの!この人達は、私の友達だから!」
もう一度、フクロウのように首を軽快に回して私達を睨むと、思ったより若々しい左手を向けて、ここで待っていてくれと伝えられた気がした。少女が腕を引っ張られて奥の部屋へと消えて行った。
「店長、私は何てことを……」
「大丈夫、あなたは間違いなく苦しんでいたし、あなたも何も悪くないでしょ。こうして生きてくれてるだけでも、私は本当嬉しいよ。あの子も、やり方が分からなかっただけで、あなたを励ましたかったんだから、自分を責めないで」
「……私、変わりたいです」
「うん。私も、そう思うわ。あんな小さい子に辛い思いをさせたくないもの、私がしっかりしないと……」
家の中は暖房が効いていたが、暖かい玄関で冷たい後輩の手を強く握ることしか出来なかった。
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